成人看護学[5]
消化器 第13版

もっと見る

第1章では、外来受療者の最も多い消化器疾患患者に対する多面的な援助の方法を、患者の身体的、心理・社会的問題、および経過別看護の視点から明らかにしました。 第2章では、「消化器の構造と機能」を図を用いて視覚的に理解できるようにしました。また、第3章では、「症状のおこるメカニズム」をチャート図などを用いてわかりやすく示し、第4章以降の理解につながるよう努めました。 第4章・第5章では、検査・治療・処置、疾患の理解について、最新の知見に基づき記載しました。 第6章では、症状に対する看護、検査を受ける患者の看護、治療・処置を受ける患者の看護、疾患を持つ患者の看護に大別し、看護過程にそって展開しています。なお、疾患を持つ患者の看護では、アセスメント項目と看護活動の関連を重視した記述となるよう心がけました。 付章の事例では、「ストーマ造設術を受ける患者の看護」と「肝がんで手術を受ける患者の看護」を掲載しました。
シリーズ 系統看護学講座
金田 智 / 川原 英之 / 齋藤 英胤 / 高田 由美 / 永田 博司 / 松田 明子 / 三ッ井 圭子 / 南川 雅子 / 宮澤 光男 / 宮島 伸宜 / 横山 重子 / 渡邊 千登世
発行 2011年01月判型:B5頁:480
ISBN 978-4-260-01092-4
定価 2,970円 (本体2,700円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次

開く

はしがき

発刊の趣旨
 1967年から1968年にかけて行われた看護学校教育課程の改正に伴って,新しく「成人看護学」という科目が設けられた。
 本教科のねらいとするところは,「看護の基礎理論としての知識・技術・態度を理解し,これを応用することによって,病気をもつ人の世話あるいは健康の維持・増進を実践・指導し,看護の対象であるあらゆる人の,あらゆる状態に対応していくことができる」という,看護の基本的な理念を土台として,「成人」という枠組みの対象に対する看護を学ぶことにある。
 したがって,看護を,従来のように診療における看護といった狭い立場からではなく,保健医療という幅広い視野のなかで健康の保持・増進という視点においてとらえ,一方,疾患をもった患者に対しては,それぞれの患者が最も必要としている援助を行うという看護本来のあり方に立脚して学習しなければならない。
 本書「成人看護学」は,以上のような考え方を基礎として編集されたものである。
 まず「成人看護学総論」においては,成人各期の特徴を学び,対象である成人が,どのような状態のもとで正常から異常へと移行していくのか,またそれを予防し健康を維持していくためには,いかなる方策が必要であるかを学習し,成人の全体像と成人看護の特質をつかむことをねらいとしている。
 以下,「成人看護学」の各巻においては,成人というものの概念を把握したうえで,人間の各臓器に身体的あるいは精神的な障害がおこった場合に,その患者がいかなる状態におかれるかを理解し,そのときの患者のニーズを満たすためにはどのようにすればよいかを,それぞれの系統にそって学習することをねらいとしている。
 したがって,「成人看護学」の学習にあたっては,従来のように診療科別に疾病に関する知識を断片的に習得するのではなく,種々の障害をあわせもつ可能性のある1人ひとりの人間,すなわち看護の対象としての人間のあらゆる変化に対応できる知識・技術・態度を学びとっていただきたい。
 このような意味において,学習者は対象の健康生活上の目標達成のために,より有効な援助ができるような知識・技術を養い,つねに研鑽を続けていかなければならない。
 以上の趣旨のもとに,金子光・小林冨美栄・大塚寛子によって編集された「成人看護学」であるが,日進月歩をとげる医療のなかで,本書が看護学の確立に向けて役だつことを期待するものである。

カリキュラムの改正
 看護教育のカリキュラムは,20年ぶりとなる1989年の全面的な改正ののち,1996年には3年課程,1998年には2年課程が改正された。さらに2008年にも大きく改正され,看護基礎教育の充実がはかられている。その背景として,わが国の急速な少子高齢化の進展や,慢性疾患の増加などの疾病構造の変化,医療技術の進歩,看護業務の複雑・多様化,医療安全に関する意識の向上など,看護を取り巻く環境の変化があげられる。
 これらの変化に対応するために,新カリキュラムでは専門分野がIとIIに分けられ,専門分野Iでは基礎看護学を,専門分野IIでは対象の発達段階に応じた看護の実践を学ぶことになり,それぞれに臨床実践能力の強化が盛り込まれている。また,統合分野が新たに設けられ,看護の統合と実践を学び,より患者の視点に立った質の高い看護実践能力の向上が求められることになった。

改訂の趣旨
 今回の「成人看護学」の改訂では,カリキュラム改正の意図を吟味するとともに,1999年に発表され,直近では2010年に改定された「看護師国家試験出題基準」の内容をも視野に入れ,内容の刷新・強化をはかった。また,日々変化する実際の臨床に即し,各系統において統合的・発展的な学習がともに可能となるように配慮した。
 第1章「看護を学ぶにあたって」では,各系統別の医療の動向と看護を概観したあと,患者の身体的,心理・社会的特徴を明確にし,看護上の問題とその特質に基づいて,看護の目的と機能が具体的に示されている。
 第2~5章では,疾患とその医学的対応という視点から,看護の展開に必要とされる医学的な基礎知識が選択的に示されている。既習知識の統合化と臨床医学の系統的な学習のために,最新の知見に基づいて解説されている。
 第6章「患者の看護」では,第1~5章の学習に基づいて,症状別,診断および治療・処置別,経過別,疾患別に看護の実際が提示されている。すべてを看護過程に基づいて展開することにより,患者の有する問題が論理的・総合的に理解できるように配慮されている。
 付章「事例による看護過程の展開」では,1~3つの事例を取り上げ,看護過程に基づいて看護の実際を展開している。患者の有するさまざまな問題を提示し,看護の広がりと問題解決の過程を具体的に学習できるようにしている。
 また,巻末には適宜付録を設け,各系統別に必要となる知識を整理し,学習の利便性の向上をはかった。
 今回の改訂によって看護の学習がより効果的に行われ,看護実践能力の向上,ひいては看護の質的向上に資することを切に望むものである。ご活用いただき,読者の皆さんの忌憚のないご意見をいただければ幸いである。
 2010年11月
 著者ら

開く

第1章 看護を学ぶにあたって (松田明子)
 A 医療の動向と看護
 B 患者の特徴
 C 看護の役割
 D 疾患の経過と看護
第2章 消化器の構造と機能 (永田博司・宮島伸宜・齋藤英胤)
 A 食道の構造と機能
 B 胃・十二指腸の構造と機能
 C 小腸・大腸の構造と機能
 D 直腸・肛門の構造と機能
 E 肝臓の構造と機能
 F 胆道系の構造と機能
 G 膵臓の構造と機能
第3章 症状・徴候とその病態生理 (永田博司・齋藤英胤)
 A 嚥下困難
 B おくび・胸やけ
 C 吐きけ・嘔吐
 D 腹痛
 E 吐血・下血
 F 下痢
 G 便秘
 H 腹部膨満
 I 食欲不振と体重減少
 J 腹水
 K 黄疸
 L 意識障害(肝性脳症)
第4章 検査と治療・処置 (永田博司・齋藤英胤・金田智・宮島伸宜・高田由美・川原英之)
 A 診察と診断の流れ
 B 検査
 C 治療・処置
第5章 疾患の理解 (川原英之・永田博司・宮島伸宜・齋藤英胤・宮澤光男)
 A 食道の疾患
 B 胃・十二指腸疾患
 C 腸および腹膜疾患
 D 肝臓・胆嚢の疾患
 E 膵臓の疾患
 F 急性腹症
 G 腹部外傷
第6章 患者の看護 (松田明子・三ッ井圭子・横山重子・渡邊千登世・南川雅子)
 A 症状に対する看護
 B 検査を受ける患者の看護
 C 治療・処置を受ける患者の看護
 D 疾患を持つ患者の看護
付章 事例による看護過程の展開 (渡邊千登世・三ッ井圭子)
 A ストーマ造設術を受ける患者の看護
 B 肝がんで手術を受ける患者の看護

参考文献・推薦図書
索引

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。