マタニティ診断ガイドブック 第7版
ケアの視点から妊産婦および新生児・乳児を診断する
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出産前後の女性と新生児・乳児の状態を的確にとらえたうえでケアの指針を示すために、マタニティ診断がある。本書は助産および母性看護で活用できる診断名とその定義および診断指標を提示している。今回の主な改訂ポイントは、産後期から乳児の診断を取り出し乳児期とした点と、産後うつをとらえた診断名・診断指標を追加した点である。マタニティ診断は実習での現象や現場の助産師の声を生かしながら、進化を続けている。
| 編集 | 日本助産診断実践学会 |
|---|---|
| 発行 | 2025年10月判型:B6変頁:248 |
| ISBN | 978-4-260-06240-4 |
| 定価 | 3,080円 (本体2,800円+税) |
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第7版の序
筆者らは1990年,助産師教育課程に助産診断学が組み込まれたのを契機に,助産診断の確立を目指して検討を始めました.そのメンバーを中心に1997年に日本助産診断・実践研究会を設立し,妊娠期から新生児期までの診断名の検討を重ねて,日本助産学会などで公表し,臨床や教育現場の助産師諸氏の意見を伺いながら,約14年の熟成期間を経て,2004年に初版を出版しました.その後,時代に即したものになるように内容の検討を行いながら改訂を進めました.第6版からは,2018年に設立した日本助産診断実践学会を編集母体として,さらに科学的根拠を重視した診断名になるよう努力を続けています.
今回の改訂(第7版)では,以下の点について加筆修正しています.
1つめは,健康生活診断に妊産婦の役割を再度追加したことです.それぞれの時期に「妊婦の役割」「産婦の役割」「褥婦の役割」として診断名を入れました.これは,母親になるということ,その役割をどれくらい認識しているのかを診断するものです.
2つめは,分娩期の健康生活診断を,新たなワーキングメンバーで見直し,特に出産育児行動について加筆修正したことです.これはNANDA-Iに提案している出産育児行動の見直しにも必要になっていることから,有用なものです.
3つめは,産褥期・産後期の経過診断として,「精神的状態」を新しく追加したことです.健康生活診断の精神・心理的生活に「情緒」がありますが,産後うつなどの症状がみられた際には,医師の診断と治療が必要になり,「要支援」ではカバーできないため,経過診断として「要精査」を追加しました.これらは昨今の高齢妊婦の増加や,社会的に出産・育児のストレスの多い現状から,産後のメンタルヘルスへの支援につながるものと考えます.
4つめは,産後期に基本的生活行動として「日常生活行動」を追加したことです.産後期は生活が確立しているだろうとの考えから,基本的生活行動を入れていませんでしたが,産後期の産婦の日常生活行動を診断することは必要ということで,追加しています.
5つめは,これまでは産後期で母子を一体としてみていましたが,母親と乳児を分けて,乳児期を新しく追加したことです.これまで母親との関連でみていた乳児の状態を,母親とは別にアセスメントすることで乳児をみる視点が広がり,必要なケアにつながるものと考えます.乳児期に関しては,臨床の意見を反映していますが,まだ検討の余地があると思います.日本助産診断実践学会として,小児科の医師の意見も取り入れながら,さらに検討を重ねていく所存ですが,ご活用いただいた読者の方々からもご意見をいただけましたら幸いに存じます.
なお,本書はコンパクトさも使いやすさの1つですので,全体のページ数を抑えるため,診断指標の根拠として挿入していた資料の一部を割愛しています.割愛した資料は教科書などをご参照いただけましたら幸甚です.
以上,第7版でもさまざまな側面から改訂をしております.皆様に是非ご活用いただき,今後も忌憚のないご意見をお寄せくださいますようお待ちしています.
2025年8月
日本助産診断実践学会理事長
執筆代表 齋藤益子
目次
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妊娠期のマタニティ診断
妊娠期の経過診断(GP)──6類型と29の診断名
1.妊娠の確定
2.分娩予定日・妊娠時期
3.妊娠経過
4.母体の状態
5.胎児の状態
6.胎児付属物の状態
妊娠期の健康生活診断(GH)──4類型と42の診断名
1.基本的生活行動
2.精神・心理的生活行動
3.社会的生活行動
4.出産育児行動
分娩期のマタニティ診断
分娩期の経過診断(LP)──9類型と53の診断名
1.分娩時期
2.分娩開始
3.分娩経過
4.分娩3要素
5.分娩機転(回旋)
6.母体の状態
7.胎児の状態
8.分娩予測
9.分娩直後の状態
分娩期の健康生活診断(LH)──4類型と30の診断名
1.基本的生活行動
2.精神・心理的生活行動
3.社会的生活行動
4.出産育児行動
産褥期のマタニティ診断
産褥期の経過診断(PP)──2類型と13の診断名
1.産褥日数
2.母体の状態
産褥期の健康生活診断(PH)──4類型と38の診断名
1.基本的生活行動
2.精神・心理的生活行動
3.社会的生活行動
4.出産育児行動
新生児期のマタニティ診断
新生児期の経過診断(NP)──4類型と16の診断名
1.児の日齢
2.出生直後の状態
3.早期新生児の状態
4.新生児の経過
新生児期の健康生活診断(NH)──2類型と10の診断名
1.養護
2.環境
産後期のマタニティ診断
産後期の経過診断(PDP)──2類型と10の診断名
1.産後の時期
2.母体の状態
産後期の健康生活診断(PDH)──4類型と18の診断名
1.基本的生活行動
2.精神・心理的生活行動
3.社会的生活行動
4.育児行動
乳児期のマタニティ診断
乳児期の経過診断(IP)──2類型と7の診断名
1.児の月齢
2.児の状態
乳児期の健康生活診断(IH)──2類型と10の診断名
1.養護
2.環境
索引




