耳鼻咽喉科オフィスクリニック
診察・検査編
耳鼻咽喉科診療・検査のコツがこの一冊に
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本邦の耳鼻咽喉科をリードする各執筆者が積年の経験と研鑚から会得された貴重な診察のコツ、検査のコツを余すところなく開陳している。雑誌連載時から好評を博した”コツ”シリーズに新たな項目を加え、最新知見を追加して一冊にまとめた。第一線の実地医家待望の書。午後の診察からすぐに役立つ記述が満載されている。
編集 | 八木 聰明 |
---|---|
発行 | 2001年05月判型:B5頁:188 |
ISBN | 978-4-260-13250-3 |
定価 | 4,950円 (本体4,500円+税) |
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目次
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I章 外来診察のコツ
1 問診のコツ
2 小児患者問診のコツ
3 耳診察のコツ
4 小児耳科診察のコツ
5 鼻診察のコツ
6 口腔・咽頭診察のコツ
7 喉頭診察のコツ
8 頸部診察のコツ
9 めまい診察のコツ
II章 外来検査のコツ
1 聴力検査のコツ
2 小児聴力検査のコツ
3 平衡機能検査のコツ
4 幼少児のめまい・平衡の検査のコツ
5 アレルギー検査のコツ
6 鼻腔通気度検査のコツ
7 味覚検査のコツ
8 嗅覚検査のコツ
9 生検のコツ
10 穿刺吸引細胞診検査のコツ
コラム
1 問診のコツ
2 小児患者問診のコツ
3 耳診察のコツ
4 小児耳科診察のコツ
5 鼻診察のコツ
6 口腔・咽頭診察のコツ
7 喉頭診察のコツ
8 頸部診察のコツ
9 めまい診察のコツ
II章 外来検査のコツ
1 聴力検査のコツ
2 小児聴力検査のコツ
3 平衡機能検査のコツ
4 幼少児のめまい・平衡の検査のコツ
5 アレルギー検査のコツ
6 鼻腔通気度検査のコツ
7 味覚検査のコツ
8 嗅覚検査のコツ
9 生検のコツ
10 穿刺吸引細胞診検査のコツ
コラム
書評
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随所にみられる耳鼻咽喉科外来診療・検査のコツ
書評者: 松永 喬 (星ヶ丘厚生年金病院長・奈良医大名誉教授)
八木聰明先生編集による『耳鼻咽喉科オフィスクリニック-診察・検査編』(医学書院)がこのたび出版された。
これは「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」誌に1998年1月から約1年余,15回にわたって連載され,多くの読者から好評を得ていた“コツ”シリーズを核にして,新たに小児耳鼻咽喉科領域も加えられ,同じ執筆者が加筆・修正され,単行本化されたものである。
◆貴重な診察・検査のコツとノウハウ
本書は,日常臨床にすぐに役立ててもらうことを目的に「外来診察のコツ」と「外来検査のコツ」の2編に分かれている。耳鼻咽喉科・頭頸部外科の臨床をリードされている約30数名の執筆者の積年の臨床経験と研鑽から得られた貴重な診察のコツ,検査のコツ,そしてそのノウハウが随所にみられる,いわば耳鼻咽喉科・頭頸部外科診療のハンドブックと言える。特筆すべきは小児耳鼻咽喉科診療も加えられていることで,小児は大人の単なる縮尺ではない,小児は成人とは違う診療をすべきであることを本書から学んでほしい。
第1編の「外来診察のコツ」では,問診の必要性を部位別,項目別に整理されている。患者さんの言葉のままで主訴を書くことや,無症状でもそのことを記載することはアレルギー歴,現病歴,既往歴,家族歴などのポイントを要領よく問診することを含め,つまり診療録をきっちり書くことは今さら言うまでもなく,診察の第一歩であると言っても過言ではない。さらに今日では精神的・心理的影響の側面の問診の必要性も述べられている。視診のコツでは,従来の耳鼻咽喉科診察は視診が中心であったが,頭頸部外科疾患を広く取り扱うようになり,視診だけでなく頸部の触診や咽喉・気管の聴診の大切さも述べられている。視診においても耳・鼻・咽喉頭の部位をどのような順序で診るか,所見としてその色調・形態・動きが正常像とどう違うのか,その奥にどんな疾患が隠され,どのような疾患が予想され,どのような検査・処置がいるかを類推できるような視診の重要性を図示によっても示されている。その上,さらに初診の所見から完全に治るまでじっくり病態を確実に把握することが,診断の目を養う上で大切であることも強調されている。
第2編の「外来検査のコツ」では,決して高価な,また複雑な特殊検査でなく,第一線の外来診察室でも行なえるルーチン検査が,ポイント,ポイントごとに解説されているが,それは取りも直さず耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門制診療の証しと思う。検査は精度が第一であるが,信頼性や再現性があり,ばらつきの少ないことが望まれる。検査は診断,治療方針,経過観察,患者様へのインフォームド・コンセントに大切で,特にEBMの今日では患者様の訴えを他覚的にも検査データで示すことが望まれているので,忙しい診察の合間に必要な検査を行なってほしい。小児に検査が必要かどうかの判断は難しいが,子どもの成長発達を考えて,その時々に適した検査を行なう,と述べられている。そのとおりと思う。
◆楽しいコラム
コラムには,ベテランの執筆者の診療に関するアイデア,コツ,工夫,感想や,患者様に不快感を与えないムンテラ,マナーなどが,ところどころにカットのように記載されている。これを読むと忙しい診察の合間の一陣の清涼剤にもなり,頭の切り換えになるので楽しい試みである。
本書には小児耳鼻咽喉科診療を加えているが,本書改訂の折りにはこれからさらに多くなる高齢者や超高齢者の耳鼻咽喉科診療の取り扱い,そして資格問題がうるさくなる時代であるから,医師と有資格者の医療従事者との検査の守備範囲のポイントにも配慮していただければ,本書の利用価値はさらに増すものと考える。
いずれにしても,小児耳鼻咽喉科を成人編とともにまとめて取り上げたハンドブックとしては,旧来のそれに一矢を放つものと言える。
値段も手頃であり,座右の銘として診察室において活用したい良書であるので,耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師および研修医の方々に本書を広くお勧めする次第である。
日常耳鼻咽喉科臨床のコツがいっぱい
書評者: 中野 雄一 (新潟労災病院長/新潟大名誉教授)
本書のタイトルは,『耳鼻咽喉科オフィスクリニック 診察・検査編』となっている。このためタイトルだけを見ると診療所や病院外来での診療に役立つ実用書ととられるであろう。そして次に出るのは,治療編ではないかと思われるところである。しかし実際には,月刊誌「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」(医学書院)に連載された耳鼻咽喉科“コツ”シリーズに,新たな項目と21世紀の耳鼻咽喉科診療を展望するコラムを加え1冊にまとめ,装いを新たにしたものが本書である。
◆外来診察と外来検査のコツからなる実践書
その内容を見ると本書は,外来診察のコツと,外来検査のコツの2部からなっており,前者は局所別に,後者は機能別に項目が分けられていて,例えば耳診察のコツとか聴力検査のコツ,というふうにそれぞれの項目についてコツが記載されている。となると,携帯あるいは身近に常備する手引き書やマニュアルとは異なったものであることがわかる。そうかと言って純粋な参考書でもない。本書は必要に応じて,じっくりと読む実践書でもある。
したがって,この本を手にとってまず関心を抱くとしたら,それは本書の特徴であるコツについて知りたいということであろう。それも,あまり苦労せずに的確に診療する要領を早く会得したい,ということであろう。しかし一口にコツと言ってもいろいろなコツがあり単純ではない。所見の見方・とり方,診断の仕方,検査の進め方などそれぞれにコツがある。その他,物事のやり方についてのノウハウや熟練を必要とするスキルなどもコツとすれば,“How do I it”や工夫もコツといえよう。昔はちょっとしたコツであれば,それは耳学問で得られたものである。車社会でなかった頃,夜遅くまで研究室にいると,やがてみんなの顔が揃い,医局に集って飲みながらの話になる。そんな中で,先輩からコツについての貴重な経験が語られたものである。
◆必要なコツを会得するための心構え
ところで,今はグルメの時代。同じ料理でもいかにおいしく調理するかで,多くの料理番組が作られている。確かに,素材を選び,教えられたコツに従ってきちんと調理すれば格段においしくなる。これまでの料理は一体何だったのかとその差に愕然とするが,それぞれの料理にはそれぞれのコツがある。そのコツは昔から代々受け継がれ,さらに改良が加えられて生まれたものである。現在の科学的分析からも,きわめて合理的な調理法であるという。ひるがえって医療の質を高める診療のコツも積年の経験と研鑽から会得されたものであるが,こちらも学問的な裏づけに支えられている。
となると,“コツ”というものはきわめて合理的な処理の仕方,工夫ということになるが,それを会得するにはそれなりの心構えが必要なことは言うまでもない。例えばこの検査は何の検査で何がわかり,この症例にはどのような検査が必要かという基本的なことをあらかじめ理解していないと,機能を評価,判断するコツはなかなか覚えられない。最近,店頭でみかけた料理の本にも「基本とコツ」という副題がついていた。安直なコツの修得はないという観点から本書を読むとコツの何たるかがわかる。と同時に,逆にそのコツを活かすには前述したような基本的な事項の習得の必要性が認識されよう。そこで,もし,このことに関してはこうしたほうがよいというようなヒントが得られ,試しに行なってみるようになれば,それは自分なりにコツがつかめたということになる。本書の新しい利用法と言える。
質の高い医療の提供が問われている昨今,先輩の知恵を活用し診療にあたることはきわめて大切なことで,この点本書の果たす役割は大きい。特にこれからの医療を担う研修医や専門医をめざす若手医師には必読の書と言えよう。
書評者: 松永 喬 (星ヶ丘厚生年金病院長・奈良医大名誉教授)
八木聰明先生編集による『耳鼻咽喉科オフィスクリニック-診察・検査編』(医学書院)がこのたび出版された。
これは「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」誌に1998年1月から約1年余,15回にわたって連載され,多くの読者から好評を得ていた“コツ”シリーズを核にして,新たに小児耳鼻咽喉科領域も加えられ,同じ執筆者が加筆・修正され,単行本化されたものである。
◆貴重な診察・検査のコツとノウハウ
本書は,日常臨床にすぐに役立ててもらうことを目的に「外来診察のコツ」と「外来検査のコツ」の2編に分かれている。耳鼻咽喉科・頭頸部外科の臨床をリードされている約30数名の執筆者の積年の臨床経験と研鑽から得られた貴重な診察のコツ,検査のコツ,そしてそのノウハウが随所にみられる,いわば耳鼻咽喉科・頭頸部外科診療のハンドブックと言える。特筆すべきは小児耳鼻咽喉科診療も加えられていることで,小児は大人の単なる縮尺ではない,小児は成人とは違う診療をすべきであることを本書から学んでほしい。
第1編の「外来診察のコツ」では,問診の必要性を部位別,項目別に整理されている。患者さんの言葉のままで主訴を書くことや,無症状でもそのことを記載することはアレルギー歴,現病歴,既往歴,家族歴などのポイントを要領よく問診することを含め,つまり診療録をきっちり書くことは今さら言うまでもなく,診察の第一歩であると言っても過言ではない。さらに今日では精神的・心理的影響の側面の問診の必要性も述べられている。視診のコツでは,従来の耳鼻咽喉科診察は視診が中心であったが,頭頸部外科疾患を広く取り扱うようになり,視診だけでなく頸部の触診や咽喉・気管の聴診の大切さも述べられている。視診においても耳・鼻・咽喉頭の部位をどのような順序で診るか,所見としてその色調・形態・動きが正常像とどう違うのか,その奥にどんな疾患が隠され,どのような疾患が予想され,どのような検査・処置がいるかを類推できるような視診の重要性を図示によっても示されている。その上,さらに初診の所見から完全に治るまでじっくり病態を確実に把握することが,診断の目を養う上で大切であることも強調されている。
第2編の「外来検査のコツ」では,決して高価な,また複雑な特殊検査でなく,第一線の外来診察室でも行なえるルーチン検査が,ポイント,ポイントごとに解説されているが,それは取りも直さず耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門制診療の証しと思う。検査は精度が第一であるが,信頼性や再現性があり,ばらつきの少ないことが望まれる。検査は診断,治療方針,経過観察,患者様へのインフォームド・コンセントに大切で,特にEBMの今日では患者様の訴えを他覚的にも検査データで示すことが望まれているので,忙しい診察の合間に必要な検査を行なってほしい。小児に検査が必要かどうかの判断は難しいが,子どもの成長発達を考えて,その時々に適した検査を行なう,と述べられている。そのとおりと思う。
◆楽しいコラム
コラムには,ベテランの執筆者の診療に関するアイデア,コツ,工夫,感想や,患者様に不快感を与えないムンテラ,マナーなどが,ところどころにカットのように記載されている。これを読むと忙しい診察の合間の一陣の清涼剤にもなり,頭の切り換えになるので楽しい試みである。
本書には小児耳鼻咽喉科診療を加えているが,本書改訂の折りにはこれからさらに多くなる高齢者や超高齢者の耳鼻咽喉科診療の取り扱い,そして資格問題がうるさくなる時代であるから,医師と有資格者の医療従事者との検査の守備範囲のポイントにも配慮していただければ,本書の利用価値はさらに増すものと考える。
いずれにしても,小児耳鼻咽喉科を成人編とともにまとめて取り上げたハンドブックとしては,旧来のそれに一矢を放つものと言える。
値段も手頃であり,座右の銘として診察室において活用したい良書であるので,耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師および研修医の方々に本書を広くお勧めする次第である。
日常耳鼻咽喉科臨床のコツがいっぱい
書評者: 中野 雄一 (新潟労災病院長/新潟大名誉教授)
本書のタイトルは,『耳鼻咽喉科オフィスクリニック 診察・検査編』となっている。このためタイトルだけを見ると診療所や病院外来での診療に役立つ実用書ととられるであろう。そして次に出るのは,治療編ではないかと思われるところである。しかし実際には,月刊誌「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」(医学書院)に連載された耳鼻咽喉科“コツ”シリーズに,新たな項目と21世紀の耳鼻咽喉科診療を展望するコラムを加え1冊にまとめ,装いを新たにしたものが本書である。
◆外来診察と外来検査のコツからなる実践書
その内容を見ると本書は,外来診察のコツと,外来検査のコツの2部からなっており,前者は局所別に,後者は機能別に項目が分けられていて,例えば耳診察のコツとか聴力検査のコツ,というふうにそれぞれの項目についてコツが記載されている。となると,携帯あるいは身近に常備する手引き書やマニュアルとは異なったものであることがわかる。そうかと言って純粋な参考書でもない。本書は必要に応じて,じっくりと読む実践書でもある。
したがって,この本を手にとってまず関心を抱くとしたら,それは本書の特徴であるコツについて知りたいということであろう。それも,あまり苦労せずに的確に診療する要領を早く会得したい,ということであろう。しかし一口にコツと言ってもいろいろなコツがあり単純ではない。所見の見方・とり方,診断の仕方,検査の進め方などそれぞれにコツがある。その他,物事のやり方についてのノウハウや熟練を必要とするスキルなどもコツとすれば,“How do I it”や工夫もコツといえよう。昔はちょっとしたコツであれば,それは耳学問で得られたものである。車社会でなかった頃,夜遅くまで研究室にいると,やがてみんなの顔が揃い,医局に集って飲みながらの話になる。そんな中で,先輩からコツについての貴重な経験が語られたものである。
◆必要なコツを会得するための心構え
ところで,今はグルメの時代。同じ料理でもいかにおいしく調理するかで,多くの料理番組が作られている。確かに,素材を選び,教えられたコツに従ってきちんと調理すれば格段においしくなる。これまでの料理は一体何だったのかとその差に愕然とするが,それぞれの料理にはそれぞれのコツがある。そのコツは昔から代々受け継がれ,さらに改良が加えられて生まれたものである。現在の科学的分析からも,きわめて合理的な調理法であるという。ひるがえって医療の質を高める診療のコツも積年の経験と研鑽から会得されたものであるが,こちらも学問的な裏づけに支えられている。
となると,“コツ”というものはきわめて合理的な処理の仕方,工夫ということになるが,それを会得するにはそれなりの心構えが必要なことは言うまでもない。例えばこの検査は何の検査で何がわかり,この症例にはどのような検査が必要かという基本的なことをあらかじめ理解していないと,機能を評価,判断するコツはなかなか覚えられない。最近,店頭でみかけた料理の本にも「基本とコツ」という副題がついていた。安直なコツの修得はないという観点から本書を読むとコツの何たるかがわかる。と同時に,逆にそのコツを活かすには前述したような基本的な事項の習得の必要性が認識されよう。そこで,もし,このことに関してはこうしたほうがよいというようなヒントが得られ,試しに行なってみるようになれば,それは自分なりにコツがつかめたということになる。本書の新しい利用法と言える。
質の高い医療の提供が問われている昨今,先輩の知恵を活用し診療にあたることはきわめて大切なことで,この点本書の果たす役割は大きい。特にこれからの医療を担う研修医や専門医をめざす若手医師には必読の書と言えよう。
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