母性看護学[1]
母性看護学概論 第12版

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本書では、女性のライフサイクルの視点から、多岐にわたる女性の健康問題とその看護を取り上げています。 女性の健康問題に対する看護の前提となるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ、ヘルスプロモーション、エンパワーメントなどの概念や、家族関係の変化や社会の動きを整理し、述べています。 また母性看護における看護倫理とリスクマネジメントについても取り上げています。 女性性ならびに母性について、各ライフステージにおける健康問題と、その看護における看護過程の展開方法および看護技術の特徴を、理解しやすい図・表とともに説明しています。 性感染症や喫煙、性暴力、DV、児童虐待などの今日的な問題についても取り上げ、看護実践に必要な知識を提供しています。 新たに国際化社会における母性看護についても取り上げ、社会のグローバル化に伴って重要性が増している問題についても解説しています。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座
森 恵美 / 高橋 真理 / 工藤 美子 / 堤 治 / 石井 邦子 / 島袋 香子 / 上別府 圭子 / 岩田 裕子
発行 2012年01月判型:B5頁:352
ISBN 978-4-260-01365-9
定価 2,640円 (本体2,400円+税)
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はしがき

 母性看護学は,看護基礎教育のカリキュラムとして誕生して以来,妊産褥婦および新生児への看護活動に加え,次世代の健全育成を目ざし,母性の一生を通じた健康の維持・増進,疾病予防を目的とした看護活動を支える実践科学として発展してきました。現在,母性看護の対象は,妊産褥婦とその子ども,将来子どもを産み育てるべき女性,および過去においてその役目を果たした女性のみならず,生涯を通じての性と生殖に関する健康をまもるという観点から,女性と生殖や育児のパートナーとしての男性,子どもが生まれるあるいは乳幼児を育てる家族,その家族が生活する地域社会をも含むようになりました。このことは,次世代が健康に生まれ育つことが普遍的な人類の願いであり,時代の変遷とともに,子どもをより健康な状態で産み育てるための母性への支援が,質的・量的に変化していることを示しています。これは同時に,女性の生涯や役割の多様化,医学の進歩・発展,人口爆発と少子化,母子をめぐる生活環境の著しい変化,国際結婚・外国人家族の増加などによって,母性看護の役割はますます拡大されていることを意味します。
 本書では,このような母性看護の役割拡大をふまえ,母性看護の基盤となる概念を,母性看護を実践するうえでの考え方や方向性と関連づけて示し,実践活動に活用できるように解説しました。これに加え,女性の一生を通じた母性の健康の保持・増進を目ざした看護を基盤として,次世代の健全育成を目ざす看護を述べています。また,社会的弱者である子どもや母親,女性,家族,患者の立場にたった個別性の高い看護実践が可能となるように,統合体としての母性や親となる家族を理解するための身体的および心理・社会的知識,看護過程の展開方法,看護実践時の安全管理と倫理について充実をはかりました。そして,これらを系統的に述べることで,かぎられた時間でも重要な内容が効率的かつ漸進的に自己学習できるような構成としています。
 『母性看護学[1]母性看護学概論』では,第1章で母性看護の基礎となる概念について,母性看護を必要とする対象の特徴およびその母性看護独自の特徴から解説しました。第2章では,母性看護の対象を取り巻く社会の変遷と現状について理解を深めるだけでなく,母性看護の課題や役割を考えるために,各種統計資料から幅広く把握して考える方法を提示しました。第3章では,母性看護の対象を(1)女性の受精から成熟までの形態・機能の特性とその変化,(2)女性・家族のライフサイクルの変化,(3)母性としての発達・成熟・継承における特性とその変化の3つの視点から理解できるように,それらについて基礎的な知識を提供しました。第4章では,母性看護実践に必要な技術として,第2章の母性看護の対象を取り巻く社会の現状や,第3章で述べた対象の特性をふまえたうえでの,対象者のアセスメントと看護実践の提供の方向性を示しました。第5章では女性のライフステージ各期における看護を,その必要性を明示したうえで,思春期,成熟期等に分けて,その時期の女性の特徴や特有の健康問題との関係から看護を論じました。第6章では,女性の生涯を通じた健康の保持・増進の観点から,リプロダクティブヘルスケアとして,家族計画および,リプロダクティブヘルスに関する主要な健康問題と看護を解説しました。巻末には,わが国の母子保健対策,男女共同参画社会に向けての政策を理解し,母性看護を実践するにあたり重要な各種の法令を紹介しています。
 『母性看護学[2]母性看護学各論』では,第1章で子どもを産み育てるために必要となる,妊娠前からの女性・家族への支援を,医療も含めて解説しています。第2章~第5章では正常経過にある妊産褥婦と新生児の看護について,第6章では異常経過にある対象者への看護について,それぞれ身体的特性と心理・社会的特性,アセスメントおよび看護という構成で示しました。つまり,対象者の経過にそって系統的に母性看護の学習ができるようになっています。これらの看護の学習は,各章ごとに母性看護学概論の第4章の内容を確認しながら進めると,より効果的であると考えます。また,第6章の周産期の異常をもつ対象者への看護については,第2章~第5章の正常な経過の看護を確認しながら学習することをおすすめします。そして,巻末には対象者を統合体として理解し,看護を展開する例として,「事例による看護過程の展開」を付しました。これらは実習や国家試験の状況設定問題への対策として活用していただけると幸いです。また,実習で役だつように,巻末に妊産婦・新生児における各種検査値を付録として掲載しました。さらに,母性看護における各援助技術を短時間で確認できるよう,携帯端末向けの動画へのリンクを「動画一覧」として記載していますので,活用していただけたらと思います。
 母性看護学を学ぶ方に,本書が講義の理解を深め実習にも活用できる教材として広く使用いただけること,また,すでに母性看護を実践されている看護職者の方にも,基本的な知識の確認や自己の看護実践のふり返りなどに活用いただけることを願います。女性に寄り添う看護,家族中心の看護family centered careがさらに活発になり,「健やか親子21」の目標が達成されることを心から願います。
 2011年10月
 著者ら

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第1章 母性看護の基盤となる概念 (森恵美)
 A 母性とは
 B 母子関係と家族発達
 C セクシュアリティ
 D リプロダクティブヘルス/ライツ
 E ヘルスプロモーション
 F 母性看護のあり方
 G 母性看護における倫理
 H 母性看護における安全・事故予防
第2章 母性看護の対象を取り巻く社会の変遷と現状 (石井邦子)
 A 母性看護の歴史的変遷と現状
 B 母性看護の対象を取り巻く環境
第3章 母性看護の対象理解 (堤治・高橋真理)
 A 女性のライフサイクルにおける形態・機能の変化
 B 女性のライフサイクルと家族
 C 母性の発達・成熟・継承
第4章 母性看護に必要な看護技術 (森恵美)
 A 母性看護における看護過程
 B 情報収集・アセスメント技術
 C 母性看護に使われる看護技術
第5章 女性のライフステージ各期における看護 (高橋真理・工藤美子)
 A ライフサイクルにおける女性の健康と看護の必要性
 B 思春期の健康と看護
 C 成熟期の健康と看護
 D 更年期の健康と看護
 E 老年期の健康と看護
第6章 リプロダクティブヘルスケア
   (堤治・工藤美子・高橋真理・島袋香子・上別府圭子・岩田裕子)
 A 家族計画
 B 性感染症とその予防
 C HIVに感染した女性に対する看護
 D 人工妊娠中絶と看護
 E 喫煙女性の健康と看護
 F 性暴力を受けた女性に対する看護
 G 児童虐待と看護
 H 国際化社会と看護

参考文献
付録 関係法規の抄録
索引

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