ジェネラリストのための眼科診療ハンドブック 第2版
救急やプライマリ・ケアの現場で迷いがちな「眼科」のギモンに答えます!
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救急やプライマリ・ケアの現場で迷いがちな「眼科」のギモンに答えます! 「当直でも眼科医を呼ぶとき or 翌朝まで待てるとき」「通院できない高齢患者から眼症状を相談されたら」「点眼薬の継続処方はいつまで?」「内服薬の副作用による眼症状」「点眼薬・軟膏の正しい使い方」など、手元にあれば安心の1冊。第2版では、巻頭に診断フローチャート、本編に「眼に症状の出る全身疾患」、巻末に点眼薬の基本情報も加わりさらに充実。
シリーズ | ジェネラリストのための |
---|---|
著 | 石岡 みさき |
発行 | 2019年05月判型:A5頁:218 |
ISBN | 978-4-260-03890-4 |
定価 | 3,740円 (本体3,400円+税) |
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- 序文
- 目次
- 書評
序文
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第2版の序
3年前に刊行した初版が皆様のお役に立っているようで,このたび第2版をお届けできることになりました。第2版から手に取ってくださった読者の方に最初に申し上げると,本書は「眼科医がいない状況で非専門医がどこまで診療するのか」,または「対応できないのであればどの時点で眼科医に紹介するのか」という疑問に答えるスタンスでまとめています。
言い換えると本書は,通常眼科でしか行わない,あるいは眼科で行った方がよい専門的なことを,非専門医が学ぶための本ではありません。例えば,内科医の先生方からは,「眼底写真で緑内障の診断をするには?」「眼底出血から糖尿病と高血圧の鑑別をつけるには?」という質問を受けることがありますが,本書にその答えは載っていません。
緑内障は日本人に多い疾患で眼底写真が診断の基本ですが,時に診断が難しいときがあるので,眼科ではOCT(眼底三次元画像解析)という検査でチェックします。眼底写真だけの診断には限界があるのです。
糖尿病と高血圧は合併していることも多いうえに,疾患の診断そのものは内科で行えます。しかし,糖尿病網膜症のチェックは無散瞳眼底カメラでは限界があります。周辺部まで撮影できる広角眼底カメラもありますが,高額なので基本は眼科の散瞳検査になります。
このような本書のコンセプトや限界を踏まえて読んでいただくと,眼科へのアクセスが非常に悪いためにジェネラリストが対応しなければいけない場合に,参考になるはずです。
今回の改訂では,診断がつけやすくなるように巻頭に,眼症状の診断フローチャート(複視,眼痛,充血)を,巻末の付章には眼科でなくても処方することがある基本的な点眼薬を写真付きで掲載しています。また眼科とのコラボレーションがうまくいくように,第10章「眼に症状の出る全身疾患」を追加しました。これらも活用して,眼科併診が必要となる状況に対応してください。抗がん薬使用中の患者さんを一般外来で診察する機会も多くなったので,新しく報告のあった眼科領域の副作用も追加しました(第5章)。
ありがたいことに,初版刊行以降,眼科以外の医師向けに講演をしたり原稿を執筆したりする機会が増えました。その際に,「内科医の先生方はこういうところに困っているのか」と実感できることも多くなり,今回の第2版では表現を変えたり追加記載で対応したりしました。また,初版の読者カード(アンケートハガキ)に記載されたコメントも参考にさせていただきました。
初版を読んだ医師から患者さんを紹介されることもあるのですが,当院は(超)小規模経営のため,受付に私が座っていることもしばしば。紹介状の宛名にある医者が受付し,診察,検査,そして会計までしてしまうことがあるため,患者さんはとても不思議そうです。そんな一風変わった眼科クリニックですが,マイペースで診療し,書くという大好きな仕事を続けることができて幸せです。
これからも日々更新される医学情報の中で,毎日の診療に役立つこと,本書を読んでくださる方たちに有用となることをピックアップし続けていきます。初版刊行のきっかけとなったビストロ「サンフォコン」(代々木上原)で私を見かけたら(かなりの確率で遭遇するはずです),どうぞ声をかけてください。
「サンセールの白ワインで乾杯!」
2019年5月 新緑に薫風そよぐ令和の幕開けに
みさき眼科クリニック院長 石岡みさき
3年前に刊行した初版が皆様のお役に立っているようで,このたび第2版をお届けできることになりました。第2版から手に取ってくださった読者の方に最初に申し上げると,本書は「眼科医がいない状況で非専門医がどこまで診療するのか」,または「対応できないのであればどの時点で眼科医に紹介するのか」という疑問に答えるスタンスでまとめています。
言い換えると本書は,通常眼科でしか行わない,あるいは眼科で行った方がよい専門的なことを,非専門医が学ぶための本ではありません。例えば,内科医の先生方からは,「眼底写真で緑内障の診断をするには?」「眼底出血から糖尿病と高血圧の鑑別をつけるには?」という質問を受けることがありますが,本書にその答えは載っていません。
緑内障は日本人に多い疾患で眼底写真が診断の基本ですが,時に診断が難しいときがあるので,眼科ではOCT(眼底三次元画像解析)という検査でチェックします。眼底写真だけの診断には限界があるのです。
糖尿病と高血圧は合併していることも多いうえに,疾患の診断そのものは内科で行えます。しかし,糖尿病網膜症のチェックは無散瞳眼底カメラでは限界があります。周辺部まで撮影できる広角眼底カメラもありますが,高額なので基本は眼科の散瞳検査になります。
このような本書のコンセプトや限界を踏まえて読んでいただくと,眼科へのアクセスが非常に悪いためにジェネラリストが対応しなければいけない場合に,参考になるはずです。
今回の改訂では,診断がつけやすくなるように巻頭に,眼症状の診断フローチャート(複視,眼痛,充血)を,巻末の付章には眼科でなくても処方することがある基本的な点眼薬を写真付きで掲載しています。また眼科とのコラボレーションがうまくいくように,第10章「眼に症状の出る全身疾患」を追加しました。これらも活用して,眼科併診が必要となる状況に対応してください。抗がん薬使用中の患者さんを一般外来で診察する機会も多くなったので,新しく報告のあった眼科領域の副作用も追加しました(第5章)。
ありがたいことに,初版刊行以降,眼科以外の医師向けに講演をしたり原稿を執筆したりする機会が増えました。その際に,「内科医の先生方はこういうところに困っているのか」と実感できることも多くなり,今回の第2版では表現を変えたり追加記載で対応したりしました。また,初版の読者カード(アンケートハガキ)に記載されたコメントも参考にさせていただきました。
初版を読んだ医師から患者さんを紹介されることもあるのですが,当院は(超)小規模経営のため,受付に私が座っていることもしばしば。紹介状の宛名にある医者が受付し,診察,検査,そして会計までしてしまうことがあるため,患者さんはとても不思議そうです。そんな一風変わった眼科クリニックですが,マイペースで診療し,書くという大好きな仕事を続けることができて幸せです。
これからも日々更新される医学情報の中で,毎日の診療に役立つこと,本書を読んでくださる方たちに有用となることをピックアップし続けていきます。初版刊行のきっかけとなったビストロ「サンフォコン」(代々木上原)で私を見かけたら(かなりの確率で遭遇するはずです),どうぞ声をかけてください。
「サンセールの白ワインで乾杯!」
2019年5月 新緑に薫風そよぐ令和の幕開けに
みさき眼科クリニック院長 石岡みさき
目次
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眼症状の診断フローチャート
第1部 救急・ER 「眼の患者」をどこまで診る? いつ紹介する?
第1章 すぐに眼科へ(緊急度★★★)
Q すぐに(時に夜間であっても)眼科医が診察すべきものは?
1.網膜中心動脈閉塞症
2.外傷性視神経症(視神経管骨折,視束管骨折)
3.穿孔性眼外傷
4.重症のアルカリ外傷
5.急性原発閉塞隅角緑内障・急性原発閉塞隅角症
6.腹臥位手術後の眼合併症
7.笑気麻酔後の視力低下
8.前房蓄膿
9.コンタクトレンズ使用中の大量の眼脂
10.動眼神経麻痺
第2章 翌日には眼科受診を(緊急度★★)
Q 穿孔していない眼球打撲,軽症と思われる化学外傷でも眼科受診は必要ですか?
1.網膜剥離
2.明らかな穿孔がみられない眼球打撲
3.軽度のアルカリ外傷,その他化学外傷
4.涙小管断裂
5.硝子体出血
6.霰粒腫切開後の出血
第3章 1週間以内には眼科へ(緊急度★)
Q 翌日に受診してもらうほどの緊急性はなくても眼科を受診してもらったほうが
よいのはどのようなときでしょうか?
1.結膜異物
2.角膜異物
3.突き目
4.吹き抜け骨折(blowout fracture)
5.真菌性眼内炎
6.視神経炎
第4章 眼科以外でも対応可能
Q 夜間救急に来院,あるいは問い合わせのある疾患で,翌日の眼科対応でも
構わないと判断できるものはありますか?
1.電気性眼炎
2.結膜下出血
3.結膜浮腫
4.コンタクトレンズのトラブル
5.点眼麻酔の上手な使い方
第5章 内服薬などによる眼の副作用
Q 内服薬の副作用で眼に出るものにはどのようなものがありますか?
1.抗がん剤の副作用
2.GVHDによる重症ドライアイ
3.薬剤性眼瞼けいれん
4.中毒性視神経症
5.インターフェロン網膜症
6.急性近視,閉塞隅角緑内障を起こす可能性のある内服薬
7.その他
第2部 プライマリ・ケア 日常診療でよく出会う眼科疾患
第6章 「目やに」に抗菌点眼薬を処方してよい?
Q 目やにが出る患者の診断に迷うとき,まずは抗菌点眼薬で対応して
よいでしょうか?
1.「目やにが出ます」と患者に言われたら
2.抗菌点眼薬の使い方
3.「ものもらい」の治療
4.非感染性の眼脂
5.眼科医でも判断に迷うもの
6.眼科へ紹介したほうがよい結膜炎
7.コンタクトレンズ使用者は要注意
8.子どもの「目やに」
第7章 寝たきり高齢者の眼科治療
Q 眼科で処方されていた点眼薬は続けてよい?
1.その目薬,続けますか?
2.涙目の治療
3.抗菌薬点眼の治療が必要なとき
4.眼瞼縁炎
5.義眼の方のフォロー
6.白内障を手術すると認知症は軽快する?
7.兎眼
第8章 花粉症の治療は何科で行う?
Q 花粉症の点眼薬を眼科以外でも処方してよいでしょうか?
1.治療の基本
2.初期療法
3.ステロイドレスポンダー
4.点眼薬以外の治療法
5.アレルギー性結膜炎診断キット
6.春季カタル
7.コンタクトレンズはどうする?
第9章 治療の必要な充血,不要な充血
Q 眼科を受診してもらったほうがよいのはどのような充血ですか?
1.早めの眼科受診を勧める充血は?
2.フルオレセイン染色
3.問診が大切
4.とりあえず治療してみる
5.見ればわかる充血
6.難治の結膜炎?
第10章 眼に症状の出る全身疾患
Q 眼合併症が出る疾患は眼科併診が必要ですか?
1.糖尿病
2.高血圧,動脈硬化
3.透析中
4.尿細管間質性腎炎
5.甲状腺疾患
6.重症筋無力症
7.血液疾患
8.感染性心内膜炎
9.悪性腫瘍
10.全身性エリテマトーデス(SLE)
11.リウマチ
12.若年性関節リウマチ
13.Sjögren症候群
14.他家造血幹細胞移植後
15.ビタミンA欠乏症
16.Stevens-Johnson症候群
17.粘膜類天疱瘡
18.サルコイドーシス
19.Behçet病
20.結核
21.梅毒
22.多発性硬化症
23.ダウン症候群
24.アトピー性皮膚炎
第11章 全身疾患に伴うドライアイ
Q 内科で診る疾患のうちドライアイ症状が出るのは?
1.二次性Sjögren症候群
2.移植片対宿主病(GVHD)によるドライアイ
3.甲状腺疾患に伴うドライアイ
4.ドライアイの治療
第12章 どこから眼科? どこから皮膚科?
Q 帯状疱疹が眼の周辺に出た場合,眼科受診は必要ですか?
1.単純ヘルペス性結膜炎
2.眼部帯状疱疹
3.眼瞼腫脹
4.眼科,皮膚科どちら?
第13章 点眼薬の基礎知識
Q 市販の点眼薬は効果がないのでしょうか?
1.点眼・点入方法
2.点眼は1滴,点入は1cm
3.点眼の順番
4.点眼薬の保存
5.コンタクトレンズをしているとき
6.防腐剤について
7.NSAIDs点眼
8.薬剤による接触皮膚炎
9.人工涙液
10.市販の点眼薬
11.洗眼は必要?
12.眼帯は必要?
13.患者によく聞かれること
14.処方点眼薬の検索方法
第14章 「緑内障治療中ですが大丈夫?」と聞かれたら
Q 処方しようとした内服薬が「緑内障禁忌」となっていますが,
緑内障治療中の患者には使えないのでしょうか?
1.開放隅角と閉塞隅角
2.隅角の狭い患者が眼科を受診したら
3.緑内障禁忌の薬を投与するとき
4.散瞳する薬いろいろ
5.眼圧が上がってしまったら
第3部 眼科あれこれ 知ってトクする眼の話
第15章 眼底写真読める?
Q 新しく眼底カメラを買おうかと思っていますが,プライマリ・ケアで
眼底写真を撮ってもよいでしょうか?
1.緑内障の診断できますか?
2.最新の診断器機OCT
3.糖尿病網膜症は散瞳検査が必要
第16章 眼科を最初に受診する他科疾患
Q 眼科を最初に受診する他科疾患にはどのようなものがありますか?
1.めまい
2.一過性黒内障
3.眼瞼下垂
4.脊髄小脳変性症
5.網膜静脈閉塞症の背景にある疾患
6.複視
第17章 頭痛と眼科
Q 眼科を受診する,ほかに症状を伴わない頭痛の原因は?
1.眼科で治療する頭痛
2.眼科に来る片頭痛患者
3.眼の奥の痛み
4.Vogt-小柳-原田病
第18章 視力あれこれ
Q 視力を測るのは簡単ですか?
1.近視,遠視,老視
2.裸眼視力の測定方法
3.視力(小数視力)
4.視力の記載方法
5.健康診断の視力検査
6.運転免許に必要な視力
7.メガネ
8.コンタクトレンズのミニ知識
9.視力の成長
10.弱視
11.心因性視力障害
12.近視の矯正手術
13.老視の矯正方法
14.視覚障害
15.先天色覚異常
第19章 「角膜を提供したい」と相談されたら
Q アイバンクに登録していないと角膜は提供できないのでしょうか?
1.角膜移植術
2.角膜提供の希望があったら
3.ドナー使用禁忌
4.iPS細胞によりドナーは不要になるか?
第20章 直像鏡による眼底検査
1.検査方法
2.見えるもの
3.パンオプティック™検眼鏡(WelchAllyn社)
付章 点眼薬のminimum requirement
1.抗アレルギー薬
2.抗菌薬
3.ドライアイ,角膜治療薬
4.抗ウイルス薬
5.調節機能改善薬
6.ステロイド剤
7.非ステロイド性抗炎症薬
8.抗緑内障薬
9.点眼麻酔薬
索引
COLUMN
新治療の始まり
問診はむずかしい
ベランダ園芸
病態が気になります
点眼しますね
術中にどう見えているのか
両眼発症
間違えました!
浦島伝説
らんちゅう
義眼
眼科医の日常
ドナー発生
第1部 救急・ER 「眼の患者」をどこまで診る? いつ紹介する?
第1章 すぐに眼科へ(緊急度★★★)
Q すぐに(時に夜間であっても)眼科医が診察すべきものは?
1.網膜中心動脈閉塞症
2.外傷性視神経症(視神経管骨折,視束管骨折)
3.穿孔性眼外傷
4.重症のアルカリ外傷
5.急性原発閉塞隅角緑内障・急性原発閉塞隅角症
6.腹臥位手術後の眼合併症
7.笑気麻酔後の視力低下
8.前房蓄膿
9.コンタクトレンズ使用中の大量の眼脂
10.動眼神経麻痺
第2章 翌日には眼科受診を(緊急度★★)
Q 穿孔していない眼球打撲,軽症と思われる化学外傷でも眼科受診は必要ですか?
1.網膜剥離
2.明らかな穿孔がみられない眼球打撲
3.軽度のアルカリ外傷,その他化学外傷
4.涙小管断裂
5.硝子体出血
6.霰粒腫切開後の出血
第3章 1週間以内には眼科へ(緊急度★)
Q 翌日に受診してもらうほどの緊急性はなくても眼科を受診してもらったほうが
よいのはどのようなときでしょうか?
1.結膜異物
2.角膜異物
3.突き目
4.吹き抜け骨折(blowout fracture)
5.真菌性眼内炎
6.視神経炎
第4章 眼科以外でも対応可能
Q 夜間救急に来院,あるいは問い合わせのある疾患で,翌日の眼科対応でも
構わないと判断できるものはありますか?
1.電気性眼炎
2.結膜下出血
3.結膜浮腫
4.コンタクトレンズのトラブル
5.点眼麻酔の上手な使い方
第5章 内服薬などによる眼の副作用
Q 内服薬の副作用で眼に出るものにはどのようなものがありますか?
1.抗がん剤の副作用
2.GVHDによる重症ドライアイ
3.薬剤性眼瞼けいれん
4.中毒性視神経症
5.インターフェロン網膜症
6.急性近視,閉塞隅角緑内障を起こす可能性のある内服薬
7.その他
第2部 プライマリ・ケア 日常診療でよく出会う眼科疾患
第6章 「目やに」に抗菌点眼薬を処方してよい?
Q 目やにが出る患者の診断に迷うとき,まずは抗菌点眼薬で対応して
よいでしょうか?
1.「目やにが出ます」と患者に言われたら
2.抗菌点眼薬の使い方
3.「ものもらい」の治療
4.非感染性の眼脂
5.眼科医でも判断に迷うもの
6.眼科へ紹介したほうがよい結膜炎
7.コンタクトレンズ使用者は要注意
8.子どもの「目やに」
第7章 寝たきり高齢者の眼科治療
Q 眼科で処方されていた点眼薬は続けてよい?
1.その目薬,続けますか?
2.涙目の治療
3.抗菌薬点眼の治療が必要なとき
4.眼瞼縁炎
5.義眼の方のフォロー
6.白内障を手術すると認知症は軽快する?
7.兎眼
第8章 花粉症の治療は何科で行う?
Q 花粉症の点眼薬を眼科以外でも処方してよいでしょうか?
1.治療の基本
2.初期療法
3.ステロイドレスポンダー
4.点眼薬以外の治療法
5.アレルギー性結膜炎診断キット
6.春季カタル
7.コンタクトレンズはどうする?
第9章 治療の必要な充血,不要な充血
Q 眼科を受診してもらったほうがよいのはどのような充血ですか?
1.早めの眼科受診を勧める充血は?
2.フルオレセイン染色
3.問診が大切
4.とりあえず治療してみる
5.見ればわかる充血
6.難治の結膜炎?
第10章 眼に症状の出る全身疾患
Q 眼合併症が出る疾患は眼科併診が必要ですか?
1.糖尿病
2.高血圧,動脈硬化
3.透析中
4.尿細管間質性腎炎
5.甲状腺疾患
6.重症筋無力症
7.血液疾患
8.感染性心内膜炎
9.悪性腫瘍
10.全身性エリテマトーデス(SLE)
11.リウマチ
12.若年性関節リウマチ
13.Sjögren症候群
14.他家造血幹細胞移植後
15.ビタミンA欠乏症
16.Stevens-Johnson症候群
17.粘膜類天疱瘡
18.サルコイドーシス
19.Behçet病
20.結核
21.梅毒
22.多発性硬化症
23.ダウン症候群
24.アトピー性皮膚炎
第11章 全身疾患に伴うドライアイ
Q 内科で診る疾患のうちドライアイ症状が出るのは?
1.二次性Sjögren症候群
2.移植片対宿主病(GVHD)によるドライアイ
3.甲状腺疾患に伴うドライアイ
4.ドライアイの治療
第12章 どこから眼科? どこから皮膚科?
Q 帯状疱疹が眼の周辺に出た場合,眼科受診は必要ですか?
1.単純ヘルペス性結膜炎
2.眼部帯状疱疹
3.眼瞼腫脹
4.眼科,皮膚科どちら?
第13章 点眼薬の基礎知識
Q 市販の点眼薬は効果がないのでしょうか?
1.点眼・点入方法
2.点眼は1滴,点入は1cm
3.点眼の順番
4.点眼薬の保存
5.コンタクトレンズをしているとき
6.防腐剤について
7.NSAIDs点眼
8.薬剤による接触皮膚炎
9.人工涙液
10.市販の点眼薬
11.洗眼は必要?
12.眼帯は必要?
13.患者によく聞かれること
14.処方点眼薬の検索方法
第14章 「緑内障治療中ですが大丈夫?」と聞かれたら
Q 処方しようとした内服薬が「緑内障禁忌」となっていますが,
緑内障治療中の患者には使えないのでしょうか?
1.開放隅角と閉塞隅角
2.隅角の狭い患者が眼科を受診したら
3.緑内障禁忌の薬を投与するとき
4.散瞳する薬いろいろ
5.眼圧が上がってしまったら
第3部 眼科あれこれ 知ってトクする眼の話
第15章 眼底写真読める?
Q 新しく眼底カメラを買おうかと思っていますが,プライマリ・ケアで
眼底写真を撮ってもよいでしょうか?
1.緑内障の診断できますか?
2.最新の診断器機OCT
3.糖尿病網膜症は散瞳検査が必要
第16章 眼科を最初に受診する他科疾患
Q 眼科を最初に受診する他科疾患にはどのようなものがありますか?
1.めまい
2.一過性黒内障
3.眼瞼下垂
4.脊髄小脳変性症
5.網膜静脈閉塞症の背景にある疾患
6.複視
第17章 頭痛と眼科
Q 眼科を受診する,ほかに症状を伴わない頭痛の原因は?
1.眼科で治療する頭痛
2.眼科に来る片頭痛患者
3.眼の奥の痛み
4.Vogt-小柳-原田病
第18章 視力あれこれ
Q 視力を測るのは簡単ですか?
1.近視,遠視,老視
2.裸眼視力の測定方法
3.視力(小数視力)
4.視力の記載方法
5.健康診断の視力検査
6.運転免許に必要な視力
7.メガネ
8.コンタクトレンズのミニ知識
9.視力の成長
10.弱視
11.心因性視力障害
12.近視の矯正手術
13.老視の矯正方法
14.視覚障害
15.先天色覚異常
第19章 「角膜を提供したい」と相談されたら
Q アイバンクに登録していないと角膜は提供できないのでしょうか?
1.角膜移植術
2.角膜提供の希望があったら
3.ドナー使用禁忌
4.iPS細胞によりドナーは不要になるか?
第20章 直像鏡による眼底検査
1.検査方法
2.見えるもの
3.パンオプティック™検眼鏡(WelchAllyn社)
付章 点眼薬のminimum requirement
1.抗アレルギー薬
2.抗菌薬
3.ドライアイ,角膜治療薬
4.抗ウイルス薬
5.調節機能改善薬
6.ステロイド剤
7.非ステロイド性抗炎症薬
8.抗緑内障薬
9.点眼麻酔薬
索引
COLUMN
新治療の始まり
問診はむずかしい
ベランダ園芸
病態が気になります
点眼しますね
術中にどう見えているのか
両眼発症
間違えました!
浦島伝説
らんちゅう
義眼
眼科医の日常
ドナー発生
書評
開く
内科開業医のための眼科テキスト
書評者: 中西 重清 (中西内科院長〔広島市〕,21世紀適々斎塾塾長)
本書は内科開業医のための眼科知識を高める必読書である。「眼科医がいない状況で非専門医がどこまで診療するのか,どの時点で紹介するか」が的確に解説されており,自信を持ってお薦めしたい。
眼症状の相談を受けると,総合病院ではなく,近くの信頼できる眼科開業医に紹介するのが常であろう。それは普段から顔見知りで,疑問点を何でも相談できる関係だからである。著者の石岡みさき先生は,内科開業医がどんな眼科疾患に困り,何を知らないかを熟知している。外来患者さんは高齢化し多疾患を併存し専門以外の知識が必要で,ポリファーマシー(多剤処方)を併せ持っている。「目が悪い」と言えばすぐに眼科紹介,「腰が痛い」と言えば整形外科紹介では,患者ニーズに応えることができない。経過観察ができそうなら「様子をみましょう」と伝え,「こういう眼科疾患なので薬を出しておきますね」と答えられるようになりたい。
本書は,第1部「救急・ER―『眼の患者』をどこまで診る? いつ紹介する?」,第2部「プライマリ・ケア―日常診療でよく出会う眼科疾患」,第3部「眼科あれこれ―知ってトクする眼の話」の3部で構成されており,広範かつ網羅的な内容である。
巻頭の「眼症状の診断フローチャート」(複視,眼痛,充血)では,眼症状の診断ノウハウをわかりやすく理解できる。
第2部「プライマリ・ケア」の眼科疾患は必読である。往診患者さんも増えており,第7章「寝たきり高齢者の眼科治療」では,継続か中止すべきかの薬剤選択は参考になる。第10章は「眼に症状の出る全身疾患」について記載されているが,いかに多くの内科疾患が眼症状を有するかが理解できた。花粉症やドライアイ治療を行うことも多く,自信を持って点眼薬処方ができそうである。「花粉症に抗ヒスタミン点眼液は即効性があり,1月末から点眼が望ましい」「花粉症の時期はコンタクトレンズを休んでもらった方が症状は出にくくなり,どうしても使用したいのならワンデータイプが楽」「ドライアイとアレルギー性結膜炎の軽症例の鑑別が難しい」ということも知った。
第3部「眼科あれこれ」で,眼科を最初に受診する他科疾患も目新しい知識である。外来で相談を受ける眼瞼下垂のほとんどは加齢性であり,とても増加している。眼科に頭痛で受診する患者は,ほとんどが眼性疲労である。13編の「COLUMN」も読者を楽しませる,とても興味深い内容だ。巻末の付章には,基本的な点眼薬が写真付きで掲載されてあり,とても役立つ。本書は電子書籍も販売されており(医書.jp,URLはhttps://store.isho.jp/),iPadなどのタブレット端末で閲覧すれば,画像は綺麗に拡大可能で,視力障害のある私にはとても助かる。
最後に,初版刊行から3年目に第2版を執筆された石岡先生の活力と努力に感謝するばかりだ。
非眼科医が困りそうなツボを熟知する眼科医が著した,救世主のような一冊
書評者: 平島 修 (徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター長)
総合診療外来をしていると,患者さんから「先生は専門ではないかもしれないけれど……」と遠慮がちに目,耳,皮膚などに関するさまざまな訴えを聞くことがある。また,夜間の救急外来をしていると,「急に見えなくなった」「眼外傷」「眼異物」といったことを経験するが,これらは決して頻度が多いわけではなく,忘れた頃にやってくる。プライマリ・ケア医や救急医は眼科医とは違い,まれにしか経験できない眼疾患に,ほとんど道具を使うことなく判断することを迫られる。「正直,無理な話である」(心の声が叫びを上げる……)。それでも何とか道具を使いこなしたいと思い,眼科医に眼底鏡の使い方について相談してみると,「直像鏡はほとんど使わない」とあっさり退けられたりもする。ジェネラリストと眼科医では同じ眼診療を行う場合でも,まったく診療スタイルが違うのである。そんなとき,ジェネラリストと眼科医の架け橋となってくれるような書籍が登場した。本書『ジェネラリストのための眼科診療ハンドブック』である。非眼科医が困りそうなツボを熟知する眼科医が著した,ジェネラリストのための救世主のような一冊である。
本書の構成は3部構成からなり,第1部では救急外来で遭遇しそうな眼疾患でも,専門医対応が必要な疾患・病態について,「急ぐべきか,翌日でもいいのか」という視点で述べられている。第2部では,総合診療外来で患者が眼科医ではなく,かかりつけの先生に訴えそうな眼症状について取り上げており,眼科医ではなくても対応可能な眼疾患についてのアドバイスがわかりやすく解説されている。そして第3部では,われわれプライマリ・ケア医も眼科医に質問してみたい,コンタクトレンズや市販の点眼薬に関する情報がまとめられており,読みながら「へ~」「そうなんだぁ」とついついうなずいてしまう。そして,巻頭・巻末の見返しページでは「かんたん眼科メモ」として「眼の解剖生理」「患者の年代別に頻度の高い眼科疾患」などを掲載しており,限られた紙幅を有効に活用したい石岡みさき先生の熱い思いを感じさせる。
本書は一度通読することをお薦めする。読者へ訴えかけるように解説された記述はあたかも石岡先生から直接講義を受けている感覚になるからである。プライマリ・ケア医が遭遇する眼科疾患のファーストタッチとしては,本書で十分網羅できる。疾患の診断・治療だけではなく,患者へどのような説明をするべきか,眼科医とのスムーズな連携まで解説されており,具体的でかゆいところに手が届く実践的な内容である。通読した後は日常外来に一番近い本棚に立てておくとよい。本書の情報を全て頭に入れておくのは容易ではなく,著者の配慮から,冒頭に症状に対する鑑別診断のアプローチがフローチャートとしてまとめられている。
本書で記載されている内容は,今日,明日にも実践できることであり,プライマリ・ケアや救急の現場で診療される先生方にはぜひ一読をお薦めしたい。
書評者: 中西 重清 (中西内科院長〔広島市〕,21世紀適々斎塾塾長)
本書は内科開業医のための眼科知識を高める必読書である。「眼科医がいない状況で非専門医がどこまで診療するのか,どの時点で紹介するか」が的確に解説されており,自信を持ってお薦めしたい。
眼症状の相談を受けると,総合病院ではなく,近くの信頼できる眼科開業医に紹介するのが常であろう。それは普段から顔見知りで,疑問点を何でも相談できる関係だからである。著者の石岡みさき先生は,内科開業医がどんな眼科疾患に困り,何を知らないかを熟知している。外来患者さんは高齢化し多疾患を併存し専門以外の知識が必要で,ポリファーマシー(多剤処方)を併せ持っている。「目が悪い」と言えばすぐに眼科紹介,「腰が痛い」と言えば整形外科紹介では,患者ニーズに応えることができない。経過観察ができそうなら「様子をみましょう」と伝え,「こういう眼科疾患なので薬を出しておきますね」と答えられるようになりたい。
本書は,第1部「救急・ER―『眼の患者』をどこまで診る? いつ紹介する?」,第2部「プライマリ・ケア―日常診療でよく出会う眼科疾患」,第3部「眼科あれこれ―知ってトクする眼の話」の3部で構成されており,広範かつ網羅的な内容である。
巻頭の「眼症状の診断フローチャート」(複視,眼痛,充血)では,眼症状の診断ノウハウをわかりやすく理解できる。
第2部「プライマリ・ケア」の眼科疾患は必読である。往診患者さんも増えており,第7章「寝たきり高齢者の眼科治療」では,継続か中止すべきかの薬剤選択は参考になる。第10章は「眼に症状の出る全身疾患」について記載されているが,いかに多くの内科疾患が眼症状を有するかが理解できた。花粉症やドライアイ治療を行うことも多く,自信を持って点眼薬処方ができそうである。「花粉症に抗ヒスタミン点眼液は即効性があり,1月末から点眼が望ましい」「花粉症の時期はコンタクトレンズを休んでもらった方が症状は出にくくなり,どうしても使用したいのならワンデータイプが楽」「ドライアイとアレルギー性結膜炎の軽症例の鑑別が難しい」ということも知った。
第3部「眼科あれこれ」で,眼科を最初に受診する他科疾患も目新しい知識である。外来で相談を受ける眼瞼下垂のほとんどは加齢性であり,とても増加している。眼科に頭痛で受診する患者は,ほとんどが眼性疲労である。13編の「COLUMN」も読者を楽しませる,とても興味深い内容だ。巻末の付章には,基本的な点眼薬が写真付きで掲載されてあり,とても役立つ。本書は電子書籍も販売されており(医書.jp,URLはhttps://store.isho.jp/),iPadなどのタブレット端末で閲覧すれば,画像は綺麗に拡大可能で,視力障害のある私にはとても助かる。
最後に,初版刊行から3年目に第2版を執筆された石岡先生の活力と努力に感謝するばかりだ。
非眼科医が困りそうなツボを熟知する眼科医が著した,救世主のような一冊
書評者: 平島 修 (徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター長)
総合診療外来をしていると,患者さんから「先生は専門ではないかもしれないけれど……」と遠慮がちに目,耳,皮膚などに関するさまざまな訴えを聞くことがある。また,夜間の救急外来をしていると,「急に見えなくなった」「眼外傷」「眼異物」といったことを経験するが,これらは決して頻度が多いわけではなく,忘れた頃にやってくる。プライマリ・ケア医や救急医は眼科医とは違い,まれにしか経験できない眼疾患に,ほとんど道具を使うことなく判断することを迫られる。「正直,無理な話である」(心の声が叫びを上げる……)。それでも何とか道具を使いこなしたいと思い,眼科医に眼底鏡の使い方について相談してみると,「直像鏡はほとんど使わない」とあっさり退けられたりもする。ジェネラリストと眼科医では同じ眼診療を行う場合でも,まったく診療スタイルが違うのである。そんなとき,ジェネラリストと眼科医の架け橋となってくれるような書籍が登場した。本書『ジェネラリストのための眼科診療ハンドブック』である。非眼科医が困りそうなツボを熟知する眼科医が著した,ジェネラリストのための救世主のような一冊である。
本書の構成は3部構成からなり,第1部では救急外来で遭遇しそうな眼疾患でも,専門医対応が必要な疾患・病態について,「急ぐべきか,翌日でもいいのか」という視点で述べられている。第2部では,総合診療外来で患者が眼科医ではなく,かかりつけの先生に訴えそうな眼症状について取り上げており,眼科医ではなくても対応可能な眼疾患についてのアドバイスがわかりやすく解説されている。そして第3部では,われわれプライマリ・ケア医も眼科医に質問してみたい,コンタクトレンズや市販の点眼薬に関する情報がまとめられており,読みながら「へ~」「そうなんだぁ」とついついうなずいてしまう。そして,巻頭・巻末の見返しページでは「かんたん眼科メモ」として「眼の解剖生理」「患者の年代別に頻度の高い眼科疾患」などを掲載しており,限られた紙幅を有効に活用したい石岡みさき先生の熱い思いを感じさせる。
本書は一度通読することをお薦めする。読者へ訴えかけるように解説された記述はあたかも石岡先生から直接講義を受けている感覚になるからである。プライマリ・ケア医が遭遇する眼科疾患のファーストタッチとしては,本書で十分網羅できる。疾患の診断・治療だけではなく,患者へどのような説明をするべきか,眼科医とのスムーズな連携まで解説されており,具体的でかゆいところに手が届く実践的な内容である。通読した後は日常外来に一番近い本棚に立てておくとよい。本書の情報を全て頭に入れておくのは容易ではなく,著者の配慮から,冒頭に症状に対する鑑別診断のアプローチがフローチャートとしてまとめられている。
本書で記載されている内容は,今日,明日にも実践できることであり,プライマリ・ケアや救急の現場で診療される先生方にはぜひ一読をお薦めしたい。