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見逃してはいけない! 小児看護の落とし穴


編集:東京都立小児総合医療センター 看護部

  • 判型 A5
  • 頁 212
  • 発行 2020年02月
  • 定価 2,860円 (本体2,600円+税10%)
  • ISBN978-4-260-03918-5
落とし穴を見抜くワザ、エキスパートナースに聞いてみよう!
よく眠っているから大丈夫…思い込みで低血糖症状を見逃していませんか? 泣いているのは寂しいから……手術後の痛みに気づいていますか? 小児科ナースの「何か変?」を見抜く力が、症状の悪化を防ぎ、時には子どもの命を救います。小児科専門病院のエキスパートナースが教える「落とし穴」を見抜くワザとコツ、この1冊でわかります!
序 文
はじめに

 元気に走り回り,大きな声で笑ったり泣いたりする子どもたちは,たくさんの人の心を和ませたり慰めてくれます。
 そんな子どもたちが病を得てしまうと,症状を適切に訴えられなかったり,進行が急であったりすることからその先の予測が難しく,周囲を慌てさせます。小児科の看護では,...
はじめに

 元気に走り回り,大きな声で笑ったり泣いたりする子どもたちは,たくさんの人の心を和ませたり慰めてくれます。
 そんな子どもたちが病を得てしまうと,症状を適切に訴えられなかったり,進行が急であったりすることからその先の予測が難しく,周囲を慌てさせます。小児科の看護では,病気の子どもと同時に両親やきょうだいなど,心配する周囲の人たちも一緒にケアするスキルが求められます。
 また,子どもたちにとって病院が,痛い,つらい,つまらない場所になってしまわないためにも,看護師は,安全とともに安心を届けられる医療者である必要性を感じています。
 本書では,何かおかしいと感じた時,フィジカルアセスメントの視点から,おかしいと感じた病態を理解して,必要なケアを考える「フィジカルアセスメントの落とし穴」や,忘れがちな家族ケアに関する「家族ケアの落とし穴」について,専門・認定看護師を中心として事例を用いてわかりやすく解説しました。「ドクターからのひとこと」では,医師の視点から知っていてほしい情報や看護師の観察ポイント,予防的な関わりなどが学べます。
 小児科に配属されて間もない看護師の皆さんの参考書になれば,とスタートした本書ですが,執筆担当者の「これだけは伝えたい」という熱い思いが難易度の凸凹を作ってしまった感もあります。でもきっと小児看護に携わる皆さんであれば,読み進めていただくと「うん,あるある,こんなことあるよね」とうなずいていただける場面も多いのではないかと思います。
 痛みや不安につぶされそうな子どもや家族に,笑顔を取り戻してもらうことが小児看護の大きな役割です。本書がそんな役割を果たすための一助になれば幸いです。

 2019年12月
 前 東京都立小児総合医療センター 看護部長
 太田いずる
書 評
  • 「何かおかしい」を見逃さず,もう一歩進めて考える
    書評者:三輪 富士代(福岡市立こども病院看護部長/小児看護専門看護師)

     本書は,東京都立小児総合医療センター看護部の管理者,専門看護師,認定看護師,スタッフの皆さんが執筆,編集し,刊行された本です。手にとったときに,一つの病院の看護部のスタッフの皆さんで一冊の本を出版されたことが何より素晴らしいと感じました。

     本書はそのタイトルどおり,小児看護に携わるスタッフ...
    「何かおかしい」を見逃さず,もう一歩進めて考える
    書評者:三輪 富士代(福岡市立こども病院看護部長/小児看護専門看護師)

     本書は,東京都立小児総合医療センター看護部の管理者,専門看護師,認定看護師,スタッフの皆さんが執筆,編集し,刊行された本です。手にとったときに,一つの病院の看護部のスタッフの皆さんで一冊の本を出版されたことが何より素晴らしいと感じました。

     本書はそのタイトルどおり,小児看護に携わるスタッフが“見逃してはいけないこと”,つまり,気を付けていないとついつい見逃してしまいがちであるけれども重要なことを,小児看護の初心者から指導にあたる全てのスタッフに教えてくれる良書です。

     中身をひもとくと,呼吸,循環,中枢神経に関連した「フィジカルアセスメント」「周術期看護」「皮膚・排泄ケア」「家族ケア」などの章で構成されています。

     具体的なケースのアセスメントについて,2人のナースの対話から,見逃しかけていたことが導き出されていきます。例えば,SpO2値だけで「医師の指示にあるコール基準にはあてはまらないから大丈夫」と思っていた新人ナース。でもベテランのナースは,「何かおかしい」をそのままにせず,そこにある“落とし穴”を見逃しません。子どもの第一印象,全身の状態,呼吸数,呼吸のパターンや肺音などの観察を進め,「呼吸不全」の状態に陥る前段階である可能性があることに気付き,ドクターコールと処置につなぎます。

     28のケースごとに,無呼吸の分類,脱水の程度と症状,洞性頻脈と上室性心拍の差異,皮膚のバリア機能,危機状態にある家族の心理など,関連する鑑別フローや観察ポイント,症状,専門的な解説が加えられています。そのため,臨床現場でその場面に遭遇したときの状況をよりリアルに感じながら,要点を押さえられ,最後の「まとめ」で,それまでの解説がふに落ちていきます。

     アセスメントをしていく上で繰り返し強調されているのは,「ナースとしての五感を使ってよく観察する」「自分の目で見た観察とその他のこと(モニターの数値や基礎疾患,家族の状況など)を組み合わせて評価していく」「起こっている事象の原因は,自分が思いこんでいる1つだけではないかもしれないことを確認する」ことです。

     さらに,本書の秀逸な点について,1点だけ書き加えておきます。それは,随所に織り込まれている「Column」の素晴らしさです。「あなたは医師に(ナースとして正しいと思うことを)言えますか?」「(患児の親に対して)話しかけるのをためらわせていませんか?」という問いかけ,そして「いつも笑顔で」というメッセージの一つひとつに,日々の自分の実践を振り返り,ドキリとさせられます。

     評者の病院でも,フィジカルアセスメントを充実させるための教育を強化していますが,本書のように,実際にベッドサイドで子どもを目の前にしてアセスメントを深めていくOJTが重要となるとあらためて感じました。

     初めて小児看護に携わるスタッフにとっては,「もっとアセスメントしないといけないこと」を学ぶために,指導的立場のスタッフには,「そうそう,こんなことある,ある」と思いながら,「こんなふうに後輩にかかわればいいんだ」と,後進育成の一助になる本です。ぜひ,手元に携えておきたい一冊です。
目 次
Chapter 1 フィジカルアセスメントの落とし穴─呼吸
 Case 1 SpO2 96%,コール基準内だから大丈夫?─呼吸状態悪化の徴候
 Case 2 胸は動いているようですけど…─閉塞性無呼吸における呼吸音の評価
 Case 3 呼吸が時々止まるんです!?─無呼吸の種類と介入
 Case 4 SpO2低下!? まずは酸素投与しないと!─先天性心疾患に対する酸素投与
 Case 5 呼吸が速いんですけど…─循環血液量減少性ショックの認識

Chapter 2 フィジカルアセスメントの落とし穴─循環
 Case 6 バイタルサインは落ち着いているんですけど…─敗血症性ショックの認識
 Case 7 脈が速いけど,熱のせいかな?─頻脈性不整脈の認識
 Case 8 脈が遅いけど,眠ったせいかな?─徐脈性不整脈の認識
 Case 9 尿は少ないけど,血圧は低くないので経過をみていました
        ─動脈管性ショックの認識
 Case 10 なんだか最近,ミルクの飲みが悪いなぁ…─心不全と哺乳

Chapter 3 フィジカルアセスメントの落とし穴─中枢神経
 Case 11 プルプルしているんです…─離脱症状と介入
 Case 12 原始反射だから大丈夫です─痙攣発作の認識と判別
 Case 13 手はあんまり動かさないので固定はしていません!─術後の脳梗塞
 Case 14 筋緊張強いな,刺激したせいかな─脳性麻痺児の骨折

Chapter 4 周術期看護の落とし穴
 Case 15 よく泣いているんです…きっと寂しいんだね─小児の疼痛評価
 Case 16 よく眠っていたんです─周術期の低血糖
 Case 17 発熱しているのでクーリングしてたんですけど!
        ─クーリングの適応と留意点
 Case 18 またアラーム鳴ってる…きっといじってるんでしょ!
        ─小児のアラーム対応
 Case 19 少し腫れているけど,滴下があるから大丈夫!─輸液の血管外漏出

Chapter 5 皮膚・排泄ケアの落とし穴
 Case 20 排便のたびにちゃんと洗っているんです!─頻繁な排便への対応
 Case 21 おむつ皮膚炎がひどいんです─臀部の真菌感染
 Case 22 びらんが全然治らない…─長期中心静脈栄養による微量元素不足
 Case 23 ブツブツ発疹があるんです…─病院食によるアレルギー症状
 Case 24 腕の周りが赤いのは駆血帯のせい?─ラテックスアレルギー

Chapter 6 家族ケアの落とし穴
 Case 25 厳しい病状説明後なのに家族は笑っていたんですよね
        ─危機的状況における防衛機制
 Case 26 お母さん,母乳なくなったので早めに持ってきてください─母親への配慮
 Case 27 本人には検査って伝えたほうがいいですよね!─小児への病名告知
 Case 28 きょうだいに話してもまだわからないから…─きょうだいへの配慮

Appendix
 トリアージにおける患者評価の視点

索引

Column
 ・医師のオーダーが正しいとは言えない!?
 ・あなたは医師に言えますか?
 ・あなたは多職種に言えますか?
 ・アラームの「無駄鳴り」対策には組織的な取り組みを!
 ・全身麻酔後の覚醒時興奮に注意
 ・話しかけるのをためらわせていませんか?
 ・自閉症児への対応─見通しを立てる
 ・コミュニケーション能力を高める─今日も笑顔で!