標準整形外科学 第9版

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長年にわたって読者の厚い信頼を得てきた整形外科学教科書の最新版。今版では基礎・臨床の詳細な解説がいっそう充実し,明快なレイアウトでさらに知識の整理が容易になった。整形外科学の講義と実習に必携の,テキストと用語集,2つの役割を兼ね備えた“運動器”を学ぶ人に最適な1冊。
シリーズ 標準医学
総編集 鳥巣 岳彦 / 国分 正一
編集 中村 利孝 / 松野 丈夫 / 内田 淳正
発行 2005年03月判型:B5頁:960
ISBN 978-4-260-12593-2
定価 10,120円 (本体9,200円+税)
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序章 整形外科とは何か
第1編 整形外科の基礎科学
 1 骨の構造,生理,化学
 2 骨の発生,成長,維持
 3 骨の病態生理
 4 関節の構造と生化学
 5 関節の病態生理
 6 骨・軟骨の損傷修復と再生
 7 筋,神経の構造,生理,化学
第2編 整形外科診断総論
 8 診療の基本
 9 主訴,主症状から想定すべき疾患
 10 整形外科的現症の取り方
 11 検査
第3編 整形外科治療総論
 12 保存療法
 13 手術療法
第4編 疾患総論
 14 軟部組織・骨・関節の感染症
 15 関節リウマチとその類縁疾患
 16 慢性関節疾患(退行性,代謝性)
 17 四肢循環障害と阻血壊死性疾患
 18 先天性骨系統疾患
 19 先天異常症候群
 20 代謝性骨疾患
 21 骨腫瘍,軟部腫瘍
 22 神経疾患,筋疾患
第5編 疾患各論
 23 肩関節
 24 肘関節
 25 手関節および手指
 26 頚椎
 27 胸郭
 28 胸椎,腰椎
 29 股関節
 30 膝関節
 31 足関節と足趾
第6編 外傷学
 32 外傷総論
 33 軟部組織損傷
 34 骨折・脱臼(各論)
 35 脊椎・脊髄損傷
 36 末梢神経損傷
 37 スポーツ傷害
第7編 リハビリテーション
 38 運動器疾患のリハビリテーション
 39 義肢
付録
 資料1. 関節可動域表示ならびに測定法
 資料2. 主な徒手筋力テスト
 資料3. 治療成績判定基準
 資料4. その他
本書で用いた略語一覧
索引

別冊付録:整形外科臨床実習の手引き

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診察,診断に力を入れた学生・研修医に役立つ教科書
書評者: 黒澤 尚 (順大教授・整形外科学)
 整形外科学の学生向け教科書の中でもっとも完備した教科書である『標準整形外科学』が改訂されました。2002年の第8版は大幅な改訂でしたが,今回は大部分それを引き継いでいます。その意味でこの書評は基本的に第8版の印象とも言えるでしょう。私自身整形外科講義の際には,まず『標準』にはどう書いてあるかを参考にしていますし,他の大学の多くの先生方も恐らくそうではないかと想像しています。

 本書の特徴は診察,診断の進め方に力を入れている点でしょう。第2編の整形外科診断総論には,「診療の基本」,「主訴,主症状から想定すべき疾患」,「整形外科的現症の取り方」の章があります。学生が臨床実習で,あるいは研修医が患者と面と向かった時,恐らくは「何を聞いたらよいのか,どこをどう触ったらいいのか,得た所見はどう解釈したらよいのか」といった基本的な入り口で戸惑うものです。医学教育で時間的にも内容的にも圧倒的に中心は内臓器疾患です。

 ですから学生や研修医が一応診察で頭に入っている問診での愁訴は発熱,食欲不振,腹痛,動悸,息切れ,体重減少といった消化器,循環器などの内臓器症状です。したがって「腰が痛い」だの「ひざが痛い」といった愁訴に対して,学生は最初からまったくお手上げです。その意味で豊富に写真と図表が入ったこの第2編は最も学生には役立つ箇所であろうと思われます。特に寺山和雄名誉教授が考案された「主訴,主症状から想定すべき疾患一覧表」(いわゆるブルーページ)は簡にして要を得て,なるほどよくまとまっているなといつも感心させられます。また,第8版から入った各疾患や部位別項目の先頭に挙げられている「診療の手引き」も同様な意味で大いに学生や研修医には役立つと思われ,その部分だけを抜き出してポケットに入るような大きさに仕上げた「整形外科臨床実習の手引き」の小冊子を付録にしたのは1つのおもしろいアイデアです。

 また私がもう1つ『標準』で感心しているところは,第1編の「整形外科の基礎科学」です。綺麗な写真,図と科学的な姿勢は崩さずに一方で噛み砕いた説明は同類の書と比べると格段にそのすばらしさが光っているところです。

 このように『標準』は学生と研修医向けの教科書としてはますます抜きんでた存在になっています。しかし,唯一私が心配するのは昨今非常に忙しくなっている学生,研修医そして前述したような学生,研修医の実態にしては『標準』は厚すぎないか,網羅的すぎないかということです。前述した『標準』のよい点も大部の中に埋もれて目立たなくなってしまっています。教科書は改訂を重ねるほど厚くなっていくのは世の常ですが,ミニマムエッセンシャルとまでは言わないにしても,現状はミディアムエッセンシャルの域も超えているのではないかと心配です。次回改訂の際は思い切ったダウンサイジングを期待します。

「考える整形外科学」を提供する臨床疾患を網羅した教科書
書評者: 小宮 節郎 (鹿児島大大学院教授・整形外科学)
 商品を売り出すプロジェクトプラニングの原点は,購買者が商品に何を求めているか,それを敏感に察知し,商品内容に反映させようとする姿勢にある。トレンドを考慮し,購買者が満足感を得られるようなものでなければ,ベストセラー商品とは成り得ない。医学書を商品とは考えたくないが,医学・医療も日進月歩の世界であり,特にこの数年間は激動期,躍動期にあることを考えれば,細やかなリニューアルも随時加えていくべきであろう。このような時代の要請に柔軟に対応しているのが『標準整形外科学』といえる。本書が4半世紀にもわたり,多くの人々に愛され続けてきた理由はここにある。本書はこのたび第9版としてわれわれの前に登場してきた。今まで以上に細部に吟味がなされており,新時代の医学教科書としてはうってつけの推薦書といえる。

 そもそも医学教科書として必要な要素は,1)対象者がしっかりと意識されている,2)読みやすい,見やすい,親しみやすい,3)理解しやすい,4)ゴールドスタンダードな内容がきっちりとおさえられ,且つ最新情報が盛り込まれている,5)手頃な大きさで持ち運びが可能,6)手頃な値段,などである。

 本書では,それらすべての要素が満たされている。本書は医学生,卒後研修医など整形外科学入門者の総合学習用材としてだけでなく,整形外科専門医にも十分通用する内容となっている。視覚に訴えるべく,ほとんど全頁といってよいほど,随所にカラーイラストが盛り込まれたことは,まさに今の時代を反映しているといえよう。さらに字の大きさ,字間,行間,段落,見出しなどの細かいところまで配慮がなされ,大変見やすいものなっている。盛りだくさんな内容なのに,読みづらさを感じないのは無駄を極力省き,簡潔表現に徹したからであろう。おかげで臨床疾患のほぼすべてを俯瞰することができる。また,基礎学問領域を理解しやすくするために,本書ほど工夫を凝らした教科書は他に見あたらない。基礎を理解し,それを臨床に役立てる,という基本姿勢が貫かれているように思う。

 本書はそもそも「考える整形外科学」を提供することを基本理念としており,今の医療現場に必要とされる問題解決能力を育成するうえで,これほど役立つものはないであろう。第4編(疾患総論)以降の各章冒頭に設けられている「診療の手引き」は,医学知識を医療現場で応用するためのノウハウ,臨床のコツが実にうまく示されている。臨床医に不可欠な幅広い思考力と鋭い判断力を養うために,コンパクトなサイズで別冊付録としてもまとめられていて携帯に便利である。また「side memo」や「やってはいけない医療行為」などのメモが随所に設けられ,実地にあたる臨床医にとってきめ細やかな指導書といえるであろう。

 時代の要請に見事に応えた本書をぜひ,座右の書としてお奨めしたい。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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