遺伝子検査学

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臨床検査の中でも進歩の著しい遺伝子検査。本巻では、遺伝子検査の幹となる遺伝子・染色体の知識から、最新の検査法に至るまで、技師を志す学生が修得すべき知識を万遍なくカバー。難しいと思われがちな遺伝子検査学を、豊富な図表と丁寧な解説でまとめ、国家試験に向けての学習はもとより、よりこの領域を学びたい学生にも対応する記述となっている。

*「標準臨床検査学」は株式会社医学書院の登録商標です。
医学書院の“青本”シリーズ≪標準臨床検査学≫が完全リニューアル! 臨床検査技師を志す学生向けの新しい教科書シリーズです。 ●シリーズの特徴 ・標準的なカリキュラムに対応し、使い勝手のよい編成 ・臨床検査技師国家試験出題基準に完全対応、必要にして十分な記述内容 ・医師と臨床検査技師のコラボで生まれた教科書 ●ラインナップ ≫全12巻の一覧はこちら
シリーズ 標準臨床検査学
シリーズ監修 矢冨 裕 / 横田 浩充
編集 宮地 勇人 / 横田 浩充
発行 2013年03月判型:B5頁:280
ISBN 978-4-260-01519-6
定価 4,180円 (本体3,800円+税)

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刊行のことば(矢冨 裕・横田浩充)/(宮地勇人・横田浩充)

刊行のことば
 「標準臨床検査学」シリーズは,「臨床検査技師講座」(1972年発刊),「新臨床検査技師講座」(1983年発刊),さらには「臨床検査技術学」(1997年発刊)という医学書院の臨床検査技師のための教科書の歴史を踏まえ,新しい時代に即した形で刷新したものである.
 臨床検査は患者の診断,治療効果の判定になくてはならないものであり,医療の根幹をなす.この臨床検査は20世紀の後半以降,医学研究,生命科学研究の爆発的進歩と歩調を合わせる形で,大きく進歩した.そして臨床検査の項目・件数が大きく増加し,内容も高度かつ専門的になるにつれ,病院には,臨床検査の専門部署である検査部門が誕生し,臨床検査技師が誕生した.臨床検査の中央化と真の専門家による実践というこの体制が,わが国の医療の発展に大きく貢献したこと,そして,今後も同じであることは明らかである.
 このような発展めざましい臨床検査の担い手となることを目指す方々のための教科書となることを目指し,新たなシリーズを企画した.発刊にあたっては,(1)臨床検査の実践において必要な概念,理論,技術を俯瞰できる,(2)今後の臨床検査技師に必要とされる知識,検査技術の基礎となる医学知識などを過不足なく盛り込む,(3)最新の国家試験出題基準の内容をすべて網羅することを念頭に置いた.しかしながら国家試験合格のみを最終目的とはせず,実際の臨床現場において医療チームの重要な一員として活躍できるような臨床検査技師,研究マインドが持てるような臨床検査技師になっていただけることを願って,より体系だった深い内容となることも目指している.また,若い方々が興味を持って学習を継続できるように,レイアウトや記載方法も工夫した.
 本書で学んだ臨床検査技師が,臨床検査の現場で活躍されることを願うものである.

 2012年春
 矢冨 裕
 横田浩充



 分子生物学的解析技術の進歩と疾患の分子病態解析研究の進展により,感染症や白血病を中心に診断に必要な病因遺伝子を検出する遺伝子関連検査が可能となった.さらに,ヒトゲノムシークエンスが解読され,その情報について,遺伝子構造と機能,細胞機能や疾患との関わり,単一遺伝子疾患のみならず,生活習慣など環境要因と遺伝要因が複雑に係る疾患の罹患性や薬物反応などの個人差との関係に関する研究が進められている.その結果,遺伝子関連検査の検出対象となりうる遺伝子情報は急激に増加している.遺伝子関連検査の開発と実用化により,診断,治療や予防への応用展開が著しい.すなわち,発症前の疾患リスク推定,早期診断,確定診断,病型診断や治療後モニタリング,さらに薬物治療における薬物の選択,副作用回避のための投与量調節の指標となる.
 本テキストは,臨床検査の卒前卒後の学生・初学者のために,遺伝子・染色体と検査技術についての基本,基本的な概念,体系的な知識・理論,必要な医学知識を整理した.本テキストは,本体部分と続く応用・実践編から構成される.本体部分(第1章~第9章)は,遺伝子・染色体の構造と機能に始まり,機器・試薬の基礎,検査技術の基礎と応用を記述した.記述内容は,シリーズコンセプトを踏まえ,以下の3点を執筆・編集のポイントとした.(1)遺伝子関連検査関係の体系的な知識を学ぶ.(2)臨床検査技師国家試験の内容を網羅する.(3)卒業後の臨床現場業務に必要な最低限の知識の理解につなげる.
 遺伝子・染色体検査の応用・実践編(第10章)の記述では,以下の3点を執筆・編集のポイントとした.(1)実習に臨む学生が使える実践的な内容を盛り込む.(2)臨床検査技師国家試験の範囲を網羅する.さらに,(3)臨床検査技師国家試験のみを最終目的とはせず,発展的な内容を含む.具体的には,4年制大学の卒業研究の素地に有用な内容とし,またレベルとしては,学生が受験可能な認定試験(初級遺伝子分析科学認定士制度試験等)の準備の副読本として知識の整理ができる記述である.
 本テキストは,執筆・編集のポイントに基づき,遺伝子や遺伝子関連検査,解析技術と応用や実際の検査手法まで必要な情報と知識を整理できた.遺伝子関連検査は様々な診療領域で,疾患の管理の様々な場面において,今後も利用拡大と普及が進むと予想される.医療の進歩にともない,遺伝子関連検査の重要性が高まり,検査の適正な実施と利用による良質な医療が求められる.そこで臨床検査技師の果たす役割は大きい.本テキストは,遺伝子関連検査を利用する新たな診療の展開にも対応できるように,今後の臨床検査技師に必要とされる体系的な知識,検査技術の基礎となる医学知識等を過不足なく盛り込むことができた.したがって,本テキストは,卒業後の臨床現場業務に必要な最低限の知識,理解を身につけ,実際の臨床現場においても医療チームの重要な一員として活躍するための素地となるよう,活用いただけるものと確信する.遺伝子関連検査を理解した人材が,その適正な実施と検査業務,それに基づく良質な患者診療に寄与することを願い,序文の言葉とする.

 2013年2月
 宮地勇人
 横田浩充

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第1章 細胞と染色体
 1 細胞の構造と機能
  A 細胞の構造
  B 細胞周期
  C 細胞分裂
 2 染色体の構造と機能
  A 染色体の構造
  B 染色体の機能
  C 染色体の複製
  D 染色体の形態
  E 染色体異常
  F 染色体地図
第2章 遺伝子の基礎
 1 核酸の構造と代謝
  A 核酸の構造
  B 核酸の代謝
 2 遺伝子の構造と機能
  A 遺伝子の構造
  B DNAの複製
  C 遺伝情報・伝達(転写・翻訳)
  D 遺伝子変異
  E 遺伝子の損傷と修復
  F 遺伝子発現の調節
  G エピジェネティクス
第3章 遺伝子・染色体検査に用いる機器・器具・試薬
 1 機器・器具
 2 試薬
第4章 遺伝子検査の基礎技術
 1 検体の取り扱い方
  A 遺伝子検査に供する検体の前処理および保存法
 2 核酸抽出
 3 核酸増幅法
 4 検出技術
 5 遺伝子検査の精度管理
第5章 遺伝子工学と先端技術
 1 遺伝子工学
  A 大腸菌培養法
  B プラスミドの取り扱い
  C DNAの組み換え
  D クローニング
 2 先端技術
  A ゲノミクス
  B プロテオミクス
  C バイオインフォマティクス
第6章 遺伝子検査技術の応用
 1 感染症
  A 抗酸菌感染症
  B MRSA感染症
  C VRE感染症
  D 血流感染症
  E 食品媒介感染症
  F HIV感染症
  G B・C型肝炎ウイルス感染症
  H ヘルペス属ウイルス
  I 性感染症
  J 遺伝子型
  K 分子疫学
 2 血液疾患
  A 白血病の遺伝子検査
  B 悪性リンパ腫
  C ヘモグロビン異常症
  D 出血凝固系疾患
 3 固形腫瘍
  A 悪性腫瘍関連遺伝子
  B 分子病理
  C 家族性腫瘍
 4 遺伝性疾患
  A 責任遺伝子の探索
  B 遺伝子異常と疾患
  C 各領域の単一遺伝子疾患
 5 生活習慣病
  A 生活習慣病と遺伝要因
  B 多因子疾患の易罹患性(疾患感受性)の推定
  C 多因子疾患としての糖尿病
 6 ファーマコゲノミクス
  A ファーマコゲノミクス検査
  B 薬物代謝酵素の遺伝子多型
  C 治療反応性遺伝子
  D 臨床応用の課題
  E 適正利用のためのガイドライン
 7 個人識別
  A HLA
  B DNA型鑑定
 8 遺伝医療
  A 遺伝学的検査の評価
  B 発症者検査・診断
  C 発症前検査・診断
  D 保因者検査・診断
  E 出生前検査・診断
  F 新生児スクリーニング検査
  G 遺伝カウンセリング
  H 遺伝子治療
 9 遺伝子情報
  A 国内外のネットワーク
  B 遺伝学的検査の精度保証
  C 遺伝子情報サービスの社会浸透
 10 倫理
  A 遺伝子検査の目的
  B 遺伝倫理
  C インフォームド・コンセント
  D 遺伝情報管理
第7章 染色体検査法
 1 染色体の分類と命名法
  A 染色体の形態による分類
  B 染色体のバンドパターンによる分類
  C 核型の命名法
 2 染色体検査
  A 染色体検査の概要
  B 染色体検査法
  C 染色体異常の種類
 3 核型分析
  A 顕微鏡観察
  B 写真撮影
  C 核型分析
  D 分染法による染色体検査の解析精度と検出限界
  E 核型の記載法
第8章 染色体検査技術
 1 細胞培養法
  A 細胞培養の基本操作
  B 末梢血リンパ球培養
  C 皮膚線維芽細胞の培養
  D 骨髄細胞の培養
  E 固形腫瘍の細胞培養
  F 羊水細胞の培養
  G 絨毛組織の培養
  H リンパ球細胞株の樹立
 2 標本作製
  A 低張処理
  B 固定
  C 展開
 3 分染法
  A 分染法の目的
  B G分染法
  C Q分染法
  D R分染法
  E C分染法
  F NOR分染法
  G 姉妹染色分体分染法
  H 高精度分染法
 4 蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法
  A FISH法
  B 方法(直接プローブ法)
  C 染色体特異的領域のDNAプローブを用いたFISH法
  D 染色体ペインティング法
第9章 染色体検査技術の応用
 1 染色体異常症
  A 常染色体異常
  B 性染色体異常
  C 隣接遺伝子症候群
  D 染色体不安定性症候群
 2 腫瘍と染色体異常
 3 環境変異原と染色体異常
  A 放射線
  B 化学物質
  C ウイルス
第10章 応用・実践編
 1 遺伝子
  A サザンブロットハイブリダイゼーション
  B 一塩基多型(SNP)解析
  C DNAシークエンス解析
  D DNAマイクロアレイ
  E RT-PCR法
 2 染色体
  A 染色体検査
  B FISH法
  C CGH法
  D SKY法

和文索引
欧文索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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