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消化器外科レジデントマニュアル

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消化器外科研修に定評ある自治医科大学附属大宮医療センターで行われている診療をもとに、手術適応、治療法・術式の選択、術後管理のテクニックなど、手術に際しての診療指針として十分な量のデータを収載。プラクティカルな問題点がきめ細かくピックアップされた、消化器外科専門医や消化器外科を志す研修医必携のマニュアル。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
監修 小西 文雄
編著 自治医科大学附属大宮医療センター外科
発行 2005年10月判型:B6変頁:312
ISBN 978-4-260-00148-9
定価 4,620円 (本体4,200円+税)
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  • 目次
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I. 総論
 1章 術前検査の進め方
 2章 抗生物質使用の原則
 3章 周術期の栄養管理
 4章 インフォームド・コンセント(術前,術後の説明)
 5章 クリニカルパス
 6章 全身的合併症と周術期管理
 7章 術後合併症とその対策
 8章 内視鏡下手術の基本
II. 各論
 1章 食道疾患
 2章 胃疾患
 3章 消化性潰瘍(出血,穿孔)
 4章 胆道疾患
 5章 肝疾患
 6章 膵・十二指腸疾患
 7章 小腸疾患
 8章 術後癒着性イレウス
 9章 虫垂炎
 10章 大腸疾患
 11章 肛門疾患
索引

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日常診療に活用できる第一線の医師による書
書評者: 関川 敬義 (東京逓信病院・第一外科部長)
 消化器外科をめざす研修医のみならず,外科系研修医全体の臨床研修のためにまとめられた,日常診療に携わるレジデントの手引書である。この種の本は多く上梓されており,外科患者の診療のマニュアル本として選択するのに迷うことが多い。従来の多くのマニュアル本は,えてして教科書的で多くの事項について解説し,そのエッセンスを伝えようという本が多い。ところが,本書は自治医科大学附属大宮医療センター外科および第一線の病院で直接診療に携わっているスタッフと若手医師による執筆のためか,実に具体的で即利用できるレジメ,薬剤の使い方,知識,いろいろな手技の具体的な手順,そのピットフォールなどが網羅され,臨床研修をスタートしたレジデントに役立つようにわかりやすく記載されている。

 まず第1の特徴は非常に具体的で実際に即役立つ形で記載されている点である。総論においても各論においても実践的な対応について細かく記載されており,たとえば抗生物質の章では,抗生物質の使い方の基本的なコンセプトに始まり,上部消化管手術,胆嚢手術の項目には,「セファロチン(コアキシン)〔1日1-6g,4-6回分割投与〕またはセファゾリン(セファメジン)〔1日1g,2回分割投与〕または……」のように,個々の疾患に対する抗生物質の種類・投与量・投与方法にいたるまで,細かく記載されており,日常診療にすぐ利用できる。インフォームド・コンセントのような哲学的な章では,術後の説明のしかたの中に,著者の経験からの具体的な話を入れ,その章のワンポイントアドバイスにも患者は何を求めているのか,患者の家族,家庭の事情を見て話をする必要があるなど,医師としてのあるべき姿,態度についても具体的に言及している。

 第2の特徴は,図や写真・表が多く理解しやすい点である。虫垂炎はレジデントが救急で最初によくあたる重要な疾患で,時には診断が困難な症例に遭遇する。が,このマニュアルは非常によくできていて,診断の手順,方法は勿論,画像診断の写真やピンポイント圧痛点の実際の手技を写真入りで説明し,診断のエッセンスを簡潔に要領よく記載してある。さらに手術操作のポイントについては,実際の手術経験がもとになったコメントで,手術法も具体的に記載しており,レジデントには非常に参考になると思う。

 第3の特徴は,忙しいレジデントが短時間に見たい項目が開けられるように表紙裏に各章の項目名があり,その章の番号が各ページの右端に書かれておりすぐ見られるように工夫している点である。

 他にも頻度等をはじめ,よく文献を広範に参考にされたと思われ,具体的な数値が書かれているのも患者さんに対する説明にも役立ち,ワンポイントアドバイスも実際の経験から出た知識の内容で,レジデントの理解をさらに深めるうえで役立つものと思われる。

 本書は,実際に第一線の病院で日夜患者の治療にあたって得られた知識があふれている。大学教授の監修でありながら,教科書的でなく,実際の診療に役立つマニュアル本であり,ぜひ毎日白衣のポケットに忍ばせて,いつでもちょっとした時間に開いて参考にしたいマニュアル本である。まだ初版本であり,医学は日進月歩,これだけ具体的に書かれていると,3-5年に1回は見直され,さらに改訂版を出していただきたい。
『外科レジデントマニュアル』からさらに一歩消化器外科へ進む本
書評者: 志田 晴彦 (東京厚生年金病院・外科主任部長)
 古い話だが,私がレジデントの5年間を過ごした1970年代後半から80年代当時は,さまざまな手技を学ぶ際のガイドブックやマニュアルが完備されておらず,上級指導医からの直接指導が主体で,「実践こそが勉強」という考え方が優勢であった。

 もちろん現在でも技術なしでは何もできないことに変わりはない。しかし往時と違い治療技術や術前術後管理には広い経験やエビデンスに裏付けられた標準的手技があり,これを外れたものはいかに優れたものでも今のレジデントに受けいれられるものではない。

 根拠を必要とする情報化時代には多くの知識と技術の標準をコンパクトにまとめたマニュアルが待望される。医学書院からは外科レジデント必携のベストセラー『外科レジデントマニュアル』が発行され,すでに多くの研修医の支持を受けているが,本書は消化器外科医をめざす人のための続編=advanced versionといえよう。この大役をかねてから臨床研修には定評のある自治医大大宮医療センター外科が請け負ったのはまさに適役である。

 内容をみると,I.総論 とII.各論 に分かれ,それぞれに最新情報を取り入れた特徴ある構成になっている。当科のレジデントの意見も参考にして,特に感心したところをあげてみる。I.総論では,2章の「抗生物質使用の原則」が,当然とはいえエビデンスに基づき具体的に丁寧に述べられている。4章の「インフォームド・コンセント」では抑えておくべきポイントがうまくまとめられている。他のレジデントマニュアルにはない項目であり,現在の医療環境を踏まえている点が良い。6章の「全身的合併症と周術期管理」については,採血データの正常値と,逸脱した場合の対応法・目標値などが簡潔に記載されており,項目ごとにまとめられているので使いやすい。II.各論では,癌のガイドラインや規約の記載があり,カンファランスにこれ一冊あれば使い勝手よくプレゼンテーションをこなすことができるであろう。…等々目を惹く点は枚挙にいとまがない。

 このマニュアルが実践向けであることの裏付けは,冒頭に小西教授が述べておられるように実際に自治医大大宮医療センター外科で使っている診療マニュアルに基づいたものであるからこそであり,現場で動き回る若手医師達の執筆を教授が監修されたものであることも心強い。まさに消化器外科専門医を目指す者が携帯するに最適の書である。

 さらには診療・病院運営・学会研究活動などに忙しく,自身のレジデント時代の知識の更新に多くの時間をとれない中堅指導医が,レジデントに「逆指導」を受けることにならないためにもレジデントのみならず「指導医にも必携の書」といえよう。

 最後に,Up-to-dateな内容であるだけに,今後の改訂にもたいへんなご苦労があるものと察するが,最新情報を得る日々の努力に怠りない医局の先生方であるだけに,それも杞憂にすぎないものと信じている。

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