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地域・在宅看護論[2]
地域・在宅看護の実践 第6版

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・第5次カリキュラム改正により誕生した「地域・在宅看護論」に対応する新しいテキストです。看護学の学習がある程度進み、地域・在宅看護実習を控えた段階でご使用いただくことを想定しています。
・従来の「在宅看護論」に含まれていた在宅における看護過程・看護技術・事例による看護展開・多職種連携などの学習内容を網羅したうえで、「地域・在宅看護論」として必要な新たな学習内容を盛り込んでいるため、「在宅看護論」から「地域・在宅看護論」への移行がしやすい構成になっています。
・看護過程や看護技術においては、「基礎看護学」の基礎看護技術との連携をはかっています。
・「在宅看護論」が「地域・在宅看護論」に発展したことで、地域でどのような活動ができる看護師の育成が求められているのか、看護過程や技術などの実践部分の学習内容にどのような違いがあるかをつかむことができる1冊です。

*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-専門分野
著者代表 河原 加代子
発行 2022年02月判型:B5頁:440
ISBN 978-4-260-04714-2
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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はしがき

改訂の背景
 「地域・在宅看護論」は,看護基礎教育の内容と方法を検討し,教育カリキュラムの改正案を示すことを目的に,2018(平成30)年4月から2019(令和元)年9月まで全10回にわたって開催された「看護基礎教育検討会」の議論により設定された教育内容である。
 厚生労働省は,第1回「看護基礎教育検討会」の「開催要項」において「少子高齢化が一層進む中で,地域医療構想の実現や地域包括ケアシステム構築の推進に向け,人口及び疾病構造の変化に応じた適切な医療提供体制の整備が必要」であり,「これらの変化に合わせて,患者のケアを中心的に担う看護職員の就業場所は,医療機関に限らず在宅や施設等へ拡がっており,多様な場において,医師など多職種と連携して適切な保健・医療・福祉を提供することが期待されており,患者の多様性・複雑性に対応した看護を創造する能力が求められている」と,看護基礎教育の内容を見直す趣旨を述べている。
 「看護基礎教育検討会」での議論を受け,在宅で療養生活を送る人々と家族をその対象としてきた従来の「在宅看護論」は,地域で暮らすすべての人々を対象とする「地域・在宅看護論」に変更され,内容も大きく拡充されることとなった。また,応用的な教育内容であることを示した統合分野という区分が廃止され,それに伴い統合分野であった「在宅看護論」は,「基礎看護学」の次に位置づけられる専門分野「地域・在宅看護論」として,地域に暮らす人々の理解とそこでの看護の教育内容が強化されたのである。

「地域・在宅看護論」のとらえ方
 看護の対象である人間は,周囲の環境から影響を受け,環境との相互作用のなかでたえず変化をしながら生活を営む存在である。そのうえで,外部からの刺激に巧みに対応し,患者の生命力の消耗を最少にするように環境を整え,健康の回復に寄与することが看護学の根底をなす考え方である。「地域・在宅看護論」の学習の目的は,人々が暮らす地域という環境において,対象者の「生きること」を支えるという,看護の基本となるものを理解することである。
 地域・在宅における看護は,人々が地域において,自分なりの健康で,自分の望む暮らしを送ることができ,また病気になっても住み慣れた地域で暮らすことができ,そして,その人の人生の最終段階にあたっては,自分の望む最期を,自分が望む場所で遂げることができるという,対象者や家族の望みや願いの実現を支えるものである。このような,対象者の,そして家族の「生きること」を支えるためには,1人ひとりの生き方に応じた医療とケアを,卓越した技能をもって提供する専門性が必要となる。日々の暮らしを支えるという,一見簡単にみえる地域・在宅における看護は,対象者の個別性に応じると同時に,医療とケアの提供にあたっては看護師の独創性も要求される。
 地域でのケアが進められるなかで,看護には,①対象者を全人的にとらえてその暮らしを重視する,②暮らしの場を熟知する,③対象者を取り巻く環境やシステム,人的・物的資源の活用に能力を発揮する,という専門性が明確化され,求められてきた。たとえば,在宅で療養をしている医療依存度の高い対象者のケアでは,在宅での日々の健康状態を的確に判断・評価するとともに,緊急時には医療施設も含めた地域での対応を,看護師の臨床判断・実践能力をもって適切に行わなければならい。さらに,地域での暮らしの継続を支援するためには,地域のさまざまな人的・物的資源を巻き込み,効果的に活用することが必要である。
 そのほか,地域の社会資源の活用や地域ネットワークの構築に向けても,看護師が専門性を発揮して独自の役割を担うことが,今後ますます求められる。たとえば,看護師が対象者の暮らしのなかからデータを収集し,その結果に基づいて行政などに新しいサービスの提案を行う,対象者の「生きること」を支えるために必要な社会資源を新たに創造するなどである。さらに,個別の看護実践にとどまらず,経験や技術を共有することで,エビデンスに基づいた地域における看護実践の向上に寄与することも求められている。
 このように地域では,社会情勢の変化や医療の発展に伴う医療・介護に対する人々のニーズの変化に対応するため,実に多様な看護が行われている。地域・在宅における看護は,これからさらに発展する看護領域であり,「地域・在宅看護論」は看護師にますます期待される看護を学ぶ教育内容である。

改訂の趣旨
 本書は,「看護基礎教育検討会」の議論をふまえ,『系統看護学講座 在宅看護論』を大幅に改訂したものである。看護の対象が「在宅の療養者とその家族」から「地域で暮らすすべての人々」に変更されたことに伴い,対象論や看護の役割などの概論,看護過程や看護技術,取り上げる事例,在宅も含めた地域におけるマネジメントなど,すべての内容を根本的に見直した。たとえば「食生活の援助」1つをとっても,在宅の療養者とその家族以外を対象とした医療保険・介護保険の制度外の予防的介入や,医療・介護・福祉の専門職だけに限らない幅広い連携・協働の視点を盛り込む必要があった。
 また,人々の暮らし,人々が暮らす地域,ライフステージや健康レベル,多様な看護の場,従来の枠をこえた多職種連携・協働,看護の創造についての内容を盛り込むため,これまで1巻構成だった『系統看護学講座 在宅看護論』を,2巻構成に変更した。1巻目にあたる『系統看護学講座 地域・在宅看護論[1]地域・在宅看護の基盤』は,地域における人々の暮らしと健康,暮らしの基盤としての地域,看護の対象者,人々の暮らしを支える看護,看護の実践の場と連携,法制度などを内容とし,看護学を学びはじめたばかりの低学年から使用できるテキストとなっている。2巻目にあたる『系統看護学講座 地域・在宅看護論[2]地域・在宅看護の実践』は,看護過程,看護技術,時期別の看護,事例,多職種連携・協働,マネジメントなどを内容とし,看護学の学習がある程度進んで,地域・在宅看護実習を控えた段階に対応するテキストとなっている。
 今回の改訂によって,地域において,人々の暮らしのなかで看護を提供することの意義やおもしろさに気づいてもらえることを願う。「看護基礎教育検討会」の求める「将来を担う看護師」の育成に資する内容を目ざしたが,まだ十分でない点もあるかと思う。ぜひ忌憚のないご意見をいただければ幸いである。

 2022年2月
 著者を代表して
 河原加代子

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序章 地域・在宅看護の実践
 A 療養者と家族の思いから始まる看護
 B さまざまな人たちが力を合わせる看護
 C 長期的なかかわりが必要になる看護

第1章 地域・在宅看護の展開
 A 地域・在宅看護における看護過程
  1 看護過程とその意義
  2 地域・在宅看護における看護過程の基本
  3 地域・在宅看護における看護過程の展開
 B 地域・在宅看護過程の展開方法
  1 地域・在宅看護過程の特徴
  2 地域・在宅看護過程における情報収集とアセスメント
  3 地域・在宅看護過程における看護目標の設定・計画
  4 地域・在宅看護の実施と評価
  5 地域・在宅看護過程をさらに発展させる視点
  6 地域・在宅看護の標準化に向けた取り組み

第2章 暮らしを支える看護技術
 A 暮らしの場で看護をするための心構え
  1 地域・在宅看護実践とは
  2 地域・在宅看護実践に欠かせない要素
 B セルフケアを支える対話・コミュニケーション
  1 対象者と看護師のパートナーシップ
  2 対象者と看護師の対話・コミュニケーション
 C 地域・在宅看護における家族を支える看護
  1 家族のアセスメントのポイント
  2 家族の支援
  3 家族支援の例
 D 地域・在宅看護における安全をまもる看護
  1 療養者の暮らしを取り巻くリスクと安全対策
  2 地域・在宅看護実践におけるリスクマネジメント
  3 地域・在宅看護における看護師への暴力・ハラスメント
 E 地域における暮らしを支える看護実践
  1 療養環境調整に関する地域・在宅看護技術
  2 活動・休息に関する地域・在宅看護技術
  3 食生活・嚥下に関する地域・在宅看護技術
  4 排泄に関する地域・在宅看護技術
  5 清潔・衣生活に関する地域・在宅看護技術
  6 苦痛の緩和・安楽確保に関する地域・在宅看護技術
  7 呼吸・循環に関する地域・在宅看護技術
  8 創傷管理に関する地域・在宅看護技術
  9 与薬に関する地域・在宅看護技術

第3章 地域・在宅における時期別の看護
 A 健康な時期の看護
  1 健康な時期とは
  2 健康な時期のおもな看護目標
  3 健康な時期のおもな看護計画
 B 外来受診期における看護
  1 外来受診期とは
  2 外来受診期のおもな看護目標
  3 外来受診期のおもな看護計画
 C 入院時の看護
  1 入院時とは
  2 入院時のおもな看護目標
  3 入院時のおもな看護計画
 D 在宅療養準備期(退院前)の看護
  1 在宅療養準備期とは
  2 在宅療養準備期のおもな看護目標
  3 在宅療養準備期のおもな看護計画
 E 在宅療養移行期の看護
  1 在宅療養移行期とは
  2 在宅療養移行期のおもな看護目標
  3 在宅療養移行期のおもな看護計画
 F 在宅療養安定期の看護
  1 在宅療養安定期とは
  2 在宅療養安定期のおもな看護目標
  3 在宅療養安定期のおもな看護計画
 G 急性増悪期の看護
  1 急性増悪期とは
  2 急性増悪期のおもな看護目標
  3 急性増悪期のおもな看護計画
 H 終末期の看護(グリーフケアを含む)
  1 終末期とは
  2 終末期のおもな看護目標
  3 終末期のおもな看護計画
 I 在宅療養終了期の看護

第4章 地域・在宅看護の事例展開
 A 事例を学ぶにあたって
  1 1人ひとりの「物語」に合わせて看護を展開する活動
  2 多様な対象者に多彩なケアを行う活動
 B 医療的ケア児の事例展開
  1 医療的ケア児を取り巻く状況
  2 訪問看護導入初期の看護
  3 退院前カンファレンス
  4 在宅療養の開始
  5 日常の看護の実際
  6 まとめ
 C 脳卒中の療養者の事例展開
  1 脳卒中の現状
  2 訪問看護導入初期の看護展開
  3 事例のポイントと今後の展開
 D 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の療養者の事例展開
  1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を取り巻く現状
  2 訪問看護導入初期の看護展開
  3 その後の展開
 E 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の療養者の事例展開
  1 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の療養者の状況
  2 訪問看護導入初期の看護展開
  3 訪問看護開始から1年後の病状の進行に合わせた看護展開
 F パーキンソン病の療養者の事例展開
  1 パーキンソン病の療養者の状況
  2 訪問看護導入初期の看護展開
  3 訪問看護開始3年後の変化に対応した看護展開
 G 統合失調症の療養者の事例展開
  1 統合失調症の療養者の状況
  2 訪問看護導入初期の看護展開
  3 その後の展開
 H 認知症高齢者の事例展開
  1 認知症の療養者の状況
  2 訪問看護導入初期の看護展開
  3 その後の展開
 I がん終末期の療養者の事例展開
  1 がん終末期の療養者の看取りの支援
  2 療養者の情報と退院までの経過
  3 終末期前期(初期)の看護
  4 終末期中期(安定期)の看護
  5 終末期後期(終末期・臨死期)の看護
  6 死亡直後の看護
  7 まとめ

第5章 地域共生社会における多職種連携・多職種チームでの協働
 A 地域・在宅看護における多職種連携・多職種チームでの協働
  1 看護師が連携・協働において果たす役割
  2 多職種チームでかかわる意義
  3 地域・在宅看護実践における多職種チーム
 B 医療・福祉・介護関係者との連携・協働
  1 地域共生社会の実現に向けた連携・協働
  2 地域・在宅看護の現場における連携・協働
 C 医療・福祉・介護関係者以外との連携・協働
  1 地域資源の可視化
  2 地域資源の開発プロセス
  3 インフォーマルな資源とフォーマルな資源の連携・協働
 D 地域共生社会を実現するために
  1 ケアの総量を増やす
  2 動的な調和を繰り返す
  3 地域共生の文化の醸成

第6章 地域・在宅看護マネジメント
 A 地域・在宅看護マネジメントとは
  1 マネジメントの考え方と地域・在宅看護マネジメント
  2 ケアマネジメントの考え方と地域・在宅看護マネジメント
  3 地域・在宅看護マネジメントのとらえ方
 B 多様な場における地域・在宅看護マネジメント
  1 病棟で行う地域・在宅看護マネジメント――退院支援
  2 外来における地域・在宅看護マネジメント
  3 介護保険制度上の地域・在宅看護マネジメント
  4 地域住民とともに行う地域・在宅看護マネジメント

第7章 地域・在宅看護活動の創造と展開例
 A 地域・在宅看護活動の創造
 B 「暮らしの保健室」の例
  1 「暮らしの保健室」とは
  2 「暮らしの保健室」の創設の経緯
  3 「暮らしの保健室」の活動
 C さまざまな地域・在宅看護活動の展開例
  1 子どもが地域の人々とつながる場としての展開例
  2 がん患者や家族の相談の場としての展開例
  3 地域の高齢者と看護学生との交流としての展開例
 D 地域・在宅看護活動の創造のための考え方

付章 資料編
 A 訪問看護実習の手引き
  1 実習に向けた心構え
  2 服装や身だしなみ
  3 態度と行動
  4 実習における学習方法
  5 感染予防
  6 事故・災害等発生時の対応
  7 個人情報の取り扱い
 B 参考資料

巻末資料 訪問看護師の1日の流れ
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