標準精神医学 第8版

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頻繁な改訂で常に最新情報を掲載。今版ではDSM-5に準拠し、構成を大きく見直した。インターネットゲーム障害などの新しい疾患も網羅し、精神医学の「現在のスタンダード」を丁寧に解説。各章冒頭の「この章で学んでほしい要点」「最近の動向」「構成マップ」は、知識の整理や試験前の復習に最適。症例の提示や症状を図示したイラストは病像が理解しやすい。執筆陣の経験に根差した臨床のエッセンスが精神医学の魅力を伝える!


 

『標準医学シリーズ 医学書院eテキスト版』は「基礎セット」「臨床セット」「基礎+臨床セット」のいずれかをお選びいただくセット商品です。
各セットは、該当する領域のタイトルをセットにしたもので、すべての標準シリーズがセットになっているわけではございません。

 

シリーズ 標準医学
編集 尾崎 紀夫 / 三村 將 / 水野 雅文 / 村井 俊哉
発行 2021年03月判型:B5頁:592
ISBN 978-4-260-04291-8
定価 7,150円 (本体6,500円+税)
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第8版 序

 全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,本稿執筆時点でも収束の兆しを見せず,感染者数は増加の一途をたどっている.人類史の1ページに刻まれるであろうこの感染症の拡大をきっかけに,われわれの日々の生活は大きく変化した.移動や人的な交流は制限され,それに伴いオンライン授業やリモートワークが浸透し,今やそれが当たり前のものとなりつつある.
 こうした社会の急激な変化は,脳とこころの健康にも大きな影響を及ぼしている.感染に対する不安や恐怖,行動制限・変容に伴う孤独感や抑うつなどに加えて,COVID-19が脳に与える影響も報告されており,脳とこころの不調の要因もますます多様化してきている.「21世紀は脳とこころの時代」といわれ,脳とこころの問題を取り扱う精神医学への関心は年々増してきたが,今後はその果たすべき役割の重要性がより高まるのは間違いないであろう.そして,日進月歩の脳科学,ゲノム科学,AI(人工知能)など先端科学を取り込みつつ,確かな時代のスタンダードを示す精神医学のテキストもまた,これまで以上に求められていくのではないだろうか.
 さて,本書は2001年発行の第2版より「精神医学のおもしろさ,奥深さを伝える教科書」を目指すという編集方針を堅持し,版を重ねてきた.その間,目次構成についても大きな変更を加えずにきたが,2014年に日本語版が発行された米国精神医学会の診断基準DSM-5が広く浸透したことを鑑み,この第8版ではDSM-5の配列に沿って疾患各論の並び順を変更している.それに伴い,章編成やタイトルも変更し,「うつ病と双極性障害」はそれぞれ独立させ,「神経症性障害」も「不安症・解離症・身体症状症」と「強迫症」に分けた.また,第7版まで多様な疾患を一括りにしていた「パーソナリティ障害と行動異常」から「パーソナリティ障害」を独立させ,一部の行動異常については新設の「精神科で対応することのある他の疾患および状態」の中で取り扱っている.昨今注目を集めることの多い「ギャンブル障害」「インターネットゲーム障害」についても,嗜癖性障害のパートで取り上げた.
 世界保健機関(WHO)の国際疾病分類であるICD-11については,本書編集時点で改訂作業が継続中のため,内容を取り入れるのは次版以降になるだろう.しかし,読者諸氏の関心の高さを鑑み,可能な範囲で「最近の動向」欄などで情報を提供した.
 なお,今回の改訂でもアンケートや読者モニターを実施し,時代的要請に応えるのみならず,読者にとっての有用性がさらに高まるように努めた.第8版における主な改訂点は以下のとおりである.

 ・各章の冒頭に掲載した「この章で学んでほしい要点」「最近の動向」「構成マップ」は好評のため継続する.特に「この章で学んでほしい要点」は,箇条書きで簡潔な形にしてほしいという読者の声に応え,よりわかりやすくポイントを押さえた記述を心がけた.
 ・症例提示と,症状や徴候を図示したイラストも,今版で強化した.初学者にはイメージしにくい病像も,具体性を増すことで学習の助けになればと考えている.
 ・編集体制は第7版から継続し,尾崎紀夫,三村 將,水野雅文,村井俊哉の4名が編集者としてかかわった.また,各章の執筆担当者も世代交代を図り,7名の新たな執筆者を迎えた.
 今回も執筆者の先生方には,臨床や研究,教育などでご多忙のなか本書の執筆
に参画いただき,豊富な経験に根ざした臨床のエッセンスを惜しみなく盛り込ん
でいただいた.この場を借りて厚く御礼申し上げる.

 本書が,精神医学を学ぼうとする多くの読者にとって有用な教科書であり続けるために,今後も3年に1回を目安とした改訂を行い,常に最新の情報をお届けできるよう努力したい.読者の皆さまからご意見をいただければ幸いである.

 2021年2月
 編者

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総論
 第1章 精神医学とは
  本章の構成マップ
  I 精神医学とは何か
  II 正常と異常
  III 精神医学の方法論
  IV 精神医学の歴史
  V 精神疾患の分類と診断
 第2章 脳科学と精神医学
  本章の構成マップ
 第3章 精神機能とその異常
  本章の構成マップ
  I 意識
  II 知覚
  III 記憶
  IV 見当識
  V 睡眠
  VI 知能
  VII 言語
  VIII 思考
  IX 感情
  X 意志,欲動,行動,精神運動
  Ⅺ 自我意識
  Ⅻ 人格(パーソナリティ),性格
 第4章 精神発達
  本章の構成マップ
  I 総論
  II 発達段階とその特徴
 第5章 精神医学的診察と診断
  本章の構成マップ
  I 面接法
  II 検査法
 第6章 精神科治療学
  本章の構成マップ
  I 身体療法
  II 薬物療法
  III 精神療法
 第7章 コンサルテーション・リエゾン精神医学
  本章の構成マップ
 第8章 精神医療と社会
  本章の構成マップ
  I 精神保健
  II 地域精神医療
  III 災害精神医学
  IV 精神保健福祉法
  V 司法精神医学

各論
 第9章 発達障害(神経発達症群)およびその他の児童期の精神疾患
  本章の構成マップ
  I 発達障害
  II その他の児童期の精神疾患
  III 児童期の診察の留意点
 第10章 統合失調症
  本章の構成マップ
 第11章 うつ病
  本章の構成マップ
 第12章 双極性障害
  本章の構成マップ
 第13章 不安症・解離症・身体症状症
  本章の構成マップ
  I 概念・歴史・分類
  II 不安症群/不安障害群
  III 解離症群/解離性障害群
  IV 身体症状症および関連症群
 第14章 強迫症
  本章の構成マップ
  I 総論
  II 各論
 第15章 心的外傷およびストレス因関連障害
  本章の構成マップ
  I 総論
  II 各論
 第16章 摂食障害
  本章の構成マップ
 第17章 睡眠-覚醒障害
  本章の構成マップ
  I 総論
  II 各論
 第18章 物質関連障害および嗜癖性障害
  本章の構成マップ
  I 概念
  II 各論
 第19章 認知症
  本章の構成マップ
  I 総論
  II 各論
 第20章 てんかん
  本章の構成マップ
  I 総論
  II 各論
 第21章 パーソナリティ障害
  本章の構成マップ
 第22章 精神科で対応することのある他の疾患および状態
  本章の構成マップ
  I 秩序破壊的・衝動制御・素行症群
  II 性別違和
  III パラフィリア障害群(性嗜好障害)
  IV 性機能不全
 第23章 精神疾患の原因となりうる医学疾患・薬剤・化学物質
  本章の構成マップ
  I 精神疾患の原因となりうる医学疾患
  II 精神疾患の原因となりうる医薬品,化学物質(乱用・依存性物質を除く)

付録 精神科臨床実習の手引き
  A 臨床実習の目的と意義
  B 臨床実習の実際
  C 精神科における医療面接――予診のとり方を通じて

人名索引
和文索引
欧文索引

・こころの病を描いた映画
 統合失調症 『ビューティフル・マインド』
 病気不安症 『ハンナとその姉妹』
 パニック症 『アナライズ・ミー』
 統合失調症 『シャイン』
 うつ病 『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』
 解離性健忘 『パリ,テキサス』
 強迫症 『恋愛小説家』
 PTSD 『再会の街で』
 アルコール使用障害 『男が女を愛する時』
 認知症 『電話で抱きしめて』
 境界性パーソナリティ障害 『17歳のカルテ』

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