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泌尿器科レジデントマニュアル

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定評あるレジデントマニュアルシリーズ、待望の泌尿器科版。泌尿器科診療の現場においてレジデントレベルで必要とされる実践的な知識を、コンパクトに解説。また、巻末付録として各種分類や基準値など、手元にあると便利な資料・データ集も収載。泌尿器科研修医はもちろんのこと、泌尿器科領域の診療に携わるすべての若手医師・コメディカルに日常的に携行し随時利用していただきたい、必携のマニュアル!
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
監修 郡 健二郎
編集 佐々木 昌一 / 戸澤 啓一 / 丸山 哲史
発行 2011年04月判型:B6変頁:408
ISBN 978-4-260-01226-3
定価 5,060円 (本体4,600円+税)
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 医学書院の人気シリーズ,「レジデントマニュアル」の泌尿器科版を編纂する話が持ち上がったのは,昨年3月のことである.すでにいくつかの類書があるにもかかわらず,私が本企画を進めたいと思った理由は,今のレジデントの多くが泌尿器科の基本診療を学ぶことなく“一人前の医師”になっていくことを,常々危惧していたからである.
 この考えの下に,この1年間何度となく企画・編集会議の場を持ち,話し合いを重ね,本書が完成した.私たちが本書に注ぎこんだコンセプトは,以下の4点である.

 1.全てのレジデントに役立てていただきたい
 2004年に新臨床研修制度が始まって以後,医療は大きく変わった.多くの点で医療は改良されたが,一方ひずみも出ている.その1つが新しい研修制度では「プライマリ・ケアが大切だ」との名の下に,内科や外科を重点的に研修することが課されており,泌尿器科などいわゆるマイナー科が行っているプライマリ・ケアを研鑽する機会が少なくなったことである.医師なら誰でも一生に一度は導尿をする.血尿,腎結石,前立腺肥大の患者も診ることであろう.それらの基本知識なくして診療トラブルを起こさないかと,老婆心ながら心配するのである.本書は,泌尿器科を研修するレジデントだけでなく,あらゆる若手医師が泌尿器科領域の診療をするうえにおいて役立つものと確信している.

 2.看護師,コ・メディカルにも役立てていただきたい
 昨今の医療は進歩し,先端化,細分化,専門化している.このために,医師のみならず,看護師やコ・メディカルは日々,先端医療を研鑽している.しかし,日常の診療は多忙を極めており,じっくり学ぶ時間は限られている.本書は,そのような方々のちょっとした疑問を解決してくれる,手軽に調べるポケット版,あるいは机上の豆辞典の働きをしてほしいと願って編纂した.

 3.私たちが日頃行っている医療をまとめた
 本書の内容は私たち名古屋市立大学泌尿器科およびその関連施設で日頃行っている実践的な診療とした.その一部は現在すでに用いている診療マニュアルをまとめたものである.執筆は若い泌尿器科医が情熱をこめて行い,3名の編者と私が全体の統一を図った.したがって,ほかの医療施設とはいささか異なる診療もあることであろう.本書を利用されたレジデントのみなさんと指導医の方々からの,忌憚なきご批判やご教示を賜ればと思う.改訂版に活かしたい.

 4.単なるマニュアル本にはしたくないとの思いで編集をした
 医学研究はもちろんだが,医療をするにあたって大切なことは独自の考えをしっかり持つことだと思う.その意味からすると,ガイドラインやマニュアルは便利ではあるが,それらに頼りすぎると文字や図表だけを追い,その背景にあるものを理解しないで医療を行いがちなので,医師に必要な思考力,観察力,洞察力が養われないのではと危惧している.本書においては,この点に特に留意し,単なるマニュアル本とならないように企画・編集したつもりであるが,至らないところはあると思う.若い読者諸兄におかれては,その点をご容赦のうえ,まず本書を通じて泌尿器科診療の勘所をつかみ,じっくりと考えて医療を行うことの足がかりとしていただければ幸いである.

 本書の発刊に際し,医学書院編集部の飯村祐二氏と制作部の和田 学氏には貴重なご意見をいただいた.両氏のご協力とご尽力があってこそ本書は日の目をみた.心より感謝申し上げる.

 2011年4月
 郡 健二郎

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 本書で使用される主な略語一覧

I 診療を始めるにあたって
II 診療に役立つ基礎知識
 1.解剖
 2.生理
 3.問診の進め方
 4.理学所見のとり方
III 処置(一般・緊急)とそのトラブル対処法
 1.カテーテル
 2.洗浄
 3.穿刺
 4.その他
IV 検査法
 1.尿検査
 2.画像検査
 3.膀胱鏡検査
 4.尿流動態検査
 5.尿失禁テスト(パッドテスト)
 6.生検
 7.内分泌機能検査
 8.染色体検査
 9.腎機能検査
 10.精液検査
 11.組織適合試験
 12.主な腫瘍マーカー
V 症状・症候から診断へ
 1.排尿に関する症状
 2.尿量の異常
 3.尿の性状の異常
 4.疼痛
 5.精液の異常
 6.腫瘤
 7.その他
VI 疾患
 1.腫瘍
 2.尿路結石
 3.尿路・性器感染
 4.外傷
 5.排尿障害,神経泌尿器疾患
 6.小児・先天性疾患
 7.内分泌,生殖機能,性機能
 8.婦人科的疾患
 9.高血圧症,血管疾患
 10.その他の疾患
VII 全身合併症と周術期管理
 1.術前検査と全身評価
 2.麻酔と合併症
 3.周術期の食事管理
 4.周術期の輸液管理
 5.周術期の抗生物質使用法
 6.同種血・自己血輸血療法
 7.術前後に休薬が必要な薬剤とその期間
 8.ステロイド使用患者の周術期管理
 9.抗凝固薬使用患者の周術期管理
 10.糖尿病患者の周術期管理
 11.透析患者の周術期管理
 12.ドレーン管理法
 13.周術期のストーマ管理法
 14.術後疼痛の管理法
 15.創感染・し開の対策法
 16.消化器合併症
 17.呼吸器合併症
VIII 代表的手術と周術期管理
 1.副腎摘除術
 2.腎摘除術
 3.腎盂形成術
 4.膀胱全摘術
 5.尿路変更術
 6.前立腺全摘除術
 7.TUR-P(経尿道的前立腺摘除術)
 8.TUR-Bt(経尿道的膀胱腫瘍切除術)
 9.膀胱尿管逆流防止術
 10.ESWL(対外衝撃波砕石術)
 11.PNL(経皮的腎砕石術)
 12.TUL(経尿道的尿管砕石術)
 13.膀胱砕石術
 14.原発性副甲状腺機能亢進症に対する手術
 15.精巣固定術(停留精巣)
 16.陰嚢水腫根治術
 17.尿道下裂手術
 18.精管結紮術
 19.包茎手術
 20.シャント手術
 21.腹腔鏡手術
IX 泌尿器科にかかわる緩和医療
 1.がん患者の栄養管理
 2.がん患者の疼痛への対応
 3.がん患者の消化器症状(嘔気・嘔吐)への対応
 4.がん患者の精神状態・せん妄に対する対応
 5.がんによる高カルシウム血症への対応
付録
 1.国際前立腺症状スコア(IPSS)
 2.過活動膀胱症状質問票(OABSS)
 3.Partinノモグラム
 4.国際勃起機能スコア(IIEF-5)
 5.DIC診断基準
 6.心不全の重症度分類
 7.呼吸器症状の分類
 8.腎機能低下時の薬剤投与量の調節
 9.水分・電解質・栄養素の1日必要量
 10.小児の標準身長・体重曲線
 11.小児の腎機能基準値
 12.小児の薬剤投与量調節
 13.輸血用血液製剤投与早見表
 14.出血許容量を求めるノモグラム
 15.日本人体表面積算出表
 16.performance status
 17.改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
 18.移植腎病理国際分類(Banff分類2007)
 19.非観血的治療効果判定基準
 20.感染症新法における感染症の分類
 21.抗生物質の英語表記(略号)
 22.主な検査・処置・手術の保険点数
 23.DPCの保険点数
 24.RECISTガイドライン改訂版version 1.1
  (固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン)
 25.抗がん剤副作用判定規準NCI-CTCAE
 26.死亡診断書の書き方と関連法規
 
 索引

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小さい中に叡智が結集されたレジデントマニュアルの星
書評者: 大家 基嗣 (慶大教授・泌尿器科学)
 本書の監修者である郡健二郎教授(名古屋市立大学大学院腎・泌尿器科学分野)とは毎月『臨床泌尿器科』の編集会議でご一緒させていただいている。論文の審査において先生は一貫して明解な論理と広い視野で論文の意義を判断し,どうしたら内容がよりよく読者に伝わるかを常に考えておられる。日常臨床での先生の緻密さと教室員に対する高い精神性を伴った教育を私は先生のお言葉から常日頃感じ取っている。

 レジデントマニュアルは,ともすれば各種ガイドラインから拝借した標準的治療の羅列となる可能性がある。それでも,読者は気軽に参照して納得し,当初の目的は達成されるからそれで十分ではあるが,できれば理解した知識が血となり肉となってほしい。本書では要点がきちんと整理され,実践的であると同時に,執筆者の経験を根拠にした考え方やこだわりが垣間見え,レジデントマニュアルとしての範疇を超えたものになっている。あたかも郡教授を指揮者とする一つの交響楽が奏でられているかのようである。

 「序」で「医療をするにあたって大切なことは独自の考えをしっかり持つことだと思う」といみじくも述べられているように,私達は観察力,思考力,洞察力に磨きをかけて医師として成長していかねばならない。言葉を変えると,本書の帯に書かれているように,泌尿器科の星をめざすということである。輝くからこそ「星」であり,職業を通して社会に貢献し,キラリと光る臨床の能力は周囲から見るとまさに輝く星であろう。

 診療で困ったときに助けてくれるのがマニュアルである。泌尿器科医としての第一歩を踏み出したレジデント諸君にとって,わからないことは山ほどある。しかし,外来と病棟管理では活躍を大いに期待されている。外来での診察ではまず診断をつけなければならない。症候から系統的に手順を示してくれる本書の構成はありがたい。病棟での周術期管理はレジデントの仕事である。代表的な手術における管理の要点が示されているので活用していただきたい。

 さらに,レジデントの病棟管理での腕の見せ所は,合併症を持つ患者に問題なく手術を受けさせて順調な経過で退院させることと,予期せぬ合併症が生じたときの迅速かつ適切な対応であろう。前者での例として,ステロイド使用患者,抗凝固薬使用患者,糖尿病患者の管理が示されている。後者の例としては呼吸器合併症,消化器合併症としてまとめて記載されている。さらに,本書の特徴として付録が充実していることが挙げられる。国際前立腺症状スコアから始まり,死亡診断書の書き方と関連法規に至るまで,26項目に及ぶ。私は本書を手元に置くことに決めた。

 こうして本書を紐解いていくと,改めて泌尿器科の広さと深さを認識した。ポケットサイズで常に携帯が可能で使いやすい。小さくても内容が豊富で叡智が結集されている本書は,まさにレジデントマニュアルの「星」であろう。
一本筋の通った泌尿器科診療体系を実感できる1冊
書評者: 藤岡 知昭 (岩手医大教授・泌尿器科学)
 小生は,聖路加国際病院の卒後臨床研修に進みましたが,先輩のレジデントは,常に『manual of medical therapeutics 20th edition, Department of Medicine, Washington University School of Medicine』を携帯・使用していました。例にもれず小生もその本を入手・愛用し,現在もボロボロの状態ですが本箱の片隅で健在です。この本には,泌尿器科に特化する記載はほとんどありませんが,泌尿器科の日常診療において遭遇する問題点の対処・解決に強力な手助けとなりました。すなわち,専門領域を超えて共通の課題に対して基盤となる知識・対処・救急処置が簡潔に記載されているのです。

 今回,郡健二郎教授監修の『泌尿器科レジデントマニュアル』の書評の依頼を受け,読み始めの第一印象は,先に述べた『ワシントン大学マニュアル』と同じ香りを感じました。本書では,各疾患ガイドラインやマニュアルを使用する場合にしばしば遭遇する弊害であると指摘されていた問題点,すなわち,文字や図表のみを追い,その背景にある事柄を理解しないという点を危惧し,医師として必要な思考力,観察力,洞察力の養成について配慮するという意図をもって企画・編集されたことがわかります。また,泌尿器科領域の診療に関して,基礎知識から処置・トラブル対処法,検査法,症状・症候から診断へ,疾患,全身合併症と周術期管理,代表的手術と周術期管理,さらには泌尿器科に関わる緩和医療まで,整理された必要な項目について実践的かつ簡潔に記載しています。

 また,特記すべきは付録の項目で,IPSS,OABSS,Partinノモグラム,IIEF-5,DIC診断基準,心不全と呼吸器症状の分類,腎機能低下時の薬剤投与量の調節,水分・電解質・栄養素の一日必要量,小児の標準身長・体重曲線,小児の腎機能基準値および薬剤投与量調節,輸血用血液製剤投与早見表,出血許容量を求めるノモグラム,日本人体表面積算出表,performance status,改訂 長谷川式簡易知能評価スケール,移植腎病理国際分類,非観血的治療効果判定基準,感染症新法における感染症分類,抗生物質の英語表記,主な検査・処置・手術およびDPCの保険点数,RECISTガイドライン,抗がん剤副作用判定基準,死亡診断書の書き方と関連法規など,病棟等の臨床現場でしばしば早見・確認したいと思われる事項を無駄なく選択しており,実臨床に重宝するものと思います。

 各項の執筆は,すべて名古屋市立大学大学院腎・泌尿器科学分野教室とその同門の皆さんであり,簡潔で無駄な記載がありません。総指揮官・郡教授の下に着実に確立された一本筋の通った泌尿器科診療体系を抵抗なく実感できます。泌尿器科の研修医はもちろん泌尿器科を研修しなかった先生方や看護師・コメディカルの皆さんにも必須の知識・情報が濃縮されており,常に携帯し活用することを推奨します。

 今年(2011年)郡先生が会長を務められた第99回日本泌尿器科学会総会には,「めざせ! 泌尿器科の星」という企画があり好評でした。本レジデントマニュアルは,「泌尿器科の星」になるために不可欠なツールだと思います。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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