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肝疾患レジデントマニュアル 第2版

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昨今、社会的関心を集めているウイルス性肝炎は感染者数も多く、発症前後を通じ長期間の経過をたどる疾病であるが、一方、近年の医学の進歩により早期に発見して早期に治療すれば治癒する可能性が高い病気である。その意味では、今、肝疾患の医療体制の充実は急務である。本書は経験の浅い研修医にとって、肝疾患診療の現場で真に役立つマニュアルであり、また将来、専門医を志向する読者の興味にも応える内容充実の改訂第2版。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
編集 柴田 実 / 八橋 弘 / 石川 哲也
発行 2008年10月判型:B6変頁:456
ISBN 978-4-260-00640-8
定価 4,950円 (本体4,500円+税)
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第2版 序

 レジデントの皆さん,ようこそ肝疾患の診療の世界へ! 医師となるまで長い道のりを経て,希望に胸を膨らませて研修を始められたことと思います.肝疾患は消化器研修の一分野です.消化器は胃腸などの消化管,膵臓,胆嚢などの胆道系,肝臓など多くの臓器を対象とします.なかでも肝臓は複雑な肝機能検査,ウイルスマーカー,難解な遺伝子,画像検査,病理検査と多彩で,内科の枠組みを超えた研修が必要となり,ややもすると敬遠されがちです.しかし,肝疾患は勉強しがいのあるすばらしい分野です.昔は薬も少なく,ほとんど経過を診るだけという時代もありましたが,医学の進歩でウイルス肝炎は治癒も目指せる疾患となり,患者の希望をかなえることができるようになってきています.
 本書は肝疾患診療に燃えた若いレジデントの実践的なガイドブックとして2004年に出版されたマニュアルです.その後,日進月歩で肝臓病学は進歩し,当時は紹介していない疾患や治療薬も多数でてきました.そこで今回,本書を全面改訂し第2版を出版することとなりました.本書をより良いものとするため,肝臓病学会の次期リーダーと期待される八橋宏先生と石川哲也先生に編集に加わっていただき,貴重なアドバイスをいただきました.そして,新編集者の紹介で日本中から優れた執筆者が人選されました.日本の若手肝疾患医が集結して著したチームジャパン最新肝臓病学とも呼べる本です.つまり,レジデントマニュアルと題してはおりますが,レジデントに限らず,肝疾患の医療に携わる全ての職種の方に役立つ内容と自負しております.
 さあ,レジデントの皆さん,これから肝疾患の研修を始めましょう.ベッドサイドに行って患者さんの声を聞き,困っている患者さんを助け,慰め,安心させてください.あなた方が患者さんに,そして社会に貢献できる医師に成長することが,われわれ執筆者の最大の願いです.
 なお,本書は医学書院の安藤恵さん,松本哲さんの多大なご尽力により出版することができました.ここにお礼を申し上げます.

 2008年9月
 柴田 実
 八橋 弘
 石川哲也

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A.肝疾患の診療にあたるレジデントの心得
1.レジデントの心得
2.ターミナル・ケアとみとり
B.医療面接と身体診察
1.肝疾患患者の診察のポイント
C.救急症候の初期診療
1.黄疸
2.腹水・肝性胸水
3.発熱
4.意識障害
5.吐血・下血
6.腹痛
D.検査およびIVR
1.血液検査
 a.血液・凝固検査
 b.肝機能検査
 c.血清検査とHLA
 d.腫瘍マーカー
2.画像検査およびIVR
 a.超音波検査
 b.CT
 c.MRI
 d.血管造影・IVR
3.肝生検・病理学的検査
 a.肝生検
 b.超音波ガイド下肝腫瘍生検
 c.肝臓病理
E.肝疾患各論
1.急性肝炎
2.劇症肝炎
3.慢性肝炎
 a.総論
 b.B型慢性肝炎
 c.C型慢性肝炎
4.肝硬変
5.門脈圧亢進症
6.肝腫瘍
7.自己免疫性肝疾患
8.アルコール性肝障害
9.脂肪肝・NASH
10.薬物性肝障害
11.閉塞性黄疸・胆管炎・肝膿瘍
12.その他の肝疾患
F.肝移植
1.インフォームド・コンセント
2.肝移植の実際
3.移植(前)後の抗ウイルス療法
G.付録
1.肝疾患の水・電解質管理
2.アミノ酸製剤の正しい使い方
3.肝疾患の栄養管理
4.役に立つサイトの紹介
5.肝炎ウイルスの感染症対策
6.意識障害の程度
7.Number Connection Test

略語一覧
索引

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問題解決の最短距離を導く1冊
書評者: 宜保 行雄 (宜保消化器内科クリニック院長・内科学)
 日本の誇る良書である。本書の第1版も肝疾患の『ワシントンマニュアル』のような必要十分条件を満たしており,すばらしい内容であったがさらにその上を行く内容になっている。

 ちなみに第1版は台湾で中国語版が出版され,彼らの白衣のポケットに入り日々の診療に大いに役立っているのである。

 今回紹介する第2版は,その最新の内容もさることながら,3人の編集者がよくもこのような強力な執筆者を集めて第1版を凌駕する充実した内容にしたものだと感心せざるを得ない。レジデントのみならず,専門医にとっても概念,診断,治療,予後など完璧に網羅されている。

 本書は千数百人の肝癌患者の臨終に立ち会った医師によるターミナル・ケアとみとり,レジデントの心得より始まる。そして,365日間肝疾患患者と共に闘ってきた医師らによる面接と身体診察のこつ,救急初期診療,検査とIVR,各論と続く。

 特に感銘を受けたのが,慢性肝疾患の2008年の最新の治療ガイドラインがすでに詳しく記載されていることである。時代錯誤の治療をしないで済むし,12週ルール,80%ルールのような抗ウイルス療法の治療成績を向上させるこつまでそっと教えてくれている。

 また,肝癌の最新の治療の一つであるRFAに関しても,明日にも応用が利くようにまず肝生検や腫瘍生検したのが応用できるようになっている。本書の目次通りに技術を習得すればRFA可能な専門医になれる扉を自ら開けるのである。

 診療中しばしば遭遇する肝炎ウイルスの針刺し事故に関しても最新の予防処置,治療などの重要な点が網羅されている。自分のみならず,他の医療従事者を守る答えが即座に出せるようになっている。

 さらなる知識が必要なら「役に立つサイトの紹介」より,肝炎,劇症肝炎から肝移植まで国内外の主なサイトに即座にアクセスできるようになっている。痒いところに手が届く問題解決の最短距離を導いてくれる多忙なレジデントの福音となるよう構成されている。肝移植に関しても最新の情報が生々しく再現されており,いながらにしてICや移植前後の抗ウイルス療法など肝移植の経験ができるようになっている。

 memo欄も目からうろこの斬新で興味深い臨床上有用な内容が満載されており,仕事に疲れたとき目を通すだけでも笑えて眠気覚ましになること請け合いである。

 レジデントのみならず,専門医にもお薦めしたい。
肝疾患診療のための活きた知識の道具箱
書評者: 上野 文昭 (大船中央病院特別顧問)
 『肝疾患レジデントマニュアル 第2版』が,このたび医学書院より上梓された。本書の初版は,肝疾患診療に携わる研修医必携の書として絶賛され,4年を経てここにバージョンアップされたわけである。新しい知見を豊富に盛り込み,さらに新たな章立ても見られるためページ数は増加したにもかかわらず,価格が据え置きなのは良心的である。編集者・執筆者に多少の変更があるものの,いずれも実際の診療で患者と共に悩み苦労している肝臓専門医という基本線を踏襲していることが,本書を肝疾患診療のための活きた知識の道具箱としている理由であろう。

 明快な構成と随所にちりばめられた多数の図表が,多忙な研修医の理解を容易にしている。若者に媚びるような無駄な漫画やイラストがないのも好感が持てる。冒頭の章,レジデントの心得は,評者も大いに参考にしたいClinical Pearlsである。お説教臭いなどと言わずに,ぜひ心に刻んでいただきたい。

 初版からの編集者代表ともいえる柴田実氏とは旧知の仲である。したがって,そうやすやすと賞賛の言葉を連ねたくない,というのが本心である。そこで意地の悪いあら探しを試みるべく,世界最高のEBM情報ツールとの評価を受けたACP PIERとの整合性を検証してみた。その結果,いくつかの疾患に対する治療に関する項では,若干の解離を指摘できる。しかしこれには理由がある。第1にわが国の保険診療の範囲を考慮しなければならない。第2に,純粋にエビデンスに基づいた記載と,わが国の診療の実情を考慮しながら専門医が意見を加えた解説に相違があるものと思われる。臨床現場で研修医がまず求めるのは後者であろう。結局あまりあら探しにはならなかった。

 本書は肝疾患診療に関する知識を即座に抽出できる実用の書である。研修医へのお奨め度はグレードAである。また,肝疾患を診る機会のある実地医家や若手勤務医にも使い勝手のよい参考書としてお奨めしたい。さらに研修医を教える立場の指導医には,研修指導のポイントを押さえる意味で一読していただきたい。

 最後に評者自身が実感した唯一の欠点を紹介したい。本書は白衣のポケットに入れて院内どこにでも持ち運べるコンパクトなサイズゆえ,眼鏡なしのわが目には文字や図表が小さすぎる。どうやらわれわれの世代は読者対象から外れてしまったようである,残念。
肝疾患診療での必要十分な情報をコンパクトに提供
書評者: 井廻 道夫 (昭和大教授・消化器内科学)
 このマニュアルは研修医,レジデントの教育に病院で直接携わってこられた若手,中堅の肝臓専門医,指導医の執筆による肝疾患診療マニュアルである。初版は2004年で多くの医師に利用されたと聞くが,この4年間の肝疾患診療の進歩をもとに改訂された最新の肝疾患診療マニュアルといえる。

 情報過多のこの時代に,多忙な医師に求められる本はたくさんの情報の詰まっている厚い本ではなく,必要かつ十分な内容を一読できる,コンパクトな本である。ただ,あまりにも簡略化を図るため,十分な内容が含まれない本も最近多々認められるのは残念である。

 本マニュアルは肝疾患患者の診療に豊富な経験を有する肝臓専門医,指導医の執筆によるマニュアル本だけに,必要かつ十分な内容は担保されている。また,肝疾患診療におけるちょっとしたコツもメモとして随所に書かれ,研修医,レジデントには大いに参考になることであろう。もう少し簡略に記載した方がよいのではと思う箇所もあるが,内容を十分にするためにやむを得なかったのかもしれない。

 最近の医療の進歩はすさまじく,このマニュアルではどの程度までこれらをカバーできているか興味があったが,さすがこの執筆者の面々ではこの点はまったく問題なかった。さらに,「役に立つサイトの紹介」を参考に,このマニュアル以降の新しい治療法の導入あるいは診療指針の変更もフォロー可能であるし,また,詳細な情報を得ることもでき,このマニュアルの出版以降についても配慮してある。

 上記のように,この肝疾患レジデントマニュアルは肝疾患患者を診療する上での必要かつ十分な情報をコンパクトに提供しており,肝疾患患者の診療において研修医,レジデントには非常に有用と考える。さらに,日常診療で肝疾患患者を診ておられる先生にも十分にお役に立てるコンパクトな本であると考える。

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