基礎看護学[2]
基礎看護技術Ⅰ 第19版

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  • 基礎看護技術Ⅰ・Ⅱでは、基礎看護技術についてただ単に方法や手順を学ぶのではなく、看護師として必要な判断力(問題解決能力・行動力)を身につけ、その判断に基づく介入および技術を適用できる能力を養うことを目標としています。
  • 感染予防ならびに医療安全の知識・技術は、これから臨地実習で学ぶ看護学生にとってまず身につけておくものとして、重要性が高くなっています。第2章、第3章では、学生の学習段階をふまえ、臨地実習にも活用できるよう、記述を点検しました。
  • ヘルスアセスメントにおいては、各系統別のアセスメント技術について目的・基礎知識・方法を丁寧に解説し、成人看護学や臨床へとつなげられるものを目ざしました。また、技術を実践する際の「根拠」や「ポイント」を数多く示しました。
  • 看護過程展開の技術については、適宜事例を取り入れることによって、理解を深められるように工夫しました。
  • 学習支援について、学生の学習段階に合った内容に刷新し、共通の事例を用いるなどによって、それまでの学習内容との連携を強化しました。
  • バイタルサインやフィジカルアセスメントの内容に加え、コミュニケーションに関する動画を掲載し、内容のふり返りや実習のための事前学習に役だてていただけるように工夫しています。
  • 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-専門分野
著者代表 茂野 香おる
執筆 有田 清子 / 井川 順子 / 今井 宏美 / 内山 孝子 / 榎本 麻里 / 坂下 貴子 / 茂野 香おる / 實方 由美 / 任 和子
発行 2023年01月判型:B5頁:408
ISBN 978-4-260-04992-4
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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  • 序文
  • 目次

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はしがき

 少子高齢化や疾病構造の変化,医療の高度化など,医療・看護を取り巻く社会の状況は著しく変化しつづけ,保健・医療・福祉のいずれの現場においても看護師への役割期待がますます大きくなっている。看護師が役割を果たすために必要な能力とは,どのようなものだろうか。臨床で出会うさまざまな患者さんの個別の状況をアセスメントし,患者さん1人ひとりに対応したオーダーメイドの看護を提供できることが最低の条件であろう。そのためには,アセスメント力にみがきをかけることや,さまざまな看護ケアを工夫できる応用力を身につけることが求められる。
 ある程度の能力を身につけたとしても,発展しつづける医療技術に対応していくためには,生涯にわたって学びつづけていく必要がある。看護師は,学ぶ意志さえあれば,学ぶことができる環境に恵まれた職種である。それは,「看護師等の人材確保の促進に関する法律」によって保障されている。同法第5条では,病院などの開設者に対し「看護師等が自ら研修を受ける機会を確保できるようにするために必要な配慮その他の措置を講ずるよう努めなければならない」と明記されている。一方で,看護師にも,みずから進んで能力の開発・向上をはかるように求められている(同法第6条)。看護学生である皆さんは,生涯続く「学び」の道に一歩足を踏み入れたところであり,まずは学びつづけていくために必要となる基本的な学習姿勢を身につけてほしい。
 このように,看護師は学習しつづける使命を負った職業であるが,ここで重要なのは「みずから学ぶ」ことである。学ぶということは,けっして誰かに言われて行うものではない。自己の関心や,そのときどきの状況を考えながら学習の内容と方法を自分で判断・選択できてこそ,有意義な学びが可能となる。
 「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」の改正によりカリキュラム改定が行われ,2022年4月から新しい看護基礎教育がスタートしている。基礎看護学領域では,1単位増となり,コミュニケーションおよびフィジカルアセスメントといった,看護実践能力のいわば土台をなす部分を強化することが求められている。本書は,そういった教育内容強化を意識した,十分な内容を盛り込んでいる。
 本書で扱っているのは,人間関係を形成するための「コミュニケーション」の技術(第1章),あらゆる看護技術の前提となる「感染予防」の技術(第2章)および「医療安全」の技術(第3章),看護を計画的に展開し,実施する際につねに必要とされるフィジカルアセスメントを網羅した「ヘルスアセスメント」の技術(第4章),アセスメントに基づく情報を活用して看護を計画的に展開するための思考方法を含む「看護過程展開の技術」(第5章),さらには対象者の意思決定や治療への主体的な参画を支援する「学習支援」の技術(第6章),である。
 第19版への改訂では,第1章「コミュニケーション」において,近年,医療の場でも急速に広がっているオンラインコミュニケーションの節を新たに設けた。第6章「学習支援」では,読者が初学者であることを考慮した記述に刷新し,また,第5章「看護過程展開の技術」と共通の事例を用いてわかりやすく解説した。「事例等に対して,安全に看護技術を適用する方法の基礎を学ぶ内容」さらに,第2章「感染予防」および第3章「医療安全」では,あらゆる看護技術を支える要素として学ぶ必要があることの理由を冒頭に配し,授業での導入,学習の動機づけに活用できるようにするとともに,「根拠とポイント」を充実させた。
 また本書では,とくに「考え方」や「向き合い方」を大事にしている。看護過程展開の技術を例にとれば,クリティカルシンキングやリフレクション(みずからの行為をふり返り,学びとすること)などの考え方の基本をはじめとし,「実際におきていること(情報)の関連性の見出し方」「情報を解釈する方法」「知識の使い方」などを詳細かつ具体的に解説し,初学者が考え方を学ぶ筋道を理解できるように配慮した。
 ともすると,マニュアル的な手順を追い求めたくなる看護技術であるが,本書を用いることによって,読者の皆さんが,みずから学び,考えることのできる学習者になっていただけるよう願っている。

 2022年11月
 著者を代表して
 茂野香おる

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序章 看護技術を学ぶにあたって (茂野香おる)
 A 技術とはなにか
 B 看護技術の特徴
 C 看護技術の範囲
 D 看護技術を適切に実践するための要素
 E 看護技術の発展と修得のために

第1章 コミュニケーション (茂野香おる・今井宏美)
 A コミュニケーションの意義と目的
 B コミュニケーションの構成要素と成立過程
 C 関係構築のためのコミュニケーションの基本
 D 効果的なコミュニケーションの実際
 E コミュニケーション障害への対応
 F オンラインコミュニケーション

第2章 感染防止の技術 (井川順子)
 A 感染とその予防の基礎知識
 B 標準予防策(スタンダードプリコーション)
 C 感染経路別予防策
 D 洗浄・消毒・滅菌
 E 無菌操作
 F 感染性廃棄物の取り扱い
 G 針刺し防止策
 H 医療施設における感染管理

第3章 安全確保の技術 (任 和子)
 A 安全確保の基礎知識
 B 誤薬防止
 C チューブ類の事故防止
 D 患者誤認防止
 E 転倒・転落防止
 F 薬剤・放射線曝露の防止

第4章 ヘルスアセスメント (榎本麻里・茂野香おる・有田清子・坂下貴子・今井宏美・實方由美)
 A ヘルスアセスメントとは
 B 健康歴とセルフケア能力のアセスメント
 C 全体の概観
 D 系統別フィジカルアセスメント
 E 心理・社会状態のアセスメント

第5章 看護過程展開の技術 (坂下貴子・茂野香おる)
 A 看護過程とは
 B 看護過程を展開する際に基盤となる考え方
 C 看護過程の各段階
 D 看護記録

第6章 学習支援 (内山孝子)
 A 学習支援の対象者と看護の役割
 B 学習の基礎知識
 C 学習支援の基礎知識
 D 学習支援の技術
 E 学習支援の実際

巻末資料
動画一覧
索引

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