精神医学 Vol.67 No.10
2025年 10月号
特集 周産期メンタルヘルスとレジリエンスの科学 予防と回復を支えるエビデンスと実践
ISSN | 0488-1281 |
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定価 | 3,080円 (本体2,800円+税) |
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特集にあたって
山下 洋(九州大学病院子どものこころの診療部)
2007年に『Lancet』誌に掲載された標語に倣い,2014年に同誌で周産期メンタルヘルスの特集が組まれた際に“No health without perinatal mental health”というタイトルが掲げられてから,10年が経過した。このフレーズは,周産期メンタルヘルスがライフコースの健康発達において重要であることを端的に示すものであった。以降の10年間で,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックなど,生物・心理・社会的インパクトをもたらす未曾有の出来事を世界が経験し,子育て世代のメンタルヘルスに関する多くの課題が可視化された。
一方,日本では東日本大震災をはじめとする多くの災害や高齢化など,急激な成育環境の変化を経験してきた。ライフコースを通じたメンタルヘルスの課題に関する調査や,予防と回復に向けた取り組みが継続され,エビデンスと臨床経験が蓄積されている。これらは,超少子化社会における妊娠・出産・子育てに伴うメンタルヘルスの課題の解決に向けた糸口を提供する。周産期メンタルヘルスは次世代のライフコースの出発点であり,子育て世代にとっては受胎前から続く「親になる過程」と,「子育ての経験の共有」を支える重要な柱である。
本特集では,「予防的介入とレジリエンス」を主題に,プレコンセプションケアや養育的ケア,父親の周産期ディストレス,災害・トラウマ対応から虐待予防まで,周産期メンタルヘルスの新たな視点を取り入れた精神医療と多領域協働の取り組みを紹介する。
産科・精神科・家族看護・児童福祉の第一線で活躍するエキスパートを執筆陣に迎え,精神科臨床と地域連携に資する実践的示唆とともに,次の10年につながる周産期メンタルヘルスのアップデートを示したい。
収録内容
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特集 周産期メンタルヘルスとレジリエンスの科学──予防と回復を支えるエビデンスと実践
企画:山下 洋
特集にあたって
山下 洋
周産期メンタルヘルスとレジリエンスの科学──スコーピング・レビュー
山下 洋
これからの周産期メンタルヘルスケア
相良 洋子
社会的ハイリスク妊産婦を連携システムで支える
中塚 幹也
精神疾患合併妊産婦の周産期管理──予防・早期介入の視点から
竹内 崇
東日本大震災を経験した妊産婦のメンタルヘルスと育児支援
菊地 紗耶・他
小児期逆境体験と親のメンタルヘルス──「みちのくこどもコホート」研究から
八木 淳子
出産トラウマとその予防・支援のためのトラウマインフォームドケア
西 大輔・他
ボンディング形成過程の障害と心理社会的ストレス──マルトリートメント予防に向けて
西郡 秀和
父親の周産期メンタルヘルスと家族看護
矢郷 哲志
周産期メンタルヘルスとマルトリートメント──母子保健・児童福祉領域との連携
山根 謙一・他
●研究と報告
医療観察法通院処遇における支援課題の地域間共通点と相違点の分析──テキストマイニングを用いた検討
小池 純子・他