今日の診断指針 デスク判　第6版

第6版 序
　
　ここに『今日の診断指針』第6版をお届けいたします。2002年の亀山正邦先生・高久史麿先生の総編集による第5版発刊以来ちょうど5年が過ぎたところで，この第6版の編集が始まりました。当然ですが，その5年間の医学・医療の進歩は著しいものがありました。多くの遺伝性疾患の原因遺伝子が同定され，生活習慣病でさえ遺伝子の関与があることが分かってきました。また，画像診断の進歩は著しいものがありましたし，いくつか早期診断のために役立つ生物学的マーカーも見出されています。こうした，多くの新しい知見を新しい版に盛り込むことはもちろんのことですが，一方で，第5版を医療の現場で使いこなして下さっていた先生方からのご意見を参考にして，これまでの形式を維持することも大切なことと考えました。それは，これまで現場で便利であるとされました「症候編」と「疾患編」の2本立て形式を維持することであり，またプラクティカルで見やすいと評価されました「小見出し」を踏襲することであります。
　さて，内容の充実については，いくつかの点を新しくする一方，従来通り非専門領域の疾患についても，おおよそ8～9割の診断がつけられるような簡潔かつ実践的な解説をすることを執筆者の先生方にはお願いしました。この際，必要かつ十分な診察，検出能力の優れた最小限の検査を具体的に述べることにしました。さらに，第5版にも増して，鑑別診断を充実させ，臨床現場での診断に関する迷いや悩みに応えることができる指針にすることも，もう一つの目標にしました。そして，分かりやすく読みやすくするために，今版から本文も二色刷りにしました。
　こうした方針の下に，「症候編」では「全身的にみられる症候」に始まる10領域，そして「疾患編」では「救急疾患」に始まる24領域について責任をもって症候や疾患を選択し，執筆者を選ぶ作業をいわゆる責任編集者に依頼しました。今版では，責任編集者は全員を第5版とは異なる新しい方々にお願いすることとし，結果的に大きく若返ったことになりました。快くお引き受けいただき，しかも大変充実した内容の項目とその執筆者を選んでいただきましたことに感謝しています。また，実際の執筆をご担当いただいた先生方にはここで改めてお礼申し上げます。なお，呼吸器領域の責任編集者をお引き受けいただいておりました慶應義塾大学の石坂彰敏教授が平成21年9月に急逝されましたことは誠に残念であり，ここに哀悼の意を表します。
　最後に，『今日の診断指針』第6版を世に出すことに尽力された大橋尚彦氏をはじめとする医学書院の方々に対して心より感謝いたします。

　　2010年2月
　　編者　識

I　症候編
　1　全身的にみられる症候
　2　脳神経・精神系の症候
　3　頭部・顔面の症候
　4　頸部・肩・胸部の症候
　5　四肢・関節系の症候
　6　胸部・心臓系の症候
　7　胸部・呼吸器系の症候
　8　腹部・消化器系の症候
　9　腎・泌尿器系の症候
　10　産科・婦人科系の症候
II　疾患編
　1　救急疾患
　2　神経・筋疾患
　3　消化器疾患
　4　循環器疾患
　5　呼吸器疾患
　6　腎疾患
　7　血液・造血器疾患
　8　内分泌疾患
　9　代謝性疾患
　10　アレルギー疾患
　11　膠原病・免疫疾患
　12　感染性疾患
　13　寄生動物疾患
　14　中毒性疾患
　15　精神疾患
　16　運動器疾患
　17　皮膚疾患
　18　眼疾患
　19　耳鼻咽喉疾患
　20　泌尿器・男性性器疾患
　21　妊産婦・女性性器疾患
　22　新生児疾患
　23　小児疾患
　24　外来の小外科的疾患
　付　臨床検査データ一覧

　和文索引
　欧文索引
　数字付用語索引

本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

正誤表はこちら