快適!ストーマ生活 第2版
日常のお手入れから旅行まで
「つくった後」が、本番です。ストーマケアの不安・お悩みを解消!
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患者指導に携わるナースはもちろん、患者本人や介護者にもわかりやすい、ストーマセルフケアの解説書が待望の改訂! 意外と知らないお手入れのちょっとしたコツや日常生活を快適に過ごすための工夫が満載。合併症の見極め・対応方法などの情報も充実。切り取って使える「災害時用携帯カード」「海外旅行時用携帯カード」の付録つき。
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序文
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はじめに
はじめて医師からストーマ(人工肛門、人工膀胱)をつくる説明を受けた際、誰もが未知なるものへの漠然とした不安や恐怖、ショックに襲われます。また、ストーマをつくってからしばらくは、本書のタイトルのように「快適!」というわけにはいかず、むしろ排泄方法が変わったことによって、日常生活が不自由になったと感じることがあるかもしれません。
しかし、ストーマは日常生活を極端に制限するものではありません。ストーマに慣れ、ストーマとともに過ごす生活を工夫することによって、自分らしい充実した人生を送ることは可能なのです。ただ、そのためには、ストーマとはどのようなものかを理解し、トラブルが起きにくいストーマのお手入れの方法やストーマの合併症とその対応について学ぶことが大切です。
筆者(松浦)は、褥瘡やストーマを専門とする「WOCナース」として長年働いてきましたが、患者さんやスタッフナースからの相談を受けるなかで、「スタッフはもちろん、患者さん自身が術前から使える、実用的でわかりやすいストーマの本があったらいいのにな……」と常々、考えていました。そんな折、医学書院から本書のご提案をいただき、2012年に初版を発行しました。
このたび第2版を発行することになりました。ストーマをもつすべての方とその家族、援助者の方に必要なケアのポイントを、イラストや写真で解説するという基本コンセプトは、初版と同じです。第2版では、介護者が部屋で装具交換する場合の手順や海外旅行時用携帯カードの紹介、ストーマ関連用品の情報追加をはじめとして、随所をアップデートしました。
看護師をはじめとした医療者の方にとっては、ストーマをつくる方に対する、退院後の日常生活までを見据えたアドバイスのためのパンフレットとして活用していただけると思います。また近年、制度改正により、合併症がなくストーマが安定し、専門的な管理が必要とされない場合には、ストーマ装具の交換は医療行為にあたらないと規定されました。医師や看護師以外のケア従事者による装具交換が可能となったことで、本書は、介護現場でも実用書として役立てていただけるのではないかと思います。
何より、本書を活用していただくことで、ストーマをつくった方に適切な情報を知っていただき、ストーマに対する不安を少しでも軽減してもらえれば、これに勝る喜びはありません。ストーマに対する嫌悪感を払拭し、それぞれの方にあったお手入れの方法を身につけ、自信をもってストーマとともに第二の人生を歩んでいただくことを、切に願っています。
本書を作成する機会を与えていただき、また制作にあたって多大な協力をいただいた医学書院の皆さま、ストーマ関連用品の写真を提供してくださった各メーカーの皆さまにこの場をおかりして厚く御礼を申し上げます。
2019年4月
松浦信子
はじめて医師からストーマ(人工肛門、人工膀胱)をつくる説明を受けた際、誰もが未知なるものへの漠然とした不安や恐怖、ショックに襲われます。また、ストーマをつくってからしばらくは、本書のタイトルのように「快適!」というわけにはいかず、むしろ排泄方法が変わったことによって、日常生活が不自由になったと感じることがあるかもしれません。
しかし、ストーマは日常生活を極端に制限するものではありません。ストーマに慣れ、ストーマとともに過ごす生活を工夫することによって、自分らしい充実した人生を送ることは可能なのです。ただ、そのためには、ストーマとはどのようなものかを理解し、トラブルが起きにくいストーマのお手入れの方法やストーマの合併症とその対応について学ぶことが大切です。
筆者(松浦)は、褥瘡やストーマを専門とする「WOCナース」として長年働いてきましたが、患者さんやスタッフナースからの相談を受けるなかで、「スタッフはもちろん、患者さん自身が術前から使える、実用的でわかりやすいストーマの本があったらいいのにな……」と常々、考えていました。そんな折、医学書院から本書のご提案をいただき、2012年に初版を発行しました。
このたび第2版を発行することになりました。ストーマをもつすべての方とその家族、援助者の方に必要なケアのポイントを、イラストや写真で解説するという基本コンセプトは、初版と同じです。第2版では、介護者が部屋で装具交換する場合の手順や海外旅行時用携帯カードの紹介、ストーマ関連用品の情報追加をはじめとして、随所をアップデートしました。
看護師をはじめとした医療者の方にとっては、ストーマをつくる方に対する、退院後の日常生活までを見据えたアドバイスのためのパンフレットとして活用していただけると思います。また近年、制度改正により、合併症がなくストーマが安定し、専門的な管理が必要とされない場合には、ストーマ装具の交換は医療行為にあたらないと規定されました。医師や看護師以外のケア従事者による装具交換が可能となったことで、本書は、介護現場でも実用書として役立てていただけるのではないかと思います。
何より、本書を活用していただくことで、ストーマをつくった方に適切な情報を知っていただき、ストーマに対する不安を少しでも軽減してもらえれば、これに勝る喜びはありません。ストーマに対する嫌悪感を払拭し、それぞれの方にあったお手入れの方法を身につけ、自信をもってストーマとともに第二の人生を歩んでいただくことを、切に願っています。
本書を作成する機会を与えていただき、また制作にあたって多大な協力をいただいた医学書院の皆さま、ストーマ関連用品の写真を提供してくださった各メーカーの皆さまにこの場をおかりして厚く御礼を申し上げます。
2019年4月
松浦信子
目次
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パート1 あなたのストーマはどれですか?
消化管と泌尿器のしくみ
ストーマってどういうもの?
手術前にストーマの位置を決めることの大切さ
ストーマの種類を確認しよう
1 消化器ストーマの種類
2 尿路ストーマの種類
排泄物(便や尿)の処理
パート2 ストーマのお手入れ
ストーマ装具の選び方
1 単品系装具と二品系装具の違い
2 二品系装具のフランジは3種類
3 面板選択の5つのポイント
4 ストーマ袋選択のポイント
5 その他のストーマケア用品
装具交換の基本手順
1 風呂場で交換する場合
2 介護者が部屋で交換する場合
3 尿路ストーマを交換する場合
知っておきたい装具交換のポイント
はくり剤の種類と使い方
装具交換の際のスキンケア
洗腸(灌注排便法)
洗腸中のトラブル
洗腸をやめるとき
パート3 快適な日常生活を過ごすために
食事
入浴
衣服
睡眠
通勤・通学
旅行
海外旅行で役立つ英会話
外出
装具の購入・保管
運動
性生活
災害時の備え
福祉制度
ストーマをもつ人の身体障害の等級
身体障害者手帳によって受けられる福祉サービス
相談窓口・患者会
パート4 それは合併症かも?
合併症とは
皮膚のトラブル① ストーマ周囲
皮膚のトラブル② 面板を貼った部分
皮膚のトラブル③ 面板のふち
皮膚のトラブル④ こんなときはすぐ受診!
出血
傍ストーマヘルニア
ストーマ脱出
狭窄
ストーマ静脈瘤
付録① 災害時用携帯カード
付録② 海外旅行時用携帯カード
プラス 1
ストーマについてもっと知りたい方のための情報源
肛門から白いぬるぬるした液体が出ても異常ではありません
皮膚保護剤の歴史
ストーマ用カーブはさみ(福山医科)
ストーマ装具の捨て方
食事についてもっと知りたい方にお勧めの書籍
オストメイトのためのお手軽体操
障害者差別解消法
オストメイト対応トイレの設置場所
ヘルプマークをご存知ですか?
消化管と泌尿器のしくみ
ストーマってどういうもの?
手術前にストーマの位置を決めることの大切さ
ストーマの種類を確認しよう
1 消化器ストーマの種類
2 尿路ストーマの種類
排泄物(便や尿)の処理
パート2 ストーマのお手入れ
ストーマ装具の選び方
1 単品系装具と二品系装具の違い
2 二品系装具のフランジは3種類
3 面板選択の5つのポイント
4 ストーマ袋選択のポイント
5 その他のストーマケア用品
装具交換の基本手順
1 風呂場で交換する場合
2 介護者が部屋で交換する場合
3 尿路ストーマを交換する場合
知っておきたい装具交換のポイント
はくり剤の種類と使い方
装具交換の際のスキンケア
洗腸(灌注排便法)
洗腸中のトラブル
洗腸をやめるとき
パート3 快適な日常生活を過ごすために
食事
入浴
衣服
睡眠
通勤・通学
旅行
海外旅行で役立つ英会話
外出
装具の購入・保管
運動
性生活
災害時の備え
福祉制度
ストーマをもつ人の身体障害の等級
身体障害者手帳によって受けられる福祉サービス
相談窓口・患者会
パート4 それは合併症かも?
合併症とは
皮膚のトラブル① ストーマ周囲
皮膚のトラブル② 面板を貼った部分
皮膚のトラブル③ 面板のふち
皮膚のトラブル④ こんなときはすぐ受診!
出血
傍ストーマヘルニア
ストーマ脱出
狭窄
ストーマ静脈瘤
付録① 災害時用携帯カード
付録② 海外旅行時用携帯カード
プラス 1
ストーマについてもっと知りたい方のための情報源
肛門から白いぬるぬるした液体が出ても異常ではありません
皮膚保護剤の歴史
ストーマ用カーブはさみ(福山医科)
ストーマ装具の捨て方
食事についてもっと知りたい方にお勧めの書籍
オストメイトのためのお手軽体操
障害者差別解消法
オストメイト対応トイレの設置場所
ヘルプマークをご存知ですか?
書評
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ストーマケアに携わる全ての方の必読書
書評者: 山本 亜矢 (慶應義塾大学・専任講師・基礎看護学)
本書は,2012年に刊行された『快適! ストーマ生活――日常のお手入れから旅行まで』の第2版である。著者が「はじめに」でも述べているように,「(看護)スタッフはもちろん,患者さん自身が術前から使える,実用的でわかりやすいストーマの本があったらいいのにな……」という思いをもとに,ストーマケアのポイントをイラストや写真をふんだんに取り入れながら,大変わかりやすく書かれた,ストーマを「つくった」方々にとっての「バイブル」的な書籍である。
今回改訂された第2版では,付録(2)として海外旅行時用の携帯カードが紹介され,また,「パート2 ストーマのお手入れ」内の「ストーマ装具の選び方」の項目が大幅にアップデートされた。初版から第2版までのおよそ10年間にストーマ装具のコンセプトは大きく変わり,各メーカーからそれぞれ特徴的な装具が開発・販売されてきた。そのため第2版では,最新のストーマ装具の特徴や使用目的とその方法についても取り上げており,近年のストーマ装具の多様化にも十分に対応した内容となっている。
また,ストーマとは何か,ストーマの種類と特徴,装具交換方法や社会保障制度も含んだ日常生活のポイント,合併症といった本書の構成は,これから看護に関わっていく看護学生にとってもストーマケアを基本から十分に学ぶことのできる良書である。ストーマ保有者や医療従事者だけではなく,多くの看護学生にも手にとっていただきたい。
最後に,初版と第2版の相違点をもう1つ加えたい。それは,表紙である。初版は,ストーマを「つくった」若い女性が海外旅行をしている姿が描かれている。そして第2版では,ストーマを保有する初老の女性と男性が南の島のビーチに立っている姿が描かれている(間違いなく夫婦であろう)。評者の憶測かもしれないが,初版と第2版の女性は同じ人物であると思う。ストーマを「つくった」後は,ストーマを受け入れ,ストーマをつくった自分を受け入れ,新しい生活,新しい出会い,そして快適なストーマ生活を手に入れてほしい――そんな著者の切なる思いがこの改訂された表紙からも伝わってくる。そのようなストーマ生活に一歩でも近づけるようなサポートを本書が行ってくれると信じてやまない。
「つくった後」が本番のストーマ生活をサポートする
書評者: 西口 幸雄 (大阪市立十三市民病院病院長)
本書の帯にも書かれているように,ストーマは「つくった後」が本番です。本書は,ストーマの基本から始まり,装具の選び方と交換手順,食事や入浴などの日常生活におけるポイント,注意したいストーマのトラブルなどが解説されています。各項目は平易な文章で書かれており,挿絵や写真も非常に多く,ストーマケアのさまざまなコツが提示されています。特に,手順については細かく場面を区切って書かれており,まだストーマケアに慣れておられない患者さんや介護者,若手の看護師にも大変わかりやすいと思います。
日常生活事項(食事,入浴,衣服,睡眠,通勤・通学,旅行,外出,運動,性生活など)については,本書ほど具体的にわかりやすく解説されたものはありません。私も患者さんを指導していく上で大いに参考にしたいと思います。
ストーマ造設を専門とする医師の私としては,本書を若手の医師にもお薦めします。自分たちが造設したストーマがその後どのようにケアされ,日常生活を送っているのかがわかります。ストーマを造設された人がどんな苦労をしているのかを知る一端にもなり,よりよいストーマをつくろうと思うことでしょう。
若手看護師にとっては,ストーマの基本から患者さんに対する指導まで学べる本です。ストーマケアというのは,いろいろなストーマを経験しなければ上達しません。「ストーマについて何もわかっていない」とか,「患者さんの生活のことをもっと考えなさい」とか,先輩看護師に厳しく言われることもあるでしょう。それを解決するには,「もっと勉強する」「もっと経験する」しかないのです。そのためにうってつけの本です。本書を読んで,自分に自信をつけてください。
ベテラン看護師の中には,ストーマについて「今さら若いナースに聞けない」「勉強会に行く時間がない」という人もいるでしょう。そんなベテラン看護師にもぴったりです。ひそかに勉強できます。
本書はストーマを有する患者さんとその介護者にはもちろんのこと,医師や看護師など医療者に必携です。「つくった後」が本番のストーマ生活をサポートするのに心強い一冊です。
さらに優しく,わかりやすい
書評者: 内田 春菊 (漫画家,作家,俳優)
「ストーマの位置,決めますね~。このへんでしょうか?」と直腸がんの手術のために入院したその日,まず左わき腹にマーキングされた時は現実感もなく「ほんとに……?」とぼんやりしていました。主治医から,「意外と腸が伸びた場合は永久人工肛門にはならないこともあります」と言われたことばかり気にして,そっちだといいなとずっと考えていたのです。しかし麻酔から目が覚めたら,「永久」を表す左側にそれが造設されていました。
のちに主治医は「内田さんはあっというまに対応し,それはそれは早かった」と語ってくれましたが,自分ではわかりません。それなりに落ち込んでもいました。しょんぼりしてても新しい体との生活には慣れなければなりません。よくわからないうちに一度だけ夜中に装具がはがれてしまい(たぶんガスによる破裂),大惨事になったこともありました。しかし,「私が夜中も見に来たらよかったですね……」と担当の看護師さんは私のことはまったく責めず,寝具をあっという間に全とっかえ。うまくやれたときに褒めてくれるだけでなく,「形カワイイですね!」「ほらちょっとお通じが顔を出してますよ!」などと,まるで新しいペットを愛でるかのような言い方をしてくれる人もいました。「不思議な体になっちゃった……」と戸惑っていた私に,それらがどれほどの励ましになったことか。
慣れてみれば,以前と比べてできなくなったこともそんなになく,子どもたちも私がオストメイトだということを忘れている今日この頃です。去年は仕事でボローニャ大学まで行きましたが,15時間のフライト中,気圧によるバルーニングすらなく,全日を着物で過ごしました。
『快適! ストーマ生活』の初版は「快適に行きましょう!」という気合の入ったタイトルに惹かれ,少し前に買って読んでいました。入院中に励ましてくれたり,ストーマ外来でアドバイスしてくれた看護師さんたちのことを思い出しました。自分のストーマの世話は当事者だからやるしかないけど,仕事として考えたら,絶対私には無理。そんな大変なことよく職業に選びましたね!? とインタビューしたいくらいです。
第2版は大きくなってさらに見やすく詳しいですね。「私の使ってる装具も載ってる~」と喜んでおります。
書評者: 山本 亜矢 (慶應義塾大学・専任講師・基礎看護学)
本書は,2012年に刊行された『快適! ストーマ生活――日常のお手入れから旅行まで』の第2版である。著者が「はじめに」でも述べているように,「(看護)スタッフはもちろん,患者さん自身が術前から使える,実用的でわかりやすいストーマの本があったらいいのにな……」という思いをもとに,ストーマケアのポイントをイラストや写真をふんだんに取り入れながら,大変わかりやすく書かれた,ストーマを「つくった」方々にとっての「バイブル」的な書籍である。
今回改訂された第2版では,付録(2)として海外旅行時用の携帯カードが紹介され,また,「パート2 ストーマのお手入れ」内の「ストーマ装具の選び方」の項目が大幅にアップデートされた。初版から第2版までのおよそ10年間にストーマ装具のコンセプトは大きく変わり,各メーカーからそれぞれ特徴的な装具が開発・販売されてきた。そのため第2版では,最新のストーマ装具の特徴や使用目的とその方法についても取り上げており,近年のストーマ装具の多様化にも十分に対応した内容となっている。
また,ストーマとは何か,ストーマの種類と特徴,装具交換方法や社会保障制度も含んだ日常生活のポイント,合併症といった本書の構成は,これから看護に関わっていく看護学生にとってもストーマケアを基本から十分に学ぶことのできる良書である。ストーマ保有者や医療従事者だけではなく,多くの看護学生にも手にとっていただきたい。
最後に,初版と第2版の相違点をもう1つ加えたい。それは,表紙である。初版は,ストーマを「つくった」若い女性が海外旅行をしている姿が描かれている。そして第2版では,ストーマを保有する初老の女性と男性が南の島のビーチに立っている姿が描かれている(間違いなく夫婦であろう)。評者の憶測かもしれないが,初版と第2版の女性は同じ人物であると思う。ストーマを「つくった」後は,ストーマを受け入れ,ストーマをつくった自分を受け入れ,新しい生活,新しい出会い,そして快適なストーマ生活を手に入れてほしい――そんな著者の切なる思いがこの改訂された表紙からも伝わってくる。そのようなストーマ生活に一歩でも近づけるようなサポートを本書が行ってくれると信じてやまない。
「つくった後」が本番のストーマ生活をサポートする
書評者: 西口 幸雄 (大阪市立十三市民病院病院長)
本書の帯にも書かれているように,ストーマは「つくった後」が本番です。本書は,ストーマの基本から始まり,装具の選び方と交換手順,食事や入浴などの日常生活におけるポイント,注意したいストーマのトラブルなどが解説されています。各項目は平易な文章で書かれており,挿絵や写真も非常に多く,ストーマケアのさまざまなコツが提示されています。特に,手順については細かく場面を区切って書かれており,まだストーマケアに慣れておられない患者さんや介護者,若手の看護師にも大変わかりやすいと思います。
日常生活事項(食事,入浴,衣服,睡眠,通勤・通学,旅行,外出,運動,性生活など)については,本書ほど具体的にわかりやすく解説されたものはありません。私も患者さんを指導していく上で大いに参考にしたいと思います。
ストーマ造設を専門とする医師の私としては,本書を若手の医師にもお薦めします。自分たちが造設したストーマがその後どのようにケアされ,日常生活を送っているのかがわかります。ストーマを造設された人がどんな苦労をしているのかを知る一端にもなり,よりよいストーマをつくろうと思うことでしょう。
若手看護師にとっては,ストーマの基本から患者さんに対する指導まで学べる本です。ストーマケアというのは,いろいろなストーマを経験しなければ上達しません。「ストーマについて何もわかっていない」とか,「患者さんの生活のことをもっと考えなさい」とか,先輩看護師に厳しく言われることもあるでしょう。それを解決するには,「もっと勉強する」「もっと経験する」しかないのです。そのためにうってつけの本です。本書を読んで,自分に自信をつけてください。
ベテラン看護師の中には,ストーマについて「今さら若いナースに聞けない」「勉強会に行く時間がない」という人もいるでしょう。そんなベテラン看護師にもぴったりです。ひそかに勉強できます。
本書はストーマを有する患者さんとその介護者にはもちろんのこと,医師や看護師など医療者に必携です。「つくった後」が本番のストーマ生活をサポートするのに心強い一冊です。
さらに優しく,わかりやすい
書評者: 内田 春菊 (漫画家,作家,俳優)
「ストーマの位置,決めますね~。このへんでしょうか?」と直腸がんの手術のために入院したその日,まず左わき腹にマーキングされた時は現実感もなく「ほんとに……?」とぼんやりしていました。主治医から,「意外と腸が伸びた場合は永久人工肛門にはならないこともあります」と言われたことばかり気にして,そっちだといいなとずっと考えていたのです。しかし麻酔から目が覚めたら,「永久」を表す左側にそれが造設されていました。
のちに主治医は「内田さんはあっというまに対応し,それはそれは早かった」と語ってくれましたが,自分ではわかりません。それなりに落ち込んでもいました。しょんぼりしてても新しい体との生活には慣れなければなりません。よくわからないうちに一度だけ夜中に装具がはがれてしまい(たぶんガスによる破裂),大惨事になったこともありました。しかし,「私が夜中も見に来たらよかったですね……」と担当の看護師さんは私のことはまったく責めず,寝具をあっという間に全とっかえ。うまくやれたときに褒めてくれるだけでなく,「形カワイイですね!」「ほらちょっとお通じが顔を出してますよ!」などと,まるで新しいペットを愛でるかのような言い方をしてくれる人もいました。「不思議な体になっちゃった……」と戸惑っていた私に,それらがどれほどの励ましになったことか。
慣れてみれば,以前と比べてできなくなったこともそんなになく,子どもたちも私がオストメイトだということを忘れている今日この頃です。去年は仕事でボローニャ大学まで行きましたが,15時間のフライト中,気圧によるバルーニングすらなく,全日を着物で過ごしました。
『快適! ストーマ生活』の初版は「快適に行きましょう!」という気合の入ったタイトルに惹かれ,少し前に買って読んでいました。入院中に励ましてくれたり,ストーマ外来でアドバイスしてくれた看護師さんたちのことを思い出しました。自分のストーマの世話は当事者だからやるしかないけど,仕事として考えたら,絶対私には無理。そんな大変なことよく職業に選びましたね!? とインタビューしたいくらいです。
第2版は大きくなってさらに見やすく詳しいですね。「私の使ってる装具も載ってる~」と喜んでおります。
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