Drug-Eluting Stent

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Drug-Eluting Stent(DES)は冠動脈インターベンション治療の最大の弱点であった再狭窄(ステント再狭窄)を克服する新しいデバイスとして,すでに欧米では急速に普及している。本書では,海外および海外での経験をもとに本邦で活躍している第一線の専門医を執筆陣に迎え,DESの治療成績を多角的にまとめた。
編集 山口 徹 / 田村 勤
編集協力 阿古 潤哉 / 上妻 謙 / 田辺 健吾 / 森野 禎浩
発行 2004年01月判型:B5頁:184
ISBN 978-4-260-10296-4
定価 7,700円 (本体7,000円+税)
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  • 目次
  • 書評

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I. ステントと再狭窄
II. Drug-Eluting Stentの基礎
III. Drug-Eluting Stentの臨床-初期成績
IV. Drug-Eluting Stentの臨床-長期成績と合併症
V. Drug-Eluting Stentの課題と将来への展望
索引

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PCI施行医待望の一冊
書評者: 木村 剛 (京都大学助教授循環器内科)
 Drug―Eluting Stent(DES)がいよいよ日本でも使用可能となりそうである。DESは細胞周期を抑制する薬剤を病変局所でコントロールレリースすることによって,全身性の副作用なしに細胞増殖を抑制しカテーテルインターベンション(PCI)後の再狭窄を激減させる。最近のACC 04では,First―in―man(FIM)試験における4年後の成績も報告され,安全性および有効性の持続が確認された。今後,安全性についての懸念さえ生じなければ,DESがPCIの主流になることは間違いないと思われる。

 DESは冠動脈疾患患者の治療法選択に大きなインパクトをもたらすはずである。多くの患者さんが再狭窄による再PCIの繰り返しの負担から解放されるであろう。またPCIは約束された結果をもたらす標準化された治療へと向かい,重症例における長期的成績でもバイパス手術(CABG)を凌駕する可能性が高いと考えられる。我々,インターベンション施行医にとっては,ワクワクするような時代の到来である。

◆DESの基礎から臨床まで

 このような時,まことにタイムリーに山口徹先生,田村勤先生の編集で「Drug―Eluting Stent」が発刊された。再狭窄の現状,メカニズム,病理からDESの基礎,初期成績,長期成績,さらには長期展望までを広くカバーしており,きわめて読みごたえのある内容となっている。本書の執筆陣には欧米の研究室やコアラボでDESの開発や評価に直接かかわってきた多くの若手研究者が名を連ねている。我々,日本のインターベンション施行医にとって,DESの成績発表は海外での成績をただただ受け入れるのみで,正直なところ,そろそろ退屈な感も免れなくなってきていたが,本書では内膜増殖のないステントの病理標本や血管造影像,血管内超音波像などを直に見た若手研究者の感動と興奮,さらには将来への期待がひしひしと伝わってくる。そしてDESの導入の遅れから,欧米のみならずアジア諸国からも大きく遅れをとった日本の現状をどのようにして挽回していくべきかも明確にされている。

 左主幹部疾患,3枝疾患,慢性完全閉塞,高度石灰化病変,び漫性病変,分岐部病変や急性心筋梗塞などの複雑病変に対するPCIにおける日本のインターベンション施行医の技術的優位性は依然として健在である。患者への低侵襲治療の提供を願って,複雑病変にチャレンジする日本のインターベンション施行医にとって,DESは非常に大きな武器となる。我々に求められていることはこのような複雑な病変背景を持つ患者に対するPCIの長期成績を明らかにし,その地位を確立することである。

 今後DESを使用するにあたって,ベアーメタルステントの場合とは異なる手技が必要となると思われる。DESについての基礎から臨床までの理解を深めるために本書は最適であり,PCIの現場に関わる多くのインターベンション施行医やコメディカルスタッフに一読を薦めたい。

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