母性看護学[2]
母性看護学各論 第14版

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・第1章では、授業の導入部で妊娠各期の母親の姿をイメージできるよう、事例を掲載しました。不妊治療を受ける高齢初産婦を例に、体外受精から妊娠期、分娩期、産褥期、そして産後の支援にいたるまでを簡潔に示しています。
・新生児について学習する第5章および第7章Ⅲでは、記述の全面的な見直しをはかりました。疾患等の写真についても新しくなっています。
・新生児の看護に関する動画を多数追加しました。実際の新生児をモデルに、沐浴・身体計測・バイタルサインの測定・全身観察・抱き方などについて学習ができます。また、新生児の反射についても動画を掲載しています。
・妊娠各期を総合的に理解できるように、まず正常な周産期を理解したうえで、それぞれのハイリスクなケースについて扱う構成にしています。
・周産期における母性と胎児・新生児の身体的、心理・社会的特徴とその看護に加え、家族の心理・社会的変化に対する看護を記述しています。また、最新の診断法や疾患の定義などについても記述し、理解を促す写真や図を豊富に掲載しています。
・遺伝相談・不妊治療・出生前診断に加え、多胎児をもつ母親への支援や、児を亡くした褥婦・家族の看護など、母性看護における今日的な話題についても、しっかりと扱っています。

*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座-専門分野Ⅱ
森 恵美
発行 2021年02月判型:B5頁:640
ISBN 978-4-260-04223-9
定価 3,410円 (本体3,100円+税)

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はしがき

 母性看護学は,看護基礎教育のカリキュラムとして誕生して以来,妊産褥婦および新生児への看護活動に加え,次世代の健全育成を目ざし,母性の一生を通じた健康の維持・増進,疾病予防を目的とした看護活動を支える実践科学として発展してきました。現在,母性看護の対象は,妊産褥婦とその子ども,将来子どもを産み育てるべき女性,および過去においてその役目を果たした女性のみならず,生涯を通じての性と生殖に関する健康をまもるという観点から,女性と生殖や育児のパートナーとしての男性,子どもが生まれるあるいは乳幼児を育てる家族,その家族が生活する地域社会をも含むようになりました。このことは,次世代が健康に生まれ育つことが普遍的な人類の願いであり,時代の変遷とともに,子どもをより健康な状態で産み育てるための母性への支援が,質的・量的に変化していることを示しています。これは同時に,女性の生涯や役割の多様化,医学の進歩・発展,晩産化と少子高齢化,母子をめぐる生活環境の著しい変化,国際結婚・外国人家族の増加などによって,母性看護の役割はますます拡大されていることを意味します。
 本書では,このような母性看護の役割拡大をふまえ,母性看護の基盤となる概念を,母性看護を実践するうえでの考え方や方向性と関連づけて示し,実践活動に活用できるように解説しました。これに加え,女性の一生を通じた母性の健康の保持・増進を目ざした看護を基盤として,次世代の健全育成を目ざす看護を述べています。また,社会的弱者である子どもや母親,女性,家族,患者の立場にたった個別性の高い看護実践が可能となるように,統合体としての母性や親となる家族を理解するための身体的および心理・社会的知識,看護過程の展開方法,看護実践時の安全管理と倫理について充実をはかりました。そして,これらを系統的に述べることで,かぎられた時間でも重要な内容が効率的かつ漸進的に自己学習できるような構成としています。
 『母性看護学[1]母性看護学概論』では,第1章で母性看護の基礎となる概念について,母性看護を必要とする対象の特徴および母性看護独自の特徴から解説したほか,近年,注目される事項についても概説しました。第2章では,母性看護の対象を取り巻く社会の変遷と現状について理解を深めるだけでなく,母性看護の課題や役割を考えるために,各種統計資料から幅広く把握して考える方法を整理し,提示しました。第3章では,母性看護の対象を①受精から女性の成熟期・更年期までの形態・機能の特性とその変化,②女性・家族のライフサイクルの変化,③母性としての発達・成熟・継承における特性とその変化の視点からまとめました。②③については昨今の情勢に応じて記述を刷新しました。第4章では,第2章や第3章で述べた母性看護の特性をふまえたうえで,母性看護実践に必要な技術として対象者のアセスメントと看護実践の提供の方向性を示しました。第5章では女性のライフステージ各期における,その時期の女性の特徴や健康問題について改めて項目・内容を整理し,リプロダクティブヘルスとの関係から看護を論じました。第6章では,女性の生涯を通じた健康の保持・増進の観点から,リプロダクティブヘルスケアとして,家族計画および,リプロダクティブヘルスに関する主要な健康問題と看護を解説しました。巻末には,わが国の母子保健対策,男女共同参画社会に向けての政策を理解し,母性看護を実践するにあたり重要な各種の法令を紹介しています。
 『母性看護学[2]母性看護学各論』では,第1章で,上記をふまえて母性看護学の役割拡大について述べ,不妊治療を経て妊娠・出産にいたる女性について,具体的な事例を示しています。第2章では,妊娠前からの女性・家族への支援を,必要となる医療とともに解説しました。第3章~第6章では,正常経過にある妊産褥婦と新生児の看護について,第7章では異常経過にある対象者への看護について,それぞれ身体的特性と心理・社会的特性,アセスメントおよび看護という構成で示しています。これにより,対象者の経過にそって系統的に母性看護の学習ができるようになっています。第7章の周産期の異常経過にある対象者への看護については,第3章~第6章で述べた正常経過の基礎知識や看護を確認しながら学習することで,より理解が深まるでしょう。さらに今版では,本文の図表に関連する動画へのリンクを掲載したので,視覚的理解がスムーズに行えるようになりました。付章には,看護を展開する例として,「事例による看護過程の展開」をまとめています。これらは対象者を統合体として理解するための学習のほか,実習や国家試験の状況設定問題への対策として活用していただけると幸いです。巻末には,妊産婦・新生児における各種検査値を付録として掲載し,また,各種援助技術の動画を「動画一覧」としてまとめて掲載しています。昨今急速に普及の進んだICT機器を用いた学習や,遠隔授業などで積極的に活用していただけたらと思います。
 母性看護学を学ぶ方に,本書が講義の理解を深め実習にも活用できる教材として広く使用いただけること,また,すでに母性看護を実践されている看護職者の方にも,基本的な知識の確認や自己の看護実践のふり返りなどに活用いただけることを願います。女性に寄り添う看護,家族中心の看護family centered care がさらに活発になり,第二次計画が進行している「健やか親子21」の目標が達成されることを心から願います。

 2020年10月
 著者ら

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第1章 子どもを産み育てることとその看護を学ぶにあたって
  A 子どもを産み育てるということ
  B 母親になるということ
  C 不妊治療を受けて妊娠した妊産褥婦の姿
  D 子どもを産み育てることと看護を学ぶにあたって

第2章 出生前からのリプロダクティブヘルスケア
  A リプロダクティブヘルスケアの必要性
  B 遺伝相談
  C 不妊治療と看護

第3章 妊娠期における看護
  A 妊娠期の身体的特性
  B 妊娠期の心理・社会的特性
  C 妊婦と胎児のアセスメント
  D 妊婦と家族の看護

第4章 分娩期における看護
  A 分娩の要素
  B 分娩の経過
  C 産婦・胎児,家族のアセスメント
  D 産婦と家族の看護
  E 分娩期の看護の実際

第5章 新生児期における看護
  A 新生児の生理
  B 新生児のアセスメント
  C 新生児の看護

第6章 産褥期における看護
  A 産褥経過
  B 褥婦のアセスメント
  C 褥婦と家族の看護
  D 施設退院後の看護

第7章 妊娠・分娩・新生児・産褥の異常
 I 妊娠の異常と看護
  A ハイリスク妊娠
  B 妊娠期の感染症
  C 妊娠疾患
  D 多胎妊娠
  E 妊娠持続期間の異常
  F 異所性妊娠
  G ハイリスク妊婦の看護
 II 分娩の異常と看護
  A 産道の異常
  B 娩出力の異常
  C 胎児の異常による分娩障害
  D 胎児の付属物の異常
  E 胎児機能不全
  F 分娩時の損傷
  G 分娩第3期および分娩直後の異常
  H 分娩時異常出血
  I 産科処置と産科手術
  J 異常のある産婦の看護
  K 異常分娩時の産婦の看護
  L 分娩時異常出血のある産婦の看護
 III 新生児の異常と看護
  A 新生児仮死
  B 分娩外傷
  C 低出生体重児
  D 高ビリルビン血症
  E 新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症
 IV 産褥の異常と看護
  A 子宮復古不全
  B 産褥期の発熱
  C 産褥血栓症
  D 精神障害
  E 異常のある褥婦の看護
  F 育児に困難さをかかえる母親への看護
  G 児を亡くした褥婦・家族の看護
 V メンタルヘルスの問題をかかえる母親の支援
  A 妊娠・出産・育児への影響
  B 治療および看護

付章 事例による看護過程の展開
  A 妊娠期の看護
  B 分娩期の看護
  C 新生児の看護
  D 褥婦への看護

参考文献
巻末資料
動画一覧
索引

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