母性看護学[1]
母性看護学概論 第14版

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・本書では、女性のライフサイクルを対象とし、生涯にわたった女性の健康や健康問題、その看護を取り上げています。
・母性看護の基盤となる「母性」「セクシュアリティ」「リプロダクティブヘルス/ライツ」などの概念をていねいに解説しています。
・母性に関する統計データについて、項目・内容を改めて整理しました。母性看護の基盤となる社会保障制度、解剖生理についても、グラフやイラストで理解しやすくしています。
・母性看護での看護過程・アセスメント技術・看護技術の特徴について、イラストでイメージをしながら学習できるようにしています。
・女性のライフサイクルの特徴と各期での健康問題について記述を刷新しました。性感染症や喫煙、性暴力、DV、児童虐待などの、ライフステージをまたいだ健康問題についても取り上げています。
・国際化社会における母性看護について、アウトバウンドの内容を新たに加え、海外での妊娠・出産や不妊治療についても学習できるようにしました。

*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。

シリーズ 系統看護学講座-専門分野Ⅱ
森 恵美
発行 2021年01月判型:B5頁:376
ISBN 978-4-260-04225-3
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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はしがき

 母性看護学は,看護基礎教育のカリキュラムとして誕生して以来,妊産褥婦および新生児への看護活動に加え,次世代の健全育成を目ざし,母性の一生を通じた健康の維持・増進,疾病予防を目的とした看護活動を支える実践科学として発展してきました。現在,母性看護の対象は,妊産褥婦とその子ども,将来子どもを産み育てるべき女性,および過去においてその役目を果たした女性のみならず,生涯を通じての性と生殖に関する健康をまもるという観点から,女性と生殖や育児のパートナーとしての男性,子どもが生まれるあるいは乳幼児を育てる家族,その家族が生活する地域社会をも含むようになりました。このことは,次世代が健康に生まれ育つことが普遍的な人類の願いであり,時代の変遷とともに,子どもをより健康な状態で産み育てるための母性への支援が,質的・量的に変化していることを示しています。これは同時に,女性の生涯や役割の多様化,医学の進歩・発展,晩産化と少子高齢化,母子をめぐる生活環境の著しい変化,国際結婚・外国人家族の増加などによって,母性看護の役割はますます拡大されていることを意味します。
 本書では,このような母性看護の役割拡大をふまえ,母性看護の基盤となる概念を,母性看護を実践するうえでの考え方や方向性と関連づけて示し,実践活動に活用できるように解説しました。これに加え,女性の一生を通じた母性の健康の保持・増進を目ざした看護を基盤として,次世代の健全育成を目ざす看護を述べています。また,社会的弱者である子どもや母親,女性,家族,患者の立場にたった個別性の高い看護実践が可能となるように,統合体としての母性や親となる家族を理解するための身体的および心理・社会的知識,看護過程の展開方法,看護実践時の安全管理と倫理について充実をはかりました。そして,これらを系統的に述べることで,かぎられた時間でも重要な内容が効率的かつ漸進的に自己学習できるような構成としています。
 『母性看護学[1]母性看護学概論』では,第1章で母性看護の基礎となる概念について,母性看護を必要とする対象の特徴および母性看護独自の特徴から解説したほか,近年,注目される事項についても概説しました。第2章では,母性看護の対象を取り巻く社会の変遷と現状について理解を深めるだけでなく,母性看護の課題や役割を考えるために,各種統計資料から幅広く把握して考える方法を整理し,提示しました。第3章では,母性看護の対象を①受精から女性の成熟期・更年期までの形態・機能の特性とその変化,②女性・家族のライフサイクルの変化,③母性としての発達・成熟・継承における特性とその変化の視点からまとめました。②③については昨今の情勢に応じて記述を刷新しました。第4章では,第2章や第3章で述べた母性看護の特性をふまえたうえで,母性看護実践に必要な技術として対象者のアセスメントと看護実践の提供の方向性を示しました。第5章では女性のライフステージ各期における,その時期の女性の特徴や健康問題について改めて項目・内容を整理し,リプロダクティブヘルスとの関係から看護を論じました。第6章では,女性の生涯を通じた健康の保持・増進の観点から,リプロダクティブヘルスケアとして,家族計画および,リプロダクティブヘルスに関する主要な健康問題と看護を解説しました。巻末には,わが国の母子保健対策,男女共同参画社会に向けての政策を理解し,母性看護を実践するにあたり重要な各種の法令を紹介しています。
 『母性看護学[2]母性看護学各論』では,第1章で,上記をふまえて母性看護学の役割拡大について述べ,不妊治療を経て妊娠・出産にいたる女性について,具体的な事例を示しています。第2章では,妊娠前からの女性・家族への支援を,必要となる医療とともに解説しました。第3章~第6章では,正常経過にある妊産褥婦と新生児の看護について,第7章では異常経過にある対象者への看護について,それぞれ身体的特性と心理・社会的特性,アセスメントおよび看護という構成で示しています。これにより,対象者の経過にそって系統的に母性看護の学習ができるようになっています。第7章の周産期の異常経過にある対象者への看護については,第3章~第6章で述べた正常経過の基礎知識や看護を確認しながら学習することで,より理解が深まるでしょう。さらに今版では,本文の図表に関連する動画へのリンクを掲載したので,視覚的理解がスムーズに行えるようになりました。付章には,看護を展開する例として,「事例による看護過程の展開」をまとめています。これらは対象者を統合体として理解するための学習のほか,実習や国家試験の状況設定問題への対策として活用していただけると幸いです。巻末には,妊産婦・新生児における各種検査値を付録として掲載し,また,各種援助技術の動画を「動画一覧」としてまとめて掲載しています。昨今急速に普及の進んだICT機器を用いた学習や,遠隔授業などで積極的に活用していただけたらと思います。
 母性看護学を学ぶ方に,本書が講義の理解を深め実習にも活用できる教材として広く使用いただけること,また,すでに母性看護を実践されている看護職者の方にも,基本的な知識の確認や自己の看護実践のふり返りなどに活用いただけることを願います。女性に寄り添う看護,家族中心の看護family centered care がさらに活発になり,第二次計画が進行している「健やか親子21」の目
標が達成されることを心から願います。

 2020年10月
 著者ら

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第1章 母性看護の基盤となる概念
 A 母性とは
  ①親になることと母性
  ②母性の身体的特性
  ③母性の心理・社会的特性
  ④母性看護における母性
 B 母子関係と家族発達
  ①愛着・母子相互作用と母子関係形成
  ②母親となることへの看護
  ③家族機能
  ④家族の発達課題
 C セクシュアリティ(人間の性)
  ①セクシュアリティとは
  ②セクシュアリティの発達と課題
 D リプロダクティブヘルス/ライツ
  ①リプロダクティブヘルス/ライツとは
  ②女性とリプロダクティブヘルス/ライツの課題
  ③女性のライフサイクルにおけるリプロダクティブヘルス/ライツ
 E ヘルスプロモーション
  ①ヘルスプロモーションとは
  ②女性の生涯にわたる健康教育
  ③ヘルスプロモーション活動における協働
 F 母性看護のあり方
  ①母性看護の理念
  ②母性看護の課題と展望
 G 母性看護における倫理
  ①生命倫理と看護倫理
  ②看護における倫理的意思決定
 H 母性看護における安全・事故予防
  ①リスクマネジメント
  ②事故への対応

第2章 母性看護の対象を取り巻く社会の変遷と現状
 A 母性看護の歴史的変遷と現状
  ①わが国における母性看護の変遷
  ②母性看護にかかわる指標とその推移
  ③母性看護にかかわる法律
  ④母性看護にかかわる施策
 B 母性看護の提供システム
  ①母性看護にかかわる機関
  ②母性看護に携わる職種

第3章 母性看護の対象理解
 A 女性のライフサイクルにおける形態・機能の変化
  ①生殖器の形態・機能
  ②妊娠と胎児の性分化
 B 女性のライフサイクルと家族
  ①女性の一生をあらわす用語
  ②現代女性のライフサイクル
  ③家族の発達段階と家族看護
  ④女性のライフサイクルと生涯発達
 C 母性の発達・成熟・継承
  ①女性性の発達
  ②母性・父性・親性の発達
  ③母子関係と愛着
  ④母性の世代間伝達

第4章 母性看護に必要な看護技術
 A 母性看護における看護過程
  ①母性看護における対象把握(情報収集・アセスメント)
  ②看護上の問題の明確化(看護診断)
  ③看護計画の立案から評価までの展開
 B 情報収集・アセスメント技術
  ①女性のヘルスアセスメントの考え方
  ②ヘルスアセスメントの方法
 C 母性看護に使われる看護技術
  ①基盤となる看護技術
  ②女性の意思決定を支える看護技術
  ③ヘルスプロモーションのための看護技術
  ④親になる過程および家族適応を促す看護技術
  ⑤ストレス・不快症状・苦痛を緩和する看護技術
  ⑥次世代の成長・発達を促す看護技術
  ⑦リプロダクティブヘルスの健康障害への対応
  ⑧周産期の死に対する看護技術

第5章 女性のライフステージ各期における看護
 A ライフサイクルにおける女性の健康と看護
  ①社会の変化に伴う女性の身体および健康問題の変化
  ②女性のライフサイクルに応じた身体機能の変化
  ③ライフサイクル各期に共通する看護
 B 思春期の健康と看護
  ①思春期女性の特徴
  ②健康問題と看護
  ③思春期女性への看護の視点
 C 性成熟期の健康と看護
  ①性成熟期女性の特徴
  ②健康問題と看護
 D 更年期・老年期の健康と看護
  ①更年期・老年期女性の特徴
  ②健康問題と看護

第6章 リプロダクティブヘルスケア
 A 家族計画
  ①家族計画とは
  ②受胎調節法
  ③受胎調節指導のあり方
 B 性感染症とその予防
  ①性感染症の医学的な背景と予防
  ②性感染症の罹患状況と予防
 C HIVに感染した女性に対する看護
  ①HIVの感染とエイズの発症
  ②HIVに感染した女性に必要なケア
  ③HIVに感染した妊産褥婦に必要なケア
 D 人工妊娠中絶と看護
  ①人工妊娠中絶の現状
  ②人工妊娠中絶術の概要とその影響
  ③人工妊娠中絶時の看護
 E 喫煙と女性の健康
  ①喫煙者の動向
  ②喫煙の健康への影響
  ③禁煙支援
  ④喫煙予防への取り組み
  ⑤新型タバコの健康への影響と規制の状況
 F 性暴力を受けた女性に対する看護
  ①性暴力と社会
  ②性暴力被害の実態と社会の対応
  ③性暴力を受けた女性への援助
 G 児童虐待と看護
  ①児童虐待の実態
  ②児童虐待の対策
  ③児童虐待の予防
 H 国際化社会と看護
  ①母子保健の国際化
  ②在日外国人の母子保健
  ③海外での日本人の妊娠・出産・育児

参考文献
付録 関係法規の抄録
索引

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