生殖看護ガイドブック

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臨床現場で生殖看護を実践する看護職や、生殖医療とその看護について関心をもつすべての保健医療関係者が知見を深めることができるガイドブック。エビデンスに基づき専門知識をわかりやすく説明しながら、不妊症・不育症の看護にとどまらず、プレコンセプション・ケア、第三者が関与する生殖補助医療時の看護、がん治療に関わる妊孕性温存療法の看護など、さまざまな治療や症例に応じた看護実践を数多く取り上げた。

編集 日本生殖看護学会
発行 2023年09月判型:B5頁:288
ISBN 978-4-260-05339-6
定価 4,950円 (本体4,500円+税)

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 本書『生殖看護ガイドブック』は、日本生殖看護学会が、生殖医療の場で生殖看護に従事する看護師や助産師たちのために作成しました。そして、周産期医療に携わっている助産師や看護師、地域で当事者支援にあたっている保健師、さらに生殖医療チームにいる他職種、あるいは他領域の看護師など、生殖看護とは実はどのような看護領域なのか、あまりよくわからない、知らないという方々にも、今こそ手にとっていただきたいと考えています。
 日本生殖看護学会Japanese Society of Fertility Nursing(JSFN)は、生殖看護の実践家・教育者・研究者の交流を促進し、学術的発展に寄与することにより、個人および家族の生涯にわたる健康と福祉に貢献することを目的としており、2003年の設立以来、学術集会の開催や会誌等の発行のほか、研究者や実践家の活動、教育・研修等の事業を行っています。2002年から養成が開始された不妊症看護認定看護師の活躍を支援する役割も担ってきました。また、本会では生殖看護領域の看護師の活動実態の調査研究や、関連学会有志との共同による介入研究を通じて、医師・看護師のケアの効果を検証するなどエビデンス作りを行ってきました。
 生殖補助医療の保険適用に伴い、2022(令和4)年度診療報酬改定にて一般不妊治療管理料、生殖補助医療管理料に「相談対応」を行うことに対する報酬が認められ、これは学会にとって大変喜ばしいことでした。また、2018年度末をもって閉課されていた不妊症看護認定看護師教育課程は、新たに生殖看護認定看護師教育機関の開設に向かう最中にあり、本書が追い風の一部となれば幸甚に存じます。
 不妊症看護、生殖看護のテキストは、認定看護師教育課程が開かれた2002年頃からずっとその必要性が認識されていました。本会理事会内では、2017年頃に生殖看護のコンピテンシーが話題となって一度盛り上がったものの、企画が進まず実ることはありませんでした。制作するための人的資源、資金などが十分ではなかったからです。このままではいけないと2021年になって、お蔵入りとなっていた内容を見直し、学会設立20周年記念企画として「生殖看護テキスト編集特別委員会」の立ち上げと出版社への相談を開始し、2022年初頭にようやく医学書院より出版する見通しが立ったのです。
 本書は、さまざまな臨床現場で生殖看護を実践する看護職、生殖医療やその看護について関心をもつすべての保健医療関係者が知見を深められるガイドブックです。そのため、エビデンスに基づき、専門的知識をわかりやすく説明するよう努めました。かつ、臨床現場の人が求めている情報や考え方などをきめ細かく届けるために、事例を活用しました。初めて生殖看護に携わる新人にとっては、生殖看護の概要が手にとるように理解でき、また、生殖看護の経験者にとっては、実践してきたことをあらためて整理し発展的に思考できる内容となっています。
 末筆になりましたが、本書編集にあたっては日本生殖看護学会理事長の上澤悦子先生、副理事長の坂上明子先生、「生殖看護テキスト編集特別委員会」の委員の先生方にご尽力いただきました。また、執筆にご協力いただいた学会員の皆様、医師の皆様、本書の刊行にご尽力くださいました医学書院看護出版部の皆様に心より感謝申し上げます。

 2023年8月
 日本生殖看護学会「生殖看護テキスト編集特別委員会」
 委員会長 森 明子

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基礎編
 1 生殖看護の定義・概念/対象・目的/役割・機能
   1 生殖看護の定義・概念
   2 生殖看護の対象・目的
   3 生殖看護の役割・機能

 2 不妊治療、生殖補助医療の現状
   1 日本の生殖補助医療の統計からみる現状と特性
   2 日米の比較
   3 第三者が関与する生殖補助医療
   4 不妊治療の保険診療と先進医療制度

 3 不妊治療・生殖補助医療の基礎知識
   1 不妊治療の流れと一般不妊治療
   2 女性因子に対する治療
   3 男性不妊症に対する治療
   4 生殖補助医療
   5 不育症の診療

 4 不妊症・不育症の社会的支援制度と関連法
   1 経済的支援
   2 仕事と不妊治療の両立支援
   3 不妊専門相談センター事業
   4 自助グループ
   5 養子縁組制度・里親制度

 5 不妊症・不育症患者の心理と支援
   1 不妊症・不育症患者の特有の心理
   2 なぜ生殖補助医療において心理支援が必要なのか?
   3 不妊症・不育症患者の適切な心理支援とは

 6 治療後妊娠のリスク・予後
   1 ART後の妊娠・出産が女性に与える身体的リスク
   2 不妊治療が女性に及ぼす精神的影響
   3 ARTによって生まれた子どもの身体的・精神的予後

 7 不妊治療と遺伝カウンセリング
   1 男性不妊症
   2 女性不妊症
   3 流産
   4 着床前遺伝学的検査(PGT)

 8 不妊治療と倫理的課題
   1 わが国の不妊をめぐる現状
   2 少子化対策と不妊治療支援:社会的卵子凍結
   3 生殖医療の商業化と生殖ツーリズム
   4 生殖医療で生まれる子どもたちの権利

実践編
 1 プレコンセプション・ケアと不妊症
   1 プレコンセプション・ケアとその必要性
   2 プレコンセプション・ケアの内容
   3 不妊予防のためのプレコンセプション・ケア
   4 不妊治療中のプレコンセプション・ケア

 2 妊娠の計画と受胎調節
   1 妊娠率および性交渉
   2 性機能障害
   3 低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬使用後の排卵の回復
   4 疾患・治療における妊娠の計画と受胎調節(避妊)

 3 不妊症・不育症の検査と看護
   1 女性因子の検査と看護
   2 男性因子の検査と看護
   3 二次検査と看護
   4 不育症の検査と看護

 4 不妊症・不育症の治療と看護
   1 タイミング療法の看護
   2 排卵誘発の看護
   3 人工授精の看護
   4 採卵および体外受精・胚移植の看護
   5 顕微授精の看護
   6 不育症治療時の看護

 5 検査・治療過程における意思決定と看護
   1 検査および治療開始の意思決定と看護
   2 ステップアップの意思決定と看護
   3 不妊治療終結の意思決定と看護
   4 着床前医学的検査(PGT)の意思決定と看護

 6 高齢女性の不妊治療と看護
   1 不妊治療を受ける高齢女性の背景
   2 高齢で生殖補助医療を受ける女性の心理
   3 不妊治療を受ける高齢女性の看護

 7 基礎疾患を有する女性の不妊治療と看護
   1 婦人科系疾患のある女性の不妊治療と看護
   2 精神疾患のある女性の不妊治療と看護

 8 妊孕性温存療法と看護
   1 妊孕性温存療法を受ける女性の看護
   2 妊孕性温存療法を受ける男性の看護

 9 治療後妊産婦の看護
   1 妊娠初期の看護
   2 流産・死産時の看護
   3 親役割獲得に向けた看護
   4 次子妊娠を希望する褥婦の看護

 10 第三者が関与する生殖補助医療を必要とするカップルの看護
   1 精子提供プログラムと看護
   2 卵子提供プログラムと看護

あとがき
索引

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