看護倫理 第2版
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- 現代の医療・看護における倫理的問題はますますその複雑さを増し、基礎教育で「看護倫理」を学習する重要性も高まっています。
- 本書は、倫理学の基本的な考え方にはじまり、生命倫理、医療倫理、看護倫理の基礎、倫理的問題への実践的なアプローチ方法、事例分析と、「看護倫理」を体系的に学習できるよう構成しています。
- 第2版では、より今日的な倫理的問題を取り上げ、さまざまな観点から考えられる内容となっています。「他社理解と対話のための理論」として、ナラティヴについての解説も加わりました。
- 臨床現場に出る前の基礎学習に、また実習のふり返りに、進度に合わせてご活用いただける構成です。
- 学生が「看護倫理」を自分の問題としてイメージできるよう、説明にも事例を多用しています。
- 「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 系統看護学講座-別巻 |
---|---|
著 | 宮坂 道夫 / 石原 逸子 / 吉田 みつ子 / 川上 由香 / 二宮 啓子 / 村瀬 智子 / 高田 昌代 / 友竹 千恵 / 成瀬 和子 |
発行 | 2018年01月判型:B5頁:244 |
ISBN | 978-4-260-03445-6 |
定価 | 1,980円 (本体1,800円+税) |
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- 序文
- 目次
序文
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はしがき
本書のねらい
この本を手に取ったあなたは,倫理をどんな「場」で学ぼうとしているだろうか。「看護倫理学」「医療倫理学」など,文字どおりに看護・医療の倫理そのものを学ぶ講義を受けている人もいれば,「母性看護学」「老年看護学」など,看護の専門科目のなかで倫理を学んでいる人もいるだろう。あるいは,すでに看護の現場で働いていて,「倫理」に関心をいだき,自分で学んでみようとしている人もいるかもしれない。
こうした学習の場のうちの,どれが最も望ましいものだろうか。実は,「これらのすべてが必要不可欠だ」というのが,その答えである。専門家になる人の倫理学習の理想とされているのは,「多段階で学ぶ」ことである。つまり,基礎教育で学び,専門教育で学び,さらに現場でも学ぶ,という多段階での学びが不可欠なのである。その理由は,専門職倫理の到達目標は,1つや2つの講義をとれば,それで完遂できるというものではないことにある。
看護倫理を学ぶ人が「最終的に身につけているべき能力」は,以下の4つに集約できる。
(1)看護の現場にある倫理的課題に「気づく」ことができる。
(2)倫理的課題を分析するために「参照すべき手がかり」を見つけられる。
(3)倫理的課題の解決のために「なにをすべきか」を考えられる。
(4)倫理的課題の解決のための「対話」を行うことができる。
これらは,いわば看護倫理の「究極の目的」であり,1回だけの学習で実現できるものではない。たとえば講義を通して基本的な知識を身につけることは欠かせないが,それはあくまで「参照すべき手がかり」にほかならない。実際の看護現場では,問題に「気づく」ことができ,学んだ知識などの「参照すべき手がかり」を活用して「なにをすべきか」を考え,同僚や患者などと「対話」をすることができなければならないのである。
本書のねらいは,これらの「究極の目的」に,一歩一歩近づいていくことができるよう,倫理を学ぶ人のガイドとなることである。そのために,看護倫理を学ぶうえで必要不可欠な知識を習得できるように,国が定める「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」なども参照し,基礎的な学習事項を網羅している。その一方で,「気づく」こと,「なにをすべきか」を考えること,「対話」をすることを促すように,ケーススタディやグループワーク,ゼミナールなどを設けている。
改訂の主旨
本書の初版は2014年に刊行された。「看護倫理」を基礎から順に学べるよう,3部からなる構成とし,それはこの第2版でも踏襲している。「第1部 生命倫理」では倫理学と生命倫理学の基礎を学び,「第2部 看護倫理」では看護倫理の基礎を学ぶ。「第3部 事例分析」では,第1部と第2部で学んだ内容をふまえて,事例から看護倫理の問題について考え,第2部で学んだ方法を用いて分析していく。
一方で,初版が刊行されてからの医療技術の進歩や社会の変化は大きく,あらたな倫理的課題も生まれている。今回の改訂では,そのような変化に対応すべく,「第1部 生命倫理」の内容を一新した。再生医療の課題や性に関する医療的介入の問題,また医療保険制度の課題などについて新たな項目を設けている。また,第2部以降で学ぶ「看護倫理」をより深く理解し,さらには臨床につなげるため,「他者理解と対話のための理論」を盛り込んだ。そして臨床の事例を多く取り入れ,生命倫理の理論がどのように看護実践に応用されるかを示した。
本書が,さまざまな学習環境で学ぶ人にとってのよき伴侶となることを願っている。
2017年11月
著者ら
本書のねらい
この本を手に取ったあなたは,倫理をどんな「場」で学ぼうとしているだろうか。「看護倫理学」「医療倫理学」など,文字どおりに看護・医療の倫理そのものを学ぶ講義を受けている人もいれば,「母性看護学」「老年看護学」など,看護の専門科目のなかで倫理を学んでいる人もいるだろう。あるいは,すでに看護の現場で働いていて,「倫理」に関心をいだき,自分で学んでみようとしている人もいるかもしれない。
こうした学習の場のうちの,どれが最も望ましいものだろうか。実は,「これらのすべてが必要不可欠だ」というのが,その答えである。専門家になる人の倫理学習の理想とされているのは,「多段階で学ぶ」ことである。つまり,基礎教育で学び,専門教育で学び,さらに現場でも学ぶ,という多段階での学びが不可欠なのである。その理由は,専門職倫理の到達目標は,1つや2つの講義をとれば,それで完遂できるというものではないことにある。
看護倫理を学ぶ人が「最終的に身につけているべき能力」は,以下の4つに集約できる。
(1)看護の現場にある倫理的課題に「気づく」ことができる。
(2)倫理的課題を分析するために「参照すべき手がかり」を見つけられる。
(3)倫理的課題の解決のために「なにをすべきか」を考えられる。
(4)倫理的課題の解決のための「対話」を行うことができる。
これらは,いわば看護倫理の「究極の目的」であり,1回だけの学習で実現できるものではない。たとえば講義を通して基本的な知識を身につけることは欠かせないが,それはあくまで「参照すべき手がかり」にほかならない。実際の看護現場では,問題に「気づく」ことができ,学んだ知識などの「参照すべき手がかり」を活用して「なにをすべきか」を考え,同僚や患者などと「対話」をすることができなければならないのである。
本書のねらいは,これらの「究極の目的」に,一歩一歩近づいていくことができるよう,倫理を学ぶ人のガイドとなることである。そのために,看護倫理を学ぶうえで必要不可欠な知識を習得できるように,国が定める「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」「看護学教育モデル・コア・カリキュラム」なども参照し,基礎的な学習事項を網羅している。その一方で,「気づく」こと,「なにをすべきか」を考えること,「対話」をすることを促すように,ケーススタディやグループワーク,ゼミナールなどを設けている。
改訂の主旨
本書の初版は2014年に刊行された。「看護倫理」を基礎から順に学べるよう,3部からなる構成とし,それはこの第2版でも踏襲している。「第1部 生命倫理」では倫理学と生命倫理学の基礎を学び,「第2部 看護倫理」では看護倫理の基礎を学ぶ。「第3部 事例分析」では,第1部と第2部で学んだ内容をふまえて,事例から看護倫理の問題について考え,第2部で学んだ方法を用いて分析していく。
一方で,初版が刊行されてからの医療技術の進歩や社会の変化は大きく,あらたな倫理的課題も生まれている。今回の改訂では,そのような変化に対応すべく,「第1部 生命倫理」の内容を一新した。再生医療の課題や性に関する医療的介入の問題,また医療保険制度の課題などについて新たな項目を設けている。また,第2部以降で学ぶ「看護倫理」をより深く理解し,さらには臨床につなげるため,「他者理解と対話のための理論」を盛り込んだ。そして臨床の事例を多く取り入れ,生命倫理の理論がどのように看護実践に応用されるかを示した。
本書が,さまざまな学習環境で学ぶ人にとってのよき伴侶となることを願っている。
2017年11月
著者ら
目次
開く
序章 看護倫理を学ぶために(宮坂道夫)
A なぜ倫理を学ぶのか
B 本書で学ぶこと
第1部 生命倫理
第1章 倫理学の基本的な考え方(宮坂道夫)
A 倫理とはなにか
B 倫理理論
C 他者理解と対話のための理論
第2章 生命倫理(宮坂道夫)
A 生命倫理とはなにか
B 生命倫理の理論
C 生命倫理と看護職の責務
第3章 性と生殖の生命倫理(宮坂道夫)
A 性の生命倫理
B 生殖の生命倫理
第4章 死の生命倫理(宮坂道夫)
A 死について
B 死と医療
C 死についての生命倫理の課題
第5章 先端医療と制度をめぐる生命倫理(宮坂道夫)
A 移植医療
B 再生医療
C 遺伝子医療
D 医療資源と医療保険制度
第2部 看護倫理
第6章 看護倫理とはなにか(石原逸子)
A 看護倫理を学ぶ意義
B 看護倫理の歴史
C 看護の倫理原則
D 看護実践上の倫理的概念
E 看護実践と倫理
第7章 専門職の倫理(吉田みつ子)
A 社会からみた看護
B 専門職に求められる倫理
C 専門職の倫理綱領
D 看護業務基準と倫理実践
E 保健師助産師看護師法と倫理
第8章 倫理的問題へのアプローチ(吉田みつ子・石原逸子)
A 看護実践における倫理的問題の特徴
B 倫理的問題へのアプローチ
第9章 看護研究の倫理(宮坂道夫)
A 看護職と研究倫理
B 研究における倫理的問題
C 倫理的配慮の要点
D 看護研究に必要な倫理的配慮
第3部 事例分析
第10章 事例分析(二宮啓子・石原逸子・川上由香・村瀬智子・高田昌代・友竹千恵・成瀬和子)
A 小児看護における事例分析
B 精神看護における事例分析
C 母性看護における事例分析
D 臨床試験における事例分析
E 地域看護における事例分析
資料 医療倫理に関する宣言・綱領
索引
A なぜ倫理を学ぶのか
B 本書で学ぶこと
第1部 生命倫理
第1章 倫理学の基本的な考え方(宮坂道夫)
A 倫理とはなにか
B 倫理理論
C 他者理解と対話のための理論
第2章 生命倫理(宮坂道夫)
A 生命倫理とはなにか
B 生命倫理の理論
C 生命倫理と看護職の責務
第3章 性と生殖の生命倫理(宮坂道夫)
A 性の生命倫理
B 生殖の生命倫理
第4章 死の生命倫理(宮坂道夫)
A 死について
B 死と医療
C 死についての生命倫理の課題
第5章 先端医療と制度をめぐる生命倫理(宮坂道夫)
A 移植医療
B 再生医療
C 遺伝子医療
D 医療資源と医療保険制度
第2部 看護倫理
第6章 看護倫理とはなにか(石原逸子)
A 看護倫理を学ぶ意義
B 看護倫理の歴史
C 看護の倫理原則
D 看護実践上の倫理的概念
E 看護実践と倫理
第7章 専門職の倫理(吉田みつ子)
A 社会からみた看護
B 専門職に求められる倫理
C 専門職の倫理綱領
D 看護業務基準と倫理実践
E 保健師助産師看護師法と倫理
第8章 倫理的問題へのアプローチ(吉田みつ子・石原逸子)
A 看護実践における倫理的問題の特徴
B 倫理的問題へのアプローチ
第9章 看護研究の倫理(宮坂道夫)
A 看護職と研究倫理
B 研究における倫理的問題
C 倫理的配慮の要点
D 看護研究に必要な倫理的配慮
第3部 事例分析
第10章 事例分析(二宮啓子・石原逸子・川上由香・村瀬智子・高田昌代・友竹千恵・成瀬和子)
A 小児看護における事例分析
B 精神看護における事例分析
C 母性看護における事例分析
D 臨床試験における事例分析
E 地域看護における事例分析
資料 医療倫理に関する宣言・綱領
索引
更新情報
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