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注射・採血ができる [Web動画付]

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新人看護師にとって不安な「注射・採血」。この看護技術を、虎の門病院看護教育部にて撮影・制作した美しい写真+動画(スマホ視聴可)で解説。事故防止の注意点はもちろん、患者への声かけからシリンジの持ち方、観察の要点まで、丁寧なコツと知識が満載。“もう一人の先輩”として、臨床看護技術の習得をサポート。

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【サンプル動画 配信中】
●留置針の穿刺

●皮下注射

シリーズ できる看護技術
監修 虎の門病院看護教育部
福家 幸子 / 山岡 麗 / 千崎 陽子
発行 2015年04月判型:B5頁:144
ISBN 978-4-260-02211-8
定価 2,310円 (本体2,100円+税)

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  • 序文
  • 目次
  • 書評

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はじめに

 看護師になって誰もが最初に不安を抱くことの筆頭に,看護技術が挙げられると思います.どんなに知識をもち,思いやりのある看護師であっても,看護技術が身に付いていなければ患者さんから真の信頼を得ることはできません.自信を持ってできるようになるには経験を重ねることが必要ですが,学生時代の実習でできることは限られています.
 看護技術は,業務をスムーズに進めるためのものではありません.患者さんのニーズ(回復したい,不調の原因を知りたいなど)を満たすためのものです.そのことをいつまでも忘れずに,患者さんによりよい看護を提供するための技術を練習し,磨いていただきたいと思っています.

 看護技術において最も大切なのは,根拠です.自分が行う行為1つひとつの根拠をしっかり確認しましょう.なお,根拠は唯一無二とは限りません.1つの行為について,異なる複数の根拠が考えられ,どちらが正しいか悩むこともあります.その場合は,時代の要請を考慮したり,みんなで議論したりすることによって,どれを採用するか決定していきます.
 根拠がわかったら,あとは学習と経験あるのみです.まずは施設で作成しているマニュアルや,本書のような手引書でしっかり学習したうえで,先輩の技術を積極的に見学させてもらいましょう.本書でも,実際の動きをイメージしやすいよう,動画を付録としてご用意しました.モデル人形などの練習台が身近にある場合,それらを利用して練習を重ねましょう.練習である程度自信がついたら,次に自分の技術を先輩に見てもらいましょう.先輩のOKが出たら,1人で実施できるようになります.
 一度習得した技術についても,時折点検することが大切です.最新のマニュアルや文献を確認し,自分が正しいと思っている根拠が現在も通用するものであるか調べましょう.特に,感染対策や医療安全に関する知見はどんどん発展しています.根拠そのものを見直すことも,時に必要となってくるでしょう.
 本書で扱っている物品や根拠なども,唯一無二のものではなく,様々な知見や製品が世の中に出回る中,虎の門病院内で議論のうえ,選択しているものです.細かい考え方や状況は施設によって相違もあるかと思いますが,各施設で吟味した結果を大切にしてください.吟味するためのたたき台の1つとして,本書をご活用いただければと思います.

 本書が看護技術に不安を持つ看護師・看護学生を始め,技術に関するマニュアルを整備したいと考える施設や学校など,多くの方々のご参考になりましたら幸いです.

 2015年春
 著者一同

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はじめに
本書の構成と使い方
動画目次

注射
    看護師が行う注射の種類と適応
    薬剤管理の基本
1 薬剤の準備ができる
  ▶アンプルからシリンジへの吸い上げ
  ▶バイアルから点滴ボトルへのミキシング・プライミング
    薬剤の配合変化
    シリンジと注射針の構造
2 皮下注射ができる
    インスリン注射について
3 筋肉注射ができる
  ▶中殿筋への筋肉注射
  ▶三角筋への筋肉注射
4 静脈内注射(ワンショット)ができる
     column 虎の門病院の「IVナース」について
5 点滴静脈内注射ができる
  ▶ルートの確保(留置針穿刺とヘパリンロック)
  ▶点滴ボトル(バッグ)の接続
  ▶点滴ボトル(バッグ)の交換
  ▶側管注
  ▶抜去
    滴下速度の調整

採血
    採血の適応と基本的知識
6 採血ができる
  ▶ホルダー採血
  ▶シリンジ採血

注射と採血の合併症・事故の予防と対処
    事故防止の原則
    虎の門病院本院廃棄物分別マニュアル

索引

【動画】
注射
1 薬剤の準備
 1-1 アンプルからシリンジへの吸い上げ
  1-2 接続部を衛生的に保って接続する方法
  1-3 アンプル頭部の薬液を落とす
  1-4 吸い上げるときは徐々に傾ける
 1-5 バイアルから点滴ボトルへのミキシング・プライミング
  1-6 ポンピング
  1-7 ルートに空気が入っている場合の抜き方
2 皮下注射
 2-1 皮下注射 上腕
  2-2 PDAの操作
  2-3 皮下注射の穿刺部位選択
  2-4 手指衛生を行い,手袋を装着する
  2-5 皮下注射の穿刺
3 筋肉注射
 3-1 中殿筋への筋肉注射
  3-2 クラークの点の探し方
  3-3 筋肉注射の穿刺(中殿筋)
 3-4 三角筋への筋肉注射
  3-5 穿刺部位の見つけ方(三角筋)
  3-6 筋肉注射の穿刺(三角筋)
4 静脈内注射(ワンショット)
 4-1 静脈内注射(ワンショット)
  4-2 静脈内注射の穿刺
  4-3 穿刺に失敗して謝罪
5 点滴静脈内注射
 5-1 ルートの確保(留置針穿刺とヘパリンロック)
  5-2 穿刺部位の選択(静脈)
  5-3 留置針の穿刺
  5-4 固定テープの貼り方
 5-5 点滴ボトル(バッグ)の接続
  5-6 点滴ルートでの逆血確認
 5-7 点滴ボトル(バッグ)の交換
  5-8 点滴針の刺し替え
 5-9 側管注
  5-10 薬液の注入(側管注)
 5-11 抜去
  5-12 固定テープのはがし方

採血
6 採血
 6-1 ホルダー採血
  6-2 ホルダー採血の穿刺
  6-3 翼状針による採血
  6-4 転倒混和
 6-5 シリンジ採血
  6-6 シリンジ採血の穿刺
  6-7 分注

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Web動画を参考に,基本動作を極め看護技術の取得に役立つ良書 (雑誌『看護教育』より)
書評者: 水澤 晴代 (東京都立北多摩看護専門学校副校長)
 看護技術は,基本動作を明確にし,基本動作を精神運動領域,認知領域,情意領域で分析し,教育内容を抽出することが重要であると考える。

 田島は,基本動作とは「看護技術を習得するために部分練習することが望まれる動作のまとまりとなるような看護技術の構成要素」1)と規定している。基本動作は,多様に活用できる1つひとつの技術であり,これを極めていくことが看護技術の取得には欠かせない。そのためには,手順で教える技術教育をやめ,何がその技術の中核の内容になるのか,内容の分析・精選を行い,看護技術をシンプルに教えることが最も重要である。

 本書は,基本動作が明確で,その動作の根拠がわかりやすく述べられている。「禁忌」「注意!」「根拠」「必修」「コツ」「観察」「資料」が読者にとって目を引くよう記載され,巻末の一覧とも対応しており,初学者にとって活用しやすいようにまとめられている。さらに,Web動画は一連の流れと繰り返し練習して身につけてほしい技術の構成になっており,基本動作を確認しながら繰り返しの練習に動画を活用できる。

 以前に看護学生に筋肉内注射の看護技術の基本動作の難易度を調査したところ,「部位の選定」「不潔にしない薬液の吸い上げ方」「注射器の持ち方と固定の仕方」「注射器の刺入角度や深さ」「空気の取り除き方」「指示された薬液量の吸い方」が挙げられた。それらの1つひとつの基本動作についても,写真や絵と簡潔な文章でポイントを押さえて説明されている点も興味深い。

 現在私は,東京都看護教員養成研修の「看護学教育方法」の授業で基礎看護技術の講義と校内実習指導案作成を担当している。また,研修生の教育実習も受け入れており,教育実習生が基礎看護技術として「注射」の授業を担当する機会が多い。研修生は現場で活躍中の看護師であるが,日頃当たり前に実施している看護技術を初学者にいかに「基本をシンプルに教え,原理をしっかり教えるか」という点で苦慮している。特に「注射」の技術では,ともすると「安全」を強調しすぎる余りに学生は身体侵襲をともなう「注射・採血」の技術への不安を強く抱くことが多い。本来,原理原則をしっかり押さえて技術を実施した結果は,安全に「注射・採血」が実施できるはずである。そのための内容と方法を指導することが教える側には求められている。本書にはその押さえどころとなる具体的内容がまとめられており,新人看護師や学生が活用するのみでなく,看護教育に携わる者にとっても有効に活用ができる本である。

引用文献
1)田島桂子:看護教育評価の基礎と実際——看護実践能力の育成に向けて[第2版], 75, 医学書院, 2009.


(『看護教育』2015年10月号掲載)

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