喘息の診断・管理 第3版
NIHガイドライン
好評を博したNIHによるガイドラインの第3版
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好評書の第3版。各薬剤についてのEBMが充実し、その結果、ステロイド療法以外のほとんどの薬剤を代替療法と位置づけている。当然、ステロイド療法の理論的裏付けの強化もなされており、患者にとって益するところの多い情報となっている。
編集 | 米国喘息教育・予防計画委員会 |
---|---|
監訳 | 泉 孝英 |
発行 | 2006年01月判型:B5頁:264 |
ISBN | 978-4-260-00042-0 |
定価 | 3,850円 (本体3,500円+税) |
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- 目次
- 書評
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開く
病態と定義
第1章 評価とモニター
第2章 喘息の重症度に影響する因子の管理
第3章 薬物療法
第4章 患者教育:喘息治療におけるパートナーシップ
[付] 改訂の根拠となった報告書
I. 薬物療法
II. モニター
III. 予防
[訳註] 薬品名一覧
監訳者後記
第3版・監訳者後記
索引
第1章 評価とモニター
第2章 喘息の重症度に影響する因子の管理
第3章 薬物療法
第4章 患者教育:喘息治療におけるパートナーシップ
[付] 改訂の根拠となった報告書
I. 薬物療法
II. モニター
III. 予防
[訳註] 薬品名一覧
監訳者後記
第3版・監訳者後記
索引
書評
開く
臨床研究エビデンスを一層反映したガイドライン
書評者: 浅井 泰博 (地域医療振興協会湯沢町保健医療センター地域家庭診療部)
米国の喘息ガイドラインである,National Asthma Education and Prevention Program, Expert Panel Report: Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma Update on Selected Topics2002の邦訳である。初版はオリジナルが1991年,日本語版は1993年に発行された。日本語版は第3版となっているが,第2版(1991年)の一部のトピックスについて2002年にアップデートされたものである。日本語版が待ち遠しかったがようやく2006年になって発行された。
日本語初版が発行された時,私はちょうど瀬戸内海に浮かぶ島の町立病院に赴任していた。夜間は定期船が運行していないので時間外患者はすべて受診していた。喘息発作患者も多かったが,普段の治療は気管支拡張薬は十分すぎるほどであったが吸入ステロイド薬はわずかの患者にしか使われていなかった。病院の内科医師は一丸となって兎にも角にも吸入ステロイドを導入した。効果がないとすぐに止める人もいて,経口ステロイドを数日間は服用してもらいながらであった。1年足らずで徐々に喘息発作の受診が減っていくことが実感できた。喘息治療の流れが変わっていくにちがいないと思った。
その後,喘息治療は吸入ステロイドが中心となり,さらによい喘息コントロールを効率的に得るにはどうすればよいのかについて世界中で研究が進んだ。本ガイドラインの改訂には,臨床研究から得られたより強固なエビデンスを反映するシステムが取られている。第2版から改訂になった点を列挙する。治療においては,小児における喘息の長期管理(吸入ステロイドと他の薬剤の比較,吸入ステロイドの安全性),併用療法(吸入ステロイドに他の薬剤を追加),喘息増悪時の抗菌薬の使用,である。モニターにおいては,書面による行動計画と薬剤のみとの比較,ピークフローを使った行動計画と症状による行動計画との比較である。予防においては,早期治療が喘息の進展に及ぼす影響についてである。どれも興味深いテーマであり,近年の臨床研究の結果が反映されている。
本書の構成は,前半2/3が第2版とその改訂,後半1/3が改訂の根拠となった報告書となっている。改訂部分は青色で印字されているので一目瞭然である。前の版をすでに読んだことのある読者は,改訂部分のみなら1時間程度で読めるだろう。しかし改訂部分よりも変わらない部分の方がより大切である。例えば,喘息の鑑別診断には,「小児においても成人においても,繰り返す咳や喘鳴のエピソードのほとんどは喘息によるものである。特に,気道感染のときに喘鳴を示す小児では,喘息の診断が見逃されている」とあり,私はドキッとした記憶がある。喘息患者を診るなら一度は目を通しておきたい(必携度数80%)。
書評者: 浅井 泰博 (地域医療振興協会湯沢町保健医療センター地域家庭診療部)
米国の喘息ガイドラインである,National Asthma Education and Prevention Program, Expert Panel Report: Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma Update on Selected Topics2002の邦訳である。初版はオリジナルが1991年,日本語版は1993年に発行された。日本語版は第3版となっているが,第2版(1991年)の一部のトピックスについて2002年にアップデートされたものである。日本語版が待ち遠しかったがようやく2006年になって発行された。
日本語初版が発行された時,私はちょうど瀬戸内海に浮かぶ島の町立病院に赴任していた。夜間は定期船が運行していないので時間外患者はすべて受診していた。喘息発作患者も多かったが,普段の治療は気管支拡張薬は十分すぎるほどであったが吸入ステロイド薬はわずかの患者にしか使われていなかった。病院の内科医師は一丸となって兎にも角にも吸入ステロイドを導入した。効果がないとすぐに止める人もいて,経口ステロイドを数日間は服用してもらいながらであった。1年足らずで徐々に喘息発作の受診が減っていくことが実感できた。喘息治療の流れが変わっていくにちがいないと思った。
その後,喘息治療は吸入ステロイドが中心となり,さらによい喘息コントロールを効率的に得るにはどうすればよいのかについて世界中で研究が進んだ。本ガイドラインの改訂には,臨床研究から得られたより強固なエビデンスを反映するシステムが取られている。第2版から改訂になった点を列挙する。治療においては,小児における喘息の長期管理(吸入ステロイドと他の薬剤の比較,吸入ステロイドの安全性),併用療法(吸入ステロイドに他の薬剤を追加),喘息増悪時の抗菌薬の使用,である。モニターにおいては,書面による行動計画と薬剤のみとの比較,ピークフローを使った行動計画と症状による行動計画との比較である。予防においては,早期治療が喘息の進展に及ぼす影響についてである。どれも興味深いテーマであり,近年の臨床研究の結果が反映されている。
本書の構成は,前半2/3が第2版とその改訂,後半1/3が改訂の根拠となった報告書となっている。改訂部分は青色で印字されているので一目瞭然である。前の版をすでに読んだことのある読者は,改訂部分のみなら1時間程度で読めるだろう。しかし改訂部分よりも変わらない部分の方がより大切である。例えば,喘息の鑑別診断には,「小児においても成人においても,繰り返す咳や喘鳴のエピソードのほとんどは喘息によるものである。特に,気道感染のときに喘鳴を示す小児では,喘息の診断が見逃されている」とあり,私はドキッとした記憶がある。喘息患者を診るなら一度は目を通しておきたい(必携度数80%)。
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