人体の構造と機能 第2版

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「看護師国家試験出題基準」に準拠したシリーズ「コアテキスト」(全4巻)の第1巻『人体の構造と機能』の第2版。本書は、解剖生理学・生化学・栄養学など専門基礎分野の教科項目・内容を、第3次「出題基準」(平成22年版)に合わせて配列・編集し、また今改訂で大幅なページ増加をはかった。本文の記述は詳細かつ懇切で、さらに用語解説欄、コラム類も豊富に配置し、大学レベルまでの教科書、また自己学習書として最適。
シリーズ コアテキスト 1
編集 下 正宗 / 前田 環 / 村田 哲也 / 森谷 卓也
発行 2010年03月判型:B5頁:440
ISBN 978-4-260-00969-0
定価 3,630円 (本体3,300円+税)

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まえがき

■第2版の発刊にあたって
 『コアテキスト』第1巻の初版が発行されてから,丸7年が経過した。実は,本書の初版が発行された2003年春に早くも第2次の看護師国家試験出題基準が出され,構成を「看護師国家試験出題基準に準拠する」ことをうたう本書は,発刊1年目にして課題を背負ってしまった。今回,ようやくその解決を図ることができて,ほっとしている。
 その間に,病院機能の分化,医学の発展と新しい診断機器の開発や医療内容・技術の高度化が進み,看護師の養成コースにも四年制大学卒業者が多く登場してきた。いまや,新しいこうした進歩を支え,また情勢の変化に対応できる人材養成が求められる状況となっている。さらに卒業後の研修の場面でも,准看護師,看護師,学士の看護師と,さまざまなキャリアをもった看護職者が同時に研修を受ける現実が生まれている。看護職者としての能力開発が,卒業前のキャリアの違いを問わず求められる時代になっているといえる。 そのような情勢の中で,2009年4月に保健師助産師看護師国家試験出題基準の改定(看護師国家試験では第3次)が行われた。看護師国家試験については,本書が対象とする専門基礎分野に限れば,小項目レベルでは大きな変更はないが,大項目・中項目の組み換え・追加があり,小項目が含まれるジャンルに多少移動が生じることとなった。第2版でも出題基準の改定を意識して,できるだけその構成に順じたが,主として医学的な観点から,一部については項目の入れ替えや追加を行った。
 第2版でとくに留意した点は,出題基準に従って「感覚器」などの章を配置し,また章を分割してそれぞれのジャンルとして整理したことと,各章の記載量・図表数を増やして内容をより詳細に,かつ豊かに解説したことである。各分野での新しい知見も加え,大学レベルでの学習・教育にも堪えられるものとなっている。
■本書の構成と使い方
 紙面構成は初版と同様で,基本となる事項を本文に記載している。そのほか,本文の理解を深めるために3つの欄を置いた。「Word」「ワンポイント」「ステップアップ」である。「Word」では,欄外で専門用語が参照できるようになっており,辞書的な使用が可能である。「ワンポイント」では,本文のみでは十分に理解しにくいと考えられる事項や間違いやすい事項に関して説明を加えた。「ステップアップ」は,本文内容をより発展的に理解するための事項を扱っている。また,2つのコラムが本文の間に挟まるように配置されているが,一度は本文を読み進めたあと,コラム類に戻って視点を換えるなどして読んでほしい。
 図表に関しては,わかりにくかった部分や誤解を生じやすい側面を改良し,また新規のものに差し替え,新たに図を追加した。さらに今改訂では,重要な語句などについて索引に英語表現を加えた。本書は索引に多数の言葉をあげてあるので,索引を十分に活用して理解を深めてほしい。
■本書の特徴
 本書は,医療の世界を志す看護学生を主な対象としてつくられた教科書である。看護師となるまでの教育コースが分化しても,医療現場に配属された際に行う看護業務は同じである。その意味で,基本的に学ばなくてはならない事項やそのレベルは同じである。その最も基本となる内容を指し示すという趣旨で,本書に「コア」を冠している。本書で十分に学んでほしい。
 初版は医学生にも好評で,専門の医学書で学ぶ前の入門書としても活用され,また薬学生などにも使われてきたようである。臨床的な事項にも多数言及してあるので,医療現場に入って少しでも疑問に思ったときに,ちょっと本書を開いて知識を再確認するという活用もできる。
 末永く座右において活用してほしい。

 2010年1月
編者を代表して  下 正宗

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第1章 生命と恒常性〈ホメオスタシス〉
 A 細胞・組織・器官
 B 内部環境の恒常性〈ホメオスタシス〉
 C 生体のリズム
第2章 血液
 A 血液の成分と機能
 B 止血機構
 C 血液型
第3章 生体の防御機構
 A 非特異的生体防御機構
 B 特異的生体防御反応(免疫系)
第4章 循環器系
 A 心臓血管系
 B 血管系
 C リンパ系
 D 循環器系の発達・老化
第5章 呼吸器系
 A 呼吸器
 B ガス交換
 C 酸素・二酸化炭素の運搬
 D 呼吸調節
第6章 神経系
 A 神経細胞と神経組織
 B 神経系を守る仕組みと血管
 C 中枢神経系
 D 末梢神経系
第7章 運動器系
 A 骨格
 B 関節
 C 骨格筋
 D 体位と姿勢
第8章 感覚器系
 A 視覚
 B 聴覚
 C 平衡覚(平衡感覚)
 D 味覚
 E 嗅覚
 F 体性感覚
 G 内臓感覚
 H 皮膚・粘膜の構造と機能
第9章 内分泌系
 A ホルモンの種類
 B ホルモン分泌の調節
 C 内分泌器官の構造とホルモンの機能
第10章 消化器系
 A 食欲
 B 咀嚼
 C 嚥下
 D 消化と吸収
第11章 代謝
 A 生体内の化学反応と酵素
 B 栄養所要量と基礎代謝
 C 各種栄養素の代謝
第12章 泌尿器系
 A 尿の生成と腎臓の働き
 B 細胞外液の調節
 C 排尿
 D 排便
第13章 生殖と老化
 A 女性の生殖器系
 B 男性の生殖器系
 C 受精と発生
 D 成長と老化

 推薦図書・参考文献
 索引

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断片的知識を整理整頓
書評者: 若田 泰 (近畿高等看護専門学校校長・病理医)
 解剖生理学は医学の基本といわれるが,はじめて学習する者にとってはなかなか理解しにくい教科だろうと思う。医学や看護学を学び始めて間もない時期に,聞きなれない専門用語に戸惑いながら,構造と機能を関連付けて理解するというのは大変なことだろう。だから,語句や名称など細部の事項をバラバラにでもとにかく取り込んで,「線で結べる」程度の知識で点数をかせいでクリアーしていくということになってしまう。残念なことに,最も大切な機序を理解するというところにはなかなか至らないのだ。だから,続いて履修する疾病を十分に理解できないし,臨地実習では緊張感もプラスしてさらに混乱してうまくいかないということがよく起こる。

 最初から関連付けられた知識として積み上げていくにはどう学べばよいか。その工夫が本書にはある。本文と写真や図以外に,いくつかの注釈やポイントを囲いで挿入して変化を持たせていることである。「Word」では,欄外にキーワードとなる専門用語について説明し参照すべきページを教えてくれる親切さ。「ワンポイント」では,少し難しいかも知れないと予想される事項の簡単な説明を行ってある。こうしたことで本文が簡潔になり要点を理解しやすくなっている。

 もう一つ「ステップアップ」では,疾病や臨床にかかわることにも触れて関連性を持たせるように工夫されている。しかしここは,一定の学習基盤のあるものは興味を引かれるだろうが,初心者はかえって混乱するかもしれない。本書はあえて意図的に従来の段階的な教授方法の打開を試みたのだろうからそれはよしとして,初心者はここですべてを理解しようとしないで飛ばして進んでも良いだろう。

 この「ステップアップ」は,初心者ではなくて,解剖生理学の履修を終えて,疾病について学習し始めたものが,復習の意味でもう一度勉強し直そうとするときには,“目からウロコ”のように一気に理解が進むだろう。だから本書は,一定の知識が蓄えられたところで,頭の中を整理整頓するときにも大いに力を発揮すると思われ,国試に向けて一定の余裕のある時期に自己学習するのに最適だと思う。

 また,各章の終わりには「まとめ」として,20項目くらいでその章の基本的な骨格を示しているから,理解できているかどうかの自己点検ができるようになっている。さらに本書は,解剖生理学に限らず,生化学や栄養学,免疫学も含まれているので,人体のしくみを広い視野で理解しやすくなっている。

 あらためて言えば,本書は,初めて学ぶものは「Word」などの3つの欄をうまく使い分けることによって,関連付けられた知識を積み上げるのに役立つだろうし,一定の履修を終えた人や国家試験を視野に入れた看護学生には,頭の引き出しの整理整頓に有用,また,仕事を始めて間もない若い医療関係者にとっても,疑問を持ったときの参考書として手元において大いに重宝されるべきものだろう。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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