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血液病レジデントマニュアル 第2版

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レジデントはもちろんのこと、広く一般内科医に向けて、決して容易ではない血液疾患の臨床についてわかりやすくまとめたレジデントマニュアルの改訂第2版。臨床の現場で、限られた時間と労力で、最大限安全かつ効率的に診療できるよう、随所に工夫・配慮がなされている。日本血液学会(編集)造血器腫瘍診療ガイドラインをはじめ最新情報を網羅し、血液専門医にとっても手元にあると役立つ1冊。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
神田 善伸
発行 2014年02月判型:B6変頁:456
ISBN 978-4-260-01903-3
定価 4,620円 (本体4,200円+税)
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  • 序文
  • 目次
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第2版 序

 2009年10月に「血液病レジデントマニュアル」の初版を発刊して以来,おかげさまで好評をいただき,レジデントのみならず,数多くの血液専門医の先生方が本書を愛用してくださいました.いろいろなところでこの赤紫色(ボルドー色? 阪急電車色?)の小さな本を目にするたびに,拙著が血液疾患診療に少なからず貢献しているということを実感しました.
 しかし,発刊からわずか4年程度の間にも血液診療は大きく変化しました.分子標的治療薬を中心としてさまざまな新規治療薬が診療現場に導入され,また,日本血液学会の「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」をはじめとして,いくつかの重要なガイドラインが発表あるいは改訂されました.そのような状況の中で,4年間進歩を止めたままのマニュアルがそのまま診療現場で用いられることを心苦しく感じるようになり,今回の全面改訂を決意しました.
 第2版の執筆にあたり,本書の内容を最新のものに更新するための情報収集は,初版を書き下ろした時のそれほどではないものの,かなりの作業量となりました.一部の項目を共同執筆者に依頼するという選択肢も考えられたのかもしれませんが,本書全体を完璧に統一されたコンセプトで仕上げるためには単著であることが必要であり,また,血液専門医の一人として血液疾患に関する知識を幅広く最新のものに更新しておきたいという意思もありました.この作業を4~5年ごとに繰り返すことがいつまで可能かは私にもわかりませんが,自分自身への挑戦の一つと考えています.
 第2版には非腫瘍性疾患を中心にいくつかの新しい項目を追加しています.既存の項目も更新するとともに内容が増加したため,全体としてやや分厚くなってしまいました.「白衣のポケットにおさまる」という条件を満たすには限界に近づいてきています.また,重さも気になるところです.白衣の片方だけが重くなると肩がこるという場合には,他方のポケットに同重量のおもりを入れることをお試しください(その効果については一切保証しません).
 「レジデントマニュアル」という名前はついていますが,血液専門医にも役立つ内容に仕上げられたのではないかと自負しています.また,各種ガイドラインを含め,2014年1月の時点で最新の情報を元に記載したつもりです.しかしながら,前版と同様に,あらゆる分野において完璧を期すことは難しく,実施前にはご自身でも文献,薬剤添付文書などをご確認いただけますようお願い申し上げます.また,日本国内で承認されている適応と異なる記載が含まれていることをご了承ください.

 2014年1月
 自治医科大学附属さいたま医療センター血液科
 神田善伸

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 最初に知っておきたいこと
 血液細胞アトラス

1 血液の基礎知識
2 血液疾患が疑われる患者の診察
3 血液疾患に関連する検査
4 赤血球数の異常の鑑別診断
5 凝固・止血異常の鑑別診断
6 白血球数の異常の鑑別診断
7 リンパ節腫脹の鑑別診断
8 Evidence-based medicineと臨床決断
9 輸血
10 化学療法総論
11 抗がん剤総論
12 化学療法の手順と支持療法
13 造血幹細胞移植の総論と合併症対策
14 鉄欠乏性貧血
15 巨赤芽球性貧血
16 再生不良性貧血
17 赤芽球癆
18 自己免疫性溶血性貧血
19 発作性夜間血色素尿症
20 特発性血小板減少性紫斑病
21 血栓性血小板減少性紫斑病/溶血性尿毒症症候群
22 播種性血管内凝固症候群
23 ヘパリン起因性血小板減少症
24 血友病
25 von Willebrand病
26 血球貪食症候群
27 伝染性単核球症
28 慢性活動性EBウイルス感染症
29 急性骨髄性白血病(AML)
30 急性リンパ性白血病(ALL)
31 慢性骨髄性白血病(CML)
32 慢性リンパ性白血病(CLL)と関連疾患
33 骨髄異形成症候群(MDS)
34 慢性骨髄増殖性腫瘍
35 慢性好酸球性白血病/好酸球増多症候群
36 Hodgkinリンパ腫(HL)
37 非Hodgkinリンパ腫(NHL)
38 成人T細胞性白血病リンパ腫(ATLL)
39 多発性骨髄腫(MM)および関連疾患
40 抗がん剤の注意事項
41 体表面積換算表
42 薬剤投与量の調節
43 医療費
付 略語一覧・薬剤一覧・有害事象共通用語規準

 和文索引
 英文索引

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血液診療現場の最新手引書
書評者: 岡田 定 (聖路加国際病院・血液内科部長)
 2014年2月,約4年ぶりに内容が一新されて『血液病レジデントマニュアル 第2版』が発行された。神田善伸先生による単著である。

 初版の『血液病レジデントマニュアル』にはお世話になった。新装第2版を手にして,パラパラと読んでみた。「見事にアップデイトされている。これはすごい。使いやすそう」というのが第一印象である。

 さっそく,血液の患者を担当している病棟レジデントたちに紹介した。「購入するように」と言ったつもりはないが,3~4日後には病棟の机の上に本書が並んでいた。彼らは,「新しいもの,便利なもの,いいもの」にはとても反応が速い。

 本書には,主要な血液疾患の基本事項,検査,診断,治療,マネジメントが凝縮されている。分厚い書籍を開かなくても,ポケットサイズの本書で血液診療全般のエッセンスを学ぶことができる。それ以上に,現場の血液診療に必要不可欠な知識を効率よく得ることができる。入門書としてもいいが,現場の手引書としてこれほどのものはない。

 タイトルが「レジデントマニュアル」だからといって,「レジデントのためのマニュアル」と誤解してはいけない。「血液専門医のためのマニュアル」でもある。

 血液専門医はレジデントよりもずっと血液診療の知識も経験もある。とはいっても,診療に必要な知識を全て記憶しているわけではない。最新の知識を見逃していることも少なくない。目まぐるしく改定される診断基準,病型分類,重症度分類,予後分類,治療メニューなど,全部覚えている医師はいないだろう。

 最終診断をして実際に治療を始めるとき,疾患によってはテキストでの確認作業がどうしても必要になる。そのとき「診断基準はあの本で確認しよう」「治療プロトコールはあそこで検索しよう」では,大変である。そこで本書の出番である。確認したい事項のほとんどが,本書一冊に詰まっている。今,ここの実臨床で必要な情報がそこにある。

 それにしても血液診療のこれほど広い範囲を神田先生お一人でまとめられたのは,驚嘆すべきことである。日々蓄積されていく新しくて有用なエビデンスやガイドラインを,このようにコンパクトで使いやすい形にまとめていくのは,並大抵の作業ではない。

 本書の序文に「この作業を4~5年ごとに繰り返すことがいつまで可能かは私にもわかりませんが,自分自身への挑戦と考えています」とある。神田先生の「自分自身への挑戦」に大変お世話になっている身としては,ここで先生に大いに感謝したい。

 本書第2版は,ちょうど2014年ソチ冬季オリンピックの開催中に出版された。4年後2018年は平昌(ピョンチャン)である。そのころには,『血液病レジデントマニュアル 第3版』に出会えるのだろうか。それも楽しみである。
血液腫瘍疾患の知識のブラッシュアップにも最適!
書評者: 大山 優 (亀田総合病院・腫瘍内科部長)
 評者がこの書籍を手にするのは初版以来2回目である。固形腫瘍診療をしている評者は,以前造血幹細胞移植と血液悪性腫瘍の診療に携わっていた。血液悪性腫瘍の知識をキープアップしたいと思い,読みやすくよい内容の書籍を探していたところ見つけたのが本書の初版であった。同時に米国と日本の診療の相違を手早く効率的に学び,忘れかけていた血液腫瘍疾患の知識をブラッシュアップしようと思った。読み進んで行くと米国のオンライン教科書であるUpToDate®を日本向けに凝縮し,さらに診療上大事なポイントが丁寧にまとめられていることがわかり,著者の神田善伸先生の優秀さに感銘した。著者と評者は,大学こそ異なるが卒業年次が一緒で,専門領域も一時期同じであったため何となく親近感がある。時々研究会などで神田先生の講演を拝聴することがあるが,常に頭脳明晰で,かつ実際の臨床経験が豊富でないとできない話の内容にいつも感心している。

 今回第2版を手にして感じたことは次のとおりである。初版と同様に血液専門家として知っていなければならない知識がほとんど網羅されている。特に,ここ数年進歩の早い領域では,専門を離れてしまった評者にはフォローしにくい新しい疾患分類とその根拠と流れ,遭遇する機会の多い代表的疾患の病態と必須のポイントが非常にわかりやすくコンパクトにまとめられている。そのため医学生などの初学者をはじめ,専門分野に入りすぎて広い分野の知識が薄れてしまった血液科専門医,また今まさに血液患者診療を研修中の血液科後期研修医(専攻医)と初期研修医までの幅広い読者に役立つ。評者自身もとても勉強になっており,第2版を自ら購入しようと思っていたところだ。

 内容に関して詳しく述べると,好酸球増多症など一般内科で時々遭遇し,コンサルトされた血液科医にとっても病態解明が困難である疾患が,本書では理解しやすくまとめられている。悪性リンパ腫も一般内科医が初診でみる機会が多く,血液科医が不足している地域では専門医のアドバイスのもと,治療も含めて一般内科医が診療しなくてはならないかもしれない。そのような場合にも役立つように非専門家にもわかりやすく,かつ,実践的な情報が満載されている。また,骨髄腫はここ数年治療の進歩が甚だしく,専門領域から一歩離れるとついてゆくことが難しい。なぜなら新規薬剤を用いた臨床試験データが数多く発表され,特に積極的な治療が適応の患者群では,これまでと異なる治療が主体になってきているからである。ここでも最新のエビデンスが簡潔に網羅され理解が容易である。その他白血病も然りである。また貧血など良性血液疾患も簡潔にまとめられており,通読すると現在の血液科診療の基本と流れが忙しい医師にも短期間で学習できると思う。

 つまり血液腫瘍診療から少し離れた評者のような腫瘍内科医の知識のブラッシュアップにとても役立つ。そしておそらく全ての血液科を学習中の医師にとっても実践的に役立ち,これ以上内容が濃く,かつコンパクトにまとめられた書籍はないと思う。「マニュアル」という題名であるが,それ以上の価値があることは明白で,お薦めの一冊である。

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