精神医学 第4版

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理学療法士・作業療法士をめざす学生の精神医学教科書。近い将来の精神医学領域の大幅な変化を考慮しつつ、前版以降6年間における精神医学の進歩や精神保健医療・福祉の新たな動向を加え、最新の情報を提供する。用語の見直し、DSM-5にかかわる記載への対応はじめ、各疾患の新たな治療薬にも触れ、内容を充実させた。さらに数年来の精神保健福祉法や障害者基本法の改定、障害者総合支援法の施行による制度変更にも言及。
*「標準理学療法学・作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野
シリーズ監修 奈良 勲 / 鎌倉 矩子
編集 上野 武治
発行 2015年11月判型:B5頁:352
ISBN 978-4-260-02434-1
定価 4,840円 (本体4,400円+税)
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第4版 序

 第3版の発行から6年を経るが,この間にさまざまな出来事があった.なかでも,米国精神医学会がDSM-5への大改訂を行い,世界保健機関もICD-11を目指して作業中であることの影響はきわめて大きい.ICD-11も大きな改訂が予想されているが,これはDSM-5の影響が考慮されるためである.また,精神障害の病名に関しても,DSM-5の邦訳の際,日本精神神経学会が用語の監修を行い,「disorder」や「disorders」に「症」や「障害群」などの新たな訳を導入していることもあり,大きな変更が予想される.
 このように,今回の第4版改訂は,近い将来の大幅な変化を考慮しつつ,この間の精神医学の進歩や精神保健医療・福祉の新たな動向を加えるなど,本書を利用する学生諸君に最新の情報を提供することを目的に行われた.
 まず,日本精神神経学会の「精神神経学用語集」(2008年)に基づいて,第3版序でふれた心的外傷後ストレス障害(PTSD)や素行障害,社交恐怖はもとより,初版から記載されている用語も見直し,必要な場合には訂正した.また,personalityの邦訳として用いられてきた「人格」に関しても,より適切な用語を目指し,「パーソナリティ」あるいは「性格」に訂正した.
 次に,ここ数年来の精神保健福祉法や障害者基本法の改定と障害者総合支援法の施行などにより,精神保健医療・福祉にかかわる制度・施策が少なからず変わっているため,それらの解説を含めて,内容を改訂・追加し,巻末の資料も差し替えた.
 他の章においても,DSMにかかわる記載を含め,必要な改訂や図の追加,文章の整理を行い,認知症や特定疾患(神経難病),アルコール・タバコ依存症などに対する新たな治療薬についてもふれるなど,内容の充実をはかった.また,各章にかかわる参考文献に関しても,新しい文献を加えるなど,入れ替えを行った.
 国家試験出題基準が5年ぶりに改定され,2016年度から適用されることを受け,巻末に掲載している「精神医学」とその関連項目の出題基準を差し替える一方,「セルフアセスメント」についても必要な訂正と追加を行った.
 次回の改訂は,ICD-11に基づき,章立ても用語も大きく改変されたうえでの再出発になるであろう.ただ,本書においては,精神障害の診断と治療,リハビリテーション,精神保健医療・福祉の進歩が十分に反映され,精神医学を学ぶ学生諸君を通して作業療法・理学療法の発展に寄与できるかどうかのほうがはるかに重要である.
 最後に,貴重な資料や最新の情報を寄せていただいた諸先生,いつも本書の改訂に尽力いただいている医学書院編集部の皆様に深く感謝を申し上げる.

 2015年10月
 上野 武治

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序説 PT・OTと精神医学のかかわり
第1章 精神医学とは
 A 精神医学とは
 B 精神障害にかかわる概念
 C 精神医学の歴史
 D 精神医学を学ぶ意義
第2章 精神障害の成因と分類
 A 精神障害の成因
 B 精神障害の分類
 C 本書における分類と記載
 D 理学・作業療法との関連事項
第3章 精神機能の障害と精神症状
 A 精神症状の把握
 B 意識とその障害
 C 注意と見当識の障害
 D 知能とその障害
 E 性格とその障害
 F 記憶とその障害
 G 感情とその障害
 H 欲動および意志とその障害
 I 自我意識とその障害
 J 知覚とその障害
 K 思考とその障害
 L 病識とその障害
 M 主な精神状態像
 N 神経心理学的症状
 O 理学・作業療法との関連事項
第4章 精神障害の診断と評価
 A 診断・評価の方法
 B 精神医学的診察法
 C 病歴の聴取
 D 身体的検査法
 E 心理検査法
 F 精神症状の評価
 G 社会生活の評価尺度
 H 主観的QOLの評価
 I 理学・作業療法との関連事項
第5章 脳器質性精神障害
 A 脳器質性精神障害とは
 B 認知症とその特徴
 C 大脳皮質の変性疾患
 D 血管性認知症
 E 大脳基底核の変性疾患
 F 脳の感染症
 G 頭部外傷と外傷性脳損傷
 H 中毒
 I 脳腫瘍
 J 脱髄性疾患
 K 代謝障害
 L 正常圧水頭症
 M 理学・作業療法との関連事項
第6章 症状性精神障害
 A 症状性精神障害とは
 B 主な疾患
 C 理学・作業療法との関連事項
第7章 精神作用物質による精神および行動の障害
 A 精神作用物質による障害の定義
 B アルコール関連精神障害
 C 薬物依存による精神障害
 D 家族の問題
 E 治療と回復
第8章 てんかん
 A てんかんとは
 B てんかんの発作症状と精神症状
 C てんかん,関連発作疾患の分類
 D 経過と予後
 E 検索と診断の手順
 F てんかんの治療
 G ケアとリハビリテーション
 H 理学・作業療法との関連事項
第9章 統合失調症およびその関連障害
 A 統合失調症とは
 B 疫学
 C 精神症状の特徴
 D 病型
 E 成因ないし病態
 F 社会生活場面での制限
 G 経過と予後
 H 鑑別すべき精神障害
 I 治療とリハビリテーション
 J 他の統合失調症関連の精神障害
 K 理学・作業療法との関連事項
第10章 気分(感情)障害
 A 気分(感情)障害とは
 B うつ病
 C 躁うつ病
 D 持続性気分障害
 E 経過および予後
 F 鑑別すべき精神疾患
 G 治療と援助,リハビリテーション
 H 理学・作業療法との関連事項
第11章 神経症性障害
 A 神経症性障害のとらえ方
 B 不安および恐怖を中心とする神経症性障害
 C 強迫を中心とする神経症性障害
 D ストレス関連障害
 E 解離を中心とする神経症性障害
 F 身体表現性障害
 G その他の神経症性障害
 H 治療と援助
 I 理学・作業療法との関連事項
第12章 生理的障害および身体的要因に関連した障害
 A 生理的レベルと身体的レベルの障害
 B 摂食障害
 C 非器質性の睡眠障害
 D 性関連障害
 E 理学・作業療法との関連事項
第13章 成人のパーソナリティ・行動・性の障害
 A パーソナリティの障害
 B 行動(習慣および衝動)の障害
 C 性の障害
 D 理学・作業療法との関連事項
第14章 精神遅滞[知的障害]
 A 精神遅滞とは
 B 頻度の高い精神遅滞
 C 精神遅滞の医療
 D 社会的処遇
 E 理学・作業療法との関連事項
第15章 心理的発達の障害
 A 心理的発達の障害とは
 B 特異的発達障害
 C 広汎性発達障害
 D 理学・作業療法との関連事項
第16章 コンサルテーション・リエゾン精神医学
 A コンサルテーション・リエゾン精神医学とは
 B コンサルテーション・リエゾン精神医学が必要となる場合
 C 理学・作業療法との関連事項
第17章 心身医学
 A 心身医学の概念
 B 心身症とは
 C 心身症の診断と治療
 D 理学・作業療法との関連事項
第18章 ライフサイクルにおける精神医学
 A ライフサイクルと年代の区分
 B 小児期・青年期の精神医学
 C 成人期の精神医学
 D 初老期の精神医学
 E 老年期の精神医学
 F 理学・作業療法との関連事項
第19章 精神障害の治療とリハビリテーション
 A 精神障害の治療とリハビリテーションとは
 B 薬物療法(向精神薬療法)
 C 身体療法(電気ショック療法)
 D 精神療法
 E 社会的治療・リハビリテーション
 F 理学・作業療法との関連事項
第20章 精神科保健医療と福祉,職業リハビリテーション
 A 精神障害者の処遇および医療の歴史
 B 精神保健福祉法の主な内容
 C 障害者総合支援法の主な内容
 D 精神科医療の現状と課題
 E 職業リハビリテーション(雇用促進と就労支援)
 F 理学・作業療法との関連事項
第21章 社会・文化とメンタルヘルス
 A 精神の病と社会の関係
 B 学校におけるメンタルヘルス
 C 職場のメンタルヘルス
 D 家庭のメンタルヘルス
 E 社会現象とメンタルヘルス
 F 理学・作業療法との関連事項

資料1 ICD-10 精神および行動の障害(カテゴリー・リスト抜粋)
資料2 DSM-5 精神疾患の分類(大項目と主な下位分類)
資料3 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)・抄
資料4 精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルス・ケアの改善のための原則(国連)
資料5 理学療法士・作業療法士国家試験出題基準
    (専門基礎分野における精神医学および精神医学の関連項目)
資料6 参考文献一覧
資料7 セルフアセスメント
索引

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