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整形外科レジデントマニュアル

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本書の目的は、レジデントにとって最も必要となる、的確な診断にまで辿り着ける道筋を示すこと。また、初診のときに何を考え、どのように診察に当たるべきかを提示する。本書は2部構成。【総論】では、整形外科診療に必要な基礎知識や技術、医師としての心構えなどを示す。【各論】では、整形外科の領域ごとに、機能解剖や画像診断、レジデントが知っておくべき主な疾患の解説など、日常診療に必須の知識を幅広く網羅している。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
編集 田中 栄 / 中村 耕三
編集協力 河野 博隆 / 中川 匠 / 三浦 俊樹
発行 2014年05月判型:B6変頁:400
ISBN 978-4-260-01935-4
定価 4,950円 (本体4,500円+税)
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 このたび,東京大学整形外科学教室においてレジデントを指導する立場であったスタッフ(執筆時)が中心となって,初期および後期研修医の方々を対象に整形外科診療の基本をまとめた『整形外科レジデントマニュアル』を出版することになった.
 本書は前半の総論と後半の各論に分かれている.総論では整形外科診療に携わるために必要な基礎知識や技術,そして心構えなどが記されている.各論では,整形外科のさまざまな分野について,機能解剖や画像診断,そしてレジデントが知っておくべき主な疾患についての解説など,日常診療に必要とされる知識が幅広く網羅されている.また,各疾患についてどのような点に注意して診療すべきか,ピットフォールはどのような点かなど,読者が病棟や外来でぶつかる疑問に答えるような形で詳細に解説しており,きわめて実践的な内容になっている.
 しかしながら本書の真の特徴は,ただ単に整形外科の診断や治療についての知識を羅列しているのではなく,各執筆者がどのようにして診断に至り治療方針を組み立てているのかという思考過程も記されている点にある.したがって整形外科専門医にとっても十分読み応えのある内容になっている.
 本書が整形外科診療に携わる皆様のお役に立てば幸いである.

 2014年4月
 田中 栄

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総論
1 医師としての心構え
 医師に求められること
 医療チームのリーダーとしての医師
 社会人としての医師
2 脱臼,骨折整復の基本
 日常比較的経験しやすい脱臼・骨折
3 ギプス・シーネ・包帯固定・三角巾による初期固定
 ギプス固定
 シーネ(副木)固定
 包帯固定
 三角巾固定
4 注射法(関節穿刺,関節内注射,トリガー注射,ブロック注射)+処方例
 関節穿刺
 関節内注射
 トリガーポイント注射
 ブロック注射
5 救急外来のレッドフラッグ
 注意する骨折
 注意する腰背部痛
6 術前の評価,他科コンサルト(循環器,呼吸器,糖尿病など),周術期に中止すべき薬剤
 術前全身評価
 術前検査
 他科コンサルト
 周術期に中止すべき薬剤
7 術前説明・インフォームドコンセント
8 自己血輸血
 貯血式自己血輸血
 希釈式自己血輸血
 回収式自己血輸血
9 治療法選択にあたってのガイドライン,文献の使い方,調べ方
 インターネットを使用した文献検索
10 カンファレンスでのプレゼンテーション
 カンファレンスの目的
 症例プレゼンテーションの構成
 その他の注意事項
11 術前・術後の輸液管理の基本
 周術期輸液の原則
 輸液量決定の実際
 循環血漿量の評価
12 抗菌薬の使い方・感染症治療
 感染症治療の原則
 周術期の予防投与
 骨・軟部組織感染症
 入院患者の熱発
 PK-PD(Pharmacokinetics-Pharmacodynamics)理論
13 下肢深部静脈血栓症・肺塞栓症の予防
 診断
 スクリーニング
 治療
 予防法
 注意点
14 手術室における基本事項
 術者とは
 手術室に入る前に
 手術室に入ったら
 体位をとる
 手洗い方法
 消毒
 ドレーピング
 器械の滅菌方法
 主な手術機器の名称と使用方法
 結紮,糸結びの方法,糸の種類
 術後の注意点
15 術後創傷管理
 創の被覆
 ドレーン
 包帯交換時の消毒
 抜糸時期
 創外固定器装着時
16 術後疼痛管理
 術後疼痛管理の手段
 術後疼痛管理の実際
17 リハビリオーダーの基本
 リハビリテーション指示の例
 リハビリオーダーするときに知っておきたい略語
18 術後体位の管理(患肢挙上・クーリング)
 脊椎
 骨盤
 上肢
 下肢
19 リスクマネジメント
 インシデント・オカレンスの定義(東大病院の場合)
 事故につながりやすい基本知識例Q&A
 医療事故発生時の対応
20 手術記録の書き方
21 コ・メディカルとのコミュニケーション
 今日の医療現場の現状
 チーム医療とは
 コ・メディカルとのかかわり
 コミュニケーションの実際:報告・連絡・相談(報連相)
 挨拶と時間厳守
22 学会発表(症例報告)の方法,意義
 症例報告の意義
 症例報告の方法
 文献検索
 スライドの構成
 その他の注意事項

各論
第1章 頚椎
 構造と機能
 神経学的診察のポイント
 主な画像撮像法
 レジデントが知っておくべき主な疾患
    頚椎症性脊髄症/後縦靱帯骨化症/環軸椎回旋位固定/環軸椎亜脱臼/
    リウマチ頚椎病変/脊髄腫瘍/頚椎外傷/頚髄損傷
第2章 胸・腰椎
 構造と機能
 主な画像撮像法
 レジデントが知っておくべき主な疾患
    腰椎椎間板ヘルニア/腰部脊柱管狭窄症/腰痛/脊椎圧迫骨折/
    化膿性脊椎炎/結核性脊椎炎/転移性脊椎腫瘍/脊髄腫瘍/脊柱側弯症
第3章 手・手関節
 構造と機能
 レジデントが知っておくべき主な疾患
    屈筋腱損傷/伸筋腱損傷/伸筋腱皮下断裂/槌指/屈筋腱腱鞘炎(ばね指)/
    de Quervain病/三角線維軟骨複合体損傷/Dupuytren拘縮/手根不安定症/
    母指CM関節変形性関節症/Heberden結節(関節症)/Bouchard結節(関節症)/
    手の関節リウマチ/強剛母指/Kienböck病,月状骨骨壊死/
    指尖部急性化膿性炎症/急性化膿性指屈筋腱腱鞘炎
  手の神経麻痺
    橈骨神経麻痺(含む後骨間神経麻痺)/手根管症候群/
    尺骨神経麻痺,尺骨神経管症候群(Guyon管症候群)
  外傷
    橈骨遠位端骨折/舟状骨骨折/月状骨周囲脱臼・月状骨脱臼
  その他の手指の外傷
    中手骨骨折(示指~小指)/母指中手骨骨折(骨幹部骨折)/Bennett骨折/
    基節骨骨折/中節骨骨折/末節骨骨折/指関節脱臼/
    母指MP関節尺側側副靱帯損傷/PIP関節側副靱帯損傷/手指切断/指尖損傷/
    爪下血腫/咬創/手指の血行障害/複合性局所疼痛症候群
  手の腫瘍
    ガングリオン/腱鞘巨細胞腫/グロムス腫瘍/内軟骨腫
第4章 肘と前腕
 構造と機能
 レジデントが知っておくべき主な疾患
    上腕骨外側上顆炎(テニス肘)/肘内障/野球肘(含む離断性骨軟骨炎)/
    内反肘・外反肘/変形性肘関節症/異所性骨化/肘関節拘縮/肘関節遊離体/
    肘部管症候群/前骨間神経麻痺/後骨間神経麻痺/肘頭滑液包炎
  外傷
    肘関節脱臼・脱臼骨折/上腕骨遠位端骨折/肘頭骨折/
    橈骨近位端骨折(橈骨頭骨折,橈骨頚部骨折)/上腕骨顆上骨折/
    上腕骨外[側]顆骨折/橈骨・尺骨両骨骨幹部骨折/前腕コンパートメント症候群
第5章 肩関節
 構造と機能
 問診,診察法
 主な画像撮像法
 レジデントが知っておくべき主な疾患
  変性・炎症性疾患
    肩峰下インピンジメント症候群/腱板断裂/変形性肩関節症/石灰性腱炎/
    肩関節周囲炎
  外傷性疾患
    鎖骨骨折/肩鎖関節脱臼/上腕骨近位端骨折/肩甲骨骨折/
    肩関節脱臼(前方,後方)/反復性肩関節脱臼/投球肩障害
第6章 大腿・膝関節
 構造と機能
 主な画像撮像法
 レジデントが知っておくべき主な疾患
  骨折,脱臼
    大腿骨骨幹部骨折/大腿骨遠位部骨折/脛骨近位部骨折/膝蓋骨骨折/
    外傷性膝関節脱臼/膝蓋骨脱臼・亜脱臼
  軟部組織損傷
    大腿部筋断裂,肉ばなれ/半月損傷/内側側副靱帯損傷/外側側副靱帯損傷/
    前十字靱帯損傷/後十字靱帯損傷
  スポーツ関連疾患
    離断性骨軟骨炎/膝蓋軟骨軟化症/滑膜ひだ障害(タナ障害)/ジャンパー膝/
    Osgood-Schlatter病/Sinding Larsen-Johansson病/有痛性分裂膝蓋骨/
    腸脛靱帯炎,ランナー膝/鵞足付着部炎
  変性疾患など
    変形性膝関節症/膝関節特発性骨壊死/滑液包炎
  その他
    関節リウマチ/偽痛風/血友病性関節症
第7章 足・足関節
 構造と機能
 主な画像撮像法
 レジデントが知っておくべき主な疾患
    先天性内反足/変形性足関節症/外反母趾/強剛母趾/扁平足/足底腱膜炎/
    後脛骨筋腱機能不全症/関節リウマチ/痛風/足根管症候群/Morton病/
    外脛骨障害(有痛性外脛骨)/単発性骨嚢腫/足底線維腫/足関節果部骨折/
    距骨骨折/踵骨骨折/アキレス腱断裂/シンスプリント/中足骨疲労骨折
第8章 股関節
 構造と機能
 主な画像撮像法
 レジデントが知っておくべき主な疾患
  外傷性疾患
    大腿骨近位部骨折/大腿骨頚部骨折/大腿骨転子部骨折/骨盤骨折/
    寛骨臼骨折/外傷性股関節脱臼(骨折)
  成人の股関節疾患
    変形性股関節症/大腿骨頭壊死症/急速破壊型股関節症/
    大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折/一過性大腿骨頭骨萎縮症/
    成人の化膿性股関節炎/大腿骨寛骨臼インピンジメント
  小児の股関節疾患
    大腿骨頭すべり症/Perthes病/発育性股関節形成不全/
    小児の化膿性股関節炎/単純性股関節炎
第9章 腫瘍性疾患
 分類と疫学
 診断
 主な画像撮像法
 生検
 骨軟部腫瘍の治療
    良性骨腫瘍/良性軟部腫瘍/原発性悪性腫瘍
 転移性骨腫瘍の診断と治療
第10章 関節炎
 構造と機能
 主な画像撮像法
 レジデントが知っておくべき主な疾患
    変形性関節症/関節リウマチ/痛風/偽痛風/化膿性関節炎/その他

索引

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かゆいところに手が届く工夫に満ちたレジデント必携書
書評者: 松田 秀一 (京大大学院教授・整形外科学)
 非常に完成度の高いマニュアルである。整形外科医としては常に最低限の知識を持ち合わせておく必要があるが,レジデントはもちろんまだ知識が十分ではない。従ってすぐに手元で調べる必要性が生じたときには,白衣のポケットに入る程度のコンパクトな本が役に立つ。本書はできるだけかさばらないようにページの途中からも新たな単元が始まっているが,見やすい見出しが立てられてあり,とてもわかりやすい構成になっている。また,図,写真が多く,経験の少ない医師にとっても,理解がしやすいように工夫されている。編集を担当された田中栄先生,中村耕三先生および東大整形外科学教室の先生方には大変なご苦労があったと思う。まずこのご努力に深く敬意を表したい。

 総論では,研修医がまず戸惑う手術機器の名称にはじまり,カンファレンスの心構えや文献検索法などについても触れてあり,かゆいところに手が届く内容になっている。章によっては,X線の撮像法についてまで詳しく書かれている。技師がいない状況でX線を撮像するというところまで配慮されていると思うと恐れ入る。もちろん,理学所見の取り方,画像診断,初期治療についても簡潔に記されているし,何より重宝するのは,重要な分類やstagingなどがしっかりと記載されていることである。急患を専門医に相談や紹介するときに,骨折の分類を聞かれて戸惑ったことのある医師は私だけではないであろう。画像も送れない状況においては,共通の言葉で話さないと状況が伝わらない。いつも全ての教科書が手元にあるわけではないので,本書さえあれば整形外科の研修が始まって間もない医師でも状況をうまく翻訳することが可能になるだろう。

 あまりにも良くできているがために,これだけで勉強が終わってしまわないか若干心配ではあるものの,レジデントの皆様にぜひとも購入をお薦めしたい。
整形外科臨床教育のエッセンスが詰まった研修医の必携書
書評者: 西田 圭一郎 (岡山大大学院准教授・整形外科学)
 本書は整形外科領域で待望のレジデントマニュアルであり,東大整形外科スタッフによって臨床教育のエッセンスがコンパクトな一冊にまとめられた実践書である。自分が研修医の頃は,ほとんど「これをやっておけ」「手術の技は見て盗め」といったまさにでっち奉公であった。自律性を尊重することは医学教育においても重要であるが,指導医の目の届かないところで「初めてのことを見よう見まねでやる」ことは殊に医療においては問題が多い。かといって基本をまとめたマニュアルは存在せず,その都度いろいろな教科書を拾い読みして実践するしかなかった。本書は自ら考え,チームの一員として周囲と協調しながら診療経験を積んでいく上での自己学習の第一歩として必要不可欠な内容が網羅されている。

 本書の特色である総論は,まず「医師としての心構え」から始まる。評者が医学生の頃に触れた飯田芳久氏の訳書『鬼手仏心』(DW Cathell著,“The Physician Himself from Graduation to Old Age”)に東大名誉教授永井潜先生が寄せられ「医道訓」として紹介された言葉を思い出す。「術は道によって活き,道は術を待って立つ。そして,これを一貫するものは人間愛」。東大医学部で脈々と受け継がれた哲学が,まさに人間として,チームリーダーとして,社会人としての医師像として現代の言葉でよみがえっている。さらに整形外科外来診療の基本としての「脱臼,骨折整復の基本」「ギプス・シーネ・包帯固定・三角巾による初期固定」「注射法」「救急外来のレッドフラッグ」へと続く。手術においては「患者への説明」「手術室における基本事項」「手術記録の書き方」「術後管理」「リハビリオーダー」が網羅され,「コ・メディカルとのコミュニケーション」「文献検索の方法」や「学会発表の基本」といったレジデントがすぐに直面する事項まで記載されている。「報連相」や「挨拶と時間厳守」といった“当たり前のこと”も本書では丁寧に触れられているのがうれしい。

 各論は部位別に,基本的な解剖から始まり,個々の疾患の診断法,分類法,診断に際しての特有のテストが,わかりやすい挿絵や典型的なX線写真,MRIなどの画像を用いて解説されている。主訴は何か,問診で確認すべきポイント,画像診断のポイントなどレジデントがまず知っておかないといけない項目がわかりやすく列挙されている。実際の治療に当たっては,保存的・外科的治療,予後,患者説明と指導まで,外来レベルの保存療法から手術までの流れがわかるように詳述されている。本書はレジデントマニュアルであるから,手術手技の詳細について説明するものではない。しかし,研修医が最低限知っておくべき基本事項はもれなく書かれており,逆に一行たりともおろそかにできない。また,重要疾患はほぼ網羅されているといってよく,専門医試験直前の知識の整理にも役立つ。レジデントが習得すべき内容が過不足なく記載されているため,専門医制度が大きく変化しつつある中で指導医が到達度をチェックする際にも重宝することであろう。ぜひとも白衣のポケットに入れて持ち歩きたい一冊である。

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