リンパ浮腫の治療とケア 第2版
リンパ浮腫治療の基本がわかる
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本書は、リンパ浮腫とその治療法である複合的理学療法(スキンケア・医療リンパドレナージ・圧迫療法・運動療法)について、長年、専門セラピストとして活躍している著者らの知識と経験に基づいてわかりやすく解説している。今回の改訂では、初版の情報を一部刷新し、さらに診療報酬と緩和ケアについて新たに書き加えられた。リンパ浮腫の治療やケアを始める際に読んでおきたい1冊。
編集 | 佐藤 佳代子 |
---|---|
執筆 | 小川 佳宏 / 佐藤 佳代子 |
執筆協力 | 後藤学園附属医療施設スタッフ |
発行 | 2010年09月判型:B5頁:184 |
ISBN | 978-4-260-01140-2 |
定価 | 4,180円 (本体3,800円+税) |
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推薦の序(安達 勇)/第2版の序(小川 佳宏)
推薦の序
局所性リンパ浮腫の治療方法は徒手(マニュアル)によるリンパドレナージ方法,「複合的理学療法」が手術的治療など他の方法に勝って,最も標準的治療方法としてすでに1995年,国際学会において認められておりました。日本においても,平成20年に指導管理料(入院中1回のみ)が保険収載され,さらに平成22年には外来においても適応されるなど,広く認知されるようになってきております。しかし,がん医療に携わる医療者,特に医師の間ではその重要性への認識が十分とはいえない現状にあります。特に,乳がんをはじめ婦人科系がん,泌尿器系がん患者の術後では併発する頻度の高い合併症であり,再発進行がんの終末期では6割の患者さんにリンパ浮腫がみられております。
現在,がん治療は包括的医療として位置づけられ,手術,放射線治療,抗がん剤治療などの治療介入から再発,終末期に至るまで医療者は,シームレスに患者の苦痛に対して積極的に関わることが求められています。リンパ浮腫は多くのがん患者の日常生活に支障を来し,苦悩する合併症の一つであります。このようなリンパ浮腫は,専門のリンパドレナージ・セラピストの指導のもとに,生涯にわたって続けないと再発してしまう病態であります。したがって,この治療は医療者と患者が一体となって取り組むことが求められております。特に専門セラピストの指導のもと,正しい病態の理解とセルフケアがきわめて大切であります。
本書は,日本におけるがんリンパ浮腫セラピストとして第一人者である専門家とドイツフェルディ・リンパセラピストの資格を有するメディカルスタッフの方々が懇切丁寧な解説に最新のスキルも追加し,第2版として出版されたものであります。また,多くの写真を加え,4色刷りとなり,わかりやすい専門書となっております。リンパ浮腫の治療を行っている医療者にとって有用性の高い参考書であり,ここに推薦する次第であります。
2010年8月
安達 勇
静岡県立静岡がんセンター緩和医療科参与
第2版の序
本書の初版が発刊された2005(平成17)年以降,リンパ浮腫の診療は大きく変化している。2008(平成20)年に「リンパ浮腫指導管理料」が保険収載され,リンパ浮腫を発症しやすい乳がんや婦人科がんの治療を受ける患者が,手術前後にリンパ浮腫についての知識を指導されることになった。その結果として,手術を行う医療機関の医療従事者(とくに看護師)が,いろいろなリンパ浮腫に関する講習を受けることが多くなり,リンパ浮腫の適切な知識・情報を手に入れるようになっている。また患者側にも変化があり,指導を受けた患者が発症早期から治療を受ける機会が多くなり,実際当院に来院される患者でも,重症化してから来院するということが減少している。
また,同じく2008年に治療に使用する弾性着衣も療養費で給付されることになり,患者の負担が減少している。その結果,高価で手を出せなかった,圧迫力が強く適切なタイプの弾性着衣を使用する患者が増え,浮腫をコントロールしやすくなっている。しかし対象は悪性腫瘍手術後のリンパ浮腫のみであり,原因が確定できない「原発性リンパ浮腫」患者は蚊帳の外の状態であり,今後この点について修正が必要である。
2010(平成22)年の改定では,リンパ浮腫指導管理料が外来でも一回算定できるようになっただけで大きな変化はなかったが,本年はじめに厚生労働省の研究班で「原発性リンパ浮腫の実態調査」が初めて行われ,その他厚生労働省関連で「リンパ浮腫のクリニカルパス」作成や,「がんのリハビリテーション」でリンパ浮腫治療の講習が行われており,治療の実際が全国的に広がることで,次回の改定で「リンパ浮腫治療の保険収載」や「原発性リンパ浮腫への保険適用拡大」を期待している。
そのためにも,医療従事者がリンパ浮腫についての正しい知識をもって,治療への介入を積極的に行う体制が必要と考えている。最近気になるのは,婦人科術後のリンパ浮腫発症予防のため,手術中に使用した深部静脈血栓症予防のストッキングを術後にも使用し,膝下で食い込んで逆に浮腫がみられたり,乳がん手術後に予防のため弾性スリーブを着用したという患者もある。また一部の抗がん剤による浮腫の副作用では,通常のリンパ浮腫と異なり非常に重症化することがある点である。
リンパ浮腫はいったん発症すると治療に難渋することが多いため,予防したいと考えられるであろうが,私見では予防は困難と考えている。それよりも発症早期に診断して治療する体制が必要と考えている。以前は「リンパ浮腫に治療法はない」と説明され放置されている患者もあったが,治療法が全国的に徐々に広がり,最近ではリンパ浮腫患者に対して指導・治療する医療機関も増加してきた。リンパ浮腫も他の慢性疾患と同様に,発症早期から治療することで慢性化・重症化を防ぐことが可能であり,今後は医師に早期治療の重要性を認知してもらい,発症早期に診断してすぐに治療に移行できる環境のある医療機関が増加することを期待している。そのために本書が貢献できることを祈念する。
2010年8月
小川 佳宏
推薦の序
局所性リンパ浮腫の治療方法は徒手(マニュアル)によるリンパドレナージ方法,「複合的理学療法」が手術的治療など他の方法に勝って,最も標準的治療方法としてすでに1995年,国際学会において認められておりました。日本においても,平成20年に指導管理料(入院中1回のみ)が保険収載され,さらに平成22年には外来においても適応されるなど,広く認知されるようになってきております。しかし,がん医療に携わる医療者,特に医師の間ではその重要性への認識が十分とはいえない現状にあります。特に,乳がんをはじめ婦人科系がん,泌尿器系がん患者の術後では併発する頻度の高い合併症であり,再発進行がんの終末期では6割の患者さんにリンパ浮腫がみられております。
現在,がん治療は包括的医療として位置づけられ,手術,放射線治療,抗がん剤治療などの治療介入から再発,終末期に至るまで医療者は,シームレスに患者の苦痛に対して積極的に関わることが求められています。リンパ浮腫は多くのがん患者の日常生活に支障を来し,苦悩する合併症の一つであります。このようなリンパ浮腫は,専門のリンパドレナージ・セラピストの指導のもとに,生涯にわたって続けないと再発してしまう病態であります。したがって,この治療は医療者と患者が一体となって取り組むことが求められております。特に専門セラピストの指導のもと,正しい病態の理解とセルフケアがきわめて大切であります。
本書は,日本におけるがんリンパ浮腫セラピストとして第一人者である専門家とドイツフェルディ・リンパセラピストの資格を有するメディカルスタッフの方々が懇切丁寧な解説に最新のスキルも追加し,第2版として出版されたものであります。また,多くの写真を加え,4色刷りとなり,わかりやすい専門書となっております。リンパ浮腫の治療を行っている医療者にとって有用性の高い参考書であり,ここに推薦する次第であります。
2010年8月
安達 勇
静岡県立静岡がんセンター緩和医療科参与
第2版の序
本書の初版が発刊された2005(平成17)年以降,リンパ浮腫の診療は大きく変化している。2008(平成20)年に「リンパ浮腫指導管理料」が保険収載され,リンパ浮腫を発症しやすい乳がんや婦人科がんの治療を受ける患者が,手術前後にリンパ浮腫についての知識を指導されることになった。その結果として,手術を行う医療機関の医療従事者(とくに看護師)が,いろいろなリンパ浮腫に関する講習を受けることが多くなり,リンパ浮腫の適切な知識・情報を手に入れるようになっている。また患者側にも変化があり,指導を受けた患者が発症早期から治療を受ける機会が多くなり,実際当院に来院される患者でも,重症化してから来院するということが減少している。
また,同じく2008年に治療に使用する弾性着衣も療養費で給付されることになり,患者の負担が減少している。その結果,高価で手を出せなかった,圧迫力が強く適切なタイプの弾性着衣を使用する患者が増え,浮腫をコントロールしやすくなっている。しかし対象は悪性腫瘍手術後のリンパ浮腫のみであり,原因が確定できない「原発性リンパ浮腫」患者は蚊帳の外の状態であり,今後この点について修正が必要である。
2010(平成22)年の改定では,リンパ浮腫指導管理料が外来でも一回算定できるようになっただけで大きな変化はなかったが,本年はじめに厚生労働省の研究班で「原発性リンパ浮腫の実態調査」が初めて行われ,その他厚生労働省関連で「リンパ浮腫のクリニカルパス」作成や,「がんのリハビリテーション」でリンパ浮腫治療の講習が行われており,治療の実際が全国的に広がることで,次回の改定で「リンパ浮腫治療の保険収載」や「原発性リンパ浮腫への保険適用拡大」を期待している。
そのためにも,医療従事者がリンパ浮腫についての正しい知識をもって,治療への介入を積極的に行う体制が必要と考えている。最近気になるのは,婦人科術後のリンパ浮腫発症予防のため,手術中に使用した深部静脈血栓症予防のストッキングを術後にも使用し,膝下で食い込んで逆に浮腫がみられたり,乳がん手術後に予防のため弾性スリーブを着用したという患者もある。また一部の抗がん剤による浮腫の副作用では,通常のリンパ浮腫と異なり非常に重症化することがある点である。
リンパ浮腫はいったん発症すると治療に難渋することが多いため,予防したいと考えられるであろうが,私見では予防は困難と考えている。それよりも発症早期に診断して治療する体制が必要と考えている。以前は「リンパ浮腫に治療法はない」と説明され放置されている患者もあったが,治療法が全国的に徐々に広がり,最近ではリンパ浮腫患者に対して指導・治療する医療機関も増加してきた。リンパ浮腫も他の慢性疾患と同様に,発症早期から治療することで慢性化・重症化を防ぐことが可能であり,今後は医師に早期治療の重要性を認知してもらい,発症早期に診断してすぐに治療に移行できる環境のある医療機関が増加することを期待している。そのために本書が貢献できることを祈念する。
2010年8月
小川 佳宏
目次
開く
1 リンパ系の解剖・生理
A はじめに
B リンパの成分
C 血液循環とリンパ循環
D リンパ管系とリンパ生成の場の微小循環
E リンパ管の走行
F リンパ輸送の特徴
G 圧迫時のリンパ管への影響
2 リンパ浮腫とは
A 浮腫とは
B リンパ浮腫治療への取り組み
C リンパ浮腫の定義
D リンパ浮腫の発症原因
E リンパ浮腫の分類
F リンパ浮腫の病期
G リンパ浮腫の症状
H リンパ浮腫の合併症
I 心性浮腫について
J 慢性静脈機能不全症(CVI)について
K 終末期に伴う浮腫・リンパ浮腫の病態
3 リンパ浮腫治療の概要
A 保存的治療法
B 手術的治療法
C その他の治療法
4 フェルディ式複合的理学療法
A 治療法の概要
B 症状に応じた 2 段階の治療ステップ
C 適応と禁忌
D 複合的理学療法の治療施設
5 医師との連携
A リンパ浮腫治療開始時に必要な情報
B 医療リンパドレナージセラピストが作成する記録
C 医療リンパドレナージセラピストから医師への報告
6 治療方針決定のプロセス
A 施術の対象
B 主治医との連携
C 問診
D 視診
E 触診
F 悪性の徴候
G 計測記録について
7 スキンケア
A スキンケアの基本
B 皮膚トラブル時の対応
8 医療徒手リンパドレナージ―フェルディ式マッサージ
A マッサージ手順の考え方
B 基本知識(考慮すべきリンパ管システム)
C 基本手技
D その他の手技
I.マッサージの実際[基礎編] ―リンパ節の機能が正常な場合
A 準備
B 基礎マッサージ
II.マッサージの実際[臨床編] ―リンパ節の機能が低下または不全の場合
(リンパ連絡路の活用)
A 個別の対応の必要性
B 前処置と後処置の重要性
C マッサージの基本手順
D マッサージの時間配分
E 具体的な治療
9 圧迫療法
I.弾性包帯によるバンデージ療法
A バンデージ療法の特長
B 弾性包帯の基本の巻き方
C バンデージ療法の注意とポイント
D スポンジの扱い
E バンデージ療法に使用する用具の洗い方
II.弾性着衣
A 弾性着衣の種類
B 着用時のポイント
C 注意事項
D 洗い方
10 排液効果を促す運動療法
A 上肢の運動法
B 下肢の運動法
11 セルフケアの指導法
A セルフマッサージの指導
B セルフバンデージ療法の指導
C 新しい生活スタイルづくりの提案
12 治療症例
13 わが国のリンパ浮腫治療の現状
I.リンパ浮腫に関する診療報酬改定
II.統計からみた患者像
III.資料
A リンパ浮腫サポートグループ
B NPO 法人日本医療リンパドレナージ協会
あとがき
索引
A はじめに
B リンパの成分
C 血液循環とリンパ循環
D リンパ管系とリンパ生成の場の微小循環
E リンパ管の走行
F リンパ輸送の特徴
G 圧迫時のリンパ管への影響
2 リンパ浮腫とは
A 浮腫とは
B リンパ浮腫治療への取り組み
C リンパ浮腫の定義
D リンパ浮腫の発症原因
E リンパ浮腫の分類
F リンパ浮腫の病期
G リンパ浮腫の症状
H リンパ浮腫の合併症
I 心性浮腫について
J 慢性静脈機能不全症(CVI)について
K 終末期に伴う浮腫・リンパ浮腫の病態
3 リンパ浮腫治療の概要
A 保存的治療法
B 手術的治療法
C その他の治療法
4 フェルディ式複合的理学療法
A 治療法の概要
B 症状に応じた 2 段階の治療ステップ
C 適応と禁忌
D 複合的理学療法の治療施設
5 医師との連携
A リンパ浮腫治療開始時に必要な情報
B 医療リンパドレナージセラピストが作成する記録
C 医療リンパドレナージセラピストから医師への報告
6 治療方針決定のプロセス
A 施術の対象
B 主治医との連携
C 問診
D 視診
E 触診
F 悪性の徴候
G 計測記録について
7 スキンケア
A スキンケアの基本
B 皮膚トラブル時の対応
8 医療徒手リンパドレナージ―フェルディ式マッサージ
A マッサージ手順の考え方
B 基本知識(考慮すべきリンパ管システム)
C 基本手技
D その他の手技
I.マッサージの実際[基礎編] ―リンパ節の機能が正常な場合
A 準備
B 基礎マッサージ
II.マッサージの実際[臨床編] ―リンパ節の機能が低下または不全の場合
(リンパ連絡路の活用)
A 個別の対応の必要性
B 前処置と後処置の重要性
C マッサージの基本手順
D マッサージの時間配分
E 具体的な治療
9 圧迫療法
I.弾性包帯によるバンデージ療法
A バンデージ療法の特長
B 弾性包帯の基本の巻き方
C バンデージ療法の注意とポイント
D スポンジの扱い
E バンデージ療法に使用する用具の洗い方
II.弾性着衣
A 弾性着衣の種類
B 着用時のポイント
C 注意事項
D 洗い方
10 排液効果を促す運動療法
A 上肢の運動法
B 下肢の運動法
11 セルフケアの指導法
A セルフマッサージの指導
B セルフバンデージ療法の指導
C 新しい生活スタイルづくりの提案
12 治療症例
13 わが国のリンパ浮腫治療の現状
I.リンパ浮腫に関する診療報酬改定
II.統計からみた患者像
III.資料
A リンパ浮腫サポートグループ
B NPO 法人日本医療リンパドレナージ協会
あとがき
索引
更新情報
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