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消化器外科レジデントマニュアル 第2版

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病棟で、外来で、周術期管理に必要なデータ、診療手順、手技のチェックポイント、pitfallまでを懇切丁寧に提示。現場で見やすい工夫を随所に散りばめて、改訂新版としてアップデート。自治医科大学さいたま医療センターのスタッフが総力をあげて執筆・編集した待望の新刊。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
監修 小西 文雄
編著 自治医科大学附属さいたま医療センター一般・消化器外科
発行 2009年11月判型:B6変頁:368
ISBN 978-4-260-00851-8
定価 4,620円 (本体4,200円+税)
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  • 目次
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第2版 序

 2004年に初期臨床研修制度が導入された後,2005年に『消化器外科レジデントマニュアル』第1版を出版した.以来本書は,好評裡に外科レジデントに広く利用され,当初の予想販売部数を遥かに凌駕するほどに至った.このたび第1版出版後5年が経過し,最新の知見を取り入れた改訂の必要性が生じ,医学書院からの要請に従って,ここに第2版を出版することとなった.本書は,日本外科学会専門医を目指す研修医を対象としており,将来消化器外科に進む研修医のみならず,心臓血管外科,呼吸器外科,小児外科などの専門領域を希望する研修医にとっても役に立つ基本的な内容を中心に編集・執筆を行った.
 第2版では,新たな知見を追加するとともに,主な消化器癌すべてに関して,取扱い規約およびガイドラインの新たな内容を取り入れた.また,総論の項目建てを一部変更し,さらに,手術手技において欠かすことのできないstapling deviceについての項目を追加した.日常の臨床において研修医の教育と臨床能力の向上に資するように,要点を理解しやすい簡潔な文章で記述するように配慮した.
 本書が初期研修医も含めて日本外科学会専門医を目指す研修医にさらに役に立つものであることを願っている.

 2009年10月
 自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科
 小西文雄

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第2版 序
第1版 序

I 総論
1章 術前検査の進め方
2章 抗生物質使用の原則
3章 周術期の栄養管理
4章 インフォームド・コンセント(術前,術後の説明)
5章 クリニカルパス
6章 全身合併症と周術期管理
 呼吸器疾患
 心疾患
 腎疾患
 内分泌代謝疾患
 肝疾患
7章 内視鏡下手術の基本
8章 消化器癌術後創感染の予防対策
9章 消化器癌患者の緩和医療
10章 stapling deviceの種類と使い方

II 各論
1章 食道疾患
 食道癌
 逆流性食道炎・食道ヘルニア
 食道アカラシア
 特発性食道破裂
2章 胃疾患
 胃癌
 悪性リンパ腫
3章 消化性潰瘍(出血,穿孔)
4章 胆道疾患
 胆石症(胆嚢結石,総胆管結石)
 急性胆管炎,急性胆嚢炎
 胆嚢癌,胆管癌
5章 肝疾患
 肝細胞癌
 肝内胆管癌(胆管細胞癌)
6章 膵・十二指腸疾患
 膵癌
 膵癌取扱い規約
 十二指腸乳頭部癌
 膵嚢胞性腫瘍
 急性膵炎
 慢性膵炎
7章 小腸疾患
 小腸腫瘍
 小腸出血
 上腸間膜動脈閉塞
 虚血性小腸炎
 Meckel憩室
 腸回転異常症
 炎症性腸疾患
8章 術後癒着性イレウス
9章 虫垂炎
10章 大腸疾患
 大腸癌
 炎症性腸疾患
 大腸穿孔
 直腸脱(完全直腸脱)
 人工肛門造設とストーマケア
11章 肛門疾患

索引

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若手を育成し外科の発展のために貢献する本
書評者: 志田 晴彦 (東京厚生年金病院外科部長/副院長)
 2005年に発刊された『消化器外科レジデントマニュアル』が待望の改訂を迎えることになった。この間に多くの外科レジデント,研修医の必携の書として彼らを育てた実績をもっての改訂である。不肖私が“『外科レジデントマニュアル』からさらに一歩消化器外科へ進む本”として本書初版の書評に記したように,日進月歩の外科分野のマニュアルとして改訂にはたいへんなご苦労があったものと察する。

 実際にこの第2版を見ると,小西教授のもと自治医科大学附属さいたま医療センター一般・消化器外科のスタッフが,最新の情報を求めながら日々診療されているご苦労がそのままマニュアルに反映されていると感じた。それぞれの項目で5年間の新しい知見が盛り込まれているが,特に「内視鏡下手術の基本」「stapling deviceの種類と使い方」の項や,各種の消化器癌取り扱い規約やガイドラインなどの更新に応じたそれぞれの章での改訂に医局員のきめ細やかな配慮が印象的である。

 私自身も若い頃から小西教授には多くのご指導をいただき,また教授が大腸癌や炎症性腸疾患の診療,研究に熱意をもって立ち向かわれ,さらにその後腹腔鏡手術の発展に主導的立場で貢献され,今日の消化器外科を作り上げてこられた経過を目の当たりにしてきた。開腹手術で名を挙げてきた多くの先輩たちの中にあって,当初より腹腔鏡手術の将来を見据えた立場でのお仕事は,科学に常に新しいものを求める教授の姿勢の現れであり,真に敬意を表するばかりである。教授の信念が医局の先生方に浸透して教室として数多くの優れた実績を挙げてこられたものと思うが,中でもこのマニュアルはその小さな形に比して存在意義は極めて大きいものと言えよう。

 今日多くの外科系学会では,「外科医を志望する学生の減少」「女性外科医が働けるための環境づくり」「専門医制度の意義」などが強調され,厳しい課題が山積みな外科の世界ではあるが,問題の解決と発展のためには若手外科医の指導,育成が基本であることは自明である。このマニュアルが研修医,レジデント,ならびに時間的制限から経験のみに頼りがちになる医長,部長クラスの指導医にも引き続き必携の書であり,若手の育成を通じて外科学の発展に貢献するものであることを確信している。
新たな情報を盛り込みさらに使いやすくなったuser-friendlyなマニュアル
書評者: 小林 一博 (茅ヶ崎市立病院一般・消化器外科診療部長)
 平成16(2004)年に新臨床研修制度が導入され,卒後研修先が大学から市中病院に大幅にシフトしてきているのは周知の通りである。当院でも臨床研修医のみならず,大学病院での外科修練を経ない後期研修医が勤務する事態となっている。第一線病院における医師養成の比重は増大しているが,指導する側は勤務医としての過剰な業務量のため,研修医教育に時間的制約を受けている。

 このような状況では当然知識や経験は不足,偏りがちとなる。そのため外科をめざす若手医師にはその分野を網羅する知識を集約したマニュアルが不可欠となる。さらにそのマニュアルが診療現場で直ちに役に立つものであれば理想的である。『消化器外科レジデントマニュアル』初版の販売部数は予想をはるかに凌駕したと聞いている。この事実は本書が時代のニーズに見事にマッチしたことを示している。今般,最新の知見を取り入れて改訂され,第2版が出版された。

 本書の特徴は,(1)医療安全にも配慮され,修練すべき事項を広範囲に網羅していること,(2)研修医が経験すべき重要な疾患,診療手技が重点的に詳述されていること,(3)現場で役に立つ具体的内容であることであろう。

 内容としては総論と各論から構成されている。総論は術前検査の進め方,抗生物質使用の原則,インフォームド・コンセント,全身合併症と周術期管理,緩和医療など10章に及んでいる。術前・術後管理は当然としても,第7章内視鏡下手術の基本,第10章stapling deviceの種類と使い方などは,腹腔鏡手術や器械吻合全盛の時代にあっては必須の知識であり,今までにない的確な視点で編集されている。特にstapling deviceは似て非なるものも多く,研修医の時からその使用に慣れておくことが肝要と自身の経験から痛感している。

 また,インフォームド・コンセントの章も秀逸である。コミュニケーションやインフォームド・コンセントの注意点,文書化の必要性など,医療の根幹にかかわる問題をわかりやすく解説している。管理職の立場からすれば,医療安全の面からも,まずこの章を熟読してから実際の診療に従事してもらいたいと切に願うものである。

 各論は各消化器疾患の項目に分かれている。消化器癌に関しては,既掲載の癌取扱い規約の改訂はもちろん,大腸癌,胆道癌の取扱い規約も新たに追加され,さらに使いやすくなった。ガイドラインも新たな内容が盛り込まれ,抗癌剤治療にまで記述は及んでいる。

 研修医に馴染み深い虫垂炎は診察法,超音波検査による画像診断,手術法などが丸々1章費やして詳述されており,充実した内容となっている。市中病院では頻繁に遭遇する術後癒着性イレウスも,独立した項目として症状から治療まで解説されていることは心強い。

 各項目の記載は簡潔明瞭であり,カラー写真や図表も多く,理解しやすい。使用薬剤には一般名のほか商品名も併記されており,投与方法も具体的である。研修医の立場に立った,まさにuser-friendlyなマニュアルである。当院の研修医もポケットに入れて日夜愛用しており,外科専門医をめざす若手医師には必携の書である。
珠玉のエッセンスを無駄なくコンパクトに込める
書評者: 篠崎 大 (東大医科研病院外科科長/准教授)
 好評を博していた第1版の出版から4年を経て,自治医科大学附属さいたま医療センター一般・消化器外科スタッフの先生方が執筆し小西文雄教授が監修された『消化器外科レジデントマニュアル 第2版』が刊行された。この本を一読すると,どこをとってもコンパクトな中に必要な知識やtipsを十二分に織り込もうとする強い意欲が感じられる。すなわち一語一語に至るまで無駄がなく,珠玉のエッセンスが込められている。

 内容は,前・後半で総論と各論に二分されている。総論の冒頭では「術前検査の進め方」として日常行れる検査の種々のチェック項目が並んでいるが,一つ一つ実践していくことで外科医としての基礎の基礎を身につけていくことができる。また,最近の診療で大きな問題となっている「インフォームド・コンセント」には比較的多くのページが割かれている。その中には,基本的要件はもちろんのこと,代理決定・文書の必要時とその形式・裁判事例・告知など幅広くトピックスが取り上げられている。

 類書ある中で本書に特徴的な点の一つに,内視鏡下手術についての項目が独立して存在していることが挙げられる。監修した小西教授は内視鏡下手術が十八番であり,日本の第一人者であることから,他の項目にも増して充実している。手技やインフォームド・コンセントのポイントまでわかりやすく記載されており,至れり尽くせりといえよう。

 腹腔鏡手術のみならず,近年の消化器外科手術ではstapling deviceの上手な利用が必須となっている。しかし意外にその種類や使用法などの記載は少ないのではないだろうか。この点,本書では第2版で新たに1項目を設けて,縫合・吻合器についても写真を多用し,一目で理解できるよう工夫されている。

 後半の各論でも必要な内容は押さえつつ,かつ無駄のない記載をする方針が貫かれている。各臓器の癌では大腸癌を例にとると,その内視鏡的診断の要点や標本の取り扱いに始まり,術式自体や大きく改訂された「大腸癌取扱い規約」のupdateはもちろんのこと,術中損傷や合併症や感染対策,術後化学療法・フォローアップのポイントまで幅広く網羅されている。さらに,大腸疾患の項には近年急増している炎症性腸疾患の治療では,外科治療のみならず最近の生物学的製剤を含んだ内科治療についても,要領よくまとめられていることが嬉しい。

 虫垂炎が1項目として独立し,10ページが割かれている。また,巻末近くに肛門疾患がまとめて取り扱われている。この本の対象は外科専門医取得をめざす若い医師である。彼らが術者としてデビューする前には,いつ手術があてられてもいいように普段の勉強をしておいてもらいたいが,いざ手術となると緊急であわただしい中で,もう一度確認しておきたい状況も生じるかもしれない。そんな場合にも本書は対応可能になっている。

 言うまでもなく外科医は,術中・術前後を問わず瞬時の判断を迫られる事態が日常茶飯である。本書は外科専門医をめざす若手医師のみならず,あらゆるサブスペシャリティーを含んだ外科系の若い医師のポケットに常時入れ,十二分に活用していただきたい一冊である。

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