BRAIN and NERVE Vol.75 No.10
2023年 10月号

ISSN 1881-6096
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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特集 メタバースへの招待
2021年にFacebookがMeta Platformsに社名を変更し,昨年には東京大学にメタバース工学部が設立された。メタバースは一過性のブームではなく,医療や教育をはじめ,さまざまな場面での応用に大きな期待が寄せられている。しかし,その実態について十分理解されているとは言いがたい。本特集では,メタバースの活用に向けたガバナンス上の課題を整理するとともに,メタバースを用いた教育やアバターを利用した精神科クリニック,カンファレンスや手術支援における活用などの実践例を取り上げた。このようにメタバースの有する可能性は計り知れないが,仮想の世界に居続けることによる心身への影響も懸念されている。メタバースは何をもたらすのか,そしてどのように向き合うべきかを考える契機としたい。

【対談】メタバースが変える神経科学の未来  岡嶋 裕史 × 三村 將

メタバース×医療の可能性とそのガバナンス  藤田 卓仙
メタバースが注目を集める中,医療でのメタバースの活用も進みつつある。サービス利用者が誰であるか,メタバース上でのサービスや行為が法律上どのような位置付けになるかを明確化したうえで,各ユーザーの権利保護ができるようにしなければならない。さらに,公共性や公平性といった観点も重要である。これらの観点を含めて,国内外の適切な機関において具体的なユースケースをベースにしたガイドラインなどの策定が求められる。           

メタバースによる新しい教育  雨宮 智浩
メタバースは,バーチャルリアリティ(virtual reality:VR)技術を基礎とし,オンラインで社会的活動が実現できる場として注目され,さまざまな応用の中でも教育訓練への活用が期待されている。メタバースを活用する教育応用は,物理世界の代替ではなく,「VRでしか実現できないこと」や「メタバースで初めて実現できること」で真価を発揮する。メタバースによる新しい教育訓練の取組みを通じて,メタバースの可能性とあるべき姿について解説する。

​​メディカル・メタバースを活用したニューヘルスケアへの挑戦  牧野 裕一 , 小林 智久 , 今野 大成 , 佐々木 栄二 , 太田 進 , 先崎 心智
IBMは,メタバース技術を用いて深刻化する医療課題の解決に取り組んでいる。具体的には,メタバースの特徴である新しいコミュニケーションや体験,業務効率化・高質化など価値を活かしながら,リアル・デジタル連携を強化することで,患者の満足度向上や医療現場の働き方改革を目指している。本論では,IBMが順天堂大学と取り組む「メディカル・メタバース共同研究講座」により実現を目指すサービスの具体例や将来展望を紹介する。

アバターコミュニケーションの精神科医療応用—生物・心理・社会モデルから見た考察  吉岡 鉱平
本論では,アバターコミュニケーションの精神科医療への応用について,生物・心理・社会モデルの観点から筆者らの取組みやその他の事例を交えながら考察する。アバターコミュニケーションの応用は,オンラインでの利便性のみならず,人間を現実の制約から解放し,身体拡張技術を応用した認知への介入,そして,生物学的要素への介入すらももたらし得る,可能性を秘めた領域である。

脳神経外科領域のメタバースとExtended Realityの臨床活用—空間画像解析・遠隔手術支援・追体験型修練  末吉 巧弥 , 杉本 真樹
メタバース・XR(extended reality)は医療分野で急速に普及し,手術支援としても活用されている。高速情報通信と先進的なXRデバイスを活用し,医用画像や手術の手順などの情報が,メタバースを利用し,立体空間的に表示され,医師間で共有されている。さらに,熟練医師の技術を若手医師が時間を超えて追体験する試みも実施され,医師を含めた医療全体の質と業務効率の改善が期待されている。

超高齢社会におけるVirtual Realityの活用  登嶋 健太
一般に65歳以上の人口の割合が総人口の21%以上になると超高齢社会と呼ばれる。日本はその比率が2022年に29%を突破し,これまでの政府の手厚い補助を永続的に行うことは困難である。加齢により自分,身体,社会との関係が変遷する中でコミュニティとの接点を持ち続けることは心身の健康維持の観点からも重要視されている。高齢者の健康と社会的活力を助ける道具としてバーチャルリアリティはその1つになるかもしれない。

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 メタバースへの招待

[対談]メタバースが変える神経科学の未来
岡嶋裕史×三村 將

メタバース×医療の可能性とそのガバナンス
藤田卓仙

メタバースによる新しい教育
雨宮智浩

メディカル・メタバースを活用したニューヘルスケアへの挑戦
牧野裕一,他

アバターコミュニケーションの精神科医療応用──生物・心理・社会モデルから見た考察
吉岡鉱平

脳神経外科領域のメタバースとExtended Realityの臨床活用──空間画像解析・遠隔手術支援・追体験型修練
末吉巧弥,杉本真樹

超高齢社会におけるVirtual Realityの活用
登嶋健太


■総説
設計可能な抗アミロイド化合物を用いた,がん,2型糖尿病,神経変性疾患に対する疾患横断的な戦略
高松芳樹,橋本 款

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーを対象としたアセノイラミン酸の有効性
青木正志,他

■症例報告
筋萎縮性側索硬化症に意味性認知症を合併した症例──言語症状と書字障害の検討
髙木早希,他

ペムブロリズマブの最終投与から17週後に脳炎を発症し,自然軽快した1例
島 智秋,他


●医師国家試験から語る精神・神経疾患
第10回 ビタミン・微量元素欠乏
山脇健盛

●スペシャリストが薦める読んでおくべき名著──ニューロサイエンスを志す人のために
第5回 脳神経外科医としての礎を築いてくれた書籍
川俣貴一

●LETTERS
王子 聡 「『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』──天才チェリストと多発性硬化症」(Brain Nerve 74:1395-1398,2022)への疑義
目崎高広

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