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婦人科内分泌外来ベストプラクティス
誰もが迷う99例の診療指針

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本書は,婦人科内分泌外来において対応に迷う諸問題に対して,具体的な指針がほしいという臨床現場からの要望に応えるべく企画された。専門外来はもとより,一般の産婦人科外来において日常的に遭遇し,ときにその対応に苦慮する可能性の高い事項の多くをカバーする内容となっている。
編集 神崎 秀陽
発行 2004年12月判型:B5頁:296
ISBN 978-4-260-13069-1
定価 5,500円 (本体5,000円+税)
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I. 思春期の異常
II. 月経異常
III. 不妊症
IV. 更年期・老年期障害
V. そのほか
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豊かな臨床経験に裏打ちされたアドバイスで適切な診療方針を組み立てることが可能に
書評者: 藤原 浩 (京大講師・産婦人科学)
 このたび医学書院から,関西医科大学産婦人科教授神崎秀陽先生の編集による『婦人科内分泌外来ベストプラクティス―誰もが迷う99例の診療指針』が刊行された。神崎先生は私が京都大学医学部附属病院で医師としての研修を開始した時の病棟の責任者であり,産婦人科医としての知識や患者さんに接すべき姿勢について一から直接ご教授いただいた恩師である。

 研修医時代に学び得た神崎先生の教えはきわめて明快で,納得のいくものであった。その一端を紹介すると,神崎先生は患者さんの診察に当たって必ず,「あなたならこの場合どのような根拠でどう判断し,どのように治療を計画しますか?」という質問をされた。私たちはこの基本的な質問にほとんど満足に答えられず,この体験は医師としての対応能力が不足している自分たちの現実を認識する貴重な経験となった。特に治療方針を決定する際には,患者さんの訴えとそこに潜む病態を正しく理解し,さらに患者さんの希望を加味したうえで医学の知識と経験をもとにバランスよく判断することの重要性を説かれていた。また,医師として責任を持てる医療を行うためには,医学知識や技術の習得はいうまでもなく,先輩諸氏が経験された貴重な症例の体験談にも耳を傾けるべきであることを強調されていた。

 以上の薫陶を思い起こしながら本書を拝読すると,神崎先生の教えが随所に生かされた構成になっていることに気づく。本書は,主要な症例の全体像を読者が正確に捉えられるようになることを目的として,99例の代表的な事例を簡潔な形であげている。さらに,それらの患者の鑑別診断や治療方針の決定に必要なアドバイスを,読者が正確な医学情報に照らし合わせながら参照できるように工夫されている。また診療の概要,対処の実際,処方の実際および治療方針が筆者の臨床経験に裏打ちされた意見を含めて述べられているため,読者は具体的なイメージを持って内容を理解することができる。婦人科の内分泌系の疾患は外来での対応が重要なポイントとなるが,近くにすぐに相談できる相手がおらず,若手の医師が自分自身の判断で決定しなければならない状況が起こり得る。経験不足の医師にとっては,信頼できる先輩諸氏からの体験談が重要な情報となるが,これまでこれらの観点を重視してまとめた医学成書はほとんどなかった。この問題に対して本書では,臨床の経験から各筆者が絶対に抜かってはならないと考える重要な要点を「ここがポイント」の項でわかりやすくまとめている。いくつかの症状と訴えが重なったより複雑な症例に出会った場合でも,これらのポイントを組み合わせて考えることにより,いわゆる落とし穴にはまらない適切な診療方針を組み立てることが可能となる。この意味で本書は画期的な指針書といえる。

 本書のもう1つの特徴として,婦人科内分泌学研究の面において世界的な業績を有する執筆者をそろえていることがあげられる。神崎先生は,研修医であった私たちに症例に関する質問をされたあと必ず自分の考えとその根拠を説明され,さらにはその疾患に関して何が未解決な問題点なのか,すなわち,われわれの世代が将来導き出すべき課題をあげられていた。「ぜひこの点を将来あなたたちが解明してください」と締めくくられていたのが印象的であったが,本書には臨床と研究の両面に造詣の深い執筆者からの症例を通した同様のメッセージが至るところに込められている。将来,生殖内分泌学の研究に携わる可能性のある若い医師にとって,本書は単なる臨床の指針書であるのみならず,先輩からの有意義なメッセージとの出会いをもたらす書籍でもある。

婦人科医がしばしば出会う「対応に苦慮する症例」への対応をQ&A方式で解説
書評者: 平原 史樹 (横浜市立大教授・産婦人科学)
 婦人科内分泌学のテキストとして,大変ユニークな書籍が誕生した。『婦人科内分泌外来ベストプラクティス』〔編集:神崎秀陽(関西医科大学教授)〕は,副題に「誰もが迷う99例の診療指針」と銘打っているとおり,実地臨床に携わる婦人科医がしばしば出会う「対応に苦慮する症例」を具体的にあげ,その対応の仕方をQ&A形式で解説する方法をとっている。

 取り上げられた99例には,遅発思春期への具体的対応から月経前緊張症,さらには更年期うつ病,尿失禁に至るまで,女性の一生にわたる各年齢層での内分泌領域の諸問題が網羅されており,女性の健康にかかわる広いレパートリーに及んでいる。また,頻度の高い子宮内膜症や子宮筋腫などについては具体的ないくつかの臨床的場面を設定して,より詳細に述べられている。

 それぞれの症例に対する回答は,まず最初に疾患の概説が述べられ,そのうえで,その具体的対処の仕方を検査の設定,処方例などの順序で解説し,最後に「ここがポイント」という項目を設け診療上の要点を掲げている。大変わかりやすく配置・整理されている。

 実地診療に当たる医家の方々には診療の座右に置いて活用していただきたい内容であり,また外来診療に参加することの比較的少ない研修中の先生方には具体的な知識の習得に役立ていただきたい書籍である。さらには,婦人科内分泌を専門とする先生方にとっても最新知識の整理に役立つものである。産婦人科専門医を標榜するいずれの医師にも大変役に立つテキストであり,ぜひご一読を勧めたい。

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