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緩和ケアレジデントマニュアル

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緩和ケアの新スタンダードマニュアルが、ついに完成。第一線で活躍する気鋭の執筆陣が、基本から最新知見・ノウハウまで緩和のエッセンスを解説。各項目ではエビデンスを重視し、およぶ限り非がん疾患にも応用できるよう心がけた。通読できるコンパクトサイズながら網羅的であり、入門書としても最適。若手のみならず、指導者にとっても有用な好著。日常診療では白衣のポケットに忍ばせていただきたい1冊。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
監修 森田 達也 / 木澤 義之
編集 西 智弘 / 松本 禎久 / 森 雅紀 / 山口 崇
発行 2016年07月判型:B6変頁:458
ISBN 978-4-260-02544-7
定価 3,960円 (本体3,600円+税)
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監修の序 緩和ケアの世代交代を告げる-2016年編集の序

監修の序 緩和ケアの世代交代を告げる-2016年
 伝統ある『レジデントマニュアル』シリーズに緩和ケアが加わった.多くの医師が緩和ケアに関心をもってローテーション(研修)してくれることになったことを反映しており,とてもうれしい.筆者が緩和ケア医(当時はホスピス医)を念頭に臨床研修病院を探した1992年には,事実上,淀川キリスト教病院と聖隷三方原病院しか選択肢はなかった.いまや,多くの臨床研修病院には緩和ケア科や緩和ケアチームがある時代を迎えている.

 さて,緩和ケアに関するマニュアルは数多くあるが,本書の価値を一言でいえば,世代交代を告げる1冊である.筆者と木澤義之が監修を務めてはいるものの,本書はステアリングチームの若手(というほど若手でもない人もいるが)が全面的に企画から執筆,調整までを担当した.ありきたりではない序文として,本書の編集者の紹介をしてみたい.筆者が知り合った順に書く.
 山口 崇は筆者の机の左横に座って研修していた時期があるが,所属する病院や住んでいる地域の枠にとどまることなく自分でするべきことを探して自主的にさくさくと自ら学びを深めていた.短時間に要点をついて理解していく能力には驚くものがある.
 松本禎久は丁寧である.金沢から東京に出ておそらくは本人の意図していたわけではないめぐりあわせからマネジメントもする立場となった.超多忙な日々を送っているが,年長者・後輩を問わず丁寧なやり取りを欠かさない.人として見習うべきものである.
 森 雅紀は天性か周りにいる人たちに元気を注入する.臨床も研究も,研修医を教えるのも子ども会の役員も精一杯楽しんでやる.ドーパミンが枯渇しないかと心配するが,「子どものときからこんな感じだから大丈夫」らしい.その調子でみなに笑顔と和を伝えてほしい.
 西 智弘は社会派である.医学的治療のみならず,どうして若手医師が緩和ケアで行き詰まるのかと思索を巡らし,東京に林立するタワーマンションが20年後には独居高齢者ばかりになることを考える.医学にとどまらない幅広い視野を今後も展開させてほしい.
 執筆者は,編集を担当した4名がよく知る現場の最前線にいる若手医師が中心である.1つの病院,1つの医局にとどまらず,多様な個性を認め合う新しい世代のネットワークが集結した.担当者が書いた内容をpeer reviewを何度も繰り返して完成させた.自己流になりやすい緩和ケア領域において,流派が違っても認め合えるマニュアルを作りあげた.
 20年前,緩和ケア領域は人材も少なかったが,多彩な人材が順調に育っている.5年,10年後,読者の中からさらに後継者が生まれ,本書をどんどん改訂していってほしい.レジデントマニュアルは,“少し上のお兄さん・お姉さんが困ったことを後輩に伝えていく”というところに価値がある.読者諸氏がまたお兄さん・お姉さんになって,日本中の緩和ケアを担っている最前線に本書を新しくして届けていってほしい.

 以下に,本書の特徴を簡単に示す.
 緩和ケアの各領域のガイドラインはすでに多く出版されているが,かなりの分量があり通読する余裕は通常ない.一方,マニュアルもこれまたいっぱいあるが,著者の経験で書かれていることが多く,どうしてそう考えるのか,国際的にみてどの程度標準的なことなのかがわからない.
 本書は,“エビデンス時代”の若手が作成しただけのことあって,ガイドラインと従来のマニュアルの隙間を埋めるものである.つまり,1冊を通して読むことで,どの領域にどういうガイドラインがあるのか,オーバービューを素早く把握することができる.知っておくべき系統的レビューやガイドラインの要点を解説してくれているので,“もっと知りたい”項目はちゃんと「これをよめばいいよ」と示してくれる.「どうしてそれでいいのか?」の考え方の記載ももれなくあり,きちんと応用が利くように書いてある.
 痛みだけではなく,おおよそ緩和ケアの臨床をするうえで出会うだろうすべての事柄について網羅されている.しゃっくりが止まらない,むくんできた,血が止まらない,かゆい……マイナーではあるが対応の迫られる状況での医師としてとるべきボトムラインが明示されている.経験の少ない医師が躓きやすい点や社会的側面(若年がん患者への対応,チームビルディングなど)の記載も「ああそうか」と思わせる.1冊あれば通常の臨床で当面困ることはないだろう.
 これからの緩和ケアという点では,非がんの緩和ケアや慢性疼痛についても記載しており,呼吸器科・循環器科といった各科で緩和ケアを行う医師のよりどころになる.もちろん若手医師だけでなく,他科から緩和治療をめざす医師,認定・専門看護師,薬剤師など,緩和に携わるすべてのスタッフにおすすめである.

 2016年6月
 聖隷三方原病院 森田達也


編集の序
 われわれが緩和ケア医を目指した数年前は,緩和ケアに関する日本語の教科書はまだまだ少なく,海外の教科書やその訳本数冊,あとは指導医の“口伝”で患者さんの治療にあたっていたことが思い出される.
 この数年の間で,著名な先生方による緩和ケアの教科書が数多く出版され,これから緩和ケアを目指す医療者や学生にとっては,とてもいい時代になってきたのではないかと思う.
 しかし,それでもなお若手が抱える悩みは深い.緩和ケアが扱う領域はどんどん広くなり,疾患としてもがんだけでなく非がんの緩和ケアへの対応が求められ,“早期からの緩和ケア”の有用性が示されたことで,終末期のみならず診断時からかかわることが求められる.そして,単なる医療の提供にとどまらず意思決定支援や就労・経済的問題など,疾患を抱えて“生きること”を支えることが求められてきている.
 そうした現状の中,若手がこれから歩むための道標となる本が欲しい,と感じていたところで「伝統ある『レジデントマニュアル』シリーズに緩和ケアを加えたい」とのお話を医学書院からいただいた.しかし,「緩和ケアにおけるバイブルとなる本を」と出発した,若手4名を編集の中心とした本作りは難航を極めた.企画立案から数年の間に,「よりよい本を!」「もっと役に立つ本を!」と幾度も編集会議を重ね,数え切れないほどのメールをやり取りしながら本書はようやく誕生の時を迎えた.難産にお付き合いいただいた執筆陣の先生方,また監修の森田達也先生,木澤義之先生には多大なる感謝を申し上げたい.
 本書は,若手の執筆者を中心に,エビデンスに十分に基づきながらも,実際に病棟や在宅などでどのように症状をマネジメントしていくかというテクニック的な部分も盛り込んでご執筆いただいた.緩和ケアの現場で悩む部分,知っておいて欲しいことなど,エッセンスを盛り込んだ本に仕上がったと自負している.本書は,当初かかげた編集目標に向かい,関係者一同力の限り取り組んできたつもりであるが,今後,本書をよりよいものにしていくために,読者のみなさんから忌憚ないご意見・ご感想,ご批判をお寄せいただければと思う.
 本書の内容がひとりでも多くの患者さん,ご家族の助けになることを願っている.

 2016年6月
 編集者一同

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第1章 はじめに
  1.ベッドサイドに立つ前に
  2.がん/非がんの緩和ケアの特徴
  3.Bad News Breaking
  4.予後の判定
  5.Advance Care Planning

第2章 症状の緩和
 痛みの緩和
  1.痛みの診断と評価
  2.痛みの治療総論
  3.NSAIDs/アセトアミノフェン
  4.オピオイド
  5.鎮痛補助薬
  6.神経ブロック
 さまざまな身体症状の緩和
  7.体温上昇(発熱・高体温)
  8.悪心・嘔吐,消化管閉塞,食欲不振
  9.悪液質
  10.輸液
  11.吃逆
  12.便秘・下痢
  13.口腔に関する問題
  14.浮腫(SVC症候群を含む)
  15.悪性腹水
  16.呼吸困難
  17.死前喘鳴
  18.出血
  19.代謝の異常(進行悪性疾患に関連するもの)
  20.倦怠感(CRF)
  21.骨転移・病的骨折・脊髄圧迫
  22.神経・筋の異常
  23.泌尿器科的症状
  24.皮膚の問題/そう痒感
 精神症状の緩和
  25.不眠
  26.不安
  27.せん妄
  28.うつ病・適応障害
 セデーション
  29.鎮静(セデーション)

第3章 放射線療法・化学療法
  1.緩和的放射線療法
  2.緩和的化学療法と支持療法

第4章 非がんの緩和ケア
  1.高齢者/認知症の緩和ケア
  2.心不全の緩和ケア
  3.肝不全の緩和ケア
  4.腎不全の緩和ケア
  5.神経難病の緩和ケア
  6.慢性呼吸器疾患の緩和ケア

第5章 さまざまな状況での緩和ケア
  1.在宅医療
  2.小児の緩和ケア
  3.リハビリテーション
  4.スピリチュアルケア
  5.看取り
  6.ビリーブメント(死別)
  7.がんの親をもつ子どものサポート

付録(1)  わが国で使用可能な代表的なオピオイドとその特徴
付録(2)  オピオイド換算表
付録(3)-1 STAS-J
付録(3)-2 STAS-J 症状版
付録(4)  全身状態の評価
付録(5)  エドモントン症状評価システム改訂版日本語版(ESAS-r-J)

索引

コラム
・家族にがんの病状を伝えるとき
・チームビルディングとは
・内科的治療をどこまで行うか?
・漢方
・コンサルテーションとは
・代替療法についての考え方
・若いがん患者(AYA:adolescent and young adult)

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