内科診断学[CD-ROM付]
病態生理学を根幹に据えた待望の「内科診断学」,CD-ROM付で登場
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医師の診断能力は、備わった基本知識とその応用力に左右される。本書は症候から原因疾患へと至る思考プロセスを病態生理学的に解説し、暗記に頼らぬ応用力を提供する。主要疾患の診断データも掲載し、1冊で双方向(“症候”と“疾患”)からのアプローチに対応。付録のCD-ROMには全文情報にとどまらず、便利な鑑別表作成機能を搭載した。
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書評
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現代に相応しい内科診断学のあり方を示した好著
書評者: 阿部 正和 (慈恵医大名誉教授)
待望の新しい,時宜にかなった『内科診断学』が刊行された。心から嬉しく思う。
編者の福井次矢教授の序文を読めば,本書のめざすところが奈辺にあるかがよくわかる。
本書の特色は,いくつかあげられるが,私自身が感銘を受けたのは,次の諸点である。
第1に,患者への面接と身体所見(physical findings)をベースにした上で,必要な検査所見を積み重ねていくという診断の進め方の基本を説いていることである。これは当然のこととは言いながら,現在は,とかく検査診断の方向に傾きやすいきらいがある。身体的診断と検査診断の両者をバランスよく調和した形で診断は進められるべきである。
第2に,81の症状について,病態生理学の視点に立って病態を分析し,理論的に診断を進めていくという,診断の思考過程が重視されているという点である。
そして第3に,患者と医師の用いる言葉の意味の違いに注目しながら,診断を進めることの重要性を力説していることである。しかも本書の中で,患者の訴える言葉が具体的に示されている点は,これまでの内科診断学の教科書にはみられない大きな特色として注目したい。
さらに第4に,疾患の頻度と臨床的重要度が2次元図で示されていることも,誠に画期的なものと言えよう。
◆新しい「診断学の考え方」
本書の圧巻は「診断の考え方」の頁で,福井教授が新しい「診断学の考え方」を述べておられる部分である。きわめて感銘深い内容で,現役を退いている私にとっては,この21頁にわたる解説は,誠にありがたく,教えられるところがきわめて大きかったことを申し上げておきたい。
本書は,福井次矢教授(京都大学・臨床疫学)と奈良信雄教授(東京医科歯科大学・臨床検査医学)のお二方が編者で,16名の執筆責任者を置き,さらに136名の診療の第一線で活躍しておられる方々が,お得意の分野を精魂を込めて執筆しておられる。このように多数の執筆陣の協力を得たために,本書はやや茫大(本文1084頁)になりすぎてしまった。しかし,よくよく考えてみると,従来にない新しい「内科診断学」を世に問おうという福井教授らの熱い意欲のために,このようになったのであろうと思う。
なお,本書では,超音波診断,画像診断について,ごく簡単に触れてはおられるが,心電図を含めて,これらについての基本的な理解だけでも章立てて解説していただけていたら,さらに一層完璧なものになっていたのではないかと思う。
◆臨床医学全般の基礎知識を提供する義務を背負った学問
私が医学部2年(現在では4年)の時,内科診断学の教科書として『Klemperer Diagnostik』を活用したが,内科診断学を習い始めたことで,「これからいよいよ医師になるための修行が始まったんだ」という思いをかき立てられたものである。あの時の感激は今でも忘れられない。臨床医学の基礎は内科学であり,内科診断学こそは,内科のみならず,広く臨床医学全般の基礎知識を提供する義務を背負っている学問である。このことは私の信念であり,この考え方は今でもまったく変わっていない。
最近における内科診断学は,臨床検査医学や臨床疫学の著しい発展によって大きく変貌してきた。こうして新しい内科診断学が生まれ,そのあるべき姿を示さねばならない時が来たのである。このことを本書は如実に示してくれた。誠に喜ばしいことである。
いずれにせよ,本書は,かつてないほどの力作である。医学生諸君,研修医の方々は言うに及ばず,日常診療に携わっておられる第一線の医師の方々の必読の書として,また編集者からの贈り物として,本書を手放しでお勧めしたい。
書評者: 阿部 正和 (慈恵医大名誉教授)
待望の新しい,時宜にかなった『内科診断学』が刊行された。心から嬉しく思う。
編者の福井次矢教授の序文を読めば,本書のめざすところが奈辺にあるかがよくわかる。
本書の特色は,いくつかあげられるが,私自身が感銘を受けたのは,次の諸点である。
第1に,患者への面接と身体所見(physical findings)をベースにした上で,必要な検査所見を積み重ねていくという診断の進め方の基本を説いていることである。これは当然のこととは言いながら,現在は,とかく検査診断の方向に傾きやすいきらいがある。身体的診断と検査診断の両者をバランスよく調和した形で診断は進められるべきである。
第2に,81の症状について,病態生理学の視点に立って病態を分析し,理論的に診断を進めていくという,診断の思考過程が重視されているという点である。
そして第3に,患者と医師の用いる言葉の意味の違いに注目しながら,診断を進めることの重要性を力説していることである。しかも本書の中で,患者の訴える言葉が具体的に示されている点は,これまでの内科診断学の教科書にはみられない大きな特色として注目したい。
さらに第4に,疾患の頻度と臨床的重要度が2次元図で示されていることも,誠に画期的なものと言えよう。
◆新しい「診断学の考え方」
本書の圧巻は「診断の考え方」の頁で,福井教授が新しい「診断学の考え方」を述べておられる部分である。きわめて感銘深い内容で,現役を退いている私にとっては,この21頁にわたる解説は,誠にありがたく,教えられるところがきわめて大きかったことを申し上げておきたい。
本書は,福井次矢教授(京都大学・臨床疫学)と奈良信雄教授(東京医科歯科大学・臨床検査医学)のお二方が編者で,16名の執筆責任者を置き,さらに136名の診療の第一線で活躍しておられる方々が,お得意の分野を精魂を込めて執筆しておられる。このように多数の執筆陣の協力を得たために,本書はやや茫大(本文1084頁)になりすぎてしまった。しかし,よくよく考えてみると,従来にない新しい「内科診断学」を世に問おうという福井教授らの熱い意欲のために,このようになったのであろうと思う。
なお,本書では,超音波診断,画像診断について,ごく簡単に触れてはおられるが,心電図を含めて,これらについての基本的な理解だけでも章立てて解説していただけていたら,さらに一層完璧なものになっていたのではないかと思う。
◆臨床医学全般の基礎知識を提供する義務を背負った学問
私が医学部2年(現在では4年)の時,内科診断学の教科書として『Klemperer Diagnostik』を活用したが,内科診断学を習い始めたことで,「これからいよいよ医師になるための修行が始まったんだ」という思いをかき立てられたものである。あの時の感激は今でも忘れられない。臨床医学の基礎は内科学であり,内科診断学こそは,内科のみならず,広く臨床医学全般の基礎知識を提供する義務を背負っている学問である。このことは私の信念であり,この考え方は今でもまったく変わっていない。
最近における内科診断学は,臨床検査医学や臨床疫学の著しい発展によって大きく変貌してきた。こうして新しい内科診断学が生まれ,そのあるべき姿を示さねばならない時が来たのである。このことを本書は如実に示してくれた。誠に喜ばしいことである。
いずれにせよ,本書は,かつてないほどの力作である。医学生諸君,研修医の方々は言うに及ばず,日常診療に携わっておられる第一線の医師の方々の必読の書として,また編集者からの贈り物として,本書を手放しでお勧めしたい。
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