• HOME
  • 書籍
  • こんなときどうする!? 整形外科術後リハビリテーションのすすめかた 


こんなときどうする!? 整形外科術後リハビリテーションのすすめかた

もっと見る

腰椎椎間板ヘルニア、変形性股関節症、橈骨遠位端骨折……本書は、整形外科領域のリハビリテーションを担当する療法士に馴染み深い代表的な疾患について、術後リハビリテーションに焦点を当てて、時系列に沿いながら多角的に解説する。

また、多くの療法士が持つ悩みを熟知した経験豊富な執筆陣により、臨床で誰もが一度は遭遇するであろう“こんなときどうする!?”をピックアップし、具体的な解決策を提示する。

監修 山村 恵 / 竹林 庸雄
編集 三木 貴弘
編集協力 渡邊 勇太
発行 2021年06月判型:B5頁:520
ISBN 978-4-260-04336-6
定価 7,480円 (本体6,800円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評

開く

監修の序

 整形外科疾患の手術療法に関する書籍は巷に溢れています.同様に,わが国における慢性痛の原因疾患として最も多い腰痛や肩痛,膝痛に関するリハビリテーションの書籍も枚挙に暇がありません.しかしながら,本書のように腰や膝など特定の部位に限局しないで,多様な整形外科疾患の術後リハビリテーションに言及したテキストは,これまでほとんどありませんでした.本来,手術と術後のリハビリテーションは一体であるはずなのに,これまでは別々の領域における作業としてみなされていたからです.
 本書では,まず総論として整形外科疾患における術後リハビリテーションにとって重要な要素である身体の評価法,画像診断などを総括しています.続いて脊柱,股関節,膝関節など各部位別の疾患の特徴と術式を各論として概説し,術後のリハビリテーションに必要な知識を包括的に習得できるようになっています.また,急性期,回復期,トレーニング期,スポーツ復帰期など,術後の時期別のリハビリテーションの目標を明確に示し,適切なリハビリテーションの内容を具体的に説明しています.そして,本書の最も特筆すべき点は,「こんなときどうする!?」として,術後経過が芳しくない場合や予期せぬ合併症への対処法,心因的要素を抱えていると思われる患者様へのアプローチ,間違いやすい落とし穴など,困ったときに役立つ対応策が具体的に述べられていることです.
 このように,本書はこれまでの成書とは違った視点で構成されており,より実践的かつ効率的なリハビリテーションの介入方法を学ぶことができます.そのため,リハビリテーションの関係者だけでなく,医師や看護師など整形外科疾患の手術にかかわるすべての医療者に読んでいただく価値のある内容であると確信しています.是非皆さまのお手元に置いていただき,術後リハビリテーションの一助としていただければ幸いです.

 2021年4月
 竹林庸雄


 整形外科領域のリハビリテーションを大きく2つに分けると,保存療法と手術後のリハビリテーションとに分けることができます.本書は後者に焦点を当てました.整形外科領域において,手術を終えたあとすぐに日常生活やスポーツに復帰できることはほとんどありません.その後に中長期に渡る適切なリハビリテーションを行い,それぞれの目標にたどり着きます.もしその時期に誤ったことを行ってしまうと,手術後の効果が半減もしくは無になってしまうことは多々あります.ゆえに,手術後のリハビリテーションは非常に重要だといえます.
 手術後のリハビリテーションにおいては,様々な知識が必要になります.リハビリテーションの知識はもちろんのこと,疾患に関すること,手術の方法,痛みや麻酔の知識,画像の読みかた,検査値の知識などです.また,部位や時期によって考えかたやリハビリテーションの進めかたが異なります.本書ではそれらを「術後リハビリテーションに共通する知識」と「部位ごとの術後リハビリテーション」とに分け,さらに時系列に沿って「この疾患(手術)に対しては,どの時期にどのようなことを行えばよいのか」という視点で解説をしています.
 また,実際の臨床場面では,予定通りに進むことは少なく,その場で起こる様々なイレギュラーな出来事に対応する必要があります.本書では臨床場面でよく生じるイレギュラーな出来事を「こんなときどうする!?」と称して解説をしています.ここを読んでいただくことにより,応用的な視点をもつことが可能となるでしょう.
 本書は,上記のコンセプトのもと,私が信頼している医師の監修や臨床経験豊富な医師・理学療法士・作業療法士の皆さまの執筆によりまとめることができました.本書が整形外科領域の術後のリハビリテーションにかかわる医療従事者に役立ち,その先にいる対象者の幸せにつながることを心より願っています.
 最後に,発刊までに医学書院・北條立人氏に多大なるご尽力をいただきました.この場を借りて心よりお礼を申し上げます.

 2021年4月
 編集 三木貴弘

開く

共通
  1.術後リハビリテーションに必要な情報収集/評価
  2.術後リハビリテーションに必要な画像の知識
  3.術後リハビリテーションに必要な麻酔の知識
  4.術後リハビリテーションに必要な検査値の知識
  5.術後リハビリテーションに必要な疼痛の知識
  6.術後リハビリテーションに必要な組織(骨,靱帯)の修復過程の知識

各論
 1章 脊柱
  1.腰部脊柱管狭窄症
  2.腰椎椎間板ヘルニア
  3.頸椎症性脊髄症(頸髄症)
 2章 股関節
  1.変形性股関節症
  2.大腿骨近位部骨折
 3章 膝関節
  1.変形性膝関節症
  2.膝前十字靱帯損傷
 4章 足関節
  1.果部骨折
  2.アキレス腱断裂
 5章 肩関節
  1.腱板断裂
  2.上腕骨近位端骨折
 6章 前腕
  1.橈骨遠位端骨折
  2.上腕骨顆上骨折
 7章 手指
  1.腱損傷

索引

臨床MEMO
 ・介護保険
 ・単純X線像の観察のポイント
 ・CT値
 ・MRIの画像
 ・MRIの安全性
 ・経静脈自己調節鎮痛(IV-PCA),硬膜外自己調節鎮痛(PCEA)
 ・その他の検査項目
 ・修復過程の時期と荷重の関係性
 ・靱帯の損傷度に合わせた理学療法
 ・膀胱直腸障害とは?
 ・NRSとVAS
 ・神経症状の評価をより正確に行うには
 ・ドレーンの意味は?
 ・DVTを疑う臨床検査
 ・体幹深部筋による脊柱の安定化作用(多裂筋)
 ・近位隣接椎間後彎障害(PJF),近位隣接椎間後彎変形(PJK)とは?
 ・安静度変更の基準
 ・退院後のホームエクササイズの指導
 ・椎間板組織とは
 ・SLRテスト陽性=腰椎椎間板ヘルニア?
 ・椎間板内酵素注入療法
 ・脊椎矢状面アライメント
 ・大腿神経伸張テスト
 ・再発予防には筋力トレーニングが重要?
 ・NMES(neuromuscular electrical stimulation)とは
 ・myelopathy hand
 ・下顎反射
 ・軸性疼痛とは?
 ・C5麻痺
 ・跛行の原因は?
 ・術前リハビリテーションの効果は?
 ・術後のTHAにおけるDVTリスクについて
 ・退院に向けての応用歩行練習
 ・階段昇降と復職
 ・SFNとSHSの内反モーメントの違い
 ・家族ともコミュニケーションをとろう
 ・術後早期の電気刺激について
 ・術後早期に注意すること
 ・歩行自立度はチームで決定する
 ・knee-spine syndromeとは?
 ・TUG(Timed Up & Go Test)
 ・破局的思考,自己効力感とは?
 ・術後の筋緊張の異常
 ・疼痛管理
 ・関節因性筋抑制(AMI)とは?
 ・歩行器歩行への安静度拡大
 ・退院時に行う患者教育の重要性
 ・外来での術後リハビリテーション
 ・windshield wiper effect とbungee cord effect
 ・HHD(heel height difference)
 ・膝蓋下脂肪体・膝蓋上嚢および大腿前脂肪体
 ・スポーツ復帰基準と再断裂予防効果
 ・再発予防
 ・大腿四頭筋セッティングと下肢運動量
 ・脛骨天蓋骨折との違い(受傷機転,部位,荷重などの術後プログラム)
 ・mortise view
 ・術前の留意事項
 ・アキレス腱への血液供給
 ・アキレス腱の捻れ構造とは?
 ・前駆症状とは?
 ・受傷時の表現
 ・double Tsuge変法+simple circumferential sutureの手術方法
 ・国内でのアキレス腱断裂後DVT
 ・装具による歩行様式の違い
 ・アキレス腱断裂後のヒラメ筋の筋腱移行部の特徴
 ・腱延長(elongation)の評価
 ・肩峰下・関節内インピンジメントとは?
 ・腱板断裂の診断に用いられる整形外科的検査
 ・修復腱の力学的強度
 ・腱板修復術後における筋力の回復過程
 ・ADLに必要な肩関節可動域
 ・「ORIF」とは?
 ・疼痛について
 ・末梢神経について
 ・可動域の目標
 ・腱板と肩甲胸郭の関係
 ・橈骨遠位端骨折の保存療法のリハビリテーション
 ・Volkmann拘縮とは?
 ・fat pad signとは
 ・正常可動域と機能的可動域
 ・肘内側側副靱帯の構造と働き
 ・異所性骨化とは?
 ・上腕三頭筋各頭の働き
 ・屈筋腱zone別リハビリテーションのポイント
 ・手術見学のポイント
 ・屈筋腱の再断裂
 ・クライナート変法(modified Kleinert法)
 ・指屈曲運動時の屈筋腱にかかる抵抗
 ・屈筋腱の早期運動療法が実施できない場合
 ・屈筋腱・伸筋腱損傷の各種評価

開く

整形外科術後リハビリテーションをひもとく一冊
書評者:荒木 秀明(日本臨床徒手医学協会代表理事)

 「手術と術後リハビリテーションは一体であるべき」との北の大地,北海道の強い意志を感じ取れる一冊です。

 本書の構成は総論と各論に分かれています。総論では手術後リハビリテーションで必要な各種評価法,画像の読影法,麻酔の詳細,臨床検査の診かた,そして生物心理社会的因子としての心因性にまで及ぶ内容が網羅されています。各論では,各専門領域の第一線で活躍中のセラピストの先生方が,部位ごとの疾患の特徴と手術の内容,そして術後リハビリテーションを行う際に必要な基礎知識から実践までをわかりやすく解説しています。部位に特化せず,全身にわたって,整形外科で馴染み深い疾患を取り扱った書籍は今まで,あまり目にしたことはありません。

 本書の特徴は,表題にもなっている「こんなときどうする!?」です。

 臨床で毎日行っていたカンファランスで自分が頻繁にスタッフに投げかけていたことを懐かしく思い出しました。今回提示されている内容は,臨床経験を重ねた臨床家ならではの内容となっています。クリニカルパスを活用されている場合,パスから逸脱して,難渋する「ネガティブ・バリアンス」は日常的に生じます。そして,臨床で一度は必ず問いかけられる不安に満ちた患者さまからの質問,あるいは遭遇するであろうセラピストの悩みを,経験豊富なセラピストが手術前,手術後の急性期から,退院時の日常生活指導まで時系列に沿って,豊富なフルカラーの写真を用いながら非常にわかりやすく解説してくれています。きっと,患者さまへの説明時に,活用できる内容だと確信します。

 本文の端々にちりばめられた「臨床MEMO」においても,いまさら聞けないような介護保険からバイオメカニクス,理学検査の診かた,手術方法に至るまで,普段の回診やカンファランスで飛び交う「文言」をピンポイントで押さえてあり,ここでもわかりやすい説明が施されています。

 整形外科の手術後リハビリテーションをひもとくために,ぜひとも手元に置いて,活用していただきたい一冊です

 

 

本書の一部を医学界新聞プラスで無料公開中!
医学界新聞プラスのページへ


konnatoki_3x-100.jpg

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。