総合リハビリテーション Vol.50 No.2
2022年 02月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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神経難病のリハビリテーション

 神経難病は神経後遺症を残すことが多く,療養生活は不自由,困難を来している場合が多くあります.しかし一方で近年医学の進歩,特に分子生物学や免疫学の進歩はこれらの疾患の病態解明に大きな手がかりを与え,それに伴い診断と治療法の開発へと着実につながっています.
 本特集では,さまざまな分野で神経難病の診断・治療・支援にかかわっている各分野の専門家に,その現状と課題を解説していただきました.

小児期神経筋疾患の診断と治療 阿部 裕一氏
 小児期に発症する神経筋疾患は,いったん獲得した運動機能や認知機能が低下したり失われたりする疾患だけでなく,先天性疾患や周産期障害など運動機能や認知機能の発達が非常に緩徐であったり,最終的に獲得できる能力が限定される疾患が多いのが特徴である.本特集では,近年特に治療戦略が大きく変わってきた3疾患について疾患の概要と治療について解説している.

神経難病のリハビリテーション医療 早乙女 貴子氏
 神経筋疾患の多くは難病に該当し,発症により患者や家族は日常生活を営むことに困難さを抱き,経過中,患者や家族には多職種がcure やcareにかかわる.神経難病で見受けられる機能障害として,歩行障害,バランス障害,呼吸機能障害,摂食・嚥下障害,栄養障害,上肢機能障害,コミュニケーション障害,認知機能障害などがあり,病期別のかかわり方が求められる.

神経筋疾患患者への装具療法や歩容のアプローチ 松井 彩乃氏
 神経筋疾患では疾患の進行に伴い筋力低下や筋緊張異常により歩容異常を呈する.ここでは神経筋疾患の歩行,代償運動や骨関節の特性,足部変形などについて解説している.患者は代償歩行により生じる二次障害に困る場合もあるが,急進的な歩容変化には適応困難であり介入には慎重さを要する.

神経難病の移行期医療 森 まどか氏
 2014年に日本小児科学会から「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」がなされ,病態・合併症の年齢変化や身体的・人格的成熟に即して医療を受けられるように配慮することが提案されている.ここでは,移行期医療の現状,メリット,デメリットなどについて解説し,移行の具体的なプロセスや留意すべきポイントなどについても述べている.最適な医療を提供できるようになるためにはどのような支援が必要か,小児科・専門診療科のみならず地域医療や行政,社会にも広く問題を周知し,患者・家族に寄り添うことが必要である.

神経難病療養者の看護ケア 原 三紀子氏
 神経難病療養者の,難病をもつことによる心の様相は複雑多様である.それゆえ,神経難病療養者の心のケアは,難病の発症から悪化進行していく過程において重要な位置づけとなる.筆者は「聴く研究会」のメンバーとともに,神経難病療養者の心のケアとして看護師の“聴く”力を強化する教育プログラムの開発と検証に取り組んでいる.ここでは,著者らが研究チームで取り組んでいる神経難病療養者の心のケアを実践するための教育活動から得られた知見を紹介し,神経難病療養者を支える心のケアについて考察している.

神経難病患者の就労支援 中本 富美氏
 著者は障がい者医療に特化した医療機関に所属するソーシャルワーカー(social worker:SW)であり,難病とともに生きる患者のさまざまな生活課題や就労に関する相談を多職種と協働しながら行っている.ここでは,神経難病と就労支援について,SW の立場から,「協働する」, 「初めて働く」, 「さまざまな働き方」などをテーマに事例を交えて解説している.難病患者の就労支援では,彼らの機能低下と進行に伴う現実にとらわれがちになるが,難病はその人の一部であり,全体を語るものではない.著者は,「働く」を通じて自身の人生への挑戦していく姿に伴走していくSW でありたいと締めくくっている.

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 神経難病のリハビリテーション

小児期神経筋疾患の診断と治療
阿部 裕一

神経難病のリハビリテーション医療
早乙女 貴子

神経筋疾患患者への装具療法や歩容のアプローチ
松井 彩乃

神経難病の移行期医療
森 まどか

神経難病療養者の看護ケア
原 三紀子

神経難病患者の就労支援
中本 富美


●創刊50周年記念 巻頭言
総合リハビリテーションの道程
伊藤 利之

●入門講座 重症呼吸機能障害に対するリハビリテーション治療 ②
NPPV,ハイフローセラピーのリハビリテーション
伊藤 武久

●実践講座 医療機関における治療と仕事の両立支援 ⑦
両立支援の実際──慢性肝炎
江口 ゆういちろう

●研究と報告
術後6か月が経過した女性人工股関節全置換術患者の生活範囲拡大に影響する術前および退院時の因子
入山 渉,他

●症例報告
経頭蓋直流電気刺激が脳卒中後慢性疼痛に有効であった症例の集積
田中 武也,他

●第50巻記念 特別連載
「総合リハビリテーション」の50年──印象に残った記事から読み解く ②
対象疾患・障害・対応の時代的変化
上田 敏

●国際標準化機構(ISO)規格の動向 ②
医療機器におけるISOの活用──誤接続防止コネクタ国内導入に関して
丸山 道生

●障害者の災害支援 ②
福祉事業所が行う災害準備──小さな試行を業種内および他業種(地域・行政)と共有する
北村 弥生

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
モンテーニュの『エセー』──ペストの大流行
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「日高線と生きる」──廃線になっても<どっこい生きている>のだ
二通 諭

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