病院経営ことはじめ

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いざ病院経営について学ぼうにも,用語の難解さに戸惑う読者も少なくない。本書は,著者が病院事業管理者に就いてからの現場での戸惑い・発見・経験をもとに,事例やQ&A方式などを用い,わかりやすさと読みやすさを兼ね備えた病院経営の入門書である。あらゆる病院の病院長,管理者が病院経営を考える際に,最初に読むべき1冊。
久道 茂
発行 2004年03月判型:A5頁:212
ISBN 978-4-260-24079-6
定価 3,300円 (本体3,000円+税)

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  • 目次
  • 書評

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はじめに
I 自治体・公的病院の現状と役割
II 地方公営企業法における病院事業
III 国立病院および自治体病院の独立行政法人化とは
IV 自治体病院における経営
V 根拠に基づく病院経営とは
VI 誰のための病院か
VII がんばれ自治体病院
VIII 付章:病院経営判断分析について
最後に
文献
索引

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自治体病院関係者必携の書
書評者: 小山田 惠 (全国自治体病院協議会会長)
 今般,私が最も敬愛する宮城県病院事業管理者久道茂先生がご執筆なさった『病院経営ことはじめ』は病院経営,特に自治体病院を経営する管理者や病院長にとって実に貴重な内容に富み,しかも時節柄,誠に時宜を得た良著である。

 今自治体病院の多くは経営が難しく,各地で病院存続の可否がさかんに論じられている。もともと自治体病院は民間ではできない,民間がやらない医療を多くやっているから当然経営は成り立たない。たとえ不採算であっても,その地域に必要な医療をするために,国や自治体は自治体病院に対して一定のルールに従って金を出しているが,それでも赤字になる。不採算医療をやっているのだからやればやるほど赤字になるのは当然だ。国からの繰り入れが足りない。それも事実であり立派な理屈である。しかし同じ規模,同じ環境にあっても約半数の病院は黒字経営をやっているとなると,やはり赤字病院の管理者や病院長は経営の手腕が問われることになる。

◆自治体病院長に熱いエール

 赤字病院の院長の中には著者が指摘しているように,経営より患者を診るほうが好きだとか,俺は経営に向かないんだ,などと言って病院管理や経営にあまり関心を示さない院長が意外と多い。大学や行政の人事で経営能力が全然なくとも院長に納まっていることが多いからで,定年まで勤めれば累積赤字がどんなに多くても退職金をもらって名誉院長になっているのも事実である。しかし,今はもうそんな時代ではなくなった。いくら公立だからと言っても経営が破綻すれば自治体の財政も耐えられなくなって民間委託とか民間委譲,最後は廃止になる。病院がなくなれば職員は路頭に迷うし,病院を創った住民にとって大迷惑である。その運命を担った管理者,病院長の責任は実に重い。そうならないためのガイドブックが本書である。

◆実体験に基づいてわかりやすく

 著者は,もともと経営学者でもなければ病院経営の権威でもない。長い間東北大学で公衆衛生学の教授を務め,本邦における臨床疫学の第一人者で,数年前詳細なデータの分析評価をもとに各種がん検診のあり方について国の指針をつくった学者である。その著者が2年前自治体病院の管理者になって,自治体病院の実態を知り経営改善に取り組んだ。著者本来の学究的視点で問題の本質を捉え,経営改善策を立て実行し,それが見事に着実な成果をあげている。このような実体験に基づいて書かれているから身近な感じで読みとれるし,自分自身のものとして容易に受け入れることができる。なかなかわかりにくい官庁会計と企業会計の違いや病院事業の経営分析の見方,一般会計負担金算出のルールなどについても至極わかりやすく明確に解説されている。そして,さらに根拠に基づく病院経営の必要性とあり方についても諄々と説き,最後に“がんばれ自治体病院”といって地域住民本位,患者中心の医療に情熱を燃やしている病院長連に熱いエールを送って奮起を促している。まさに自治体病院関係者必見の書である。

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