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アナトミー・トレイン [DVD付] 第2版
徒手運動療法のための筋筋膜経線

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人体を走る「筋筋膜結合の経線」を鉄道モデルに見立て、姿勢・運動機能の制御、ひずみによる機能障害の発生のしくみを解説したトーマス・マイヤースの画期的なテキスト『アナトミー・トレイン』待望の第2版。オールカラー、全面新訳、日本語吹替えDVD付で、より見やすく、より読みやすく、よりわかりやすくなって登場! リハビリテーションやボディーワークに携わるすべての人へ。
トーマス・W・マイヤース (Thomas W. Myers)
板場 英行 / 石井 慎一郎
発行 2012年05月判型:A4頁:332
ISBN 978-4-260-01558-5
定価 7,150円 (本体6,500円+税)
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訳者まえがき(板場英行)/まえがき(トーマス・W.・マイヤース)

訳者まえがき
 本書は,Anatomy Trains第2版の全訳である.前半を石井慎一郎氏が,後半を板場が担当した.本書の初版は,2009年1月に松下松雄先生による日本語訳が出版されている.初版翻訳の労苦とともに,拙セラピストによる第2版の翻訳をご了解いただいた松下先生に厚く御礼申し上げます.
 本書は,世界各国において統合的ボディワークを実践しているトーマス・W.・マイヤース氏による,体中に張り巡らされた筋・筋膜の網を通して,姿勢や動作の安定がどのように得られるかを解明する解剖学的見解から編み出された新理論である.解剖学の一般的な解説では,筋を単独なものととらえ,個々の筋について論じられてきた(単一筋理論).しかし,実際には身体の筋はすべてが体内で複合的につながっており,人間の動作や姿勢の治療・改善を行ううえで,筋・筋膜を連続・複合的にとらえることがAnatomy Trains理論の着眼点である.
 2008年5月,および2010年3月の2回,マイヤース氏のわが国における講習会に参加する機会を得た.理学療法を学ぶ学生教育に従事していた前任地にて,単一筋理論を当然の理として説明していた背景のもと,マイヤース氏の考えに相応の驚愕をもって講習会の会場にいたことを思いおこす.膨大な新鮮献体解剖をもとにした筋・筋膜連結と12本のライン剖出は認めざるをえない学問的新知見といえる.この考えは,臨床の場に転身し,さまざまな運動機能障害を有する症例を通した治療を実践するうえで大変役立っている.ラインのどこかに歪みがあれば,その歪みの影響が身体の他部位に波及し,ライン分析を通した症状の発現と臨床的治療介入は,今まで未解明であった臨床的問題点の解決に有益である.
 第2版翻訳では,ライン名称にカタカナ表記と短縮形を用いることにした.この学際領域を学んだ治療者間で,SFL,SBL,LL,SPL,FL,DFLなどの用語が浸透することを期待する.また,マイヤース氏の豊富な学識から表現されている文学的表現と比喩,医学用語集に掲載されていない専門的用語の適切な訳出に難渋したが,必要に応じ「訳注」を加え,原著を咀嚼解釈し,読者が理解しやすいように努めた.
 付録DVDの日本語監修は,マイヤース氏のわが国における講習会時に通訳を担当されている谷 佳織氏にお願いした.的確なわかりやすい訳に深謝します.
 本書の活用により,治療者が筋・筋膜による縦のつながり(解剖学的連結)を理解し,対象者の身体を読む能力(body reading)の基本と要点を再学習し,適切な姿勢評価とアライメント分析を背景とした触診技術向上と治療介入(筋ストレッチング,筋膜リリースなど)へ向けた臨床的治療手技として認識され,今後の臨床的評価と治療結果のエビデンス構築への学問的発展を望む.
 最後に,翻訳にあたり終始適切なご指摘,ご助言をいただいた編集部の坂口順一氏と制作部の大西慎也氏に心からの敬意を表する.

 2012年5月
 板場英行


まえがき
 初版が2001年に発行されて以来,本書の考え方が広く浸透し,活用されてきたことは私の期待を大きく超えている.私たちは南極大陸を除くすべての大陸において,さまざまな専門家,すなわち,リハビリテーション医,理学療法士,カイロプラクター,整骨医,心理学者,アスレチックトレーナー,ヨーガの教師,武道家,パフォーマンスコーチ,マッサージセラピストをはじめとしたあらゆる身体のセラピストに向けて,本書の考え方とその活用法を紹介してきた.私たちの最初の構想をはるかに超えて,セラピストや教育者は有用な活用法を見いだしており,現在,アナトミー・トレイン(Anatomy Trains )は簡単なGoogle®検索でも約20万件がヒットする.
 この第2版には,私たちの継続的な教育と実践から得られた多くの最新情報と訂正,さらには,トッド・ガルシア(Todd Garcia)氏とアナトミカル・エンライトメント・ラボラトリーズ(Laboratories of Anatomical Enlightenment)と協力して,初版以降に開始した解剖から得た予備的知見を含めている.本書では,初版発行以降の筋膜(fascia)と筋筋膜(myofascia)[訳注:fasciaとmyofascia:fasciaは運動の力や張力を伝達するすべての結合組織性の構造物を指し,筋筋膜(myofascia)という用語は,筋組織(筋)とそれに付随する結合組織網(筋膜)が結束して分離不可能な性質のものを示す]の世界における最新の発見(大半は2007年10月の筋膜研究会議で要約された.www.Fascia2007.com )を示すとともに,私たちが当初知らなかったさらなる分野についてその知見を含めることができた.
 第2版は,デビー・メイゼルス(Debbie Maizels)氏およびフィリップ・ウィルソン(Philip Wilson)氏によるまったく新たなイラストと,グレエム・チェンバーズ(Graeme Chambers)氏によるカラーのイラストによりすばらしく仕上がっている.新たなクライアント評価写真はマイケル・フレンチマン(Michael Frenchman)氏とビデオグラフ(Videograf)の撮影によるものである.新たなフルカラーのデザインでは各情報を色分けし,忙しい読者が関連の概念をすばやく収集し,関心のある部分を詳細に分析できるようにした.
 最近の多くの教科書と同様に,この第2版でも電子メディアを多用している.本書にはさらなる研究のために多くのウェブサイトのアドレスを収載した.私たちのウェブサイト www.anatomytrains.com も常に更新しており,ここではアナトミー・トレインの概念を専門的に応用する場合に役立てるように制作した12本以上の一連のDVDを参照することができる.本書付録のDVDには,本DVDシリーズのクリップ,アナトミー・トレインのコンピュータ・グラフィクスによる画像,追加の解剖写真とビデオクリップ,視覚的評価を行うための追加のクライアント写真をはじめとして,書籍形式では入手できない情報を収録した.
 筋膜の役割とアナトミー・トレインの意義と応用への理解は急速に深まっている.この新版ではウェブサイトと連動し,運動の研究では取り上げられることの少ない筋膜に関する最新の見解を提示する.

 2008年,メイン州にて
 トーマス・W.・マイヤース Thomas W. Myers

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 訳者まえがき
 まえがき
 初版のまえがき
 謝辞
 本書の使い方
 付録DVDについて

はじめに:レールを敷く
1 筋膜の世界
2 ゲームのルール
3 スーパーフィシャル・バック・ライン(SBL)
4 スーパーフィシャル・フロント・ライン(SFL)
5 ラテラル・ライン(LL)
6 スパイラル・ライン(SPL)
7 アーム・ライン(AL)
8 ファンクショナル・ライン(FL)
9 ディープ・フロント・ライン(DFL)
10 運行中のアナトミー・トレイン
11 構造分析

附録1:経線に関する覚書:
    ルイス・シュルツ博士(Dr.Louis Schultz)の研究(1927~2007)
附録2:構造的身体統合
附録3:筋膜経線と東洋医学

 アナトミー・トレイン用語集
 参考文献
 索引

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神経筋骨格系機能異常の評価治療に,新たな発展の可能性を提示する
書評者: 藤縄 理 (埼玉県立大教授・理学療法学/リハビリテーション学)
 『アナトミー・トレイン(原題Anatomy Train――Myofascial Meridians for Manual and Movement Therapists)』は筋筋膜の構造を臨床的および解剖的知見からまとめ上げた書である。筋膜(fascia)は運動の力や張力を伝達するすべての結合組織性の構造物を指し,筋筋膜(myofascia)は筋組織(筋)とそれに付随する結合組織網(筋膜)と結束して分離不可能な性質のものを示している(本文より)。本書は筋筋膜の連続体を「アナトミー・トレイン」と名付けた12本の筋筋膜経線(myofascial meridian)の体系として述べている。著者のThomas W. Myersは米国の免許を持つマッサージセラピストで,マッサージとボディーワークセラピストの認定を受けている。彼は,Ida Rolf博士が体系付けた筋筋膜に対する徒手療法であるRolf法の認定療法士であり,長年にわたって臨床と教育に携わっている。

 従来の解剖学は,人体を細分化し,骨格系,筋系,神経系,消化器系,呼吸器系,循環器系,泌尿器系,感覚器系などに分けている。一般的な解剖学の教育は人体の構造を学習するのに,各系について部分から全体を学ぶように行われている。その過程で「全身の複合体」である筋膜系は教育されていない。本書は筋骨格系を骨格とそれを結び付けて支えるゴム紐のような張力材からなる,テンセグリティー(緊張tensionと統合integrityを合わせた造語)構造としてとらえている。骨格をはじめとするあらゆる臓器を張力材として結び付けているものが,全身に連続して分布している筋筋膜であり,12の筋筋膜経線(アナトミー・トレイン)からなる。各トレインは姿勢機能と運動機能に関連しており,本書ではそれらの異常を評価し治療する方法がトレインごとに具体的に述べられている。さらに,「運行中のアナトミー・トレイン」として姿勢や動作の分析方法を紹介し,「構造分析」として,全体的姿勢評価法について述べられている。付録のDVDには「アナトミー・トレイン」の概念,解剖により剖出した各トレインとその説明,姿勢機能と運動機能の評価法と治療手技についての動画と静止が収載されており,書籍のページにはDVD参照マークが示されている。

 理学療法士は運動機能を評価し,その機能異常や障害の原因を見出し,治療したり自己治療法などを指導したりする専門職である。その臨床推論過程では,骨関節系,筋筋膜系,神経系などのように系別に分析し,それらの機能異常や障害を分析し,統合していくというアプローチをとっている。しかし,筋筋膜の徒手療法を研鑽しているセラピストを除けば,連続体としての筋筋膜の機能とその異常というとらえ方はしていなかったように思う。本書は神経筋骨格系機能異常の評価治療において,新たな発展の可能性を提示している。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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