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一般外来で遺伝の相談を受けたとき

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本書は遺伝医学を専門としない一般医が遺伝に関する質問を受けたときに,簡潔かつ最新の知識で患者に対応できることを手助けすることを目標にして編集されている。内科,外科,眼科,耳鼻科,小児科,産婦人科など,各科の専門医が頻度の高い疾患を選んで,一般外来で正しい遺伝相談を行うためのアドバイスをする。
シリーズ 総合診療ブックス
編集 藤田 潤 / 福井 次矢 / 藤村 聡
発行 2004年07月判型:A5頁:196
ISBN 978-4-260-10079-3
定価 4,400円 (本体4,000円+税)
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  • 目次
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Introduction 遺伝相談とは
1 正確な家系図を書いて遺伝形式を推定してみよう
2 染色体・遺伝子
3 常染色体優性遺伝
4 劣性遺伝と近親婚
5 X連鎖遺伝-血友病を中心に
6 染色体異常
7 ミトコンドリア遺伝
8 患者さんに生活習慣病の遺伝を分かりやすく説明しよう
9 循環器疾患の遺伝相談
10 高脂血症の遺伝相談
11 糖尿病の遺伝相談
12 アレルギーの遺伝相談
13 癌の遺伝相談
14 耳鼻咽喉科の遺伝相談
15 眼科の遺伝相談
16 皮膚科の遺伝相談
17 精神科の遺伝相談
18 遺伝子検査で分かること
19 出生前診断で分かること
20 心理カウンセラーからのメッセージ-遺伝の知識を受け取るのは心である
21 遺伝カウンセリングに関連する情報の取得
索引
付録(ラミネートカード) 家系図の基本記号・流産の記号・関係線

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遺伝に関する知識をクリアに整理
書評者: 垣添 忠生 (国立がんセンター総長)
◆自信を持って相談を受けるために

 藤田潤,福井次矢,藤村聡先生の編集で,「一般外来で遺伝の相談を受けたとき」が刊行された。編集にあたった三先生は京都大学で診療,研究の第一線に立つ現職の人々である。当然のことながら,現場からの発想が強く貫徹された書物となっている。医学書院における「総合診療ブックス」の21冊目にあたり,一般医や看護師に向けて,これだけは知ってほしいことを平易に解説する単行本シリーズだそうだが,その意図通りの出来上がりである。記述と適切な図の挿入により,どの章も誠に明快である。ちなみに筆者は曖昧な知識しか持っていなかった「ミトコンドリア遺伝」の章を読んで,この病気の意味を初めてはっきりと理解することができた。

 外来診療の現場では,病気に関する多様な相談を受ける。特に,結婚や子供を持つこと,血縁者の病気と自分との関連など,遺伝と関連した相談も多い。時には自身の知識があやふやなため,当たりさわりのない,曖昧な返事でお茶を濁す場合もある。今後は,わずか数時間あるいは数日,集中して本書を読めば,あるいは自分に関連した章を拾い読みするだけでも,自身の知識が非常にクリアに整理される。以後は自信を持って先ほどのような状況を切り抜けることができるようになるだろう。

◆「遺伝」に関する偏見,無理解

 遺伝子という言葉が世の中に定着してきたことはよいことだが,依然として「遺伝」に関する根強い偏見,無理解がある。医療従事者がまず本書のような書物で事態を正確に理解し,正しい知識,判断を世の中に広めることも,この種の病気で苦しみ,あるいは心配する人たちの懸念を軽減し,人間の多様性の1つとして,こうした病気が社会に受け入れられていく地道な道程につながると信ずる。

 筆者は,わが国でも遺伝子情報による差別を禁止する法律の必要性と,遺伝カウンセリングに対する病院内での正式な職種の確立,そして診療報酬上の加算を強く願っていることを付記して,本書の書評としたい。

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