PT・OT・STのための
脳画像のみかたと神経所見 第2版
[CD-ROM付]
あなたにはどう見える? あなたは何を考える?
もっと見る
脳血管障害、頭部外傷、頭蓋内腫瘍のなかでも特にPT・OT・STがかかわることの多い脳血管障害を重点的に取り上げた自学自習書の改訂第2版。学生や若手セラピストの方々が画像の読影力を養い、脳内の変化と症状の関連を理解することを目的とし、CD-ROMによる画像問題演習を重視した初版をさらに使いやすく再構成した。
- 販売終了
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 序文
- 目次
- 書評
- 正誤表
序文
開く
第2版の序
CT・MRIを主とする脳画像診断が進歩した現在,これらの診断機器がなければ神経疾患の診断・治療は不可能といっても過言でない.
著者の一人(森)はこれまでコメディカル,特に理学療法士・作業療法士を目指す学生に神経学の講義を行ってきた.限られた時間の講義で,「いかにして神経所見をつかみ,脳画像所見と結びつけ,患者の持つ障害を評価し,その障害を最小限にくいとめるか」を学習目標としてきた.
最近,講義の際に,学生諸君から比較的新しい脳画像検査について質問を受けるようになった.脳の新しい画像検査法が用いられるようになると当然,画像所見のみかたと同時に,検査の進めかたも解説しなければならない.そこで,脳画像検査の新しい情報を盛り込んだテキストの必要を感じるようになった.
今日の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は,チーム医療のスタッフとして早期から脳疾患の治療に介入するため,患者の病態を画像により評価し治療に役立てることが求められている.このような事情から執筆したのが,既刊『PT・OTのための脳画像のみかたと神経所見(ハイブリッドCD-ROM付)』の改訂版である本書である.この改訂版でも初版の執筆方針を踏襲したが,脳画像の正常解剖については読者からの要望もあり,CT・MRIの各断層像の解剖を詳しく述べることにした.今版も臨床で遭遇する頻度の高い脳神経外科の三大疾患である脳血管障害(脳卒中),頭部外傷(脳外傷),頭蓋内腫瘍(脳腫瘍)の3つを重点的に取り上げ,症例の中で古い機種で撮像された画像はできるだけ新しい機種で撮像した質のよい画像に替えた.そして,初版で多くを取り上げられなかった脳卒中の中でも遭遇する機会が多くなった脳梗塞については急性期に重点を置いて,その画像検査に関して詳しく解説することにした.
最近は画像検査の主流はCTからMRIへと変わったが,まだMRIが導入されていない施設もある.そのような際,CTのみでどのように病態をつかむかについても触れた.
本書では,画像のみかたの入門編として,画像所見と神経所見が一致しやすい限局性病変を呈する疾患を集めて解説した.鶴見先生には脳画像の理解がなぜ大切なのかを冒頭(はじめに)で述べていただき,脳神経疾患の理学・作業・言語聴覚療法のポイントを11章としてまとめていただいた.自学自習では付録CD-ROMを大いに活用していただきたい.
また,画像診断学の発展的な知識はcolumnとして取り上げ,CD-ROM内で解説した.
今回の改訂にあたって,もみのき病院内田泰史理事長,森木章人院長,主任放射線科技師水口紀代美さん,高知医療センター脳神経外科森本雅徳部長,福井直樹医長,島津病院島津栄一理事長,三宅 晋院長に新しい脳画像を提供していただいたので,ここにお礼を申し上げます.
また,医学書院書籍編集部の坂口順一氏,菅 陽子氏,制作部の岡田幸子氏には大変お世話になりました.ここに感謝申し上げます.
2010年7月
高知大学名誉教授
森 惟明
CT・MRIを主とする脳画像診断が進歩した現在,これらの診断機器がなければ神経疾患の診断・治療は不可能といっても過言でない.
著者の一人(森)はこれまでコメディカル,特に理学療法士・作業療法士を目指す学生に神経学の講義を行ってきた.限られた時間の講義で,「いかにして神経所見をつかみ,脳画像所見と結びつけ,患者の持つ障害を評価し,その障害を最小限にくいとめるか」を学習目標としてきた.
最近,講義の際に,学生諸君から比較的新しい脳画像検査について質問を受けるようになった.脳の新しい画像検査法が用いられるようになると当然,画像所見のみかたと同時に,検査の進めかたも解説しなければならない.そこで,脳画像検査の新しい情報を盛り込んだテキストの必要を感じるようになった.
今日の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は,チーム医療のスタッフとして早期から脳疾患の治療に介入するため,患者の病態を画像により評価し治療に役立てることが求められている.このような事情から執筆したのが,既刊『PT・OTのための脳画像のみかたと神経所見(ハイブリッドCD-ROM付)』の改訂版である本書である.この改訂版でも初版の執筆方針を踏襲したが,脳画像の正常解剖については読者からの要望もあり,CT・MRIの各断層像の解剖を詳しく述べることにした.今版も臨床で遭遇する頻度の高い脳神経外科の三大疾患である脳血管障害(脳卒中),頭部外傷(脳外傷),頭蓋内腫瘍(脳腫瘍)の3つを重点的に取り上げ,症例の中で古い機種で撮像された画像はできるだけ新しい機種で撮像した質のよい画像に替えた.そして,初版で多くを取り上げられなかった脳卒中の中でも遭遇する機会が多くなった脳梗塞については急性期に重点を置いて,その画像検査に関して詳しく解説することにした.
最近は画像検査の主流はCTからMRIへと変わったが,まだMRIが導入されていない施設もある.そのような際,CTのみでどのように病態をつかむかについても触れた.
本書では,画像のみかたの入門編として,画像所見と神経所見が一致しやすい限局性病変を呈する疾患を集めて解説した.鶴見先生には脳画像の理解がなぜ大切なのかを冒頭(はじめに)で述べていただき,脳神経疾患の理学・作業・言語聴覚療法のポイントを11章としてまとめていただいた.自学自習では付録CD-ROMを大いに活用していただきたい.
また,画像診断学の発展的な知識はcolumnとして取り上げ,CD-ROM内で解説した.
今回の改訂にあたって,もみのき病院内田泰史理事長,森木章人院長,主任放射線科技師水口紀代美さん,高知医療センター脳神経外科森本雅徳部長,福井直樹医長,島津病院島津栄一理事長,三宅 晋院長に新しい脳画像を提供していただいたので,ここにお礼を申し上げます.
また,医学書院書籍編集部の坂口順一氏,菅 陽子氏,制作部の岡田幸子氏には大変お世話になりました.ここに感謝申し上げます.
2010年7月
高知大学名誉教授
森 惟明
目次
開く
はじめに なぜ脳画像の理解が必要なのか
I 基礎知識編
1.脳神経疾患と画像診断
2.脳画像をみるために必須の神経解剖
3.脳画像検査の種類と特徴
4.神経所見のとらえかた
II 症例編
症例画像をみる前に
5.脳血管障害(脳卒中)〈症例数49〉
6.頭部外傷(脳外傷)〈症例数6〉
7.頭蓋内腫瘍(脳腫瘍)〈症例数5〉
8.その他の神経疾患〈症例数3〉
III 治療編
9.薬物療法
10.手術療法・低侵襲治療
11.理学・作業・言語聴覚療法
付録
参考文献
索引
I 基礎知識編
1.脳神経疾患と画像診断
2.脳画像をみるために必須の神経解剖
3.脳画像検査の種類と特徴
4.神経所見のとらえかた
II 症例編
症例画像をみる前に
5.脳血管障害(脳卒中)〈症例数49〉
6.頭部外傷(脳外傷)〈症例数6〉
7.頭蓋内腫瘍(脳腫瘍)〈症例数5〉
8.その他の神経疾患〈症例数3〉
III 治療編
9.薬物療法
10.手術療法・低侵襲治療
11.理学・作業・言語聴覚療法
付録
参考文献
索引
書評
開く
PT・OT・STも大きく変貌を遂げねばならない
書評者: 石川 誠 (医療法人社団輝生会理事長/全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会会長)
かつてリハビリテーション医療の対象疾患は骨関節系が主流であったが,いつしか脊髄損傷,頭部外傷,脳卒中等の中枢神経系の疾患へと移行していった。ところが,脳という「神経の中枢」はブラックボックスと言われたように,解明された部分は極めてわずかで,大部分は未知の臓器であったことから,中枢神経系のリハビリテーションは科学として成立しにくい時代が続いていた。脳神経外科医,神経内科医,精神科医,リハビリテーション科医などの臨床家,さらに神経科学にかかわる多くの学者達の長年の努力により,ひところに比べれば脳の解明は格段に進んできた。とはいえいまだにブラックボックスであることに変わりはない。
かつて,多くの臨床家による詳細な神経所見や行動観察,剖検所見等のすり合わせにより,大脳の機能局在論が一世を風靡した時代があった。19世紀の後半のことである。その後100年が経過した20世紀後半にはX線CTが登場し,新たな局面を迎えることになった。さらにMRIやPETなどの新鋭機器が開発され,未知の分野が徐々に解明されつつある。画像診断の進歩により新たな事実が続々と確認されているのである。
小生が若いころ,脳は他の臓器とは異なり,再生しない臓器の代表と教え込まれたが,画像診断と同時に神経可塑性の研究も進み,脳は変化しうる臓器として誰しもが認めるところとなった。今後は,かつての非常識が常識に塗り替えられる時代が続くことと思われる。
事実,人間の自然回復能力とそれをはぐくむリハビリテーション医療の発展により,障害を持った方々の運動や動作,行動が予想を遙かに越えて回復を示す例は稀ではない。その裏側には,構造的かつ機能的な脳の回復が間違いなく存在するはずである。宇宙のような無限の脳という臓器を科学的に解明し,人類がさらに幸福に過ごせる社会をつくるためには,専門医や脳科学者だけでなく総力戦が必要なのである。すなわち,PT・OT・STも大きく変貌を遂げねばならない。こうした時代にあって,『PT・OT・STのための脳画像のみかたと神経所見 第2版』の出版は,まさに時宜を得たものといえよう。
本書は,神経解剖と神経所見に始まり,豊富な具体的症例を鮮明な画像とともに提示し,こまめにQ&Aも付してあり,何よりも難解な神経をわかりやすく説明し,読みやすいことが特徴である。さらに画像に関しては自学自習用のCD-ROMも添付するなど,懇切丁寧に作られた力作である。
脳神経外科の大家である森惟明高知大学名誉教授と大ベテランのPTである鶴見隆正神奈川県立保健福祉大学教授の共著である本書は,臨床にかかわるPT・OT・STにとり,現場ですぐに役に立つことは間違いない。脳疾患を持つ患者さんに対応する多くの若きPT・OT・STが座右に置いて日常的に利用するのに最適な本であると考える次第である。
脳画像初学者の最初の1冊
書評者: 石倉 隆 (大阪保健医療大教授・理学療法学)
脳画像の読影・読像を講義科目に据えているPT・OT・ST養成学校がいまだに少数派であることから,PT・OT・STにとっては脳機能や脳画像の読影・読像は,自学自習しないと獲得できない知識や技術である。しかし脳科学の進歩は,脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術を“習っていないから知らなくてもよい”知識や技術にはしてくれない。現代の脳神経疾患リハでは,脳損傷部位を脳画像で確認し,障害が脳損傷部位の機能局在や体部位局在と合致するか否かを照合することは重要な評価であり,脳機能の理解や脳画像の読影・読像は必須の技術となっている。
では脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術をいかに自学自習していくのか。脳機能解剖学,脳画像診断学などの専門書を読みあさるのも一考であろう。しかし脳機能や脳画像に親しみのないPT・OT・STにとっては,その知識量の多さに圧倒され徒労に終わってしまうかもしれない。そこでまずは1冊目の自学実習書としたいのが,森惟明先生,鶴見隆正先生の手による『PT・OT・STのための 脳画像のみかたと神経所見 第2版』である。
本書は,脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術をPT・OT・STにもわかりやすく解説してある。長年,PT・OTの養成教育に携わり,PT・OTの医学的知識の水準を熟知された両先生であるが故の視点であろう。本書は大きく,I.基礎知識編,II.症例編,III.治療編から構成されている。基礎知識編では脳画像の理解の必要性,脳解剖の要点,脳画像検査の種類,神経所見のとらえ方を簡潔にまとめてある。本編の理解は,膨大な脳機能の知識を得るための入り口として,まずは脳に親しむためのスタートとして初学者に大変有用である。症例編では,脳卒中,頭部外傷,脳腫瘍など,リハの対象となる脳神経疾患の症例を63例も提示し,各疾患には病態生理や治療の要点が示され,画像を“じっくりみる”だけでなく,“理解しながらみる”工夫がなされている。治療編では,薬物療法,手術療法,理学・作業・言語聴覚療法の要点がまとめられている。全編にわたって各章の重要事項をまとめた「要点BOX」,素朴な疑問を解説し自学自習に大いに役立つ「知識の整理Q&A」,最新知見を提供する「Column」が配置され,短時間で知識の整理ができるようにも工夫されている。圧巻は付属のCD-ROMで,印刷画像とは全く違ったリアリティーをもって画像が提供されている。昨今,フィルムにおこした脳画像よりもモニターを通じて脳画像を読影・読像する機会が増えており,現場で画像を見ているかのごとく錯覚する。また各症例は問題形式となっており,画面上でマウスカーソルを動かすと読影・読像のポイントが示されるなどの工夫がされ,自学自習に最適である。
脳科学,脳機能を根拠にしたリハが今後ますます発展していく中で,脳機能の知識や脳画像の読影・読像の重要性とそれをリハに活用していくことの必要性をPT・OT・STに実感させる1冊である。
書評者: 石川 誠 (医療法人社団輝生会理事長/全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会会長)
かつてリハビリテーション医療の対象疾患は骨関節系が主流であったが,いつしか脊髄損傷,頭部外傷,脳卒中等の中枢神経系の疾患へと移行していった。ところが,脳という「神経の中枢」はブラックボックスと言われたように,解明された部分は極めてわずかで,大部分は未知の臓器であったことから,中枢神経系のリハビリテーションは科学として成立しにくい時代が続いていた。脳神経外科医,神経内科医,精神科医,リハビリテーション科医などの臨床家,さらに神経科学にかかわる多くの学者達の長年の努力により,ひところに比べれば脳の解明は格段に進んできた。とはいえいまだにブラックボックスであることに変わりはない。
かつて,多くの臨床家による詳細な神経所見や行動観察,剖検所見等のすり合わせにより,大脳の機能局在論が一世を風靡した時代があった。19世紀の後半のことである。その後100年が経過した20世紀後半にはX線CTが登場し,新たな局面を迎えることになった。さらにMRIやPETなどの新鋭機器が開発され,未知の分野が徐々に解明されつつある。画像診断の進歩により新たな事実が続々と確認されているのである。
小生が若いころ,脳は他の臓器とは異なり,再生しない臓器の代表と教え込まれたが,画像診断と同時に神経可塑性の研究も進み,脳は変化しうる臓器として誰しもが認めるところとなった。今後は,かつての非常識が常識に塗り替えられる時代が続くことと思われる。
事実,人間の自然回復能力とそれをはぐくむリハビリテーション医療の発展により,障害を持った方々の運動や動作,行動が予想を遙かに越えて回復を示す例は稀ではない。その裏側には,構造的かつ機能的な脳の回復が間違いなく存在するはずである。宇宙のような無限の脳という臓器を科学的に解明し,人類がさらに幸福に過ごせる社会をつくるためには,専門医や脳科学者だけでなく総力戦が必要なのである。すなわち,PT・OT・STも大きく変貌を遂げねばならない。こうした時代にあって,『PT・OT・STのための脳画像のみかたと神経所見 第2版』の出版は,まさに時宜を得たものといえよう。
本書は,神経解剖と神経所見に始まり,豊富な具体的症例を鮮明な画像とともに提示し,こまめにQ&Aも付してあり,何よりも難解な神経をわかりやすく説明し,読みやすいことが特徴である。さらに画像に関しては自学自習用のCD-ROMも添付するなど,懇切丁寧に作られた力作である。
脳神経外科の大家である森惟明高知大学名誉教授と大ベテランのPTである鶴見隆正神奈川県立保健福祉大学教授の共著である本書は,臨床にかかわるPT・OT・STにとり,現場ですぐに役に立つことは間違いない。脳疾患を持つ患者さんに対応する多くの若きPT・OT・STが座右に置いて日常的に利用するのに最適な本であると考える次第である。
脳画像初学者の最初の1冊
書評者: 石倉 隆 (大阪保健医療大教授・理学療法学)
脳画像の読影・読像を講義科目に据えているPT・OT・ST養成学校がいまだに少数派であることから,PT・OT・STにとっては脳機能や脳画像の読影・読像は,自学自習しないと獲得できない知識や技術である。しかし脳科学の進歩は,脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術を“習っていないから知らなくてもよい”知識や技術にはしてくれない。現代の脳神経疾患リハでは,脳損傷部位を脳画像で確認し,障害が脳損傷部位の機能局在や体部位局在と合致するか否かを照合することは重要な評価であり,脳機能の理解や脳画像の読影・読像は必須の技術となっている。
では脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術をいかに自学自習していくのか。脳機能解剖学,脳画像診断学などの専門書を読みあさるのも一考であろう。しかし脳機能や脳画像に親しみのないPT・OT・STにとっては,その知識量の多さに圧倒され徒労に終わってしまうかもしれない。そこでまずは1冊目の自学実習書としたいのが,森惟明先生,鶴見隆正先生の手による『PT・OT・STのための 脳画像のみかたと神経所見 第2版』である。
本書は,脳機能の知識や脳画像の読影・読像技術をPT・OT・STにもわかりやすく解説してある。長年,PT・OTの養成教育に携わり,PT・OTの医学的知識の水準を熟知された両先生であるが故の視点であろう。本書は大きく,I.基礎知識編,II.症例編,III.治療編から構成されている。基礎知識編では脳画像の理解の必要性,脳解剖の要点,脳画像検査の種類,神経所見のとらえ方を簡潔にまとめてある。本編の理解は,膨大な脳機能の知識を得るための入り口として,まずは脳に親しむためのスタートとして初学者に大変有用である。症例編では,脳卒中,頭部外傷,脳腫瘍など,リハの対象となる脳神経疾患の症例を63例も提示し,各疾患には病態生理や治療の要点が示され,画像を“じっくりみる”だけでなく,“理解しながらみる”工夫がなされている。治療編では,薬物療法,手術療法,理学・作業・言語聴覚療法の要点がまとめられている。全編にわたって各章の重要事項をまとめた「要点BOX」,素朴な疑問を解説し自学自習に大いに役立つ「知識の整理Q&A」,最新知見を提供する「Column」が配置され,短時間で知識の整理ができるようにも工夫されている。圧巻は付属のCD-ROMで,印刷画像とは全く違ったリアリティーをもって画像が提供されている。昨今,フィルムにおこした脳画像よりもモニターを通じて脳画像を読影・読像する機会が増えており,現場で画像を見ているかのごとく錯覚する。また各症例は問題形式となっており,画面上でマウスカーソルを動かすと読影・読像のポイントが示されるなどの工夫がされ,自学自習に最適である。
脳科学,脳機能を根拠にしたリハが今後ますます発展していく中で,脳機能の知識や脳画像の読影・読像の重要性とそれをリハに活用していくことの必要性をPT・OT・STに実感させる1冊である。
正誤表
開く
本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。