高次脳機能障害ハンドブック
診断・評価から自立支援まで

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厚生労働省が平成13年度から5年間にわたり行った「高次脳機能障害支援モデル事業」をもとに、高次脳機能障害支援の全国展開が本格的に見込まれる現状を踏まえ、国の方針に沿った支援のあり方について明確な指針を示した。また、関連職種間の共通認識を深めるため、診断・評価、訓練プログラムから、就労、家族支援、関連法規に至るまで多角的な面から高次脳機能障害にアプローチしている。
編集 中島 八十一 / 寺島 彰
発行 2006年10月判型:B5頁:288
ISBN 978-4-260-00259-2
定価 4,620円 (本体4,200円+税)

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  • 目次
  • 書評

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第1章 高次脳機能障害の現状と診断基準
第2章 臨床症状
第3章 画像診断
第4章 神経心理学的検査
第5章 標準的訓練プログラム
第6章 認知リハビリテーションの実際
第7章 生活訓練
第8章 職業リハビリテーションと就労支援
第9章 標準的社会復帰・生活・介護支援プログラム
第10章 家族支援
第11章 支援ネットワークの形成と活用
第12章 社会福祉制度と法令
第13章 事例集
第14章 関係法規・制度
索引

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高次脳機能障害の支援に携わるすべての人に
書評者: 岩田 誠 (東女医大脳神経センター教授・神経内科学)
 書評の存在理由は大きく分けて二つあると思う。一つは純粋な批評あるいは評論であり,その書評の対象となる書物の内容に対する評者の意見,評価,感想を率直に述べたものである。これは書物の著者と評者との一種の論争であり,読者はそれを読んで,対象となる書物の扱っているテーマに対する自らの見解を改めて認識することになる。書評の本来の姿は,このようなことを目論んだものであろうが,今日,医学書に対する書評がこのような視点から書かれることは稀である。現在,書評に課せられるもう一つの意義は,読者がそれを読んで,書評の対象となった書物を買うか買わないかの判断材料とするための批判あるいは推奨ではないだろうか。評者自身が書評の読者となる場合にも,主として後者のタイプの書評を期待しており,書評を読むことによって,その書物を購入するかどうかを決めていることが多い。

 さて,この書評の対象となっている書物が取り扱っているのは,行政用語としての「高次脳機能障害」である。昔から使用されてきた高次脳機能障害の古典的中核病態は,失語,失行,失認であったが,これらの比較的捉えやすい病態を有する人々とは異なり,主に記憶障害,注意障害,遂行機能障害および社会的行動障害などを有する人々の能力障害は,しばしば表面的には捉えがたく,一見健常者との区別がつきにくい。このため,これらの障害を有する人々は,家庭や職場において社会的不利益を受けやすいのにもかかわらず,長らく障害認定や福祉サービスの枠外に置かれてきた。ようやく2001年になり,本書の編者らが中心となって,そのような人々に対する厚生労働省の支援モデル事業が始められ,「高次脳機能障害」を有する人々の実態が明らかにされると同時に,そのリハビリテーションや生活指導,職業訓練への試みが始められたのである。

 そのような模索の時期を経て生まれてきた本書には,「高次脳機能障害」とはいかなるものか,どのようにしてこれを診断,あるいは評価するのか,それに対してどのようなリハビリテーションをいかにして行っていくのか,どのようにして社会復帰,職業復帰を図っていくのか,またそのためにはどのような福祉サービスをどうすれば受けられるのか,その法的な根拠は何処にあるのかといった問題,さらには,このような「高次脳機能障害者」の家族をいかにして支援していったらよいのか,また社会的なサポートネットワークがいかにして構築されていくべきか,といった実にさまざまな問題が詳細に記述されている。

 その意味で評者は,本書が現在行政的「高次脳機能障害」の支援に携わっている人々のみならず,将来このような障害に対して何らかの形で関わっていくであろう人々にとって必読のマニュアルである,と申し上げたい。本書は購入するに値する書物であり,さまざまな分野の方々が,さまざまな読み方で本書を役立てていただくことを願っている。

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