精神看護学[2]
精神看護の展開 第3版

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●本巻は精神看護学の実践編ないし臨床編にあたるものです。短い事例やエピソードなどを多く挿入して、臨床体験のない学生でもイメージできるように構成されています。 ●第7章では、精神科看護の基本となる「関係論としてのケア」を、かつてない明解さでまとめました。 ●第8章は、入院看護編です。入院から退院までの間に看護師はなにをしたらよいのかを具体的に記します。 ●第9章は、近年注目されている精神科の身体ケアについてまとめました。精神科こそ身体ケアが必要な理由が理解できます。 ●第10章は、地域看護編です。活発な展開を示す訪問看護を中心に紹介しながら、当事者と支援者の新しい関係を示します。 ●第11章では精神科と身体科の間に発生する問題を扱いながら、広がる精神科看護の役割を紹介します。 ●終章では、看護する側の問題を「感情労働」をキーワードに探ります。あわせて、「燃え尽き」ないための方策を呈示します。 *2011年版より表紙が新しくなりました。
シリーズ 系統看護学講座
武井 麻子 / 末安 民生 / 小宮 敬子 / 式守 晴子 / 鷹野 朋実 / 森 真喜子 / 寳田 穂 / 江波戸 和子 / 堀井 湖浪 / 白柿 綾 / 月江 ゆかり / 青戸 由理子 / 藤井 達也 / 仲野 栄 / 中井 有里 / 矢田 朱美 / 古城門 靖子 / 広瀬 寛子
発行 2009年02月判型:B5頁:372
ISBN 978-4-260-00670-5
定価 2,420円 (本体2,200円+税)
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はしがき

第3版の序
 1968年に刊行された「系統看護学講座」に,精神看護学の先達である外口玉子先生が『成人看護学:精神疾患患者の看護』を書かれてから40余年がたつ。本書の筆者たちの中心は外口先生のテキストで学び,精神看護を志したといっても過言ではない。そこでふれた事例は,現場の息吹をいきいきと伝えるものであった。本書でも,理論だけではない看護の現場のリアリティを伝えようという意気込みをできるかぎり受け継いでいくことを心がけた。
 しかし,年々,社会の変化はスピードを増し,精神看護の対象となる人々も場も,大きく様変わりしてきた。精神科で治療を受ける人々のほかにも,さまざまな精神健康上の問題をかかえケアを必要とする人々がふえ,そのニーズも多様化してきている。いまや精神科だけにとどまらず,一般診療科,さらには地域におけるさまざまな施設や組織などで,精神看護の考え方や方法が必要とされる時代となってきたといえる。
 また,心のケアといっても,身体のケアとは切り離してはありえず,その両者を統合した理論や実践が求められるようになってきた。そこで,本書では,あらゆる場で応用可能な対象理解や自己理解を進めるため,人間の心理面だけでなく,生理的・身体的側面をも重視することにした。
 また,本書ではとりわけ関係に注目した。関係のなかの人間という観点から,言語的・非言語的なコミュニケーションのあり方についても詳しく論じている。さらには,個人対個人のレベルにとどまらず,家族や組織,チームといった集団のなかの人間の営みをとらえ,その背後にあるダイナミクスまでも視野に入れている。
 そしてもちろん,社会の理解も必要不可欠である。病いはすぐれて個人的な体験でありながら,社会の歴史・文化・経済などの影響を強く受けるものだからである。とりわけ地域においては,医療・看護・保健・福祉の領域の垣根を越えた協力体制は必要不可欠になった。本書では,そうした相互理解が進むよう,それぞれの領域を代表する書き手によって,わかりやすく解説がされている。
 最後に,本書では患者・当事者の視点をできるだけ取り入れることにした。現場はさまざまな矛盾に満ち,ケアを提供する者自身,悩みながらケアしていかなければならないことも多い。読者は,このテキストを通して患者・当事者の思いにふれ,真のパートナーシップをどうしたら築いていけるかをともに考えていってほしい。
 ケアする者もケアされる者も,希望を見失うことなく,互いに手を携えながら未来を切りひらいていくことのお手伝いができれば,著者としてはこのうえない喜びである。
 2008年12月
 著者を代表して
 武井麻子

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第7章 ケアの人間関係 (小宮敬子・鷹野朋実・森真喜子)
 A ケアの前提:相手を知ること,自分を知ること
 B ケアの原則
 C ケアの方法
 D 関係をアセスメントする:プロセスレコードの活用
 E 患者-看護師関係でおこること
 F チームのダイナミクス
第8章 入院治療と看護の展開 (寳田穂・江波戸和子・森真喜子・堀井湖浪・武井麻子)
 A 入院の意味を理解する
 B 治療的環境をつくる
 C 安全を守る
 D 緊急事態に対処する
 E 回復を助ける
第9章 身体をケアする (白柿綾・月江ゆかり・青戸由理子・武井麻子)
 A 精神科における身体のケア
 B 身体にあらわれる心の痛み
 C 精神科の治療と身体のケア
 D 日常から気をつけておきたい身体合併症
 E 精神科における身体のケアの実際
 F 心的外傷をもつ患者への身体のケア
第10章 地域における精神看護 (小宮敬子・藤井達也・仲野栄・中井有里・矢田朱美)
 A 地域で生活するための原則
 B 生活を支える制度
 C 地域で精神障害者を支援するための方法
 D 地域での看護の実際:事例を通して
第11章 精神科以外での精神看護 (広瀬寛子・古城門靖子)
 A 身体疾患と精神看護
 B 看護カウンセリング
 C リエゾン精神看護
 D コミュニティにおける精神保健・精神看護
終章 看護における感情労働と看護師のメンタルヘルス (武井麻子)
 A 看護師のイメージ
 B 看護師の不安と防衛
 C 感情労働としての看護
 D 看護師の感情ワーク
 E 看護における共感の光と影
 F 感情労働の代償
 G 感情労働を生きのびるために

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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