標準法医学 第8版
定評ある法医学の教科書、全編カラー化の改訂第8版。
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定評ある法医学の教科書、全編カラー化の改訂第8版。死因究明等推進基本法、死因・身元調査法などの新法や、医療事故調査制度についての解説を追加。現代の法医学にかかわる重要なトピックスをコラムとして盛り込み、付録として死亡診断書(死体検案書)の書き方を収載。医学生・研修医のみならず一般臨床医にも役立つ知識を詰め込んだ一冊。
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第8版 序
本書の第7版が発行されてから8年以上が経過した.
この間初版以来6度の改訂を重ね40年以上にわたって医学書院の標準シリーズの一冊として,医学生・研修医および一般臨床医のみならず多方面の法医学関係者にとって有益な教科書として大きな役割を果たしてきた.一方,ここ10年の間に裁判員制度が普及し,裁判の過程において裁判員にもより詳細かつ最新の法医学知識が必要とされるようになった.また,死因究明等推進基本法が施行されるとともに死体検案を行う医師や警察の検視官に対する法医学教育が広く行われることによって法医学教科書の内容も前版よりさらに充実させる必要性が生じ,改訂第8版を出版することとした.
今回の改訂では第6版まで編集者として,また前版では監修者として本書の発展に多大な貢献をされた石津日出雄先生,高津光洋先生にご勇退いただき,前版の編集者であった鈴木廣一先生は大学をご定年になったことで今回の編集を辞退された.そこで前版の編集者である池田典昭と新たに香川大学木下博之が加わり2人で編集を行った.また,執筆陣では羽竹勝彦先生,福永龍繁先生,高橋雅典先生の3名の先生方が後進に道を譲られた.石津先生,高津先生を含めこれらの先生方に深甚なる謝意を表したい.
前版において書名を『標準法医学』とし,重要語句や文言を太字化し,目次の分け方を変更するなど大幅な変更を施し,わかりやすい書としたが,今回さらに変更した点は以下の通りである.
①全編カラー写真とし口絵は削除した.
②国家試験出題基準およびコアカリキュラムと本文との対照表を削除した.
③新執筆者として久保真一,井濱容子,岩原香織(執筆順)の各教授に加わっていただき,それぞれの専門分野について詳述していただいた.
④「死亡診断書(死体検案書)の書き方」を新たに収載した.
⑤「参考法規集」については最新のものを追加した.
本書が医学生・研修医・一般臨床医だけでなく,法医学に関連する分野の研究者,警察の検視官,裁判官・検察官・弁護士などの法曹関係者にとって大いに役立つことを願っている.
最後に執筆者の先生方および本書の企画・編集に多大な御尽力をいただいた医学書院編集部の皆様に心から感謝申し上げる.
2021年11月
編者識
目次
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序論 法医学の現在と未来
A 法医学とは
B 研究分野
C 対象
D 現状と未来
第1章 検案と解剖
総論
A 異状死体の届け出
B 死体検案(検案)
C 大規模災害時の法医学的対応
D 死体検案における課題
E 解剖と医行為
各論
A 死因究明
B 死体検案
C 解剖
D 法医画像診断
第2章 死体現象
A 死の定義
B 生から死へ
C 早期死体現象
D 晩期死体現象
E 永久死体
F 死体の損壊
G 死後経過時間の推定
H 生活反応
第3章 突然死(内因性急死)
一般的事項
原因疾患と特徴
A 心臓突然死
B 大血管疾患
C 中枢神経系疾患
D 呼吸器疾患
E 消化器疾患
F 妊娠・分娩と突然死
G その他の疾患
第4章 損傷
総論
A 一般的事項
B 損傷の診断
C 死因論・死因の競合
各論
A 成傷器別の損傷と特徴
B 身体各部の損傷
頭部外傷
A 頭部外傷の種類
B 頭部外傷と死因,後遺障害
C 小児の頭部外傷
交通事故損傷
A 自動車事故の現状
B 法医学的意義
C 自動車事故死の検査
D 自動車事故損傷
E 鉄道事故損傷
F 航空機事故損傷
第5章 窒息
総論
A 呼吸と窒息の概念と定義
B 分類
C 病態生理
D 経過と症状
E 窒息死体の解剖所見
F 窒息死の診断
各論
A 頸部圧迫による窒息
B 鼻口部閉塞による窒息
C 気道内異物による窒息
D 胸腹部圧迫による窒息
E 酸素欠乏による窒息
F 溺死
第6章 異常環境下の死
A 高温による障害
B 低温による障害
C 感電,電撃による障害
D 気圧の異常による障害
E 爆発による障害
F 飢餓死
G 放射線による障害
第7章 中毒
総論
A 法医学における中毒
B 毒物
C 薬毒物の分類
D 中毒の発生条件
E 中毒死の現状
F 中毒の診断
G 試料の採取と保管
H 薬毒物検査
各論
A 農薬
B 医薬品
C 乱用(濫用)薬物
D ガスおよび揮発性物質
E 自然毒
F その他
G エタノール(アルコール)
第8章 虐待
A 虐待とは
B 児童虐待
C 高齢者虐待
D DV
第9章 性と周産期
性に関する法医学
周産期に関する法医学
A 妊娠・出産に関する法医学的問題
B 新生児,乳幼児に関する法医学的問題
第10章 個人識別と物体検査
硬組織個人識別
A 個人識別
B 人獣鑑別
C 性別判定
D 年齢推定
E その他の個人識別に有用な情報
F 歯科的個人識別
DNA型検査
A 遺伝標識
B DNA型の検査項目
C DNA型検査の問題点
物体検査
A 検査対象と検査項目
B 血痕
C 精液斑
D 唾液斑
E 毛髪
F 爪
G 尿斑
H 指紋
第11章 医療事故と医療倫理
医療事故
A 現状
B 原因・背景
C 医療安全対策
D 医療事故調査制度
E 医療事故紛争処理の仕組み
F 医師の法的責任
G 医療事故裁判
医療倫理
A 西洋医学における医の倫理の流れ
B 義務論と功利主義
C 医療倫理の4原理
D 安楽死,尊厳死をめぐる問題
E 生殖補助医療をめぐる問題
F 着床前診断・出生前診断
G クローン技術,ES細胞,iPS細胞
H 医学研究の倫理
I 宗教的輸血拒否
J 脳死と臓器移植
資料1・死亡診断書(死体検案書)の書き方
資料2・参考法規集
和文索引
欧文索引