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検査値と画像データから読み解く 薬効・副作用評価マニュアル

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「よく処方される薬」と「臨床検査や画像検査」のポイントを「薬⇔検査」の双方向の切り口で編集した一冊。第I部の「薬→検査」では薬効別に、①疾患に関連する薬、自覚症状、検査→②薬の評価項目とタイミング→③治療効果(④副作用)の評価に必要な臨床検査と画像検査→⑤薬剤選択の考え方→⑥評価から介入までのフローチャート→⑦記録の書き方―の流れで記載。第II部の「検査→薬」では検査ごとにその評価ポイントを解説。

編集 吉村 知哲 / 岩本 卓也
発行 2022年08月判型:B6変頁:560
ISBN 978-4-260-04881-1
定価 4,400円 (本体4,000円+税)

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 薬物療法を実践するためには,以下のことが薬剤師に求められる.
 ①薬の投与前から患者情報を確認し,個々の患者に合った投与量・投与方法かどうかを見極め,適正使用の判断をすること.
 ②患者に対して適切な服薬指導を行いアドヒアランス向上につなげること.
 ③患者の服薬状況を確認し,薬の治療効果および副作用を適切にモニタリングして薬物療法を評価すること.
 ④治療効果を向上させるために,薬剤変更の考慮や副作用の的確なマネジメントを行うこと.
 この一連の流れの中で,特に③の「薬の治療効果および副作用を適切にモニタリングして薬物療法を評価する」には,患者の自覚症状以外に客観的評価指標として臨床検査値や画像データを参考とする必要がある.しかし,これらの客観的評価指標は疾患や薬剤によって評価項目が異なることもあり,漏れなく的確に評価することは容易ではない.添付文書やインタビューフォーム,適正使用ガイドなどから得られる医薬品情報の活用とは別のスキルが必要となる.
 2020年9月に改正施行となった「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」では,服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援の義務化,医師等への服薬状況等に関する情報提供の努力義務化が盛り込まれている.薬剤師は,服薬期間を通して患者をフォローアップすることが必要になった.さらに,院外処方箋には臨床検査値が表示され,病院薬剤師のみならず保険薬局薬剤師においても臨床検査値と関連付けた薬の評価を行うことが求められている.
 本書は,薬剤の治療効果と副作用発現の評価に必要な臨床検査や画像検査について,薬剤と検査を関連付けて簡潔にまとめたマニュアルである.臨床で活躍する薬剤師からの「薬物療法を臨床検査や画像診断と結び付けて評価できるマニュアル本があったら助かる」という声を実現させた一冊である.
 構成は,「薬剤編」と「検査編」の2部からなる.前半の「薬剤編」では,系統別に分類した薬を切り口に,一連の薬効・副作用評価の流れに則して,「Overview」「臨床所見と検査」「薬の分類と評価項目」「治療効果の確認項目」「副作用の確認項目」「薬剤選択のチェックポイント」「評価から介入までのフローチャート」「薬剤管理指導記録の書き方」の8つの項目に分けて解説している.後半の「検査編」では,臨床検査の項目ごとに「Overview」「評価のポイント」「異常値で考慮すべき疾患」について,また,画像検査については,「検査の特徴」「基本的な見え方」「薬剤に関連する主な疾患と所見」について解説している.
 本書が薬物療法に携わるみなさんにとって,臨床における積極的な患者支援の一助になれば幸いである.

 2022(令和4)年6月
 編集者を代表して
 大垣市民病院 薬剤部長
 吉村知哲

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はじめに 薬剤師が行う薬効・副作用評価
──本書のコンセプトと使い方──

第I部 薬の治療効果と副作用の評価項目(薬効別)
 第1章 循環器系に作用する薬剤
   1 降圧薬
   2 虚血性心疾患治療薬
   3 抗不整脈薬
   4 心不全治療薬,昇圧薬
   5 利尿薬
 第2章 呼吸器系に作用する薬剤
   6 気管支喘息・COPD治療薬
 第3章 消化器系に作用する薬剤
   7 消化性潰瘍治療薬
   8 腸疾患治療薬
 第4章 内分泌代謝系に作用する薬剤
   9 糖尿病治療薬
   10 脂質異常症治療薬
   11 痛風・高尿酸血症治療薬
   12 甲状腺疾患治療薬
   13 骨・カルシウム代謝薬
 第5章 血液に作用する薬剤
   14 抗血栓薬
   15 造血薬
 第6章 炎症・免疫・アレルギーに作用する薬剤
   16 免疫抑制薬
   17 非ステロイド性抗炎症薬
   18 抗リウマチ薬
   19 アレルギー疾患治療薬
 第7章 神経系に作用する薬剤
   20 抗精神病薬,抗うつ薬,気分安定薬,精神刺激薬
   21 抗不安薬,睡眠薬
   22 抗てんかん薬
   23 パーキンソン病治療薬
 第8章 感染症治療薬
   24 抗菌薬
   25 抗ウイルス薬
   26 抗真菌薬
 第9章 抗悪性腫瘍薬
   27 殺細胞性抗がん薬
   28 分子標的薬
   29 免疫チェックポイント阻害薬

第II部 臨床検査・画像検査の評価ポイント
 第10章 臨床検査
   30 血液一般検査
   31 肝機能検査
   32 腎機能検査
   33 出血・凝固・線溶系関連検査
   34 電解質検査
   35 糖代謝検査
   36 脂質代謝検査
   37 ホルモン関連検査
   38 免疫・アレルギー関連検査
   39 感染症検査
   40 腫瘍マーカー・がん関連遺伝子検査
   41 その他の生化学検査
   42 尿検査,その他の検体検査
   43 心電図検査
   44 脳波検査
   45 呼吸機能検査
 第11章 画像検査
   46 X線検査
   47 血管造影検査
   48 超音波検査
   49 CT検査
   50 MRI検査
   51 核医学検査
 第12章 その他
   52 フィジカルアセスメント

索引

ひとことメモ
 1 薬物性肝障害
 2 有機リン化合物およびカーバメート化合物
 3 肝臓の合成能と代謝能
 4 栄養状態を表す指標
 5 APTTとPTに関与する因子群
 6 線溶系とその制御機構
 7 FDPとDダイマーの関係
 8 DIC
 9 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
 10 イオン化Ca(iCa)
 11 インスリン分泌指数
 12 α-グルコシダーゼ阻害薬の中で,なぜアカルボースだけ1,5-AGに影響するのか?
 13 検査条件の確認(脂質異常症)
 14 脂質異常症の診断基準
 15 レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)
 16 コレステロールエステル転送蛋白(CETP)
 17 家族性III型高脂血症の診断基準
 18 内分泌性高血圧
 19 デキサメタゾン抑制試験(DST)
 20 妊娠とホルモンの関連
 21 薬剤アレルギー
 22 ブレイクポイント
 23 Bristol Stool Scale
 24 コンパニオン診断薬
 25 がん遺伝子パネル検査
 26 ビタミンの吸収阻害
 27 薬剤性のビタミン欠乏
 28 アシデミアとアシドーシス,アルカレミアとアルカローシス
 29 臨床現場での対応(肺での血液ガス交換機能障害,酸塩基平衡障害)
 30 ヘモグロビン(Hb)の影響
 31 薬剤性肺障害
 32 心不全症例の分類

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病棟で輝く薬剤師になるための必携マニュアル本
書評者:石澤 啓介(徳島大教授・臨床薬理学/徳島大病院薬剤部長)

 薬剤師が患者の薬物療法にかかわるには,客観的指標に基づいた薬の治療効果や副作用を評価する必要がある。特に,病棟においてチーム医療の一員として薬剤業務に従事する際は,臨床検査値や画像データを読み解くスキルが求められる。本書を白衣のポケットに忍ばせておけば,臨床検査・画像検査を活用した薬効・副作用の評価の心強い味方になるはず。現在あるいはこれから病棟で活躍する薬剤師にとって,頼りがいのある一冊となるに違いない。

 本書は,前半は薬効別に分類した代表的な薬の治療効果と副作用の評価について,必要な臨床所見や客観的データを含む種々の確認項目が簡潔にまとめられている。また,薬剤選択のチェックポイントを図表化し,治療開始から評価・介入に至る一連の流れがフローチャートで示されていることで,実践的かつわかりやすい内容となっている。さらに薬剤管理指導記録の記載のポイントに関しても解説しており,病棟で薬剤管理指導を行う際の記録作成の参考となるマニュアルである。

 後半は,臨床検査・画像検査の評価ポイントを的確にまとめている。各臨床検査の基準値はもちろん,異常値を示したときに考慮すべき疾患が列挙されていることも,薬剤師にとって魅力ある内容となっている。また,薬剤師があまりなじみのない,さまざまな画像検査の目的やチェックポイントに関して簡潔にまとめられており,医局カンファレンスにおける画像所見を理解する上でも大いに役立つ。

 本書は薬の治療効果と副作用発現の評価について,検査・薬効・副作用をオールインワンにまとめた薬剤師にとって魅力ある必携のバイブルであることに間違いない。加えて,薬物療法に携わる研修医,若手医師,看護師も活用できる充実した内容となっている。近年は医療機関から保険薬局に検査値情報を提供しているケースも増えてきており,保険薬局薬剤師にとっても本書は価値ある一冊となるだろう。


薬物療法を成功に導くための医療職必携の書
書評者:田﨑 嘉一(旭川医大病院薬剤部教授・薬剤部長)

 本書は,薬剤師が薬物療法を患者個々の病態・状況に応じて進めるために,必要な情報や考え方と行うべきことを示した書である。いうまでもなく薬物療法を成功させるためには,個々の患者における薬剤の治療効果や副作用をしっかりと把握する必要があるが,そのためにどのような点について観察すべきかのポイントが示されている。このポイントはとても簡潔に書かれているため,理解しやすいのが本書の特徴である。

 また本書が2部構成になっていることも一つの特徴である。前半部は薬効別に薬剤の評価項目が示されており,冒頭にOverviewとして対象となる疾患の全体像がまとめられているので,全体を把握した上でどのような管理目的で薬物療法が展開されているのかという考え方を整理できる。また,その次には臨床所見と検査およびその目的が記されているので,それを参考にすると患者の状態も把握しやすい。前半部の中心は薬効の評価項目と副作用の確認項目であり,これも要点が整理されているため理解しやすく,病棟薬剤師なども必要時に参考にしやすいものとなっている。最後に評価から介入までフローチャートが作成されているので,悩んだときの助けとなる。さらに管理指導の書き方も記載されているので他の医療職からも理解されやすい記録が作成できる。

 また後半部は臨床検査,画像検査の評価ポイントが記載されている。臨床検査についてはそれぞれの臨床検査項目のOverviewと評価のポイントがコンパクトに記載されており,検査の目的を把握するのに適している。画像検査については,その検査の概要に加えて画像から得られる所見と疾患との関連を写真入りで解説している。

 本書は,そのコンセプトと使い方を編者の吉村知哲先生ご自身が「はじめに」の中に丁寧に解説されている。薬剤師が本書を活用して,これまで以上に適正な薬物療法への貢献が可能となるように編集されたことがよくわかる。検査,薬効,副作用に関して要点をコンパクトにまとめた本書は,全ての薬剤師の役に立つものとなるだけでなく,薬物療法にかかわる全ての職種にも参考になる良書であるといえる。


包括的に臨床能力を高めたい薬剤師にお薦めの一冊!
書評者:池田 龍二(宮崎大病院 教授・薬剤部長)

 くすりの専門家である薬剤師は,医薬品に関する医療安全を担保しながら薬の治療効果および副作用を適切に評価し治療継続につなげる役割がある。そのためには,薬の治療効果および副作用を正しく評価し,的確に対処することが求められる。しかしながら,悪性新生物,虚血性心疾患,糖尿病,精神疾患など疾患が多岐にわたり,科学の進歩で薬物療法も多様化・複雑化する中で,薬の治療効果や副作用を臨床検査値や画像データと関連させ適切に評価することは容易なことではない。

 本書は,「薬の治療効果と副作用の評価項目」と「臨床検査・画像検査の評価ポイント」の2部構成となっており,医薬品を評価する上で必要な臨床検査値や画像検査を医薬品の有効性と安全性の観点から関連付けてわかりやすく解説している。

 「薬の治療効果と副作用の評価項目」では,疾患に関連する薬剤と臨床所見,評価に必要な主な検査,評価のタイミングが記載されている。特に,本書では,臨床現場で確認すべき臨床所見,バイタルサイン,血液検査,画像検査などが薬効別に理路整然とまとめられており,治療の有効性・安全性を担保する上で大いに役立つ内容となっている。

 また,「臨床検査・画像検査の評価ポイント」の項目では,血液一般検査,肝機能検査,腎機能検査,出血・凝固・線溶系関連検査,電解質検査,糖代謝検査,脂質代謝検査,ホルモン関連検査,免疫・アレルギー関連検査,感染症検査,腫瘍マーカー・がん関連遺伝子検査,尿検査など各項目について,検査項目の特徴や病態との関連性とその意義・機序を含め,評価のポイントに関してわかりやすく記載されている。さらに,心電図検査,脳波検査,呼吸機能検査,X線検査,血管造影検査,超音波検査,CT検査,MRI検査,核医学検査などに関して基本的な考え方や病態との関連性が画像を含め具体的に明記されており,読者の知識・理解をさらに深めることで,薬物療法に関連した患者の症状・状況の把握および適切な対処方法について多職種で協議する際にも大いに貢献できる一冊である。

 また,「薬剤管理指導記録の書き方」の項目は,薬効別にSOAP形式で作成されており,実際に症状や検査値をどのようにとらえ記載するか,薬剤管理指導を行った際の記録作成時に参考になる点もたいへん魅力的で,包括的に臨床能力を高めたい薬剤師にお薦めの一冊である。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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