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エビデンスとガイドラインに基づく脳動脈瘤とくも膜下出血

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くも膜下出血は転帰不良例も多く深刻な疾患であるが、わが国では頻度が世界一高く、近年では、脳ドックなどで発見される未破裂動脈瘤へのアプローチが注目されている。本書は、未破裂脳動脈瘤と破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)について脳神経外科医がいま知っておきたい知見を、そのメカニズム、疫学、エビデンスから治療の実際まで1冊にまとめた。最新の質の高いエビデンスや、実臨床に有用な治療手技の解説・動画付き。

監修 森田 明夫
編集 井川 房夫 / 片岡 大治 / 堀江 信貴
発行 2023年03月判型:B5頁:256
ISBN 978-4-260-05098-2
定価 11,000円 (本体10,000円+税)

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監修の序(森田明夫)/編集の序(井川房夫)
 

監修の序

 日本の脳神経領域において,世界にリードする研究や診療を行っているのは,未破裂脳動脈瘤とくも膜下出血であることに異論を唱える読者は少ないと思う.
 出身大学を東京大学と京都大学に限ってみれば,佐野圭司先生,齋藤 勇先生,菊池晴彦先生,端 和夫先生らによってくも膜下出血の臨床がリードされ,その後に続く浅野孝雄先生,佐々木富男先生,中込忠好先生,松居 徹先生,そして日本の多くのpioneerたちのspasm研究,橋本信夫先生による脳動脈モデルの開発と脳動脈瘤の基礎研究,その研究成果の臨床への応用などを経て,現在はくも膜下出血の予後はかなり改善しつつある.くも膜下出血の疫学研究も島根や九州で進められ,世界的に重要なエビデンスとなっている.また未破裂脳動脈瘤の研究についても,端 和夫先生,吉本高志先生,安井信之先生らによる初期の代表的研究に始まり,SUAVeやUCAS Japan,東京慈恵会医科大学から世界を代表するコホート研究が発表されるに至っている.今やどの国にいてもくも膜下出血や未破裂脳動脈瘤の予後や治療,基礎研究を語るうえで日本からの情報を避けることはできない.
 井川房夫先生,片岡大治先生,堀江信貴先生の編集による本書は,そのような日本における研究および臨床の現役世代の最先端をいく著者らによる玉稿の集大成である.素晴らしい原稿をまとめて下さった三氏および寄稿してくれた日本の本分野のリーダーたちに深く感謝したい.
 本書には脳動脈瘤およびくも膜下出血に関する最先端の疫学や遺伝,画像解析,基礎・臨床研究update,そして臨床・手術・治療の最先端の知識が満載されている.
 本書を通読し,知識を得ておけば,まず日常の脳動脈瘤,くも膜下出血における重要な知識を欠くことはない.そしてそのようなしっかりとした知識,最先端の情報を得たうえで,診療また新たに研究を行うことによって,日本における臨床の安全性や有効性がさらに進歩し,また新しい側面からの研究開始のきっかけになってくれることを期待する.
 そして本書が明日からの脳動脈瘤・くも膜下出血診療の糧となり,多くの脳神経スペシャリストの役に立つものになることを祈る.

 2023年1月
 森田明夫
 

編集の序

 日本で脳動脈瘤とくも膜下出血を学んでいくうちに,「なぜ日本の未破裂脳動脈瘤の破裂率が欧米より2.8倍高いのか」,「なぜ日本のくも膜下出血の頻度が世界一高いのか」,「くも膜下出血の転帰を改善するブレイクスルーは何か」,これらの命題を解決することが日本人の使命であると考えるようになりました.日本には医療アクセスのよさ,国民皆保険制度,豊富な画像機器,脳ドック検診システム,高齢化,健康意識の高い国民性と協調性といった特性があり,必ずこれらの命題を解決できると信じております.
 本書は,脳動脈瘤とくも膜下出血のエビデンスとガイドラインの現在地を確認し,個々の患者さんの臨床にお役立ていただくとともに,これらの基礎研究・臨床研究にも役立つ内容に仕上げております.ひいては多くの患者さんに貢献できたら幸いです.
 今回,監修を森田明夫先生に,筆者以外の編集を片岡大治先生と堀江信貴先生にお受けいただけましたが,日本には全く同じ志をもった仲間がたくさんおり,ご執筆,ご助言をいただけました.第一線でご活躍されている先生ばかりで,ご多忙にもかかわらず充実した内容に仕上げてくださり,この場を借りて厚く御礼申し上げます.
 最後になりましたが,本書の出版にご協力いただいた医学書院の関係者の方々に心より感謝申し上げます.

 2023年1月
 withコロナウイルス感染症の新春に 井川房夫

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第1章 未破裂脳動脈瘤
  1 脳動脈瘤の基礎実験──発生・増大・破裂メカニズム
  2 未破裂脳動脈瘤の疫学
  3 頭蓋脳動脈瘤と遺伝子
  4 未破裂脳動脈瘤壁の可視化
   1) CFD(computational fluid dynamics)
   2) VWI(vessel wall imaging)
  5 未破裂脳動脈瘤における脳ドックの役割
  6 未破裂脳動脈瘤の治療のチップスとピットフォール
   1) 開頭クリッピング術
   2) バイパス併用手術
   3) コイル塞栓術
   4) フローダイバーター
   5) ハイブリッド手術室
  7 未破裂脳動脈瘤の臨床研究
  8 未破裂脳動脈瘤の今後の展望

第2章 破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)
  1 わが国のくも膜下出血の疫学と転帰予測
  2 破裂脳動脈瘤と未破裂脳動脈瘤
  3 くも膜下出血の基礎研究
  4 くも膜下出血の臨床研究
  5 くも膜下出血の治療のチップスとピットフォール
   1) 血管内治療困難な病変に対する開頭術
   2) 急性期バイパス併用手術
   3) 開頭術より有利なコイル塞栓術
  6 DCI(delayed cerebral ischemia)
   1) 臨床研究
   2) Spreading depolarization(拡延性脱分極)
  7 くも膜下出血の今後

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