• HOME
  • 書籍
  • プロメテウス解剖学 コア アトラス


プロメテウス解剖学 コア アトラス

もっと見る

画期的アトラスとして発行以来絶大な支持を得ている『プロメテウス解剖学アトラス』の全3巻に収載された図版を精選し、画像写真も加えて新たに編集されたアトラス。図版の美しさはそのままに、人体の全部位をこの1巻にまとめている。筋の起始・停止、神経支配をまとめた一覧表や、臨床に直結したコラムも多数。まさに全医学生必携のアトラス。

*「プロメテウス/PROMETHEUS/プロメテウス解剖学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ プロメテウス解剖学
監訳 坂井 建雄
市村 浩一郎 / 澤井 直
発行 2010年06月判型:A4変頁:704
ISBN 978-4-260-00746-7
定価 10,450円 (本体9,500円+税)
  • 販売終了

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 書評
  • 正誤表

開く

訳者序(坂井建雄)/まえがき(Anne M. Gilroy/Brian R. MacPherson/Lawrence M. Ross)

訳者序
 21世紀に入って,人間の健康と生命をまもる医療に対する社会からの期待と要求が高まっている.多くの若者が医師とそれに関連する職種をめざして,医学の専門的な知識と技術を学んでいる.人体の構造と機能について知る解剖学は,医学を学ぶための最重要の基礎であり,その教材に対するニーズもますます高まっている.人体の構造そのものが大きく変化するわけではないが,コンピューターによる画像処理や情報技術の発展,さらに画像診断技術の普及を背景に,解剖学の教材も大きく進化し,印象的で理解しやすいものが数多く登場している.その中でも,2005年にドイツで出版された『プロメテウス解剖学アトラス』全3冊は,高品質の解剖図と洗練された編集により,圧倒的な迫力と内容をもつ新しい時代の解剖学教材として世界的に高い評価を得てきた.その日本語訳も好評を博し,数多くの読者に迎えられた.

 本書『プロメテウス解剖学コアアトラス』は,このプロメテウスのドイツ語版をもとに,アメリカで新たに編集された1冊本の解剖学アトラスの日本語訳である.3冊本のプロメテウスに掲載された高品質の解剖図を生かしながら,人体解剖実習での使いやすさを重視して全体の構成を部位別に改め,頁の構成を見開きの形にまとめてある.さらに,理解を助けるための概念的な模式図や,要約の表を多数付け加えて,コンパクトでわかりやすいまったく新たな解剖学教材を実現したものである.アトラスと銘打ってはいるが,解剖図だけを配した従来の解剖アトラスの域をはるかに超えて,これ一冊で解剖学の学習を可能にする統合的な教材となっている.

 翻訳にあたっては,若手の優秀な解剖学者である市村と澤井が日本語訳の作業を行い,坂井が全体に目を通して監訳を担当した.とくに3冊本の『プロメテウス解剖学アトラス』および解剖学用語との内容および用語の整合性に配慮した.日本語訳にあたっては瑕疵がないように細心の注意をしたつもりではあるが,至らぬところは監訳者の責である.

 本書『プロメテウス解剖学コアアトラス』が,多くの学生たちに行き渡り,よりよい医療者となるべくその基礎となる解剖学の学習に役立てていただけることを願うものである.

 坂井建雄

 2009年12月1日
 八王子の寓居にて


まえがき
 本書の著者らはそれぞれ,Michael Schünke,Erik Schulte,Udo Schumacherによる『プロメテウス解剖学アトラス』のために創られた解剖図の傑出した詳細さ精確さ美麗さに,驚嘆し感銘を受けた.これらの図は,過去50年間において解剖学教育に付け加えられた最も意義あるものと感じ,好奇心と情熱のある健康科学の学生向けに簡潔な1冊の解剖学アトラスを創ろうと取り組む際の礎として,これらの卓抜なイラストを使おうと決めた.

 われわれが最初に取り組んだのは,この膨大な図版の集成から,現在の解剖実習において最も教育的で実例となるものを選び出すことであった.しかしながら,1冊の解剖アトラスを創り上げることは,単に図を選び出す以上のことであると,われわれは理解するようになった.すなわち,それぞれの図は大量の細部まで伝える一方,強調と指示文字は清潔で落ち着いたものでなければならない.そのため数百の解剖図を新たに描いたり修正したりして,この新しい解剖アトラスに相応しいものにした.さらに,必要に応じて重要な模式図や単純化して要約した表を付け加えた.また数十の関連する医用画像と関連する重要な臨床事項を,適切な場所に加えた.また体表解剖図には質問を付して,診察において最重要の解剖学的事項に学生の注意を向けるようにした.これらの主要事項の要点は部位ごとに配置して,解剖実習において使いやすいようにした.それぞれの部位の中で,さまざまな要素を系統的に吟味し,それに続いて部位の中で局所的な画像を器官系と結びつけるようにした.このすべてにおいて,解剖学的構造について臨床的な視点をとった.この本の特色である見開き構成によって,読者の目は探求する領域・話題に引きつけられる.

 これらの努力は,明晰で情熱ある学生たちに解剖学という学問を教える百年近い歳月の成果であり,ここから包括的で使いやすい教材かつ参考書が生み出されることを願うものである.

 われわれはThieme社の人たちによる専門的な支援に感謝したい.Cathrin E. Schulz, M. D.(編集主幹,教育編集部)は丁重に締切を想い出させてくれ,問題の解決にいつでもつきあってくれた.このことに感謝しすぎることはない.さらに重要なのは,彼女がわれわれを励まし,支援し,敬意を表してくれたことである.

 とくに感謝したい人として,Bridget Queenan(企画編集者)は,情報の可視化と直感的な流れに飛び抜けた才能をもち,原稿を編集し発展させてくれた.彼女が,この間に多くの細部を受け取り,図版と指示文字の変更の要求にいつも我慢強く対応してくれたことにとくに感謝する.

 最大の感謝を捧げる人として,Elsie Starbecker(上席制作編集者)は,2,200を超える図版をもつこのアトラスを,細心の注意をもって迅速に制作してくれた.最後に,校正の段階でチームに加わってくれた,Rebecca McTavish(企画編集者)にも感謝したい.かれらの勤勉な仕事が,この解剖学アトラスを実現したのである.

 Anne M. Gilroy
 Brian R. MacPherson
 Lawrence M. Ross

 2008年3月
 Worcester, MA, Lexington, KY, Houston, TX

開く

背部
 1.骨,靱帯,関節
 2.筋
 3.神経,血管
 4.体表解剖
胸部
 5.胸壁
 6.胸腔
 7.縦隔
 8.胸膜腔
 9.体表解剖
腹部・骨盤
 10.骨,靱帯,関節
 11.腹壁
 12.腹腔
 13.内臓
 14.生殖器
 15.動脈と静脈
 16.リンパ系
 17.神経系
 18.体表解剖
上肢
 19.肩と上腕
 20.肘と前腕
 21.手首と手
 22.神経と脈管
 23.体表解剖
下肢
 24.骨盤と大腿
 25.膝と下腿
 26.足首と足
 27.神経と脈管
 28.体表解剖
頭頸部
 29.頭部の骨
 30.頭部・顔面の筋
 31.脳神経
 32.頭部・顔面の神経と血管
 33.眼窩と眼
 34.鼻腔と鼻
 35.側頭骨と耳
 36.口腔・咽頭
 37.頸部
 38.体表解剖
神経解剖
 39.脳と脊髄
 40.脳と脊髄の血管
 41.機能系
 42.自律神経系
付録
 体表解剖に関する問題の解答
 英文索引
 和文索引

開く

21世紀の解剖学アトラス
書評者: 中田 隆夫 (東京医歯大大学院教授・細胞生物学)
 私事で恐縮であるが,外科医であった父の本棚には父の学生時代の教科書が幾つかあった。当然その内容は古く,私が医学生になって見てみると,内容が使えそうなのは解剖学(マクロ)だけであった。それも日本が貧しい時代の印刷の悪いものであった。私の学生時代,良いアトラスといえばPernkopfかSobottaかであった。父にPernkopf 2巻を買って貰った。十分使いこなせたとは言えないが,図の精緻さ,美しさは素晴らしく,今も職場の本棚にある。

 時代の趨勢もあり,これらを超えるようなアトラスは今後作られないだろうと思っていた。実際,学習に便利であったり,安価であったりする良いアトラスは出版されても,唸るような素晴らしいアトラスは見ることはなかった。

 しかし,プロメテウスの第1巻を見たとき,解剖学のアトラスにこのような進化の方向があったのかと感動した。CGを使っているからであろうか,精緻だが生臭さを感じないドライな図柄,鮮やかだが上品な色合い。洗練されたレイアウト。一見するだけで,著者やブックメーカーの意気込みを感じた。

 今回刊行されたコア アトラスは,プロメテウス全3巻の中から図版を精選し,人体の全部位を1巻にまとめるため,新たに編集し直したものである。全体は背部,胸部など7章に分かれ,各章は,骨,筋,臓器,血管,リンパ,神経の順に系統解剖学的,局所解剖学的な図がそれぞれバランス良く並んでいる。引き出し線とnominaは英語(と日本語訳)で,各図の意図に沿う最小限のものに絞られている。できるだけ多くの図を掲載するためであろうか,総論はカットされている。神経解剖の端折り方も清々しい。

 美麗な解剖図で有名な本書であるが,意外にシェーマや表が多く,知識の整理に役に立つ。また臨床についてのコラムも学生の興味を引くかもしれない。コンピューターを使うと縮尺も自在になるためか,かなり縮小された図も見られるが,1冊に情報を盛り込むためには致し方ないのかもしれない。

 プロメテウスはこの時代を代表するアトラスである。それを凝縮したコア アトラスは,1万円を切り,コストパフォーマンスが高い。医学生だけでなく,コメディカルの方々にも勧めたい。合格すれば終わりの受験勉強の参考書と違い,医療にかかわる仕事をする限り,解剖学アトラスは辞書のように長く使える。もちろん,ブレインマシンインターフェースが進んで,解剖学のチップを脳に差し込むだけで済むようになったら本も試験も必要なくなるでしょうが。
よりコンパクトに,より学習しやすく
書評者: 小林 靖 (防衛医大教授・解剖学)
 『プロメテウス解剖学アトラス』全3巻の日本語版がそろったのは昨年のことだったが,このたび,その3冊の中から厳選された図版を集めた『プロメテウス解剖学 コア アトラス』の日本語版が刊行された。

 『プロメテウス解剖学アトラス』は,第1巻が出版されたときからその図の質の高さが評判であった。従来のデジタル化された図は,その質感がややもすれば抽象的で滑らかすぎ,模式図としては良くても実物と照合しにくいきらいがあった。プロメテウスの図は自然かつ精緻なテクスチャで描かれており,初学者にも実物を想像しやすく学習に好適である。また,デジタル化されているが故にさまざまな器官系を自在に抽出して相互の位置関係を示すことが可能となり,専門家にも新しい視点を提供してくれるような図が多く掲載されていて,実務に十分役立てることができる。

 今回刊行された「コア アトラス」は,『プロメテウス解剖学アトラス』全3巻の中から重要な図を精選して1冊にまとめたものである。全体の構成は背部,胸部,腹部・骨盤,上肢,下肢,頭頚部,神経解剖となっており,局所解剖的な配列である。最近どの大学でも解剖学教育の時間数は減少傾向にあり,いきおい実習中心のカリキュラムとならざるを得ないが,その中で使用するのに適した構成といえる。他方,それぞれの章は骨格と筋から内部の器官へと,ある程度系統解剖を意識した順序となっていてバランスがとられている。

 3冊の解剖学アトラスの膨大な図版からどの図を選択するかは重要なポイントである。本書では初学者が正常の構造を理解するために必要な基本的な図がもれなく集められている。それに加えて病的な状態の解説や臨床上の手技の図解も随所にあって(たとえば椎間板ヘルニアの説明や胸腔チューブの挿入の図解など),臨床医学の学習とのスムーズな連係が図られている。中でもリンパ流路の図解は各部に掲載されていて,非常に有意義である。

 多くの図を掲載しようとしたためか,あるいは判型が幾分小さくなったためか,一つひとつの図が小さくなったようである。以前のほうが見やすかったようにも思うのだが,これは老眼の始まった評者のほうに原因があるのであって,若い読者にとっては全く問題にならないのかもしれない。

 本書はこのように『プロメテウス解剖学アトラス』の長所を生かしつつ,よりコンパクトで学習に適した形に再編された図譜である。3巻に分かれていた解剖学アトラスは,各々の専門領域で活躍しておられる読者諸氏には,自分に必要な分野だけ買い求めることもできて好都合である。しかし,3巻ともそろえるとなると価格の面で負担が大きいのも事実で,とりわけ全体を学習しなければならない学生に推薦しづらい面があった。本書は1冊にすべてがまとまっていながら1万円を切る価格であり,この点でも医学生諸君にとりわけお薦めしたいアトラスである。

開く

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。