根拠と事故防止からみた
老年看護技術

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身体機能や認知機能に障害がある、意欲が低下している、コミュニケーションに困難を抱えている──高齢者には様々な背景があり、その特徴に応じた看護実践が求められる。本書では、高齢者の特徴をふまえたアセスメントと、それに基づく看護技術を、写真とイラストを多用して解説。さらに、「根拠」「コツ」「注意」「事故防止のポイント」「緊急時対応」を豊富に記載。在宅での技術もカバーした、高齢者の看護・介護に役立つ1冊。
シリーズ からみた看護技術
編集 亀井 智子
発行 2012年08月判型:A5頁:568
ISBN 978-4-260-01139-6
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
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はじめに

 本書は,看護学生のみならず,高齢者ケアの実践現場で働きはじめた看護師にとっても待望の老年看護技術を中心に扱った本です.
 これまで高齢者ケアの現場では,根拠(エビデンス)をもってケアにあたることよりも,高齢者のその時の状況に応じて,柔軟に対応することが多かったといえますが,本書は看護技術のエビデンスを明確に示しながら,特に事故防止の観点に立って執筆されたことが特徴です.
 高齢者の医療・福祉・介護などのケア現場では,認知機能の低下した高齢者,コミュニケーションに障害のある高齢者,意欲の低下した高齢者,うつがある高齢者,四肢等に機能障害がある高齢者など,異なる特性をもつ対象者が多いといえます.その中での事故防止対策にはより綿密さが求められます.医療安全と事故防止は十分に対象者の特性を踏まえた上で考えられなければなりません.
 一方で,老年期は人生のエンドオブライフ期であるといえ,生活の場がどこにあっても,高齢者自身の尊厳を重視し,苦痛の少ない,より豊かな生活を送ることができるよう多様な技術をもって支援することが重要です.
 そこで,本書では,高齢者への看護技術を「基本技術」「日常生活援助技術」「身体ケア技術」「救急手技」の4章に分け,老年期に生じやすい健康問題とそのケアに焦点をあて,アセスメント,具体的援助,評価について幅広く解説しました.
 すべてが初めての経験となる看護学生や入職したての看護師にとっても,目で見てポイントがわかるよう,要点を絞って整理し,各ポイントに対応した留意点や根拠を示しています.また,前述のように,高齢者の様々な特性を理解した上で個別ケアにつなげられるよう,各項目の冒頭に「高齢者の特徴とケアの必要性」をまとめています.各項目では,看護技術の手順を写真やイラストを多用して,表組みでわかりやすく解説し,ケアの根拠や事故防止のポイント,看護のコツ,注意点,緊急時対応といった要点を明示するなど,より理解しやすくするための様々な工夫を取り入れました.
 筆者も老年看護学の教員として,看護学生の実習に同行することがあり,実践現場の指導者から看護学生が「点眼をしたことはありますか?」あるいは「点眼をできますか?」,「車椅子への移乗の介助をしたことはありますか?」あるいは「できますか?」と質問される場面をよく見かけます.その時に自信と根拠をもって「できます」と答えるためには,講義や実習前の学習,そして復習によって看護技術を確認し,一つ一つ身につけて向上していくことが欠かせません.本書がそのような学習に活用され,次世代の高齢者看護がさらに発展していくことを願っています.また,本書で解説した様々な技術は,介護の現場においても役立てていただけるものと思います.
 本書の制作にあたっては,執筆,撮影するコマ割りの検討,撮影施設のセッティング,実際の撮影,編集に,多くの人と時間を要しました.特に写真の撮影にあたっては,撮影施設の方々より多大なご協力をいただき,医学書院諸氏の緻密な思考とご支援をもって進行しました.暑い夏に撮影現場で共に汗をかいたことが良い思い出となっています.その他にも本書の制作にご尽力いただいたすべての方々に心より感謝申し上げます.最後になりましたが,読者の皆さまから本書への忌憚のないご意見を賜れることを願ってやみません.

 2012年7月
 亀井智子

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 はじめに
 本書の構成と使い方

第1章 基本技術
 1.コミュニケーション
  (1)アセスメントとコミュニケーション向上への援助
  (2)高齢者とのコミュニケーションの工夫
 2.入院時の情報収集
 3.ディスチャージプランニング(退院支援)
 4.感染防止
 5.環境整備
  (1)病床環境
  (2)住環境
 6.ケアプラン会議(サービス担当者会議)
 7.看取り,死後の処置
第2章 日常生活援助技術
 1.食事
  (1)脱水予防
  (2)食事介助(誤嚥・窒息予防)
  (3)摂食・嚥下訓練
  (4)経管栄養
  (5)口腔ケア
 2.排泄
  (1)排泄援助
  (2)失禁のケア
  (3)おむつ交換
  (4)導尿
  (5)便秘
 3.活動
  (1)体位変換
  (2)廃用症候群の予防
  (3)移動介助(車椅子)
  (4)歩行介助
  (5)転倒予防
  (6)レクリエーション1 回想法
  (7)レクリエーション2 音楽療法
  (8)レクリエーション3 アクティビティ
 4.休息・睡眠
  (1)安静・休養
  (2)睡眠援助
 5.清潔・整容
  (1)入浴介助
  (2)部分浴(手浴・足浴)
  (3)陰部ケア
  (4)フットケア
  (5)ハンドケア
  (6)全身清拭
  (7)洗髪
  (8)ひげ剃り,爪切り,耳垢除去
 6.衣生活(更衣)
第3章 身体ケア技術
 1.バイタルサインの測定
 2.検査
  (1)血液検査(静脈血採血)
  (2)上部消化管内視鏡検査
  (3)X線単純撮影
 3.呼吸・循環管理
  (1)吸引
  (2)排痰
  (3)酸素吸入療法
  (4)在宅酸素療法
 4.ストーマ管理
 5.皮膚管理
  (1)スキンケア
  (2)褥瘡ケア
 6.与薬
  (1)与薬事故防止
  (2)経口薬
  (3)坐薬
  (4)外用剤・貼布剤
  (5)注射
  (6)吸入薬
  (7)ネブライザー
  (8)点眼薬
  (9)点鼻薬
 7.安楽
  (1)疼痛緩和
  (2)罨法
  (3)リラクセーション
第4章 救急手技
 1.窒息
 2.転倒・転落,骨折
 3.せん妄
 4.熱傷
 5.心肺停止

 索引

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