骨関節理学療法学 第2版

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理学療法士に求められる骨関節疾患への知識と技術を多くの写真やシェーマを用い、明解な文章で解説していく。第1編を機能障害に着目した目次立てに改変し、軟部組織や超音波検査についても詳しく言及。臨床や教育の現場で活躍する第一線の執筆陣が、骨関節理学療法学の今を漏れなく、分かりやすく教授する。臨床に出てからも参考とすることができる、理学療法士を志す学生のための1冊!

シリーズ 標準理学療法学 専門分野
シリーズ監修 奈良 勲
監修 吉尾 雅春
編集 福井 勉 / 小柳 磨毅
発行 2021年10月判型:B5頁:328
ISBN 978-4-260-04753-1
定価 5,280円 (本体4,800円+税)

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第2版 序

 本書,骨関節理学療法学は,第2版を上梓することになった.理学療法の教育におけるベースともいうべき,標準シリーズの初版を受け継ぎ,その構成は変えずに部分的改訂を行った.
 骨関節領域の理学療法のなかで,さまざまな変遷の核は,エビデンスの蓄積に基づく評価や治療技術の変化,医療機関の機能的分化や少子高齢化に基づく疾患構成にも表れている.世界的に経験値を理論のフレームワークに結びつける試みは行われているが,本書においてもその傾向は確実にみられる.整形外科医の専門性が高まるとともに,この傾向は今後いっそう進んでいくと考えられる.しかし同時に,さまざまな疾患を有して理学療法士のもとに訪れる患者に対して,広範な知識と技術が必要なことも事実である.そのため本書は,教科書としての役割を重んじると同時に,カバーできる守備範囲を広げた構成となっている.さらに,現在の運動器理学療法分野の精鋭に執筆いただいた本書は,骨関節それぞれの分野における,最新かつ深淵な内容を包括している.
 骨関節理学療法は,外傷に代表されるように,個別の運動器である関節や筋に対する治療手技を基盤としている.そのため修復過程が治療過程の根拠になり,動的な考察を加えた事項が付加されてきたが,隣接関節や重力場としての力学的影響が大きいことも事実である.たとえば,関節で生じるインピンジメントは構造体の問題として扱われることが多いが,ヒトの優れた機能はすぐさま補償を行い,危険回避を試みる.隣接関節における代償運動がその代表であるが,これもランダムにおこるわけではなくパターンがある.こうした動的なパターンの理解は臨床現場以外では困難であり,見逃す可能性も大きい.今後,軟部組織の動態理解がさらに進むことによって,理学療法の対象は個別の運動器に限られるのではなく,身体全体の姿勢や動作であるという認識が,さらに高まるのではないかと想像する.近年,進化が著しい超音波診断装置を用いた臨床や臨床研究は急激に増加し,組織の動的な挙動についての考察は,格段に進歩しているといってよいであろう.理学療法が時代の潮流に適応する事例として,手術後における入院期間の短縮に伴い,早期理学療法が日常生活への円滑な復帰を実現する症例の蓄積や,慢性疼痛に対する理学療法の対応があげられる.今後はさらに“パターン”で片づけていた運動制御の理解が深まるにつれ,中枢神経系の理解が必要になるかもしれない.
 骨関節理学療法は,神経系理学療法と双璧をなす重要な分野であるとともに,他のすべての領域の基礎と考えられることも多い.関節や軟部組織の評価と治療は,理学療法の全分野において共通の課題であり,その基礎がここにある.本書は教科書としてバイアスを最小化する努力を行い,また網羅性に優れていると考えている.すべての理学療法士にお読みいただくことができる内容であり,それに値するものであると自負している.21世紀初頭の日本の理学療法の根幹がここにあるととらえていただき,後世に評価を受けることができれば,編集者として本望である.

 2021年9月
 福井勉・小柳磨毅

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I 骨関節疾患に対する理学療法の考え方
 1 骨関節障害の基礎と評価・治療の原則
   A 組織の治癒能力
   B 力学的負荷
   C 発生機序と要因
   D 機能障害
   E 評価と治療
   F 評価の原則
   G 治療の原則
 2 機能障害の評価と治療
  I 関節機能
   A 拘縮と不安定性
   B 制限因子
   C 不安定因子
   D 牽引と圧縮
   E 伸張
   F 軟部組織モビライゼーション
  II 皮膚と皮下組織の機能
   A 皮膚と皮下組織の構造と機能
   B 皮膚と感覚受容器
   C 皮膚と運動
   D 皮膚緊張線
   E 皮膚の力学的特性
   F 理学療法との関連
  III 神経・筋機能
   A 評価
   B 共同筋
   C 至適負荷
   D 力学的ストレス
   E 特異性の原則
   F 運動連鎖と筋力強化
   G 筋力と持久力
  IV 協調性機能/姿勢制御
   A 臥位,ブリッジ姿勢,四つ這い位
   B 座位
   C 膝立ち位
   D 立位
   E スクワット
   F Star excursion balance test(SEBT)
  V 歩行機能
   A 歩行運動の基礎
   B 歩行の力学
   C 歩行運動の評価
   D 歩行運動に対する治療
  VI マッスルインバランス
   A マッスルインバランスの概要
   B マッスルインバランスの評価
   C マッスルインバランスの理学療法
  VII 徒手理学療法
   A 主観的評価
   B 客観的評価
   C 治療アプローチ
  VIII 補装具
   A 補装具の目的
   B 補装具の種類
   C テーピング

II 骨関節疾患に対する理学療法の実際
 1 骨折・脱臼の理学療法
   A 疾患・障害の概要
   B 骨折・脱臼に対する理学療法
 2 膝靱帯,半月板損傷の理学療法
   A 外傷の概要
   B 機能評価
   C 運動療法
   D その他の理学療法
 3 腱断裂の理学療法
  I 腱板断裂の理学療法
   A 腱板断裂とは
   B 腱板断裂の理学療法評価
   C 問題点・目標の設定
   D 腱板断裂術後の理学療法
   E 保存療法における理学療法
  II アキレス腱断裂の理学療法
   A アキレス腱断裂の病因・病態
   B アキレス腱断裂後の修復
   C 理学所見
   D アキレス腱断裂に対する理学療法
  III 手指腱断裂の理学療法
   A 腱断裂の概要
   B 機能評価
   C 腱断裂の理学療法
   D その他の理学療法
 4 関節リウマチの理学療法
   A 疾患・障害の概要
   B 疾患・障害の評価
   C 理学療法の実際
 5 変形性関節症と人工関節置換術の理学療法
  I 変形性股関節症の理学療法
   A 変形性股関節症とは
   B 股関節機能障害に対する評価
   C 股関節機能障害に対する運動療法
   D 人工股関節全置換術に伴うリスク
   E 人工股関節全置換術術後のADL指導
  II 変形性膝関節症の理学療法
   A 変形性膝関節症の概要
   B 機能評価
   C 理学療法
 6 足部・足関節の理学療法
   A 疾患・障害の概要
   B 理学療法評価
   C 理学療法の実際
 7 骨端症の理学療法
   A 骨端症とは
   B 骨端症病理
   C 骨端症とメカニカルストレス
   D 動作における関節間トレードオフ
   E 骨端症を呈する疾患
 8 頸椎疾患の理学療法
   A 疾患・障害の概要
   B 理学療法評価とアプローチ
 9 腰部脊柱管狭窄症の理学療法
   A 疾患・障害の概要
   B 理学療法評価
   C 理学療法の実際
 10 側弯症の理学療法
   A はじめに
   B 側弯症の特徴
   C 側弯症の評価
   D 側弯症の運動療法
   E おわりに

III 疼痛疾患の理学療法
 1 腰痛症の理学療法
   A はじめに
   B 腰部の解剖,機能解剖
   C すべての腰痛症に対する診断,機能評価
   D 各腰痛症の病態,診断,機能評価,理学療法
   E おわりに
 2 肩関節痛の理学療法
   A はじめに
   B 肩関節痛を治療するために行わなければならないこと
   C 治療方針の決定
   D 代表的な肩関節疾患
   E おわりに

IV 高齢者の理学療法
 1 運動連鎖と姿勢制御
   A 運動連鎖とは
   B 運動連鎖と障害
   C 身体アライメントと運動連鎖
   D 運動連鎖を考慮した評価
   E 理学療法の実際
 2 転倒予防
   A 転倒とは
   B 転倒と要介護状態
   C 転倒の疫学
   D 転倒のリスク要因
   E 転倒リスクの評価
   F 転倒予防のための取り組み

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