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口から食べる幸せをサポートする包括的スキル

KTバランスチャートの活用と支援
(在庫なし)

編集:小山 珠美

  • 判型 B5
  • 頁 176
  • 発行 2015年09月
  • 定価 3,024円 (本体2,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-02384-9
摂食嚥下障害者の経口摂取への移行と維持を支える評価と技術を包括的に解説!
臨床実践から生まれた「KT(口から食べる)バランスチャート」での包括的な評価をもとに、摂食嚥下障害者がなるべく早期に口から食べる幸せを取り戻すための支援技術をわかりやすく解説。13項目から成る「KTバランスチャート」は、簡便かつ実践的で、患者の持つ強みを活かしつつ弱い部分のステップアップをはかるためのツールとなる。経口摂取への移行だけでなく、経口摂取維持に向けた継続的な評価としても活用できる。
● KTバランスチャート作成用ファイル ダウンロードのご案内
2017年7月の本書第2版刊行に伴い、本ページでの初版付録KTバランスチャート作成用ファイルの配信を停止いたしました。読者の皆様には、引き続き本書第2版付録の「KTバランスチャート作成用ファイル 第2版」をご利用いただけます。下記のリンクより第2版ページへお進みください。
「口から食べる幸せをサポートする包括的スキル KTバランスチャートの活用と支援(第2版)」詳細ページへ

初版付録ご案内内容
序 文


 「食べる」ことは,空腹を満たし,栄養を摂り,乾いた喉を潤し,疲れを癒してくれる,日常です。さらには,楽しく語らう場であり,幸せなひとときとなり,明日への活力となる,かけがえなき生命の泉です。「口から食べる」ことをサポートすることは,人間の尊厳を守ることであり,より幸せに生き...


 「食べる」ことは,空腹を満たし,栄養を摂り,乾いた喉を潤し,疲れを癒してくれる,日常です。さらには,楽しく語らう場であり,幸せなひとときとなり,明日への活力となる,かけがえなき生命の泉です。「口から食べる」ことをサポートすることは,人間の尊厳を守ることであり,より幸せに生きる権利への保障ともいえます。

 しかしながら,要介護高齢者の増加に伴い,食べる機能が低下している人々が多く存在するようになりました。また,経管栄養療法の普及や過度に「誤嚥」を恐れるあまり,食べられない苦痛を抱いている患者やその家族に寄せる“思いやりの感度”と“食べる支援技術の精度”が低くなってきているように思います。

 「絶食は人を失望させる」といいます。人間は毎日約1Lの唾液を分泌します。しかし,食べない,しゃべらない,寝たきり状態が続くと,唾液が分泌されなくなり,口腔が乾ききってしまいます。さらに,殺菌作用が低下し,口腔が菌の温床となり,疾病にかかりやすくなります。気道呼吸がしづらくなり,脳の働きが低下し,廃用症候群への連鎖が生まれます。何よりも空腹が満たされず,生きる希望を奪いとられて,生気を失います。すなわち,絶飲食による健康阻害や寝たきりなどの問題が浮上してきます。そう考えると,絶飲食が必要な人は,本当はそう多くはいないのではないでしょうか。

 「口から食べる」ことを支援するためには,栄養や嚥下機能などの一部分だけに着目するのではなく,生活者としての包括的評価とアプローチが必要です。
 そのためには,対象者の不良な面や困難点のみを抽出するのではなく,不足な部分を補えるようにケアやリハビリテーションの充実をはかり,良好な能力や強みを活かす食支援スキルを提供することが求められます。また,支援の成果を可視化し,スキルの精度を高めていくことが未来への継承となります。

 本書は,人間が有する「食べる」能力をサポートする食支援スキルを活用して多職種で協働することで,人々の食べたい希望がつながり,より幸福な高齢社会を生き抜いていくことができるようにという想いを込めて作成しました。
 また,ステップアップの方法ができるだけビジュアルにわかるよう写真を多用しました。写真1枚1枚に,食べて元気になりたいというご本人の思いと,支援者の願いが重なっていることをお汲み取りください。そしてこの場をお借りして,写真撮影を許可してくださったご本人とご家族,施設責任者の方々に厚く御礼申し上げます。

 本書が,手にとってくださった方々の支援への道しるべになるように,そして口から食べる幸せが広がるように,執筆者一同切に願っております。最後になりましたが,医学書院の北原拓也氏には企画,編集,激励と細やかで多大なるご尽力をいただきました。心より感謝申し上げます。

 2015年8月
 編者 小山珠美
目 次


1章 口から食べる幸せを支えることの意義

2章 食べるメカニズムとその働き

3章 口から食べるための包括的評価と支援技術
  KT(口から食べる)バランスチャートによる包括的評価
  食べる意欲
  全身状態
  呼吸状態
  口腔状態
  認知機能
  捕食・咀嚼・送り込み
  嚥下
  姿勢・耐久性
  食事動作
  活動
  摂食状況レベル
  食物形態
  栄養状態

4章 コア援助技術
  口腔ケア
  スクリーニング評価から段階的ステップアップ
  食事介助

5章 困難場面での援助技術
  覚醒不良
  不良姿勢
  開口・閉口困難
  食事(特に飲み込みまで)に時間がかかる
  むせ
  摂取量低下

6章 KTバランスチャートを活用した援助の実際例-食べるとこんなに元気になる!
  1 急性期(くも膜下出血・脳幹梗塞後の重度嚥下障害から
    経口摂取に向けて急性期より取り組んだ事例)
  2 回復期(非経口摂取から3食経口摂取に移行した事例)
  3 在宅1(胃瘻栄養から経口摂取を再獲得できた事例)
  4 在宅2(外来と在宅で胃瘻栄養のみから経口摂取のみとなり
    胃瘻チューブを抜去した事例)

  コラム 義歯についての注意点/「絶飲食,内服のみ可」での安全な薬の飲ませ方

文献一覧
資料
索引