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BRAIN and NERVE Vol.78 No.8
2026年 08月号
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特集の意図
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2022年3月号「中枢性自律神経障害update」に続き,本号では末梢性自律神経障害に焦点を当てる。末梢性自律神経障害は,起立性低血圧,発汗異常,消化管運動障害,排尿障害など全身にわたる多彩な症状を呈し,患者は循環器内科,消化器内科,泌尿器科,皮膚科などさまざまな診療科を経由して受診することが少なくない。近年は皮膚生検をはじめとする評価法の進歩や自己免疫性自律神経節障害(AAG)に代表される病態研究の進展により,新たな知見が蓄積されつつある。本特集では病理から診断,各疾患の最新知見,治療までを概観するとともに,多診療科にまたがるこの領域で脳神経内科医が果たす役割を考える機会としたい。
【鼎談】末梢性自律神経障害の現在地 朝比奈 正人 , 中根 俊成 , 神田 隆
末梢性自律神経障害の病理 佐藤 亮太
末梢自律神経は経路の大部分が無髄神経線維によって構成されるため,光学顕微鏡による評価が困難である。従来,無髄神経線維は電子顕微鏡を用いて評価されてきた。近年,皮膚生検法の登場によって,低侵襲かつ定量的な自律神経評価が可能となり,本領域にパラダイムシフトをもたらしつつある。今後は剖検,腓腹神経生検,皮膚生検を総合的に解析することによって末梢性自律神経障害の病態解明に寄与することが期待される。
ギラン・バレー症候群と自律神経障害 国分 則人
ギラン・バレー症候群では,交感神経過活動症状を主とする自律神経障害が高頻度かつさまざまな程度でみられ,これは時に生命予後に関連する。自律神経障害は,免疫攻撃による自律神経線維の伝導障害に起因すると考えられる。この伝導障害が自律神経線維,運動神経および感覚神経に共通する抗原に対する免疫反応によるものなのか,運動・感覚神経への免疫攻撃と同時に起きた特異的な自律神経抗原に対する免疫反応によるものなのかはわかっていない。
αシヌクレイノパチーの自律神経障害 八木田 薫 , 髙尾 昌樹
パーキンソン病と純粋自律神経機能不全はともに末梢性自律神経障害を引き起こすαシヌクレイノパチーである。その自律神経障害は起立性低血圧や便秘といったよく知られる症状から臥位高血圧や胃不全麻痺といったときに見過ごされがちな症状まで多岐にわたる。本論ではαシヌクレイノパチーでみられる多様な末梢性自律神経障害の特徴的な症候を紹介する。また疾患修飾薬が確立されていない状況で,日常臨床でできる治療介入やその予後にも言及する。
糖尿病による自律神経障害 三澤 園子
糖尿病性自律神経障害は,糖尿病性神経障害の重要な一病型である。糖尿病性多発ニューロパチーに合併して,心血管系,消化管,泌尿生殖器,発汗,瞳孔機能など多臓器に及び,無自覚性低血糖にも関与する。なかでも心血管自律神経障害は評価法と予後関連の知見が多い。早期には無症候性で見逃されやすく,系統的問診と基本検査による拾い上げ,包括的リスク管理と臓器別対症療法が重要である。
ATTRアミロイドーシスにおける自律神経障害 小平 農 , 関島 良樹
遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTRv)では,多発神経障害に加えて自律神経障害を呈することが多く,QOLを低下させる。家族歴のない非集積地ATTRv患者では初期に自律神経障害が目立たないことも多いが,診断のred flagにもなり得る。野生型トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTRwt)における自律神経障害が報告され始めているが,さらなる知見の蓄積が必要である。
自己免疫性自律神経節障害の自律神経障害 中根 俊成
自己免疫性自律神経節障害(AAG)は免疫機序を基盤に発症する自律神経節のシナプス伝達障害を主病態とする末梢神経疾患である。AAG患者血清からはニコチン性自律神経節アセチルコリン受容体(gAChR)に対する自己抗体が検出され,AAGの病原性自己抗体とされている。本論ではAAGの臨床と研究の新展開として,1)AAGの臨床像や免疫治療,2)新型コロナウイルス感染症とそのワクチン接種と自律神経障害の関連,3)がん治療における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の免疫関連副作用としての自律神経障害,4)新しいgAChR抗体測定法を取り上げる。
末梢自律神経障害の特徴と治療 朝比奈 正人
自律神経ニューロパチーなどによる末梢自律神経の障害は,自律神経機能が低下した状態である自律神経不全を呈する。その症候としては,心循環系では起立性低血圧,食後低血圧,臥位/夜間高血圧,消化管では胃不全麻痺,便秘,下痢,下部尿路では低活動膀胱など多彩である。末梢自律神経障害では節後自律神経障害が主体であり,節後自律神経障害に固有の特徴を示す。また,自律神経症候の治療では非薬物療法が重要であり,それのみで不十分な場合に薬物療法を導入する。本論では,末梢自律神経障害でみられる症候の特徴,病態,ならびに治療について解説する。
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特集 末梢性自律神経障害 update
[鼎談]末梢性自律神経障害の現在地
朝比奈正人×中根俊成×神田 隆
末梢性自律神経障害の病理
佐藤亮太
ギラン・バレー症候群と自律神経障害
国分則人
αシヌクレイノパチーの自律神経障害
八木田 薫,髙尾昌樹
糖尿病による自律神経障害
三澤園子
ATTRアミロイドーシスにおける自律神経障害
小平 農,関島良樹
自己免疫性自律神経節障害の自律神経障害
中根俊成
末梢自律神経障害の特徴と治療
朝比奈正人
■総説
ヒトの高次視覚認知のしくみとその障害
鈴木匡子
アルツハイマー型認知症におけるミクログリア制御──免疫チェックポイント分子 Tim-3の役割
木村公俊
●脳の「部分と全体」
第3回 視床と辺縁系
鈴木敦子
●原著・過去の論文から学ぶ
第23回 αシヌクレイン遺伝子の発見によるパーキンソン病病態解明のブレークスルー
服部信孝




